誤字脱字、微調整しました
〔20XX年 地球:日本・某大学病院個室〕
side シャルロット
次の日の朝、目が覚めたらお母さんが居なかった。ボクはお祖母ちゃんに起こされて、お母さんの着替えと軽い朝食を持って病院へ向かったんだ。
最初は病院にいるって聞いてびっくりした、だってボクが寝る前まで元気だったお母さんが翌朝には病院にいるって言ったら救急車で運ばれていったとしか思えないから!驚かしちゃダメ、だよ!
でも病室に入ったボク達は違う意味でビックリしてしまった。
だって、見知らぬ女の人が包帯だらけでベッドで眠っていたから。怪我だらけの女の人は、お母さんよりずっと若くて、お姉さんといった感じだ。セミロングの黒髪と、目を閉じているから長い睫毛がはっきりわかるすっごい美人さん。でもそれ以上にびっくりしたのはそのお姉さんに寄り添って眠ってる灰緑色のふわっふわの髪の毛をした小学校低学年くらいの女の子、眠っているせいで横顔しかわからないけれど、とてつもない美少女だ・・・
病室に付き添っていたお母さんに聞いてみたら昨日の晩、ボクが眠った後にうちの庭に突然現れたらしい。そういえば、家の中を更識の人たちが慌ただしく行き来してた、あれはそのせいだったのか、と今更気づいた
まったくセキュリティにもかかることなくカメラにも突然その場所に出現したようにしか残ってなかったそうだ
お母さんが言うのは、大怪我をしてたお姉さんは一命を取り留め容体は比較的安定してるらしい。当時着ていた宇宙服のようなもののおかげだそうだ、そして灰緑髪の美少女のほうは奇跡的にも傷一つないそうだ。
2人が乗っていたロボットだった残骸としか言えない物の中はそこら中が破損していて、座っていたであろうシートにはお姉さんの背中を大きく切り裂いたフレームらしきものが突き刺さっていたらしい。下手をしたら串刺しになっていたはずだと更識の人が言っていた、と
「・・・・ん・・・・んぅ・・・?」
あ、女の子が起きたみたい。お母さんは起きた少女にそっと挨拶をした
「おはよう、あなたのお母さんは大丈夫よ。ちゃんと、助かったわ」
お母さんの呼びかけにガバっと起きた少女は隣で眠るお姉さんの顔を見て、泣きそうな、それでいてほっと安心したような顔で「・・・・よかった・・・・」とつぶやいた
「あの、本当に、ありがとう、ございます。おかげ様で、助かりました。なんてお礼を言えばいいのか・・」
お母さんに向かって、少女はベッドの上できっちりと正座をして頭を下げた。声も、すごく・・・かわいいなあ・・・
「ああ、頭をあげてちょうだい。あなたのような小さな子にそんなお礼言われたら困っちゃうわ」
お母さんは慌てて少女の頭をあげさせる、少女は困ったような顔でお母さんを見上げて
「あの、でも・・・私、何もできませんでした。大怪我をしたセツコお母さんを助けてくださったのは皆さんですし・・」
「いいのよ。目の前に大怪我をして助けを求めている人がいるんだもの、助けるのは当然でしょう?あなたが気にすることじゃないわ・・・でも、そうね・・・、それじゃあおばさん、一つだけあなたにお礼をもらおうかしら?お嬢さんのお名前、教えてくれる?それで私は十分よ♪」
といって少女の頭を優しく撫でるお母さん。ボクは嬉しくなった、見ず知らずの困った人を損得抜きで助け出す家族を自慢に思った。
「ゎぅ・・・////あの、私の名前は
照れながらもじもじと名乗る少女、雪華ちゃん。はっきり言って天使だった。お姉さんの名前はセツコさん、お母さんって言ってたから親子なんだね。
「雪華ちゃんね、私はクリスティナ、クリスって呼んでね。この子は私の娘のシャルロット。娘のほうが雪華ちゃんより少しだけお姉さんかしら?仲良くしてあげてね」
そう言ってお母さんはボクの肩を抱いて紹介してくれた。ボクはなんだか頭がふわふわとしているような不思議な感じ、熱があるのかな・・?
