焼肉の翌日。
朔月は簪に連れられ、更識邸へ来ていた。
今は応接室的なところに案内され、質のいいソファーに腰掛けていた。
「ウチ、私が小さい時にお父さんとお母さんが亡くなって、今はお姉ちゃんがここの当主なの。」
「……そうなんだ。俺も……まぁ、出生事情的に親なんていなくて、千f……姉さんがずっと面倒みてくれてた。」
「朔月と私は似た者同士ってことだね。」
「そうだな。」
「17代目当主更識楯無が参ります。」
黒子とまではいかないが、そんな感じの人物がそう告げ、ドアを開ける。
前回のこともあり、ブレイバックルには既にカテゴリーAを装填済みだ。
「私が、対暗部用暗部更識家現当主更識楯無よ。仮面ライダーブレイドさん。」
「なぁ簪。暗部って何?」
後半仮面ライダーであることを言われたが、それよりも聞きなれない単語に反応してしまう朔月だった。
「あ、朔月にはウチのこと説明してなかったっけ?」
「うん。」
それを聞いた楯無はギャグ漫画のようにズッコケた!
まさか、何も知らずに来るとは微塵とも思っていなかった更識楯無はギャグ漫画のようにズッコケるのであった!
「えーと、暗部っていうのは国から命令された裏工作を実行する部隊。ウチはその暗部に対する抑止力的なものだよ。」
「ありがとう、簪。」
「そ、それで一体どうしてウチに?」
「IS学園に行く前に誤解を解いておこうと思いまして。」
「え?」
「別に俺は簪を誘拐も脅迫しても居ませんので、全くの誤解なんですよ。」
「………そうなの?」
「……う、うん。」
「……フフッ、なんだ。私の勘違い……早とちりだったのか〜。」
「ご、ごめんなさい。」
「どうして簪ちゃんが謝るの?」
「し、心配……かけたみたいだから。」
「こっちこそ。当主になって、色々あって簪ちゃんのことちゃんと見れてなかった。ごめんなさい。」
「諸々の誤解は解けたみたいですね。それじゃあ俺はこれで「待って。」え?」
「簪ちゃん、ちょっとだけ席を外してくれない?2人で話しがしたいの。」
「え?う、うん。」
簪がそっと部屋から出る。
「それで、俺に話って?」
「相崎 朔月……いえ、織斑一夏。そうね?」
「………バレてましたか。」
「そりゃね。髪型や色、眼鏡とかで隠してるつもりでしょうけど、残念ながらおねーさんには通用しないわ。」
「それで、それを言った上で自分と何を話すと?」
「あの子は、簪ちゃんはあなたが織斑一夏であるという事は知ってるの?」
「えぇ。知ってるも何も、相崎朔月……この名を与えてくれたのは彼女自身ですから。」
「そう。」
「聞きたいのはそれだけですか?」
「最後にもう1つ。簪ちゃんのことどう思ってるのか。」
「…………それは、どういう意味で?友人…仲間としてはもちろん大切ですが。」
「端的に言った方があなたには良さそうね。簪ちゃんのこと、好き?もちろん、1人の女性として……。」
その問いに対して朔月は回答を躊躇っていた。自分自身答えが出ていないからだ。
しばらく沈黙していたが、朔月はどう答えるか決めた。
「……わかりません。ただ、簪と居ると……なんかこう〜胸が締め付けられるって言うか〜、千冬姉と居るのとはちょっと違う感じだけど安心するって言うか〜。」
決めたものの上手く言葉に纏まらず、なんとも言えない回答になる。
「そう。………簪ちゃんのこと、よろしくね。」
「え?あ、はい。」
こうして更識楯無の誤解を解き、IS学園入学後に襲撃されるという懸念は消えた。
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