(──だが、一矢は報いさせてもらう)
『縮地』さえ発動すれば後の展開は必ず会頭が攻めに転ずる。チャンスはそこしかない─と作戦を立てていた芺はノータイムで魔法を発動する。いや、『縮地』を使った後には既に発動体勢に入っていた。十文字の『ファランクス』に激突し空中に舞い上がった破片の内、手頃な大きさのものを見極める。三つほどまだ氷としての体裁を保つサイズの氷片が空中を舞っていた。それを対象にして芺は十文字が攻撃に移るタイミングと同時に
十文字の氷柱の周りを舞う、太陽の光に照らされた小さな氷の破片が一瞬煌めいたように見えた。
その瞬間、氷の破片は弾体と化す。弾体は
会場からはとてつもなく大きな歓声が上がる。芺をよく知る人物のほとんどは驚き、淡い期待……というより“もしかして”と一抹の可能性を感じた者もいた。しかし、当の本人である芺は浮かない顔をしていた。
(五本……射角が甘かったか。潮さんには申し訳ないな)
芺が放った魔法……『電磁砲』は確かに十文字の氷柱を砕いた。余波で周りの氷柱にも影響は出ていたが、破壊判定にはならなかったようだ。おまけに咄嗟の発動、それに加え三つの欠片を対象にしたことで狙いが甘くなってしまった。だが例えしっかり狙っていたとしても全ての氷柱を砕くことは不可能だったとも思える。北山潮から渡された魔法を上手く使いこなせなかったことに少々反省しながら、芺は自陣の氷柱を見て思う。
(これが『十文字』……厚みが違うな。付け焼き刃では敵わないのは明白だったか)
残り少なかったのにも関わらずその数少ない氷柱を攻撃に使用した芺の最後の氷柱は、十文字の『ファランクス』により問答無用で叩き潰された。
──試合終了を告げるブザーが鳴り響く。九校戦 アイス・ピラーズ・ブレイク本戦の優勝者は十文字克人に決定した。
───
「お兄様、芺先輩がお使いになられたあの魔法は……?」
「……アレは恐らく『電磁砲』と呼ばれる魔法だ。起動式はA級魔法師にしか公開されていないはずだが……」
「もしかしたら、父さんかな」
雫のその発言で達也は合点がいったとばかりに少し乗り出していた体を背もたれにかける。そして先日のCADの調整に出くわした際のことを思い出した。
「確か芺さんのCADは雫のお父上が開発に携わられているのだったな。それなら納得がいく」
かの北山潮の妻はA級魔法師北山紅音なのである。その情報を仕入れていた達也は特に気になる所もなく理解したが、『電磁砲』自体には小さな疑問を抱いていた。
(しかし……あの魔法はその性質上、使用者は限られてくる。あれを使用出来たという事は……いや、杞憂だな。例えそうであっても何か問題が発生するということはない)
───
また別の場所では千代田が五十里に少しそわそわした様子で問い掛けていた。
「ねー啓!あんな魔法、見たことないんだけど」
「僕も実際に目にするのは初めてだよ。名前は確か……」
「『電磁砲』……ですね。弾体と定義した物体の通るコースにあらかじめ磁界を作っておき、その磁界から弾体へ及ぼすローレンツ力を利用する構造。もしくは線上に二つの電気を伝えるフィールドを定義し、その間に弾体を挟み、通電した際に発生する磁界から弾体に及ぼすローレンツ力を利用して射ち出すといった手順を魔法でもって行うものです。先程の柳生君の場合は後者を選択したのでしょう。ですが……」
市原は解説した後に考え込む。その横で五十里も感嘆していた。
「『極光』も大概だけど、この魔法も使用者は数える程しかいなかったはずだ。それをこの水準で使ってみせた事実は色々なお方の目を引くかもしれないね」
途中から市原の話は聞いていなかった千代田は“そうね……”と神妙な面持ちで言ってみせていた。
───
