学園ではジークの登場に彼の音楽のファンや彼の容姿を気に入った女子たちの間で早々にファンクラブが設立されていた、対してそれを見た一部の男子は敵が現れたと敵意をむき出しにしていた、だがとうのジークはそんな事を気にせず頭の中は作曲の事でいっぱいだった。
そして授業が終わりその日の放課後、一子に一通りの修行をつけた兼一は九鬼から呼び出しを受け九鬼家本部の会議室を訪れていた、そこには新島やジークそして一人の老婆が兼一を待っていた。
「来たね隼人の弟子、とりあえず座りな」
「は、はい」
兼一は言われるがまま椅子に座った、老婆は兼一をジッと見るとため息を吐き自分も兼一たちの反対側の席に腰を落とした。
「あの~何か?」
「確かにアンタは隼人の弟子だね、昔のアイツとどこか似てるよ」
「長老にも言われました、でも僕は似ても似つかないと思いますけど、ところで貴女は?」
「そうだったアンタとは初対面だったね、アタシは九鬼家従者部隊序列二位のマープルさ」
「その名前は聞いたことがあります、確か昔長老と一緒に戦ってたっていう」
「昔の話さね、さて本題に移ろうここに呼んだのは清楚の事さ」
「清楚ちゃんが何か?」
「この頃川神の闘気にあてられてか封印が弱まってきてるみたいなのさ」
「封印?」
「あんた達あの子が誰のクローンかは分かってるね?」
三人は一度顔を見合わせるとコクりと頷いて答えた。
「今の清楚はまだあの英雄の器にするには不安があるからね」
「まあ、あの英雄なら慎重になるのも分かります」
「ほう、前来たときは清楚が誰のクローンか分からなかったと聞いてたが?」
「ええ、でも岬越寺師匠が彼女に初めて会った時に言ってましたから、彼女を一人にしてはいけないと、当時は言葉の意味が分からなかったんですけど自分で調べて思い至りました」
「そうかい、哲学する柔術家がそんな事を」
「まあ名前がまんまだからな」
「まあね、ただ本人は自分は文化タイプのクローンだと思ってる」
「でも何時までも秘密には出来ねぇだろ」
「アタシも何時までもこのままにする気はないよ、あの子が精神的にも肉体的にも成長したら封印を解くつもりだったんだ、アタシはそれを二十五歳と見てたんだが」
「川神には武神を始め色々な武術家たちがひしめき合ってる、それに兼一やジーク更には他の達人たちまで出てきたら流石に封印なんかぶっ飛んじまうだろうな、それに闇の連中もあの英雄の力は喉から手が出るほど欲しいだろうからな」
「ああ、本当は新しく来た九弦院、アンタに3年のS組に入って清楚の事を見ていてほしかったのさ、しかしもうクラスは決まっちまったからね、どうしたもんか」
マープルの言葉にジークは鼻歌を歌いながらまるで我関せずといっているようだった、マープルが頭を抱えているのを見て新島はそんな彼女をけらけらと笑った。
「婆さん安心しな俺様に策がある」
「目上のアタシに対して婆さんかい、口の聞き方のなってない宇宙人だね、まあ聞こうじゃないか?」
「簡単さ、今俺達の仲間が二人この川神に向かってる、そいつらの一人をあの子のクラスに入れるんだ」
「一人?来るのは二人なんだろう、なぜ一人なんだい」
「一人はSの勉強についていけるがもう一人はそうはいかなくてね、今日の俺様がS組の授業を受けてそう思った」
「そいつは腕は確かなんだろうね?」
「それは心配しなくていい、うちの連合の主力だからな」
「新島、誰を呼んだんだ?」
「ヒミツだ」
「ん、電話だちょっとすいません、はいもしもし?あっ武田さん!お久し振りです、お元気ですか?、川神に居るんですか!?、もしかして新島に呼ばれて?、困った事って何ですか?、ええ!?、すぐ向かいます、場所は?、親不孝通りですね?、分かりました!」
「武田が何だって?」
「川神に来ててちょっとトラブルが起きたらしい」
「そうか、なら俺達も行くかジーク?」
「武田さんと会うのは久し振りですね行きましょう」
「マープルさん今回はこれで失礼しても?」
「ああ構わないよ、宇宙人、清楚の事は頼んだからね!」
「ああ、貸しにさせてもらうぜ」
「いいだろう、何かあったら頼りな」
マープルの返事を聞くと新島はニヤリと笑いながら会議室を兼一たちと一緒に出ていった、兼一が九鬼本部で話をする少し前、百代は鉄心に言われた基礎修行のロードワークに出掛けていた、そして親不孝通りを偶然通りかかると板垣亜巳と出会った。
「お前は確か板垣家の長女」
「武神かい、奇妙なところで会うね」
「アンタの妹、特に板垣辰子は凄い才能を持ってるな」
「うちの切り札だからね辰は」
「釈迦堂さんは元気か?」