「えへへ♪よろしくね、雪華ちゃん!」
「はい!よろしくお願いします!シャルロットお姉ちゃん」
ボクは右手を差し出す、おずおずと、雪華ちゃんも右手を出してくる。ゆっくりとお互いに握手する
シャルロットお姉ちゃん・・・うへへへ////
「あらあら、さっそく仲良しね。お母さん嬉しいわ♪ねえ、雪華ちゃん。セツコさんの怪我は治るまでまだしばらくかかるから取り敢えずのところ、それまでうちで一緒に暮らさない?行く当てはないのでしょう?」
「あ、それいいな。ボクも賛成だよ!雪華ちゃんとももっとお話ししたいし!」
そういうと雪華ちゃんはまた困ったような表情で
「あ、あの・・・ご迷惑ではないですか?とてもありがたい申し出ではあるのですが・・・」
「いいのよ、うちは二人くらい増えたところで何も困らないわ。それにシャルロットも嬉しそうだし、主人も両親も、誰も反対なんてしないわよ♪」
「うんうん、ボクも雪華ちゃんがうちに来てくれるならすごく嬉しいよ!」
これはチャンスだ、よくわからないけれどチャンスだ。押せ押せムードでどんどん押していく、なぜかわからないけど今のボクは制御不能だ、こんな気持ちは初めてだよ
「ね、ね。一緒に暮らそう?・・・ダメ、かな・・・?」
ボクは雪華ちゃんのちっちゃな両手を握って上目遣いでお願いする。自分が冷静ではないのがはっきりわかる、だけど止まらない、止まれない。
「はぅ・・・////だめじゃ、ない、です・・・////私も、嬉しいです////」
紅葉のように頬を真っ赤にしてもじもじする雪華ちゃん。あ、両目の色が違うんだ・・・宝石みたいですごくキレイ。左目に泣き黒子?があって、年下なのにすごく、その、セクシーだ・・・、少し潤んだ瞳でボクのことをおずおずと見つめる雪華ちゃんを見た瞬間ボクの心がキュンとなった気がした、あ、あれ?この気持ち・・・
隣でお母さんがニマニマとした顔でボクたちを見ている、「あらあらあら・・・」ってなに?
「それじゃあこれからよろしくね、雪華ちゃん!セツコさんの事は私たちに任せてね、ちゃ~んとお世話させてもらうからね!」
「はい、これからよろしくお願いいたします!」
この日、ボクに新しく妹が出来た。灰緑髪のちっちゃくて、優しい、かわいいかわいい妹が。そしてこの日を境に、ボクの人生は大きく変化していくことになる
それにしても、なんで雪華ちゃんはあんなに顔を真っ赤にして照れてたんだろう?
side:将秀
〔20XX年 地球:日本 更識家〕
「・・・将秀さん、こちらで例の機体を調べた結果。あれは従来にはない材質や技術が詰め込まれたものだということがわかりました」
やはり、思っていた通りか。一目見ただけでその異常性は際立っていた。現在この世界はたった一人の天才が開発した
女性で、パイロットであるならば・・・それこそISを使えばいい。IS自体は全世界で総数467機しかない、これは篠ノ之博士が新たなコアを作らない限りは増えることはない絶対数。
そして肝心の博士は世界から追われる身だ、その博士が自発的にコアを増やすことは考えられない。それにあの機体のパイロットが着ていた宇宙服らしきもの、あの材質もこの世界で使われている素材や技術で作られたものではないし、彼女の来ていた制服らしきものに
【新地球連邦軍戦技研究班グローリー・スター:セツコ・オハラ少尉】
ありえない、この世界にそんな組織はない。それに更識の調べではセツコ・オハラなる人物に該当する存在はないという。
「なぁ、楯無君・・・・キミはどう思う?私は正直言って、
「そうですね、将秀さん。はっきりいって、【白騎士事件】と同じくらいの衝撃ですよ・・・いや、下手をしたら今回はそれ以上の事件かもしれない。篠ノ之博士は良くも悪くもこの地球の人間です。だけど今回のコレは・・・下手をすればこの地球とはまったく別の世界からもたらされたものかもしれない」
「キミもそう思うか・・・、いやまったく、年は取りたくないものだな・・・私ももっと若ければな、ただ純粋に「すごい」で片づけられたのになあ」
「ははは、そんな簡単に片付けられたら楽でいいですね。ああ、本当にその通りです。責任ある立場なんてなるものじゃあない」
迅速に証拠を隠蔽して昨夜の出来事を【無かったこと】にするつもりだが、正直言って奴らに嗅ぎつけられでもしたら大事になるのは明白
「楯無君、あの機体からデータのほうは抽出できたかい?」
すると目の前の更識家16代目当主は苦い顔をしている。なるほど、どっちだ?
