タイトル「瞳の中の明日」はスパロボZシリーズに登場する主人公機ジェニオンの戦闘BGMです。
今回は独自解釈を多分に含みます、おかげで超難産でした。
雪華がカプセル状のベッドに横たわり、ヘッドギアのような器具を装着して蓋が閉まる。それを全員で見届けた後、レイナと本音の二人はシミュレーターにデータを入力してゆく。それを見つめる千冬は先ほどの自身の惨敗を思い浮かべながら疑問を口にする。
「由良川はあの機体に勝てるというのか・・・?未だに半信半疑なのだが、束以外であれほど強力な戦闘兵器を建造することなど可能なのか?」
「ベリアルは僕が一から設計して自前の設備で建造したASですが、そうですね・・・。助手的な人員は数十名いましたが、僕の生まれ育った世界と誤差程度の差異しかない世界ですし、ウィスパードの知識を持つ技術者がいれば再現可能かと。それより問題は動かせるパイロットなんですけどね」
「あのΛDとかいう特殊兵装のことか?正直言って第三世代ISと何が違うのか分からないのだが・・・、イメージを形にするというのは同じなのだろう?」
レイナは一度手を止めて千冬に振り返る。
「ISにおけるイメージ・インターフェースというのは、イメージを形にして具現化するものではなく、プログラミングされたシステムを起動するためのプロセスとして搭乗者がイメージすることを要求する。いわばISコアに存在すると言われている自我の、一つの可能性としての働きを搭乗者の想像力というもので補おうというものです。言い方は悪いでしょうが、無駄に複雑な手順を踏んで搭乗者の負担を増しているだけの欠陥システムですね・・・。だから雪華は《シュンパティア》というAIプログラムをISコアに移植し、イメージ・インターフェース全般をそれに運用させることで、搭乗者の負担を無くして第三世代兵装を操作するという手法を取りましたね。逆にΛDというのはTAROSという装置を用いた、人間が誰でも持っている微弱な力場干渉能力の増幅装置で、生身の人間を模した機械的な疑似頭脳や疑似神経系を用意し、そこに人間の比でない莫大な電力を加える事で目視できる規模の強大な干渉反応を起こす、本来の名称である「オムニ・スフィア高速連鎖干渉炉」というものの力の一端でしかないものなんです。この物理的な世界に対して、オムニ・スフィアと呼ばれる一種の精神世界を経由して干渉する事象制御・・・・、ええと、もっと簡単に説明するとですが・・・」
レイナが説明を開始したが、すでに束を除く面々は思考を放棄して頭を抱え込んでいるのを見て言葉を切り、簡単な説明に切り替えようとする。束やレイナといった天才と呼ばれる部類の人種が当たり前のように持つ感覚では、一般人カテゴリに居る人間には理解不能な単語が並んでいるだけにしか聞こえないのだった・・・。
「・・・簡単にかいつまんで特徴だけ、言いましょうか。『頭の中で想像した出来事を現実で引き起こせる装置』と思っていただければ・・・。例えば空を飛んだり、落ちてくる隕石を受け止めたり、手からビームを放ったり・・そういったものを現実に引っ張ってこれる装置ということですね」
「ああ、それなら分かりやすいですね!漫画やアニメに出てくるようなやつですねぇ、それじゃ強いはずです」
意外とサブカルに理解のある真耶の相槌を含め、今度は束を除く面々がなるほど、と手を叩いて納得する。レイナは少し頭痛がしたようにこめかみを押さえる。
かいつまんで分かりやすく説明しただけなので誤解されがちだが、実際のところベリアルは
他のΛD搭載機とベリアルではそのコンセプトは全く異なる、通常のΛD搭載機は基本誰にでも操作できる機体であるのに対し、ベリアルはウィスパード専用機だからだ。
ベリアルはΛDを常時展開していることが前提で設計されているので、オムニ・スフィアに直接干渉できるウィスパードが操縦者でなければ十全に性能を発揮できない、だがその状態でもASが生み出された世界ではミスリル以外に配備することに漕ぎつけられなかったオーバーテクノロジー、第三世代ASであるガーンズバックを遥かに凌駕する化け物性能ではあるのだが。
「まぁ、それより問題は別にあるんですけどね。機体性能の差は僕たちの技術力と雪華の能力で十二分に埋められる、だけどパイロットの差は・・・」
