真剣で達人に恋しなさい   作:双龍

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こんにちわ双龍です、花粉症でめまいまで起き、この季節は大変です、それでは十七話をお楽しみ下さい。


17話

一基は百代たちをシンから庇うように立ち拳を構え、要は百代たちの手当てを始めた。

 

「要が言ったようにこれ以上はさせないよ」

 

要は二人を見て先に亜巳の方から治療を始めた。

 

「うっ!?」

「貴女たちは?」

「安心しろ、私たちが来たからにはアイツの好きにはさせん」

 

一基たちとシンの間には因縁があり、前の九遠の落日の時に一基とフレイヤを含めた新白のメンバーと馬師父の娘である馬蓮華、そして蓮華の仲間の劉玄孫、諸葛公安と協力してシンを倒していた。

 

「あの時私が言ったように貴様等は達人となったか」

「ああお陰さまでね、でどうする?」

「何がだ?」

「このまま僕やフレイヤと戦うかい?」

「・・・いや、止めておこう、ここで貴様等相手に手間取れば、梁山泊の弟子まで出て来て面倒だ、今回はあくまで様子見なのでな」

「ケンイチ君の到着を待つまでもないよ、今度は僕が一人であんたを倒すからね」

「言ってくれる・・・」

 

シンはそう言い残すと武田たちの前から走り去って行った、武田は完全に闘気が消えたのを確認すると百代たちに駆け寄った。

 

「大丈夫かい?お嬢さん」

「ええ何とか、ところで貴方たちは兼一さんのお知り合いですか?」

「そうだよ僕は武田一基、あっちの女性は久賀館要だ、兼一君が川神に来ているとある男から電話があってね」

「そうですか、でも貴方はどこかで見たことがあるような」

「そうか~い♪」

「あっ!?思い出した、確か最年少で日本ボクシング界のタイトルを総ナメにしてアメリカに渡ったプロボクサー、武田一基」

 

一基は鼻唄を歌いながら髪を櫛で整えていた、すると要が亜巳の応急措置が終え、次は百代の応急措置を始めようとした。

 

「こっちの紫色の髪の子の処置は終わった、次は君だ」

「私は大丈夫です」

 

百代は瞬間回復を発動し足の怪我を治癒して立ち上がった。

 

「便利な技だね~」

「確かに凄い技だしかし」

「しかし何ですか?」

「その技に頼りすぎると防御が疎かになる、どんな攻撃を受けようと一瞬で回復出来ると思ってな、防御の大切さを忘れないことだ」

「・・・分かりました肝に銘じておきます、それとさっきの人はいったい」

 

一基も要も闇のことを百代に話していいものかどうか考えていた。

 

(う~んこれは誤魔化せそうにないじゃな~い、兼一君に相談するしかないね)

 

一基はケータイで兼一に連絡をとった。

 

「やあ兼一君久し振りじゃな~い、うんこっちは元気さ、実は今川神に来ててね、そうなんだ、それで来て早々ちょっと厄介なことになってね、実は武神ちゃんが闇の武器組の達人に襲われてね、そうかいすぐ来てくれるかい待ってるよ、場所は親不孝通りって場所だから」

 

十分程で兼一たちは九鬼の本部から親不孝通りに着いた、兼一たちほど早く走れない新島もジークに担がれて到着した、そして兼一たちは一基と要を加え話し出した。

 

「まさかこんなに早く闇が手を出してくるなんて」

「まあアイツは様子見と言ってたからね、本格的に手を出してくるのはまだ先だと思うけどね」

「俺様はそんな事より、武神を拐おうとしたのが武器組っていうのも気になるな」

「何故だ」

「川神百代は武器を使わんだろ?、武器組なら武器を使う奴を拐うんじゃないか?」

「うーん、もしかしたらまた落日の時みたいに武器組と無手組が手を組んでるんじゃ」

「そうなると厄介ですね」

「あの、そろそろ私たちにも話してくれませんかね」

 

話し合いからハブられていることに百代は少しイラッとして兼一たちに話しかけた。

 