決勝リーグに相応しい並々ならぬ試合に大興奮の会場から、選手が退場する。十文字はもちろん十師族としての格の違いを見せ付けた上での優勝という完璧な結果を残した。
しかし……多くの人の頭にはほぼノーマークだったのにも関わらず決勝リーグまで勝ち進んだ柳生芺の名は殊更印象深かったとも言えるだろう。特に、芺を剣術家、マーシャル・マジック・アーツの選手として見ていた人間や、古式の人間として芺と関わりがあった人物は特にそれが顕著だったと思われる。
「芺くーーーん!」
帰ってきた芺にエンジニア用に用意された席から見ていたあずさが走り寄る。
「本当に凄かったです!概ね作戦通りでしたね!あ!準優勝おめでとうございます!!」
芺の立てていた作戦では元より勝利を目指していなかった。最後はほぼ諦め半分で勝ち目を探していたが、結局見つからなかったのだ。そのため当初から立てていた氷柱特攻からの『電磁砲』作戦に落ち着いたのである。『電磁砲』自体は最終戦まで温存するつもりは無かったのだが、使わずとも勝ち進む事が出来ていたのでそれも意表を突く事に一役買ったと思われた。
「柳生」
あずさが会場の熱気にあてられたのか芺を少々興奮気味で労っていると、そこに先程の対戦相手の声が聞こえてきた。
「会頭、お疲れ様です」
芺は頭を下げる。やはり何故か釣られてあずさも頭を下げた所で……ここでは下げてもおかしくなかったが。十文字は笑顔で語る。
「正直、ここまでとは思っていなかったよ。見くびっていた俺の非礼を詫びよう」
「そんな……もったいないお言葉です。それに自分は五本しか倒せませんでしたから」
十文字はその言葉に反応する。
「だが、
十文字は極めて真面目な調子で問う。芺は突然の質問に少々固まってしまったが、十文字は芺の肩に手を置いて続けた。
「よくやった、柳生。モノリス・コードでも頼りにさせてもらうとしよう」
そう人の悪い笑みで言い残した十文字は芺の横を通って会場を後にする。芺は細い目でその後ろ姿を見ていたが、少しオロオロしているあずさに話しかけた。
「とりあえず戻ろうか。摩利さんの安否も気になる。啓達はどこにいるか分かるか?」
「あ、えーっと……多分テントですね。行きましょう!」
これにて芺のアイス・ピラーズ・ブレイクは準優勝という形で幕を閉じた。芺の次の出場種目は十文字の言葉から察するようにモノリス・コードである。こちらは出場経験がある上に、高度制限はあれど好きなように動けるのでアイス・ピラーズ・ブレイクほど苦手意識は無かった。
───
「お、芺君おかえり。準優勝おめでとう」
「おつかれー、あんな魔法使うなんて驚いちゃったわ」
芺がテントに帰ってくると、待っていたのか直ぐに気づき五十里達が声をかけてきた。他の選手や作戦スタッフからも労いの言葉を受けるが、芺はそれも程々に五十里に問い掛ける。
「それで、摩利さんは」
「肋骨が折れていたらしい。とりあえずは絶対安静だけど、それも一日だそうだ。命に別状もないし、魔法も問題なく使えるから安心して。との事だったよ」
五十里は現場に向かった後、真由美から聞いていたことを伝える。そして芺の耳元で周りに聞こえないように囁いた。
「それと、多分君も気になっていることは僕達も共通認識だ。今日の夜、達也君と一緒に調査するから、君も来てくれ」
「……わかった」
五十里は元の場所へ居直り、笑顔で改めて告げる。
「なんにせよ、準優勝おめでとう。凄い魔法だったね」
「ああ、ありがとう」
周りからも拍手が起こる。“まさか柳生が……”とか“モノリス・コードも貰ったな”などと口走る者もおり、皆が彼を賞賛していた。芺本人はあまり関心が無いが、彼はアイス・ピラーズ・ブレイク本戦での準優勝者であり、あの十文字の氷柱を唯一砕いた人物なのだ。勝利はしていないが大金星……と言った所だろう。