先ほど世界最強のIS操縦者とその両腕ともいえる実力者が、3人がかりでベリアル1機にあしらわれたのは単なる機体性能の差ではない。即席の小隊で戦ったゆえの連携不足も理由の一つにあげられるが、一番大きなのは『敵をパイロットごと躊躇なく殲滅する覚悟』の欠如だ。
だがこれを指摘するのはレイナには躊躇われた、この世界は表面上は未だ平和だと言える、実際に戦場に立った者や命のやり取りを経験した者など皆無だと言ってもいい。
ましてISが世に出て10年程度だ、操縦者は今まで戦場での主力ではなかった女性のみとなり、既存の兵器では歯が立たないという認識が世間の常識としてすり替えられているが故に、まともな軍事衝突も起きてはいない。
そんな世界で瞬く間に軍事の主力に押し上げられたIS操縦者
「・・・テレサと同じ運動神経なのが悔やまれるなぁ、これじゃあAS操縦なんて夢のまた夢だよ。罪に対する罰だと思って甘んじて受け入れるしかないのかな」
妹であるテレサ・テスタロッサと同等の運動神経、それは通常の感覚ではまず理解しがたいほど、もはやゼロどころかマイマスに振り切ったと言えるレベル。
実際にテレサはASを操縦したときにたったの一歩、足を踏み出しただけで大惨事を引き起こしたほどなのだ・・・。
「レイレイはじゅ~ぶん皆の力になれてるよ~。私も手伝うから、一緒にがんばろーね~♪」
優しい微笑みを浮かべながらレイナの頭を撫でる本音、女尊男卑の風潮に強い影響を受ける学園において、彼女の癒しのオーラは貴重である。
「・・・せっちゃん、注文いいかな?」
それまで何かを思案していた束が雪華に通信を送る。少し思いつめたような、決意を感じる瞳だ。
『どうしました、束さん?』
「悪いんだけど、2回戦ってくれないかな?1回目はそのまま第三世代ISとして、2回目は・・・---」
シミュレーター内フィールド 月面
side 雪華
「---・・・わかりました、じゃあそのセッティングでやりますね」
外部との通信を切り、改めて前方を見る。
「1戦目は《第三世代ISとして》絶望の壁を見せて、ですか・・・。さて、
眼前の月面に若干浮いた状態で待機しているプラン1055 ベリアル、パイロットは天才と名高いレナード・テスタロッサ。レーバテインを以てしても
『さて雪華、準備はいいかい?』
「はい、準備OKです、いつでもどうぞ~」
シミュレーター開始の合図が送られる、距離はおよそ2000mあるがこの程度ならほぼゼロ距離といっても過言じゃない。
ベリアルはゆっくりと浮上し二つのカメラアイが妖しく光る。現実のものとなんら遜色がない、暗い灰銀色の機体から発せられる尋常ではないプレッシャー。
この《アカシックレコード接続型シミュレーター》は、シュロウガでアクセスしたアカシックレコードのデータをプロディキウム内に反映させて造り出したもので、仮想空間でありながら一つの現実として存在する空間だから。ただのデータだけではありえない空気や気配などを感じ取ることができるんです。
「さて、行きましょうかジェニオン!」
グレイヴを引き抜きベリアルに向かって猛然と距離を詰める、対するベリアルは左腕に内蔵された40mm機関砲を放ちながら左右に、まるで消えたかのような速度でジグザグに移動する。
「距離・・・400!今!」
機関砲を回避しながら胸部ブレストアーマーの肩口部分から《ニトロパイク》を撃つ。ベリアルと比べれば手数で圧倒的に劣るけど、弾速はまったく引けを取らないはず・・!
数発ベリアルに被弾するタイミングだったのに、見えない力場によってパイクが急激に減速し、その隙に悠々と回避されてしまう。
「・・・!!やっぱりパイクじゃ貫けない、もっと別の手段を・・・」
ハイパーセンサーで追えるかどうか、ギリギリのラインで高速移動を繰り返しながら射撃を繰り出すベリアル。それに対してパニッシャーを呼び出しベリアルの機動を予測しつつエネルギー弾を進路に
ベリアルは嫌がるようにパニッシャーを回避しつつ方向転換、《アイザイアン・ボーン・ボウ》でΛDを攻撃に転換、凄まじい速度の見えない矢を繰り出して牽制してくる。
だけどこれは
「ベリアルのΛDなら、パニッシャーの威力くらい相殺可能なはず・・・。これは誘いですね・・・、でも、それなら!」
そこにしか勝機が無い以上、敢えてその誘いに乗ってみるまでです!