「そうだったごめん、実は」

「話していいのか?」

「ここまで被害が出ちゃ話さないわけにはいかない」

「ならその話俺も混ぜちゃくれねぇか?」

 

最後の声は夜道の向こうから聞こえ次第にこっちに近づいて来る足音が聞こえた、その声の主は亜巳が時間になっても帰ってこなかったことを心配した釈迦堂だった。

 

「釈迦堂さん」

「よぉ兼一さんよ、それにしても達人の人数が増えてるな」

「兼一誰だ?」

「申し遅れたな俺は釈迦堂刑部って言うもんだ、そこにいるソイツの師匠でね」

「なら皆さんにお話しします」

 

兼一は自分が来た理由や闇の目的等を百代たちに話した。

 

「なるほどな、アンタほどの達人をあのジジイが呼ぶんだから何かあるとは思ってたが、かなりやべぇ話だな」

「ええ」

「じゃあ武神だけじゃなくアタシたちも狙われてるのかい?」

「ああ、闇は戦力の補強をしようとしてるからな、闇としては一人でも強い奴を連れて行きてぇだろ」

「・・・・」

「百代さん大丈夫?(無理もない自分が狙われていると知ってしまったからな)」

「フフフ」

「コイツ笑ってないか?」

「兼一さん、私は俄然ヤル気が出てきましたよ、あんな強い達人たちと戦えるなんて、だとするともっと修行に力を入れないといけないな」

「こいつが命狙われてる程度で落ち込むたまかよ」

 

百代は落ち込んでいるどころか強い敵と戦えることにうち震えていた。

 

「エネルギッシュだね~武神は、そういう子僕は嫌いじゃないね」

「おい一基」

「嫌だな一番は勿論要に決まってるじゃないか~」

「私はそんなことを言ってる訳じゃ・・・」

「いいっていいって、僕には分かってるからさ」

「武田さん、久賀館さん近いうちに私に稽古つけてくださいよ、勿論兼一さんやジークさんも」

 

百代の申し出に兼一たちは一度顔を見合わせるとニコッと笑いながら頷いた。

 

「闇が本格的に攻めてくるなら俺も早く昔の勘を取り戻さねぇとな」

 

釈迦堂がそんな事を言っていると亜巳は怪我した体を引きずりながら兼一の前に立った。

 

「兼一さん、アタシにアンタの技を教えてくれないかい?」

「僕の技?」

「師匠の考えを読んだアレさ」

「流水制空圏ですか?」

「ああダメかい?」

「構いませんが、強くなりたいなら僕じゃなくて適任がここにいますよ」

「ん?」

 

兼一は要に近づき要の方を指した、兼一は武器に精通してるわけではないので亜巳と同じ杖を使う要を勧めた。

 

「おい坊や勝手なことを」

「まあまあ、強くするのは良いことじゃな~い、それにハニーなら流水も使えるしさ」

「え!?、フレイヤさん使えるんですか!?」

「ああ、時間はかかったが元々一基が使ってるのを見て覚えたんだ」

「そ、そうですか(僕なんか長老に死ぬような目にあわされてやっと習得したのに・・・)」

「なら頼めないかい?自分の身は守れるようにしときたいんだ」

「分かった、ただし条件がある」

「条件?」

「ああ、傷が治った後、私と勝負をし私を認めさせてみろ」

「分かったよ」

「なら決まりだ!」

 

そう言うと釈迦堂は怪我をしている亜巳を勢いよく肩に担ぎ上げた。

 

「達人さんよ、コイツの事よろしく頼むわ、じゃあな」

「あ、そうだ釈迦堂さん今日の事は」

「ああ、しばらくは俺とコイツの心のなかにしまっとく、うちの弟子たちも喧嘩早いからな、教えたら闇に手を出すかも知れねぇ」

 

釈迦堂は片手を振りながら夜の闇に消えていった。

 

「百代さんも少しの間この事は黙ってて下さい」

 

百代はコクりと頷いた、そして夜も遅くなったので兼一が百代を送り、新島たちは新たに合流した武田たちを九鬼本部に連れていった。




それではまた十八話でお会いしましょう、感想、評価お待ちしています。

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