「あの兼一っていう達人に負けてからは師匠にしては珍しく修行に励んでるよ」
「釈迦堂さんが負けた!?、やはりあの人は面白い!」
百代は次に兼一と戦うことを想像し不敵な笑みを浮かべていた、その百代の反応に亜巳がついていけないと首を振っていると、百代は亜巳の後ろに武器を振り降ろそうとしている男を見て咄嗟に叫んだ。
「危ない!?」
「!?」
百代の一言で亜巳は瞬時に男の攻撃を躱し百代の隣に立った。
「すまないね武神」
「いや構わない、それより、アンタどういつもりだ?」
「どういうつもりとは?」
「アンタ躊躇なくコイツを殺すつもりだったろ」
「闇だからな、依頼があれば殺しもする」
「闇だと?」
「闇も知らんのか?、武神と呼ばれてる割には随分温い世界を生きている」
「悪かったな」
「アンタが闇の達人かい」
「知ってるのかお前?」
「ああ、一度師匠から聞いたことがある、武の世界には大きく分けて人を生かす活人拳と殺法や殺人術を極め人を殺すことを突き詰めた殺人拳の二種類があるって」
「ほう、お前の師匠は少しは分かっているようだな、闇とは殺人拳を極めた者たちの集団の事だ、俺は闇の武器組が一人オルタル・シン」
「何だ、要するに人殺し集団ってことか、武術をそんな事にしか使えないなんて悲しい連中だな・・・!?」
百代がそう言うと首筋を何かが通りすぎた、すると百代の首筋にはうっすらと何かで切ったような跡ができ、少し血も流れていた。
「言葉に気を付けろよ小娘が」
(何か飛び道具を投げたのか!?、見えなかった)
(武神が気付けない攻撃があるなんてね)
「さて武神とそこの娘よどうする?」
「何がだ」
「二人とも素直に闇に降れば無傷で連れていく、しかし抵抗するなら殺さない程度にならいたぶることを許可されている」
「アタシも入ってるのかい?」
「私の攻撃をあの一瞬で避けた、連れて行くには十分だ、さあどうするか選べ」
「はぁ~、完璧面倒に巻き込まれたね、どうするんだい?、武神」
「聞くまでも無いだろう?」
百代の返事に亜巳はフッと笑った、そして二人はオルタル・シンと戦うことを決め杖と拳を構えた。
「アンタにはついていかない、もしアンタについて行って闇に入ってしまうと、私が尊敬してる人には会えない気がする」
「アタシも師匠に恥ずかしい真似は出来ないからね」
百代の頭の中には自分を負かしそして何時か再戦を誓った男の顔があった。
「バカな奴等だ、その選択、後悔させてやろう!!」
シンも自分の武器であるジャマダハルを握り構えた。
「おい、相手は私たちより実力が上の達人だ、二人の全力の技を同時に当てるぞ」
「仕方ないね、分かったよ」
二人はシンが行動を起こす前に先手を打った、百代も亜巳もシンに向かって突撃した。
「お手並み拝見といくか」
「その油断が命取りだ」
「「川神流」」
「禁じ手、富士砕き!!」
「大蛇!!」
百代は渾身の力でシンに殴りかかり、亜巳は上空に跳び自身の武器の杖で渾身の一撃をみまった。
「両方ともガキが放つにしては中々の威力の技だな、だが」
シンは百代の拳を武器の上で滑らせ上空の亜巳に百代の拳を当てた。
「ぐあ!?」
「しまっ!?」
「当たらなければどうという事はない」
亜巳は百代の富士砕きを受け倒れた、百代は亜巳に自分の攻撃が当たってしまったことで隙ができ、シンはそれを見逃さず百代に技を放った。
「暗黒武踏」
シンは百代の両足の筋を斬ると百代は足元から崩れ落ちうつ伏せに倒れた。
「さて武神どうする、たしか貴様は瞬間回復という回復技を持っているそうだが、やってみるか?」
シンは百代の頭を踏みにじりながら聞いた、亜巳も意識はあるが百代の富士砕きをもろに受け身動きが出来ずにいた。
(瞬間回復してもいいがここで回復してもこの体勢じゃ直ぐ様コイツは攻撃するだろう、気の消耗戦になったらこっちが不利だ)
「しないのか?、なら念のためもう少し痛め付けておくとするか・・・!?」
シンは武器を振り上げ百代を攻撃しようとしたその時、突如シンは殴り飛ばされ百代から強引に引き離された、だがシンは受け身をとり拳が飛んできた方を見ながら武器を構えた。
「誰だ!!」
「全く女性を痛め付けるなんて趣味が悪いじゃな~い」
「全くだ、だがこれ以上は私たちがさせん」
「き、貴様等は」
百代の前には兼一の親友で達人となったボクサー、武田一基と武田と共に達人になり若くして久賀館流の師範となった久賀館要の二人が立っていた。
ケンイチで二度出てきたシンを出してみました、そして新白もとうとう武田の登場です、他のキャラも順次登場させるのでお待ち下さい、それではまた十七話でお会いしましょう、感想、評価お待ちしています。