IS学園整備室 プロディキウムシミュレーター室
モニターに映る戦闘映像は苛烈を極めていた。
ジェニオンの射撃兵器は悉く無効化されるか回避され、有効打とならない。
近接戦闘にて活路を見出そうとするジェニオンに対して、ベリアルからの攻撃は超がつくほどの高速かつ高威力、掻い潜ってギリギリ接近ができる距離まで詰めたかと思えば、今度は見えない打撃のようなものに吹き飛ばされてしまう。
ジェニオン自身にも何か防壁が存在するのか、何かがぶつかる瞬間だけぐにゃりと周囲の空間が歪んで、辛うじて直撃を防いでいるように見える。かなり軽減出来ているようだが完全ではなく、ダメージそのものは蓄積されているように見えるが、それでも諦めずに近接戦闘に持ち込もうとするが次第に雪華は劣勢に追い込まれていく。
「むぅ・・・、由良川が積極的に仕掛けているが、だがこれは・・・」
「ええ、近接はまず間違いなく罠でしょうね。あれほどの防御力を持つ機体がパニッシャーによる攻撃は徹底的に回避してみせる、普通ならそれが防ぎきれる限界と見ていいとは思いますが・・・」
千冬と真耶はベリアルの動きから違和感を感知している。アリーシャの超高速の斬撃を悉く跳ね返したベリアルのΛDならば、パニッシャーやグレイヴの攻撃を受けてもびくともしないのではないか?との疑念が湧いてきているのだ。
「でも、さっきの一戦は見てたんでショ?それならあのバリアみたいなノ、どれくらいの耐久力があるか分かってるんじゃないのサ?それを踏まえて近接に活路を見出すなラ、可能性は捨てきれないってことじゃないノサ?」
しかしアリーシャはそんな二人ほどは深刻には考えておらず、罠と知っててもそこに可能性があるなら敢えて乗ってみるのではないか、との考えを示す。
実際のところはΛDというのは万能の防壁ではない。搭乗者のイメージを形とし、盾や壁といったものを自身の周囲に展開することにより敵の攻撃を防ぐ。
だがこの文字通りの《防ぐ》というイメージそのものがΛDの防御性能であり、想像力そのものが防御力となる故にそれが弱点にもなり得る。
ベリアルのΛDは出力が殊の外大きいため防ぐイメージの増幅も桁外れなのだが、一般的なΛD搭載機の場合だと、かつて宗介が対コダール戦にてΛD同士のぶつかり合いで相手の防壁を簡単に貫通して見せたように、イメージする力が強ければ強いほどその出力が増して威力や防御力も比例して上昇する。
つまり完璧なイメージが出来なければ防壁が発生しない、あるいは防壁自身の耐久力が不足するという弱点だ。
「(今の僕なら考えられないけど、あの頃の【
「うぅ・・、せっちゃん・・・がんばって~・・・」
レイナは冷静に戦況を分析していく、隣に座る本音はハラハラとした様子で祈るように手を組んでいる。今にも泣きそうなくらいの悲壮感を感じる。
「きっと勝てるよ、雪華は強い。【俺】なんかに負けはしないさ」
side 箒
(想像していた以上にレベルが高い・・・、だがあの灰銀色の機体、ベリアルといったか?あれに押されている印象は受ける。千冬さんたち3人がかりで圧倒されたような敵相手に、どれほど優れた操縦者であっても太刀打ちできるものなのか?)
モニター内では相変わらず一進一退の攻防が続いている。障害物の無い月面では身を隠すような場所も建造物も無く、ただひたすらに撃ち合いをするしか戦い方はない。
先ほど説明を受けた、異世界の技術で作られた機体だとの事だが正直言って眉唾物だと思う。馬鹿げているとしか言いようがない!
由良川やテスタロッサがこの世界とは違う場所からやってきたなど、そう簡単に信じることなど出来はしない。
「姉さん、見せたいものというのはコレのことなんですか?確かに凄まじい性能の機体だとは思いますが・・・、姉さんならばそれを超える物を作る事など容易いのでは?それに、先ほどテスタロッサが言っていた第三世代ISが欠陥品だなどと・・・」
姉さんは紛れもない天才だ。ISという世紀の大発明を世界に発表した時に、その凄さを誰にも理解されなかった事がそれを証明している。姉さんの頭脳はこの世界中どこを見渡しても比肩しうる者など居ないほどなのだと。
例え異世界の件が真実だとしても、姉さん以上の天才など想像することもできん。
「うーん・・・。箒ちゃんはさ、いっくんのIS《白式》をどう思う?」
「え・・・?いきなりなんですか?まぁ、白式は打鉄と比べると装甲面で劣るようですが、最高速度や加速、それに雪片弐型での攻撃力などは各段に上でしょうね」
「まあ、攻撃面でいえばそうだね。雪片弐型ってさ、束さんが作った試作の
今、姉さんは何と言った・・・?雪片弐型が第四世代?そ、そんなことが日本政府にバレたら大事なのではないのか?
