放課後
アリーナでは各々のラウザーを構えたライダーが向かい合っていた。そして、手には一枚のラウズカード。それを同時にラウズする。
『Slash!』『Rapid!』
ブレイドはラウザーの切れ味を、ギャレンはラウザーの弾丸の装填速度を上げる。
この同時ラウズが戦闘開始の合図だ。
ギャレンはブレイドに銃撃を開始する。高速で発射される弾を、ブレイドはラウザーで斬り弾く。ただ弾いていても仕方ないので、しっかりと距離を詰める。
もちろんただ接近を許すギャレンでもない。狙う場所をより広い範囲にし、ブレイドに大きな動きをさせることで、少しでも足止めをさせ、自身も距離を取ろうとする。
すると、突然ブレイドが後ろに下がりラウザーを持つ手を逆にし、トレイを展開させる。ギャレンはラウザーを手から落とさせようと、手首の方を狙い撃つ。
が、トレイが盾のような役割を果たしているため、弾が当たらない。仕方なくギャレンもトレイを展開し、カードを抜きラウズする。
『Thunder!』『Fire!』
ブレイドはそのまま地面にラウザーを突き刺す。すると、雷はギャレンのもとに向かっていく。
ギャレンはブレイドの胴体へ照準を定め、火炎弾を放つ。
互いの属性攻撃は直撃し、かなり高いダメージを負った。2人は顔を見合わせ態勢を整えると、レバーに手をかけバックルからカードを抜き、変身解除した。
「ふぅ〜。簪、お疲れ様。」
「うん、お疲れ様。」
2人はそのままアリーナを後にしようとした。その時だった。
「誰だ!」
何者かの気配を感じ取ったのは。
「ご、ごめんね。盗み見るようなマネして。」
「なんだ、デュノアか。何か用か?」
「ううん。ただ、通るときに何か見えて、気になってね。」
「そうか。」
「ほ、本当にそれだけだから。ま、また明日ね!」
「あぁ、また明日。」
「また、明日。」
そう言って駆け足で帰ろうとするデュノアに思い出したように朔月は言った。
「あ、そうそう。デュノア!」
「な、何かな?」
「俺たちのデータをいくら取ったところで、第三世代ISの開発には役に立たんぞ?」
「ッ!?い、一体何のことかな?」
「それは……おっと、話は後だ。もう1人、血の気の多いお客さんが来たようだ。」
「相崎 朔月。いや、織斑一夏。織斑の名を捨てた、教官の一族の恥さらし。」
「「!?」」
現れたのはボーデヴィッヒだった。そして、驚いたのは簪とデュノアだった。
まず、簪が驚いたのは、ボーデヴィッヒが朔月のことを織斑一夏だと知っていたことに対して。
そして、デュノアが驚いた理由は、死んだとされた織斑一夏の名前が出て、それが目の前の相手に向けられていることだった。
「別に捨てたわけじゃないさ。死人と判定した奴が生きてたら逆に消されると思ったまで。別に千冬姉を裏切ったりなんかはしてないぜ。」
「黙れ。そして、消えろ。」
ボーデヴィッヒはレールカノンを撃ち始めるのだった。
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