「そういえば服部はどうした?試合は全て終わったはずだが」
「そうだね、もうじき帰ってくるんじゃないかな」
二人が話していると、噂をすれば影というものなのか丁度少し俯き気味の服部が帰ってきた。彼は摩利と同じくバトル・ボードに出場しており、CADの調整こそ手こずっていたが……さすがは服部である。そんな状態でも見事準優勝を収めていた。
「お疲れ、服部。結果は?」
「準優勝だった。力及ばず、申し訳ない」
服部はそう言って目を伏せる。確かに準優勝はある意味敗者ではある。服部はなまじ実力があったからに優勝できなかった事を恥じているのかもしれない。そんな服部に芺は近寄り言い放った。
「……まぁ、お前はよくやったよ。気にするな、俺も準優勝だからな。一緒だ」
芺は不器用ながらも今彼が考え得る慰めの言葉をかけた。それに服部はハッとした表情で顔を上げる。そして少し恥ずかしそうな顔をした後、前を見て彼は言った。
「……そうだな。芺も準優勝おめでとう。生で見れなかったのは残念だが、後でゆっくり観戦させてもらう」
「勝手にしろ。俺もお前の負けっぷりを見てやらなくてはな」
「なっ……!」
服部は先程の恥ずかしそうな顔に加えて少し怒ったような表情で抗議する。それで雰囲気も和らいだのか、その場にいた選手やスタッフが服部を労い始めた。
そんな中、服部の背中にツンツンとした感触があった。彼が振り向くとそこには
「はんぞーくんお疲れ様。素晴らしい走りっぷりだったわ。準優勝おめでとう!」
「か、かか会長!あ、ありがとうございます!!」
そう言って顔の紅潮がMAXに達した服部は物凄い速度で頭を下げる。その様子に笑みを浮かべながら真由美は芺の方を向いた。
「貴方もお疲れ様。まさか十文字君に傷をつけるとはね」
「買い被らないで下さいよ。運が良かっただけです」
「謙遜しないの。芺君も準優勝おめでとう」
そう言って最後にウインクを添える真由美を見て芺は少し服部の気持ちが分かるような気がしたりしなかったりしたが、彼のようになる事はなく、それに対して落ち着いた礼を返す。
小さな祝勝会のようなものが終わって開放された芺は、人目のつかない所で端末を取り出しとある人物に連絡をかけていた。
(皆が俺と同じ認識というのなら、あの水面の揺らぎは間違いなく他者からの妨害だ。……誰かは知らんがよくもやってくれたものだな。俺の周囲の人間に手を出す事のリスクを理解させるのはともかく……この大会中に二度と俺の周囲の人間に手は出させない)
「芺だ。彩芽、頼みがある」
「はっ、何なりと仰せください」
「九校戦は見ていたか?俺の先輩にあたる選手が事故に巻き込まれたのだが……恐らく第三者の妨害があった。こちらでも調べはするが、そちらからも調査して欲しい」
「承知致しました。他に何かご用命等あれば」
「……そうだな。後ほど送るリストの人間に監視をつけて欲しい。それと会場の監視もだ。不審人物がいれば深追いせずに俺に教えてくれ」
「はっ!我々の威信にかけて」
「頼んだぞ。だが絶対に危険な真似はしないでくれ。九校戦に妨害工作をするような奴らだ。何をしてくるかわからん」
「重々承知しております。若様に心配はおかけしませんから……それでは」
芺はそう言って電話を切る。彼は少なくとも自分がよく知る人物には監視……もとい護衛を自らの手勢から就かせるつもりだった。しかし妨害をしてきた第三者に対しては情報が無さすぎるため、夜の調査を待ってから改めて連絡するつもりであった。他の人間も調べているはずなので、正体さえ分かれば後はどうにでもなるのだ。闇雲に動いても仕方ないと、冷静になった芺は次なる目的地に向かった。
───
