IS 《神器の少女》   作:ピヨえもん

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今回はインターミッションのようなものです、ハイ。


幕間 それぞれの思惑

 IS学園襲撃後の夜 アメリカ ワシントンD.C 女性権利団体本部ビル

 

「・・・メリクリウス、ヴァイエイト共に沈黙。両機、・・・撃墜されました」

 

小さく、感情の籠らないどこか機械的な女性の声が、しん、とした部屋の中に妙に響き渡る。

 

世界中に点在する《女性権利団体》の本部であるビル、このビルの最上階エリアはごく限られた者しか入室することのできない大部屋がある。その部屋の中にひしめくように乱立するモニターとパソコン、足元には無造作にまとめられたケーブル類が伸び、そこら中にゴミが散らばっている。

とてもじゃないがここが現在世界中で幅を利かせている団体の本部とは思えないほどに乱雑な、もっと言えばゴミ溜めのような空間だ。中には女性が数人、壁に掛けられた一際大きなモニターに目線を釘付けにしている。そしてその表情は全員が虚ろだ。

 

ギリッ

 

誰かの歯を軋ませるような音が聞こえた

 

「・・・すぐに次を手配しなさい」

 

「ええっ!?で、ですがミス・ベルナル、あの2機は団体の活動資金の大半を注ぎ込んでいます、いくらなんでもすぐに開発ができるような状況では・・・!」

 

ダァン!!

 

紫の髪をした女性がテーブルに拳を叩きつける、その表情は暗く、何かとり憑かれているかのようだ

 

「資金ならばその辺の企業を脅してでも出させなさい!我々女権団に逆らうなど許されません!篠ノ之束(天災)織斑千冬(ブリュンヒルデ)の威光は・・・ISは我ら女性と共にある!あの方の弟といえど(織斑一夏)などが乗っていいものではないのだ!それとカーンズとツバロフを拷問にかけていい、もっと・・・もっと強力なモビルドールを開発させなさい!」

 

ヒステリックに叫ぶその声に他の女性たちは一瞬ビクッ!と背を伸ばして緊張する。

この部屋の中にいる数人の女性、何日も缶詰となって仕事をしていたのであろう、全員がくたびれたスーツ姿で目元には大きな隈、髪はボサボサで化粧はまったくのっていない。それであるにも関わらずその声を発した女性だけはどこか怜悧な美貌を感じさせる美人である、だがその発言はあまりにも傲慢で横暴だ。

 

「聞こえなかったのか!?次の機体を早く完成させろといっている!」

 

「は、はい!わかりました!」

 

きつく言いつけられ、慌ただしく部屋から逃げるように駆け出ていく女性スタッフ達。部屋に一人残された紫の髪の女性、【エーデル・ベルナル】は鬼のような形相でモニターに映る男性操縦者(織斑一夏)を睨む

 

「織斑一夏、男などに・・・!《あの時》私を散々辱めたあの男と同じ人種に・・・!この世界は、この世界こそは今度こそ私が導くのだ!!」

 


 

 ほぼ同時刻 ロシア シベリアの人里離れた森の中の軍事施設

 

びちゃ・・・ズル・・ズル・・・びしゃっ・・・ズル・・ズル・・・

 

なにか水気を多分に含んだものがゆっくりと移動するような音が廊下に響く、暗く人気のない空間を移動するソレは、フラフラと、そして重く、ただのそのそと移動を続ける

 

 

「くひっ・・・!ひひひっ!・・・テュッティ・・・、ああ、テュッティ・・・!ひひひひ!」

 

狂ったような笑い声とつぶやき声、廊下を移動している水気を多分に含んだものは殺人鬼《ルビッカ・ハッキネン》その人だった。廊下は暗くその姿ははっきりとは見えないのだが、どこか化け物じみた、大型の獣のようなシルエットにも見える・・・

彼は軍事施設の長い廊下をゆっくり、ゆっくりと進んでいく。その先には開け放たれたドアがあり、中から光がぼんやりと漏れている。ルビッカはその部屋に躊躇なく侵入していく・・・

 

部屋の中は数多くの大型の機械とそれに繋がれたケーブル、そしてその先には巨大なシリンダーが鎮座している。何かを研究していた施設なのだろうか、シリンダーは割れて中身は無く、割れたガラス片はそこら中に散らばっている。そして最も異様なのは・・・

 

壁や床をどす黒く染める(おびただ)しい血痕、ある程度の時間が経過しているのかすでにその血は乾き、染み込み、変色している。

 

「ひょひょひょ、随分手ひどくやられたようじゃな?」

 