「はっきり言いましょう。データそのものはある程度抽出できました。ですが彼女たちの身元に関する情報は、例の身分証のようには出てきませんでした。簡単な機体スペックとマニュアル程度のものです、おそらくは
こっちだったか・・・これはこれで頭が痛い
「機体の名称は【ザクⅡ】、全長17.5mの人型機動兵器です。本来は宇宙空間での戦闘をはじめ、地上での戦闘も考慮されて制作されたものですね。スペックは第二世代の量産機IS《打鉄》と同程度、地上限定のようですが。ISのように継続的な飛行能力はありませんが、わずかな時間なら滑空程度はできるようです。本来は核融合炉を動力としていたようですが、バッテリー式に換装されていました。人型のロボットを、内部から、あの操縦席で操作するとなると・・パイロットには相当の技量が要求されるでしょうがね・・・。しかし問題はそれではなく、ISと違ってアレは女性しか動かせないようなものではない事でしょう。あれの製造法が解かってしまえば、もし量産されたりでもしたら世界は戦争へと突入してしまうかもしれません、その可能性を秘めている」
核融合炉と聞いて一瞬心臓が止まるかと思ったが、バッテリーに換装されていたのか、よ、よかった・・・。それにしてもそんな危ないものが搭載されたものが【量産型】だというのが恐ろしい・・
「パイロットであるオハラ少尉が目覚めないことにはこれ以上の情報は得られないでしょう。あの残骸だけでも相当高度な技術が使用されています、ISとはまた別の意味で、ですが」
「そうか、やはり鍵は彼女になるか。一緒にいた少女の事は何か分かったかね?」
「いえ、あの少女に至っては何も・・・ただ・・・」
「ただ?」
「あの少女の体に傷一つ無かった、というのが気にかかると言いますか・・・なんといえばいいのでしょう、小骨が奥歯に引っかかったような・・・あれだけの操縦席の破損具合、しかもシートに刺さったフレーム、パイロットのオハラ少尉はあれほどの大怪我、だというのにまるであの少女だけが何かに守られていたのではないかというほどです、
なるほど、そういうことか・・・本来ならばあれほどの大惨事な空間に一緒にいて、いかに守られようとも多少の怪我はするはず。それが何もなかったかのように無傷であると・・・だがそうだとして・・・ただの偶然なのか?それともなにか理由があるのか?
すると気の抜けた音楽が鳴った、つまり楯無君の電話が鳴った。なんなのだこの外れた音は・・・
「すみません将秀さん、すこし外します」
「気にせんでいいよ楯無君、ごゆっくりどうぞ」
楯無君が室外に出ていく、しかし困ったな・・・まるで問題のとっかかりが見えない。取り敢えずはオハラ少尉が目覚めるまでは最低限、隠し通さなければならんか。あの残骸は解体でもして更識君のところに預かってもらうとして・・・
「すみません将秀さん、ただいま戻りました。今、部下から連絡があったのですが----」
オハラ少尉と一緒に居た少女が目を覚まし、クリスとシャルロットとともに自宅に帰ってきたらしい。私は楯無君に礼を伝え、向かいにある我が家へと帰ったのだった
取り敢えずシャルロットよ、よくやった!
更識家:原作ではISの世界観の日本で政府に仕える暗部用暗部組織。本作品では由良川家の影響が大きく特に政府の犬にはなっていない
楯無:16代更識家当主。原作だと刀奈が受け継いでいるが本作品では刀奈パパが当主のまま。厳格だけど優しく家族思いないいお父さん。
量産型:だいたいどの作品でも不遇な扱い