夕暮れ時の裾野基地病院に真由美は訪れていた。ここにはバトル・ボードで事故に……というより陰謀に巻き込まれてしまった摩利が運び込まれており、その見舞いに来ていたのだ。幸いそのタイミングで摩利は目を覚まし、真由美から諸々の説明を受けていた。レースについて話していたあたりで、病室のドアがガラッと開く。
「真由美さん、お飲み物をお持ちしまし……摩利さん!」
摩利が目を覚ましていたことに驚き飲み物を零しそうになるが、ギリギリで踏みとどまる。飲み物を机に置いて芺は摩利に駆け寄った。
「摩利さん……すみません。俺がちゃんとしていれば……」
「おいおい、急にどうした。少なくともこの怪我はお前のせいじゃない。何を謝ることがあるんだ」
「……すみません」
芺は自分の目の届く範囲で身内が傷付けられた事にどうしようもない自らへの憤りを感じていた。事実芺に出来たことなど一つもないのだが、それさえも自らの力不足だと芺は自責の念に駆られていた。真由美は芺の背中を“まあまあ”叩いて励ました後、摩利の方を向き直り真面目な調子で訊ねる。
「摩利、その事なんだけど。あの時、第三者から魔法による妨害を受けなかった?」
「どういう事だ?」
「七高の選手を受け止める直前に摩利さんが体勢を崩したのは、第三者による不正な魔法で水面に干渉されたせいなのではないか、ということです」
「確かに……ボードが沈み込む直前、足元に不自然な揺らぎを感じたが、何故そう思ったんだ」
摩利がそう告げると芺は悔しさを滲ませた顔をして拳を握りしめていた。彼がここまで感情を露わにするのは珍しい事なのだが、今はそれどころではない。
「あの時、貴方が足元を取られた水面の動きは不自然だったわ。魔法による事象改変に特有の不連続性があった。でもあの時、七高の選手も九高の選手もそんな魔法は使っていなかった。残る可能性は第三者による魔法。これは芺君達とも同意見ね」
「達也君が大会委員からビデオを借りて水面の波動解析をするそうです。そこに自分も立ち会います」
「……そうか、すまない。しかし、一体誰がなんのためにこんな事を……」
───
とある暗い一室で画面の前に佇む男女が四名。彼らは今日のバトル・ボードの事件の調査を行っていた。
その部屋のドアが少々勢いよく開け放たれる。
「すまない、遅くなった」
「いえ、今から始める所ですので」
「おかえり」
その部屋に入ってきたのは摩利の見舞いから急いで帰ってきた芺だった。走ってきたのか達也の目には彼の動悸が早いように見えたが、一般人には分からないレベルだった。“よく鍛えている”と何だか調査には関係無いことを考えながらも達也は画面に視線を戻す。
芺がドアを閉め五十里達の横に立つと同時に五十里が話し始めた。
「それで何か分かったの」
「一通り検討してみました。やはり第三者の介入があったと見るべきですね」
それを聞いた芺は苦虫を噛み潰したような顔をしていたのだが、今は皆が暗い部屋の中で画面に集中していたので誰もその顔を見ることは無かった。芺は自分の表情に気付いたのかそれを振り払うように別の事を考える。
「仕事が早いな。さすがは達也君だ」
「しかし……予想以上に難しいね、これは」
「啓、どういうことなの?」
「花音も知ってる通り、九校戦では外部からの魔法干渉による不正を防止するため、カウンターマジックに優れた魔法師を各会場に配置すると共に、監視装置を設置している。てっきり僕はその監視網の外から何か仕掛けられたと思ったんだけど……司波君の分析では水面に働いた力は水中から発生しているんだ。可能性としては水中に工作員が潜んでいたとしか……」
「さすがに非現実的すぎるな……」
「よね……」
と、ここでピンポーンと来訪を知らせるベルが鳴る。芺は問答無用で開け放ったが、今度の来客はそうでもないようだ。
達也が“深雪”と声を掛けると彼女は返事をしてドアを開ける。ドアの向こうに立っていたのは二人の男女だった。