老人の声が聞こえた、人を馬鹿にするような、それでいてどこか他人事のような無関心さを感じさせる声音だ。

 

「ククク・・・、ああ、あなたでしたか・・・ゼツ」

 

ルビッカもまた、何か無関心な返事を返す。お互いがお互いを認識していながらも、まったく意識していない異様な雰囲気。じゅる、じゅると、何かを啜るような気味の悪い音だけが部屋に響き渡る。

 

「ゼツ、ダイオンではダメだ。もっと、もっと強力な魔装機が要る・・・、もっと、もっと生贄が・・・!ひひひひっ!」

 

ルビッカの目は血走り、狂気を宿している。その言葉を受けたゼツもまた、同じように目が血走り、正気を失った狂気の目を爛々とギラつかせている。

 

「キキキ・・・、ならば探そうか・・・。もっと多くの生贄を、ヴォルクルス神に捧げねばならん・・・ひょひょひょひょ」

 

「この地で手に入れたあの細胞(・・・・)も随分と役に立ちますねェ・・・ククク。ちょっと数が少なかったからかダイオンどまりの進化でしたが、もっともっと喰らえばさらなる進化が・・・!ひひひ!」

 

ルビッカはゼツと呼ばれた者に手を伸ばす、しかしその手は人間のソレではなく、巨大な生物のように蠢いている。ゼツと呼ばれた者も同じく、肉塊のような姿をしており声がどこから発せられているのかも定かではない。

伸ばされた手が肉塊に触れたとたん、お互いに耳を劈くような絶叫を上げて同化する。しばらくしてその場に残されたのは、両目が赤く光る一面四臂の半人半蛇の機動兵器の姿だけだった。

 


 

 中国 山東省 泰山

 

「へぇ・・・?あれが《DEMコーポレーション》のISか・・・おもしろいじゃないか、気に入った♪」

 

優雅に長い脚を組み、大胆にも深いスリットの入ったドレスから惜しげもなく脚線美を見せて座っている女性。髪の色は銀色、一部燃えるようなオレンジのメッシュが入った不思議な髪をポニーテールに纏め、切れ長の瞳で男装の麗人を思わせるような中性的な美形。すらりと背が高く、スレンダーな体系だ。

その女性はただ岩の上に座っている、なにかを見ていたであろうその言葉とは裏腹にどこにもモニターなどは見当たらない切り立った山頂だ。

 

「鈴音は上手く近づいてくれたか、ふふふ、本当に素直ないい子だ。わざわざ人柄だけで候補生に捻じ込んだ甲斐があったというものだね」

 

中国国家代表【夏喃 潤(かなん じゅん)】、彼女の名前だ。

 

中国はモンド・グロッソに出場していない、彼女の専用機の開発が出来ていないからだ。故に夏喃は凰鈴音を使ってDEMコーポレーションにつなぎを付け、自身の専用機を開発させようとしていた。

 

「仕込みは上々、後は甲龍を・・・、それにしても・・・」

 

思案に耽ているキリっとした表情が一転してにやける

 

「篠ノ之箒か、ふふふふ・・・、彼女は素晴らしい逸材だ。実に、実に素晴らしい!年齢相応なあどけなさを残しつつも凛とした気を持ち、そしてあの・・・15歳とは思えないたわわな胸!実に素晴らしい!////」

 

どんどん夏喃のテンションは上がっていく、切り立った山頂の岩肌で独り言による煩悩の垂れ流し、実に変態ちっくだ。彼女は両手をわきわきとさせ、口元はよだれが垂れそうになっている。普段の彼女を知る者からすれば信じられないような体たらくだ。

 

「くふふっ!そうか、そういうことか・・・!あのとき私がクスハと結ばれなかったのは篠ノ之箒という運命と出会うためだったのか!そうか、それならば仕方がないな!」

 

妄想は暴走し、すでに制御不能に陥っているようだ・・・。だがこんな場所に彼女をどうにかできる人間などいるわけがない、そのまま2時間たっぷりと妄想の中で箒は人に言えないあんなことやこんなことをされるのであった。

 


 

「あら?マリリン、どこにいっていたの?」

 

廊下でばったりと出会った女性、スコール・ミューゼルが声を掛けてくる。ここは秘密の施設、それがどこにあるのか、どこの国や企業のものなのか、それを知るものはごく少数の限られた者達だけ。

マリリン・キャットはISを解除してふらふらと心ここにあらずといった調子でとぼとぼと歩く、普段はどこか掴みどころのない、天真爛漫な、それでいて滲み出る腹黒さを隠そうともしない彼女にしては珍しい光景だ。不審に思ったスコールはマリリンに手を伸ばす。

 

バシッ!

