束たちがタックン……特訓を始めた頃。
織斑一夏は自宅に戻っていた。
「ただい……暗いし、酒くさっ!」
とても自分が暮らしていたとは思えない自宅の現状に思わず声が出てしまった。
「千冬姉〜。居るなら返事してくれ〜。」
腐海と化しかけて居る我が家を片付けながら、一先ずリビングを目指す。
「見つけた、こんな呑んだくれて。」
リビングで見つけた姉は、ビールの空き缶に囲まれ、机に突っ伏していた。
先ほどの声に反応したのか、顔を上げる。
「私も末期だな。幻覚と幻聴が同時に襲いかかってくるレベルか。」
「はぁ、しっかりしてくれ。ただの飲み過ぎだ。ほら、水。」
「あ、あぁ。………(ゴクゴク。水だ……実体がある?いや……束か?悪ふざけならやめろ。」
「まだ信じないか。……よし、終わった。」
一夏は千冬に話しかけながらも、さくさくっと部屋の片付けを済ませていた。
「ん?あれ?ゴミが消えた?死んだのか?」
「はぁ。千冬姉、いい加減目を覚ませよ。」
「あ、そうか。私も死んだんだな。」
「どうしてそうなる…。」
テイ!と軽く頭にチョップを入れる。
「痛い?……一夏?本物の?生きた?」
「そうだって何遍も繰り返し言ってるって。はぁ、……ただいま、千冬姉。」
「あぁ、おかえり……一夏!」
涙ぐむ千冬は一夏に思いっきり抱きつくのだった。
千冬が落ち着いたところで、リビングでテーブルを挟み座る。
そして、ブレイバックルと
「………これは?」
「……俺の力。守りたいものを守るための力。」
「………そうか。」
「千冬姉、俺に剣の全てを教えてくれ。」
「フッ、私が付けるまでもない。……私は来年からIS学園で教鞭をとる。そこに来い、そしてお前の剣を見つけろ。」
「で、でもIS学園は、ISを使えないと……。」
「……きっと全て知っているのだろう?」
「え?」
「束が全て話たのだろう?」
「……俺たちの出生に関して?」
「あぁ。お前はISを使えるだろう。それに、お前にはそれがある。それで自身の剣を探し、守りたいものを見つけ、運命を切り開き、切り札を掴みとればいい。」
「………あぁ!そうする。」
「なら、決まりだな。束には私から言っておこう。」
「それじゃ、俺晩御飯の買い出ししてくる。」
「あぁ、いってらっしゃい。」
姉に笑顔で見送られながら、エコバッグ片手に走り出した。
一夏がスーパーで食材の厳選をしていると、ポケットがブーブーと揺れる。
携帯を取り出すと、「発信者 束さん」と表示されていた。
「はい、一夏です。」
「もすもす〜、たっばねさんだよぉ〜。」
「束さん、どうしたんです?」
「あの子……カッちゃんが正式にギャレンになりました。どんどんぱふぱふ!」
「そ、そうですか。それは、双方合意で?」
「もちろん、強制なんてしてないよ〜。」
「良かった。」
「ところで、ちーちゃんは?」
「立ち直りました。……全てお見通しと言わんばかりに、束さんから聞いたことを当てられました。」
「そっか。戻ってくるのは?」
「千冬姉に飯作らなきゃいけないですから、その後にでも。」
「わかった、準備しておくね。」
「お願いします、それじゃあ。」
通話を終えると一夏は食材選びに戻った。
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