「ブルーティアーズのビットは本来なら複雑な並列思考が要求されるものでね、アレを操作してる間はほぼ操縦者自身が身動き取れなくなるほどの重労働なんだよね。甲龍の衝撃砲は見えない、ってだけで砲身自体は存在するわけだから、威力を上げようと思ったら大きな砲身が展開できるだけの広いスペースが要求されるし、肩にあるアンロックユニットが基点になってるわけだから射角に制限がなくても何処から撃ってくるか一目瞭然なんだよね。ドイツが開発してたAICも滅茶苦茶集中力が要るし、射程距離も範囲も狭くて1対1でしか使い物にならないレベルで・・」
グギャアッ・・・!!!
「ひっ!?」
姉さんが各国の第三世代ISの機密の塊とも言える実験兵装の弱点をペラペラと口走っている最中、何か重量のある金属がひしゃげるような音、それと山田先生の悲鳴が耳に入った。
振り向くとそこには、引き攣った青い顔でモニターを見るジョセスターフ先生、同じような千冬さん。
そして険しい顔でこぶしを握るテスタロッサと両手で顔を覆ってモニターから目を逸らす布仏。
そしてそのモニターの中では由良川のIS、ジェニオンの右腕が肩から引きちぎれ吹き飛ばされている姿が映っていた。
「ぐっ・・・・ああアアアァァァァア!!!」
もんどりうって無重力空間であるはずの月面を、岩石を砕きながら水上スキーのように滑っていくジェニオン。
D・フォルトによる空間歪曲フィールドを突破され、「アイザイアン・ボーン・ボウ」によって右腕ごと装甲が吹き飛ばされる。とてつもない衝撃に巻き込まれたのだろう、雪華はふらついた状態で意識が朦朧としている。
「T・・S・・・、DEMON・・・フルドライヴ・・・。《グリーフバニッシャー》・・・アクション」
宙に無防備に浮きあがったまま小さな呟きが漏れるが、シミュレーター室の面々はそれを聞き取ることが出来ないでいた。
そしてベリアルが猛スピードで迫る最中、雪華は薄い笑みを浮かべていた。
「・・・これで、・・私・・の、勝ち・・・で、す」
side 千冬
「由良川!?・・・ッ、シミュレーターだと分かっているが心臓に悪すぎるぞ!」
モニターの中でグラつく機体を辛うじて制御はしているものの、未だ意識が朦朧とした様子の雪華を見て心臓が締め付けられる思いだった。
すでにジェニオンには防壁であるD・フォルトを展開する余力は無く、片腕を失い尚且つ武装もすでに手元には無い・・・。
「・・・クロスボウを下げた?手刀で貫くつもりか!?」
ベリアルは勝利を確信したのか、最大の武器ではなく直接斬り刻むために手刀を選択しジェニオンに迫る。
そして迫りくるベリアルを前にしてもジェニオンは回避行動に移る様子はない、まだ意識が戻らないのか!?