 

すると親の仇のような表情でその手を払いのけられたスコール、宙に浮いたままの手は行き場を無くし、スコールは驚きの表情でマリリンを見る。ほんの1年ほどの付き合いしかないが、マリリンは決してスキンシップが嫌いなタイプではない。本音は誰にも明かすことなどないが常に飄々として誰かにちょっかいをかけているような女性だ。そのマリリンが方々で傷つけられた人間不信の野良犬のような敵意むき出しの目で睨んでくるなどスコールは想像もできなかった。

 

「あの、マリリン・・・?どうかしたのかしら?」

 

「・・・お前には関係ない!消えろ!」

 

空気が凍り付くような殺気を放ち距離を取るマリリン、スコールは身の危険を感じてすぐさま後ろに下がって両手を上げる。

 

「ここで争いごとはノーだわ、一体どうしたのアナタ?普段そんなことするような人じゃないわよね?」

 

居た堪れなくなったのか、マリリンは深く息を吐き踵を返す。後ろ手にヒラヒラと手を振りスコールに告げる。

 

「・・・ごめんね、ちょっと虫の居所が悪くてネ。ついあんな態度取っちゃった♪今度ランチ奢るから許してちょうだい」

 

一方的にそう言い残して去っていくマリリン、一人その場に取り残されたスコールはため息をつき肩をすくめる、その表情には未だ不信感が残っている。

 

「ほんの数時間の間に何があったのかしら・・・?彼女の管轄は組織内でもトップシークレット、おいそれと探れるようなものじゃないのよね・・・秘密が多すぎるわ」

 

スコールは呟く、彼女が所属する組織【亡国機業(ファントム・タスク)】の中でもごく最近結成された部署に所属するマリリン、謎が多く、その全容は亡国機業の幹部であるスコールにすら知らされていないという徹底ぶりだ。それ故にスコールは不安が募る、何か重大な事が組織の中で起こっているのではないのか?と。

 

「思い過ごしならいいんだけど・・・、どうにも胸騒ぎがするのよね」

 

果たして彼女の胸騒ぎは本物か、それとも・・・

 

 

 




女性権利団体:ISおなじみの女権団、世間の理屈など通用しない狂気じみた集団。

汚部屋:ここもデスマーチの跡

カーンズ:新機動戦記ガンダムWに登場、モブであり、レジスタンス組織【ホワイトファング】の創始者。モビルドールの大軍を率いて地球に攻勢をかける。

ツバロフ:新機動戦記ガンダムWに登場、モブであり、モビルドール理論の提唱者、特に覚える必要はない。

エーデル・ベルナル:スパロボZシリーズの天災科学者【ジ・エーデル・ベルナル】が造り出した人造人間、容姿・人格・趣味・過去・政治思想まで、彼女のパーソナリティと呼べるものは全てが彼に設定されたもの。絶対服従のキー「バインド・スペル」で彼女は「アイラビュ~…!」という言葉の後に続く「命令、依頼、勧め、お願い」に絶対に逆らうことができない。3回まわってワン!という命令を含め、彼女はバンプレストオリジナルキャラの中でも屈指の屈辱的な最期を遂げた。

ゼツ:魔装機神シリーズに登場するバゴニア連邦共和国の練金学士、ゼツ・ラアス・ブラギオ。最低最悪の人格となんら躊躇なく非人道的な行為に手を染める極悪人。自身を追放したラングランに対して凄まじいまでの復讐心をもち、行動全ての原動力になるほど。精神崩壊を起こしながらもラングランに対する恨みだけは忘れることはなかった。

あの細胞:スパロボに出てくる細胞なんてアルティメットなアレしかなかろうもん・・・

一面四臂の半人半蛇の機動兵器:ラミアのような外見の水の魔装機【トゥルーク】

夏喃 潤:スパロボOGシリーズに登場、バラルの仙人で、南仙。北仙の泰北三太遊とは対を成す。雀王機と雀武王のメインパイロット。男装の麗人で冷静沈着に見えるが激情家、とにかく巨乳の女性が大好きで色慾も常人以上という困った人。

もっぴぃ:変態仙人にあなたの貞操が狙われてますよ!

クスハ:スパロボOGに登場、本名は【クスハ・ミズハ】バンプレストオリジナルキャラ。青髪の念動力者ですばらしい巨乳の持ち主、カットインで唯一全裸にされる。【クスハ汁】との異名を持つ健康ドリンク(仮)の生産者で数々の仲間を恐怖のどん底に陥れた。

亡国機業:インフィニット・ストラトス世界の悪の組織、二次創作では作者さんの好みで黒かったり白かったり様々な立場を取らされる。

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