「ご紹介します。クラスメイトの吉田と柴田です。水中工作者の謎を解くために来てもらいました」
「えっと……よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
達也は芺とこの一年生二人の間には面識があることを知らないため、まるで全員と初対面なようか紹介をした事に二人は少し戸惑っていたが、芺がそれを達也には見えないように手で制す。それから二人は礼儀正しく頭を下げた。特に美月は深かったが、だからといって幹比古が失礼な訳ではない。
「知っていると思うが、二年の五十里先輩と千代田先輩。芺先輩だ」
「やあ」
「こちらこそよろしく」
「来てくれてありがとう」
芺はここで実はこの二人は知り合いなんだと関係の無いことを口走って時間を浪費するつもりはさらさら無かったので、ここでは初対面として振る舞うようだ。
一応の顔合わせが済んだところで達也は本題に入る。
「俺達は今、渡辺先輩が第三者の不正な魔法により妨害を受けた可能性について検証している。渡辺先輩が体勢を崩す直前、水面が不自然に陥没した。これはほぼ確実に水中からの魔法干渉によるものだ。コース外から気付かれることなく水路に魔法を仕掛けることは不可能だ。遅延発動魔法の可能性も低い。だとすれば、魔法は水中に潜んでいた何者かによって仕掛けられたと考えられる。しかしそう考えるのは荒唐無稽、現代魔法にも古式魔法にもありはしない」
五十里達は古式魔法に詳しい芺の方を向くが、芺は頷き肯定を示す。
「人間以外の何かが水路中に潜んでいた、と考えるのが合理的でしょう」
「達也は精霊魔法の可能性を考えているのか」
その言葉に疑問を浮かべる五十里と千代田に達也は改めて二人を呼んだ理由を説明する。
「吉田は精霊魔法を得意とする魔法師です。また柴田は霊子光に関して特に鋭敏な感受性を有しています。芺さん、その点では貴方にも協力して頂きたいと思っています」
「もちろんだ」
芺はそう言って美月の方に顔を向ける。今の彼女は普段とは違い力強く頷いてみせた。
「幹比古、数時間単位で特定の条件に従って水面を陥没させる遅延発動魔法は精霊魔法により可能か?」
達也の問いに幹比古は可能と答える。しかしそれでは意味のある威力は出せず、七高の選手のオーバースピードがなければただのイタズラ程度にしかならなかったとの事だった。しかし達也はこう告げた。
「あれも単なる事故であればな」
達也はそう言って画面に検証結果を映し出す。そこには本来減速すべき場所で加速した場合のルートが表示されていた。
「確かに不自然だ……」
「そして、九校戦に出場するような選手がこんな下らないミスを犯すとは考えにくい」
「その通りです。恐らく、CADに細工をされていたのだと思います」
達也は続けて減速の魔法が加速にすり替えられていた場合、間違いなく最初のカーブで事故が起きるであろうと言う。そして去年のラップタイムを見れば最初のカーブで優勝候補二人がもつれ合う事は容易に想像出来る、とも。
「確かに理屈は通っているけど……CADに細工なんて出来るのかい?もし細工したと言うなら一体誰が」
「七高の技術スタッフに?」
「その可能性をも否定できませんが……俺は大会委員に工作員が潜んでいる可能性が高いと思います」
一同にどよめきが走る。考えたくなかった可能性が当たってしまったのだ。
「しかしお兄様、一体いつどのようにしてCADに細工したのでしょうか。CADは各校が厳重に保管しているはずですが……」
「CADは必ず一度各校の手を離れ大会委員に引き渡される」
その言葉を聞いて皆が驚く中、芺は何か悩んでいる様子だった。達也は考える。
(しかし、どういう細工をしたのか。それがまだ分からない……厄介だな)