気づいたら豚頭帝として群れを率いていた件   作:ぱんつ

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結構、自分の勝手にやるつもりなのでご了承ください


現状把握

 

「…飢えたオークの若者か」

 

その言葉がきっかけとなり、消え失せてしまったはずの意識が戻る。

 

「なかなかに強い力を秘めている。うまくすれば豚頭帝、いや豚頭魔王すら視野に入れていい」

 

自分の頭上で何か言っているのが聞こえるが、それより自分が生きている、という状況に驚愕していた。

身体から熱が抜けていく感覚。耐え難い苦痛。

確実に死んだ、そう思っていた。

 

それと、全身に力の入らなくなるほどの、この空腹感は一体なんだろうか。

 

「この俺、ゲルミュッドに従え、豚頭帝。そうすれば名と食料をやろう」

 

随分と偉そうに名乗り、随分と偉そうに提案をする声が聞こえた。

こう言っちゃなんだが、うぜぇ。

よく言えば自信満々な、悪く言えば傲慢なこの声の主は、ゲルミュッドというらしい。

顔も見えず、面識もない。そんな明らかに怪しい男からの話なんて無視して、現状を把握する。

いや、正確には"把握しようとした"だろうか。

 

 

まるで俺以外の意思に操られるように縦に頷いた俺の身体。いや、本当に俺の身体なのだろうか。そう疑問に感じるほど、俺の意思とは正反対な行動をしだした。

 

「ゲルド、お前の名前はゲルドだ。ふふ、ふはははは、これで俺の野望は叶ったも同然…!」

 

 

野望ってなんだ?まず、俺にはちゃんと名前があるんだけど?

そんな疑問が浮かぶ間も無く、"何か"を与えられた俺は、気を失っていた。

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 

名を与えられてから一週間後。

俺、ゲルドはオーク達を引き連れながら、進軍を開始していた。

 

意識を取り戻した俺にゲルミュッドは『飢餓者』というスキルの説明をして去っていった。スキルという概念も、変わり果ててしまっていた体すらわからない俺を置いて、だ。

偉そうな上に気が利かないと言う、なんというか残念なやつである。

 

そんな奴は置いておくとして、何故何もわからないはずの俺がここまで落ち着いて、しかもオークを率いているのか。それは…

 

(もたもたしている場合じゃない、早く喰わねば皆が飢えてしまうぞ)

 

そう、この脳内に響く声のおかげである。

俺が現在使っている身体の持ち主だったらしいそいつに、俺は沢山のことを教えてもらった。スキルについてやオーク達について、それに聞いた話と俺の推測で、大体の現状を把握できた。

 

どうやら俺は、異世界のオークの王に憑依したらしい。

勿論頭のおかしいことを言っているのは自覚しているが、この身体の持ち主が弱っている時に突然俺に体の主導権を奪われた、と言っている上に、元の世界にいなかったオークという生物、そう思ってしまっても仕方がないだろう。

 

それに、そんなことどうでもいい、と思えるほどの問題が発生している。それは、オーク全体の食糧不足、それも深刻な。この身体の主導権を握っている俺からすれば、そんなことほっといて元の世界に戻る方法なり探したいところだが、そんなわけにもいかない問題がある。

 

実は、この身体の主導権を完全に握れているわけではない、という問題だ。ゲルミュッドに、提案をされた時に勝手に頷いたのが何よりの証拠。どうやら身体の元持ち主が強く願ったことはこの身体に反映されてしまうらしい。つまり、俺がオークという種族を見捨てるような行動を取れば、この身体の元持ち主(仮称:旧ゲルドとする)は俺の見捨てようとする動きを、なんとしてでも止めようとしてくるだろう。それも、尋常ではないほどの想いの強さで。

だいぶ心優しい善王だったようでオーク達のことを一番に考えている、まだ数日とはいえ、それが強く伝わってきた。

 

旧ゲルドを説得することはおそらく不可能で、主導権を完全に握る方法があるわけでもない。オーク達の飢餓という問題を解決しなければ、俺は自由の身にならないわけだ。

 

だから俺は、こうしてオーク達を率いて食糧を探し求めている。

目標はジュラの大森林にある豊かな自然。暴風竜ヴェルドラという、邪竜が封印されているらしいが、少しぐらいの恵みなら許してくださるだろう、という旧ゲルドの考えの元向かっている。

 

 

ここでまた新たな問題が。

目的地に向かうまでの食糧がない、ということだ。

オーク全てを養うための食糧など、そう簡単に手に入れられるはずがなく、目的地であるジュラの大森林の自然に着いたとしても、おそらく長くは持たない。それぐらいの量の食糧をその分用意し、進軍している間、全員に行き渡らせる、簡単に言おう。無理である。

 

しかし、それについては解決出来た、と言っても過言ではない。

その秘密は『飢餓者』のスキルにある。そのスキルの効果は腐食し、喰らう、そして喰らったものの能力をある程度取得出来き、それを支配下にあるものにも与えることの出来る能力。

飢えれば飢えるほど強くなり、喰らえば喰らうほど強くなる。

その上、俺が食いさえすれば支配下にあるもの全て飢え死にすることがない、という兵站の概念がいらなくなるほどの良スキル。

それに三大欲求の一つである食を満たすだけで強くなれるなんて、チートにもほどがある。

 

このスキルがある限り、俺が食いさえすれば皆は死なない、ということである。まあ、俺が食べる食糧さえ不足しているわけで、こうして進軍しているわけであるが…

 

とりあえず、オーク達を救う目処は立っている。

作戦なんてあってないようなめちゃくちゃな行動だが、物量とスキルでなんとかなりそうなんだから恐ろしい。

 

と、そんなことを考えている間にも、オーク達がゲルミュッドの指示で向かわせていたオーガの里を潰してきたらしい。

配下のオーク達が食べたオーガ達の能力が、全体に反映されさらに力を増す。これでさらに上の魔物を喰えるだろう。

そして、死んだオーク達からも、多量の魔素容量が送られてきた。

 

もちろん、先ほどの『飢餓者』にそんな能力はない。

この能力は、俺が所有している別のスキルによるものだ。

 

 




独自設定展開しまくります。
それと遅れてすいません。
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