More One Night 少女のんのん旅行 作:さあじかる
~めざめた場所ここはどこでしょ
これから何が始まるのかな~
れんげが突然窓の方を見る
れんげ:はっ!
皆が注目する
夏海:どったのれんちょん?
れんげ:今、何かが!裏山の…桜の木があやしいのん!うち見てくるん!
夏海:なになに面白そう!あたしも行くよ!
小鞠:どーせ狸か猪かでしょ。
ほたる:えっ、でも…。
れんげ:なっつん!急ぐのん!凄く違和感がするのん!
夏海:よっしゃー!
小鞠:ちょっ待ってよ!
ほたる:わ、わたしも行きます。
卓:……。
誰もいなくなった教室。
一穂:あの~授業中なんだけどなあ…。
夏海:れんちょ~ん!まってよー!
れんげは全速力で裏山へかけていく。それを追う夏海。
小鞠は徐々に遅れていく。
大きな桜の木の下辺りが光っている。その光がだんだんと消えていく。
少し離れて見ている夏海とれんげ。
夏海:なんだあれ。
れんげ:胸騒ぎがするのん、急ぐのん!
だんだんと消えていく光の中に何かの塊が見える。
近付いて行くと、汚いコートのようなものを来た金髪の少女と黒髪の少女が
横たわっていた。
れんげ:宇宙人なん?
夏海:えーっと人?かな?
小鞠:はぁはぁ、もー速いよー。
ほたる:先輩!あれ!人が倒れてます!
小鞠:えー?あ!ほんとだ!誰だろ?い、生きてるよね?
れんげ:なっつん、どうなん?
夏海:うん、息はしてる、でも凄く冷たいよ。はやく暖めないと!あれ?兄ちゃんいたの。
卓:…
夏海:兄ちゃん金髪の子おぶって!あたしがちっちゃい方背負うから!
卓がこくりとうなずく。
学校。
夏海:とりあえず保健室に寝かせてストーブつけとこう。服はジャージがあったよね!
兄ちゃんは出て!
保健室の外へ追い出される卓。
一穂:どこの子だろう?見た事ないねえ。それに凄く衰弱してる。
れんげ:うちの給食あげるん!
1時間後
チト:あたたかい…死ぬって暗くて冷たいのかと思ったけど、ユーリと一緒だからかな…もう、一緒なら、
どうでも、いいか…最後にユーの顔見たい…
チトが目を開ける。
チト:……。
空が無い。天井がある。温かい。毛布がやわらかい。横を見るとユーリもベッドで眠っている。雪もなく
どこかわからない場所に私たちは寝ている。夢か。あの世か。
チト:ユー…おいユー…
一穂:良かった~目が覚めた?
人だ。イシイのような白衣を着ている。
チト:私達、生きてる…?
一穂:みたいだね~。どこから来たの?
チト:どこって…上層で…食料も尽きて…
一穂:常総?関東の方かなあ。
チト:カントー?…ユー!ユー!起きろ!
ユーリ:うーん…
一穂:寝かせておいてあげて、二人ともひどく汚れていたし、何も食べてないの?
チト:…最後に温かい水と、最後のレーションを食べて、眠って、目が覚めたらここに。
一穂:うーん。でも、もう大丈夫よ。うちの子達があなた達を見つけてここに運んで来たのよ。
チト:人が…いた…上層に…良かった…せっかくついたのに何も無くて、もう、二人で…
覚悟を決めて…
チトの頬に涙が流れた。
一穂:そう…何か食べる?
チト:スースー
一穂:あら、寝ちゃった。さて、どうしたものか。とりあえず最初の食べ物はおかゆかな。
夏海:かずねえ!どうだった!?
一穂:うん、大丈夫みたい。相当疲れてるけどね~。
れんげ:うちの給食全部あげるのん!
一穂:それなんだけど、しばらく食べてないみたいだから、給食は無理かな。だかられんちょんの気持ちだけ
あげてね。
れんげ:そうなん。わかったのん。
ほたる:あの人達、なんなんでしょうか。
一穂:日本語は通じたし、ユーちゃんと、あと、あ、名前聞くの忘れた。
小鞠:ゆ、幽霊じゃないんだ。よかった~。
ほたる:体も見た目は私たちと何も変わりませんでしたしね。
卓:…
お昼、保健室へみんなでおかゆを持って行く。
一穂:体、起こせる?
チト:うん、大丈夫。
ユーリ:ちーちゃん!人が沢山いるよ!てかここどこ?
れんげ:学校の保健室なん!
チト・ユーリ:?
一穂:さあ、食べて。
ユーリ:なにこれ!うめー!
チト:うまい…
一穂:ゆっくり食べてね、胃がうけつけないから。
チト・ユーリ:ガツガツガツ
全員:…
ユーリ:おかわり!