「由良川さん!逃げてェーー!!!」
悲壮な表情の真耶の叫びがシミュレーター室に響く、すでに布仏は両手で顔を覆ってモニターを見てはいない。
まるでスローモーションのように映像がゆっくりと流れているような感覚に陥った、だがそのとき、ふと雪華が笑っているように感じた。
ベリアルが振りかぶり、右手刀が眼前のジェニオンを貫く。
だがそれはギリギリの所でジェニオンの装甲を抉る形で回避される。しかし紙一重の回避は再び胸部ブレストアーマーを破壊し、少なからず雪華の生身部分にもダメージを与える。
ISスーツが切り裂かれて雪華の薄い胸やしなやかな裸体が晒されるが、すぐにそれは血で染まり凄惨な光景に早変わりする。
『・・・ブーストアップ』
ぼそりと雪華が呟いた声を拾う。
その瞬間足元の瓦礫の山から2本のグレイヴが飛び出て来てベリアルの背中、腰の裏部分に深く突き刺さった。
ガクン、と無重力空間であるにもかかわらず、浮力を失ったかのように制動に乱れが起きてベリアルはジェニオンから離れようとする。
満身創痍の雪華はその一瞬の隙を見逃さず、大破したISとは思えない速度でベリアルの背後に回り込み左手でグレイヴを掴む。そして大きく斬り裂くように引き抜き、突き刺さったままのもう一本の柄尻部分と連結させ双刃の薙刀へと変形させる。
青く光るオーラを纏ったような雪華は、ハイパーセンサーの補助があってもまったく反応できないほどの速度でベリアルを次々と斬り刻み、竜巻のように巻き上げて上昇していく。
『これで・・・フィニッシュです!!』
右腕を失い、胸部は血に塗れボロボロの状態の雪華が最後の力を振り搾りベリアルを上段から斬り落とす。
袈裟斬りに切断されたベリアルは大爆発を起こし、しばらくしてフィールドにはジェニオンだけが残った。
だが雪華もすでに意識を失いジェニオンは無重力空間を漂うように流れていく・・・。
凄惨な戦いは幕を閉じ、私は心の中で一つの覚悟を決める。シミュレーターが一度終了し、モニターがリザルト画面に切り替わり、室内にはどっと溜息が漏れて空気が若干緩む。
「はぁ~・・・、なんとか勝ったけど相打ちか」
「捨て身でやってもギリギリ勝ち切れないか、さすがにこれは・・・今後の考えを改めないといけないね」
束は安堵の声をあげるが悔しそうな表情だな・・・。
だがそれは私も同じだった、雪華は太極でありこの宇宙の全てだと前に言っていた。だがそれほどの存在でもISという枠組みの中では、このクラスの相手には苦戦は免れないという前例が出来たのだ・・・。
これから先、学園に現れるかもしれない別世界の戦闘兵器を相手にするにはまだまだ足りない。今のままのISでは例えオルコットや更識ですら無残に敗北することになると示唆しているのだ。
ブリュンヒルデの称号などなんの役にも立たない、絶対的な強さを目の当たりにした以上は何か手を打たねばならん・・・。
「ちーちゃん、これがこの世界に訪れる絶望の壁の一部だよ、・・・覚悟は決まった?」
いつの間にか束が私の隣にやってきてそう言った。1億2千万年に一度やってくるという【大崩壊】、セツコさんが言っていた世界の終わり。
「もう、すぐそこまで来ているんだ。束さんは必ず乗り越えて見せるよ、今度こそ必ず・・・!」
「束・・・。ああ、お前がそこまで言うなら親友としては協力せざるを得ないな。フフ、いつ以来だ?こうやって悪巧みをするのは」
「えへへ♪ちーちゃんがいてくれるなら怖いものなんてないね!・・・さあ、せっちゃんに注文した2つ目、今度は【希望】を示してもらう番だよ」
瞳の中の明日:スパロボ地獄~天獄編、ジェニオンの戦闘BGM。スパロボの曲はいいのばかりありますね~。
ラムダ・ドライバ:操縦者のイメージを具現化させる装置であり、多大な集中力を要するため出力にムラがあり、イメージが足りないと何も起きないなどの弊害もある。
ガーンズバック:フルメタ世界ではどの国も配備されていない最新型、第三世代AS、M9ガーンズバック。白いスマートな機体でミスリルの主力。後に加入するベルファンガン・クルーゾー専用機である「ファルケ」は黒いカラーになる。
IS世界における女性操縦者:何をトチ狂ったのか、いきなり軍の主力に女性を据えるとか頭オカシイ。
のほほんさん:IS二次創作においてのほほんさんは癒しである。
宗にぃ:雪華は沢山の兄や姉、父や母がいる。
ニトロパイク:ジェニオンの肩部分に搭載された炸裂弾を発射する武装。連射能力は低い。
コダール:プラン1056 コダール。ソ連製第三世代AS「Zy-98 シャドウ」がベース機とも言われているが詳細は不明らしい。フルメタではガウルンという凄腕パイロットのおかげで猛威を振るう。
あの頃のレナード:かなめに額を銃で撃たれたことによって、凶暴で残忍な性格になっている。
モッピーの常識:この世界では貴重な常識枠に君臨している。
各国第三世代ISの欠点:いろいろとツッコミがありそうだけど、作者的な解釈によると厄介なシロモノでしかない気がします。
腕が千切れる:いきなりリョナってしまってすまん。
グリーフバニッシャー:スパロボにおけるジェニオンの追加武装。サブパイロットであるスズネを欠いた状態で編み出されたコンバットアクション。意味は「悲しみを消し去るもの」。
雪華のちっぱい:鈴ちゃん並。
ベリアルの背中に刺さるグレイヴ:ΛDを常時展開できるといっても、意識しなければ防げない。そしてTAROSが破壊されたためΛDの展開が出来なくなっている。