姉で主人公のダーナと弟でYOMEのサイレンのコンビが繰り広げる、珍道中なエピソード。

気の強いお姉ちゃんと人の良い素直な弟は、冒険の日常で色々あるみたいですよ。

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初投稿です( ´・ω・)


ダーナとサイレンのへっぽこ道中

その日、私はアブル連邦内を一人で歩いていた。

弟でYOMEのサイレンは別行動で、シュリンガー公国へおつかいに行かせている。

 

訳あってかなりイラついていたから、大股でのしのしと歩いていた。

いかめしい城塞都市の石畳に、カツカツカツ、と靴音が甲高く響き渡る。

 

と、酒場の前によく知った顔があった。

小柄で、青い髪に金色の瞳を持つ彼女は……。

 

「お、クロムたん!」

「ダーナたん! やほー」

 

クロムたんは私の先輩冒険者で、色々と旅のアドバイスを貰っている仲だ。

……サイレンはサイレンで、クロムたんのYOMEアキト君を「僕の先輩!」と大変慕っている。向こうがどう思ってるかは知らないけど。

 

「どうしたの? 何かあった?」

 

さすが察しのいいクロムたん。私は待ってましたとばかり、事情を説明する。

 

「サイレンの奴さぁ、ハロウィンイベの時、貴重なビターソウルとスイートソウル、私が知らないうちによりによってカボチャと交換しやがってたのよぉ!」

「ありゃりゃ。でもサイレン君の事だから、ちゃんと謝ってきたんでしょ?」

「そぉれが、その二つはレアな武器と交換できる物なのにって叱ったら、『あれっ、そうだったの? ごめーん☆』とか……あいつ馬鹿なの死ぬの?!」

 

すっかり興奮した私が息巻いてると、クロムたんが酒場を指差した。

 

「話が長くなりそうだから、入ろっか」

 

聞けば、今はクロムたんもYOMEのアキト君と別々に行動してるらしい。

いつもなら四人だけど、今日は二人で女子会の始まりだ。

 

酒場特有の喧騒の中、フリッターとサーモンカルパッチョをつまみながら、私は日頃の不満をさらに愚痴った。

お酒はあまり飲めないから、頼まなかったけど。

 

「もーあいつ、いつもどうでも良さそうな案件に首突っ込んでは、勝手に人助けしたがるし。私の意見なんか聞きゃしないし」

「それがサイレン君の良いところだから」

「それだけならいいよ? でもさ、これも私の知らないうちに、採取で集めた錬金素材を売り飛ばしてるってどういう事なのよ?!」

「それは〜……」

 

クロムたんは苦笑い。

私は水の入ったコップを鷲掴みにして、一気に飲み干した。

 

「色々あるかもしれないけど、全部ダーナたんの為を思ってやってるんじゃない?」

「まぁ、鞄がかなり圧迫されてたのは事実だけどさー」

「それに、ハロウィンイベントからもう随分経ってるじゃない。そろそろ許してあげたらどうかな。きっとかなーり凹んでるはずだよ」

 

う……それを言われると罪悪感というものが。

 

確かにイベから時間が経ったし、事が発覚してからもだいぶ経ってるし、あいつに悪気は全く無いのは分かってる。

むしろそれが質が悪いのだけど。

 

流石に怒りすぎたかな。

サイレンの奴、一人でおつかいを命じたら、かなりションボリしながら公国に向かったからなぁ。

 

うーん、やっぱりクロムたんのアドバイスはいつも的確だ。

 

あれ? そういえば私たち姉弟が大喧嘩する度に、クロムたんたちに仲を取り持ってもらってないか?

 

私はちょっと反省した。

 

クロムたんは私たちを心配しているのだろう。これ以上怒ったままでいれば、誰も幸せになれない。

 

「しょうがないなぁ。そろそろ許してやっか。サイレン、今公国にいるんだよね」

「じゃあ、迎えに行こうよ」

「うん。いつも話聞いてくれてありがとね、クロムたん」

 

私とクロムたんは、酒場を出て公国へ向かった。

平野に出たところで、アキト君からクロムたんに連絡が入ったようだ。

 

「アキト、サイレン君と一緒だって。錬成施設前で落ち合おうって」

「了解!」

 

おぅ。アキト君、公国にいたのか。

 

待ち合わせ場所に行く途中、私はサイレンになんて声をかけようか、あれこれ考えていた。

 

うん、しつこく怒りすぎたから、軽く謝ろう。

 

錬成施設前に到着した。

すでにアキト君とサイレンの姿がある。

 

アキト君はいつ見ても黒髪と目元が涼やかな美形さんだ。可愛らしいクロムたんとは良いコンビだ。

 

おっと、ボーっとしてたらいかんいかん。

 

謝ろうと「ごめん」と言いかけた時だった。

 

サイレン、いきなりズッシャアアア!と勢いよく土下座。

 

「……申し訳ございませんでした!」

『なんで土下座?!』

 

私、アキトくん、クロムたんの声が重なる。

な、な、な、な、なんじゃああぁあぁ?

土下座の衝撃で言葉が全然出てこなかった。

私から謝るつもりが、機会を逃しちゃったじゃないか!

サイレンの馬鹿ぁ!

 

「ふ、フンっ……仕方ないわね……ほら行くよサイレン! クロムたんアキト君、またねー」

「え、なんか怒ってるの?! お姉ちゃ〜ん」

「人前で『お姉ちゃ〜ん』て甘えた声で言うなぁ!」

「ま、待ってよ〜」

 

唖然とする二人にさよならを言って、私はサイレンを連れて半島に向かう事にした。

 

クロムたん、アキト君。この分だとこれからもお世話になりそうだよ。

しょーもない姉弟だけど、どうぞよろしくネ。


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