チト:おい
一穂:好きなだけ食べなー。
チト:じゃあ、私も…
放課後
チト:まぶしい…土だ…森もある…あの時は何もなかったのに…
ユーリ:ここってやっぱり天国だったりして。
夏海:天国?いやここいなか…じゃなかった、まあちょ~っと不便だけど天国ではないかなー。
チト:空が綺麗…空気がおいしい。
ほたる:私も東京から来た時思いました。チト…さん達はどこから来たんですか?
チト:私達は戦争から逃げて、上層を目指して、人は私とユー…ユーリの二人しか生きて無いと思ってた。
小鞠:えー!?外国から逃げて来たの!?にしては乗り物なかったね。
チト:大事な車が壊れて後は歩いてたから…でもここは一体…。
れんげ:うちに泊まるといいのん!
ユーリ:家あるの?
小鞠:そりゃあるでしょ。みんなあるよ。
ユーリ:やっぱり天国だ。
チトがユーリをつねる。
ユーリ:ひててて。
チト:生きてる。私達生きてるんだよ。理由はわからないけど。
ユーリ:ちーちゃん自分で試してよ。
ほっぺをなでながら恨めしそうに言う。
一穂:この子達、お金も持ち物も何にもないから私の車で行こう。(どこかの難民ねー。でもどうやって来たのかしら…)
れんげ:うちも一緒に乗るのん!
チト:これが、車。
ユーリ:屋根あっていいね!私達のもやっぱり屋根つければよかったんだよ。
チト:うるさい。
一穂:じゃあチトちゃん達は後ろに乗って~。
チト:うん。
ユーリ:はーい。うわーちーちゃん!ふかふかだね!
チト:うん。ふかふかだ。エンジンと燃料で走るのは同じみたいだ。
田舎の景色にくぎ付けの二人。
チト:すごい。木がたくさん、人もたくさんいる。こんな場所があったんだ。
一穂:ん~?どこもこんなもんでしょー。ま、ここは田舎だけど。
チト:イナカ。それは上層より更に上なの?空も見えるし、でも下も無いようだけど。
れんげ:上層ってなんなのん?
チト:上層というのは…。
ユーリ:いっちばん上だよ。登って行くのすっごい大変だったんだから。
れんげ:へ~そうなん。うち、行ってみたいのん。
チト:もうあんな思いは二度と御免。
ラジオからDJの声が聞こえてくる。
DJ:平成もいよいよ最後ですねえ。来年にはオリンピック…
チト:来年、今3000何年だっけ。
ユーリ:さ~私達どれくらい旅してたんだろーねー。日記も燃やしちゃったしわかんないね。
一穂:日にち感覚も無くなっちゃったのね。今は何年ですか?はい、れんちょん!
れんげ:2019年なん!
チト・ユーリ:えええええええええええええええええええええ!!!!!
れんげ:びっくりしたのん!どうしたのん?
チト:2019年!?千年前!?
ユーリ:そういえば、兵器もないねえちーちゃん。
チト:うん、上も、下も、兵器の残骸も無い…。
れんげ:はっ!もしやタイムスリップ…だとしたら納得がいくのん。ちーちゃん達は未来から来たに違いないのん!
チト:そんな…。
ユーリ:ぬこが助けてくれたのかもよ?
チト:……。
れんげ:未来のお話聞きたいのん!
一穂:今日はゆっくりお風呂に入ってしっかりご飯食べてゆっくり寝かせてあげて。ね、れんちょん。
れんげ:う、わかったのん。明日聞かせてなのん!
チト:いいけど…。
宮内家
チト:これが…家。木でできてる。
一穂:さ、入って。まずはお風呂ね。
ユーリ:やったー!ちーちゃんお風呂だよ!いつぶりだろうね!
チト:千年ぶりなんだろ。
ユーリ:もー、何ふてくされてんのさー。
チト:何でも簡単に受け入れるな。
お風呂
チト・ユーリ:ふ~~~~~。最っ高だね~~~。
チト:水とお湯が自由に好きなだけ出るなんて…。
居間
一穂:ご飯出来るまで好きにしてて。
ユーリ:はーい。
チト:ユー!本だよ!本棚だよ!字が…少し違うけど…少し読める!
ユーリ:興味なーい
れんげ:ユーちゃんは字読めないのん?
ユーリ:全然だめだねー。
れんげ:うちが教えてあげるのん!
ユーリ:え~いいよ~。困らないもん。
れんげ:困るのん!テストあるのん!
食卓
ユーリ:すげー。魚だよ!ちーちゃん!それにこの量!
チト:豊すぎる。水も、お湯も、電気も、燃料も、食料も、千年前はこんなに豊だったんだ。
れんげ:未来にはないのん?
ユーリ:無いなんてもんじゃないよー。レーション探して燃料探して寝る所探して寝る、後は移動、ただそれの繰り返し。
魚なんか一回食べただけだよ。
れんげ:厳しいのんなー。
一穂:はいはい、お話はあとで、まずは食べましょう。
れんげ:あーい、いただきます。
ユーリ:……う、うめ~。
チト:…うますぎる…。
チトは泣いていた。気づかないうちに涙がこぼれていた。泣きながら全部食べた。
つづく?
気が向いたら展開させます。