魔法科高校の副風紀委員長   作:伊調

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第二十六話

少し時は遡る。九校戦七日目の夜に芺は宿舎となっているホテルの一室に来ていた。生徒会や風紀委員幹部。部活連の会頭に五十里や桐原といった面々が揃い踏みだった。今からここである人物に一つ交渉を持ち掛ける──このメンバーを揃えた時点で断らせる気は無い──のだ。その対象が真由美に引き入れられて皆の前に現れる。真由美は連れてきた男の方を向き直って口を開いた。

 

「達也君、今日はご苦労さま。期待以上の成果を上げてくれて感謝しています」

「選手が頑張ってくれたおかげです」

「もちろん、皆が頑張ってくれた結果です。でも達也君の貢献がとても大きいのはここにいる全員が認めているわ」

 

言うまでもなく芺もその一人だった。ついさっきあずさに達也が『トーラス・シルバー』である可能性を熱弁された所でもある。それに彼自身、達也の高校生離れした能力に大きな信頼を寄せていた。

 

「ありがとうございます」

「現時点での得点一位は第一高校。二位は第三高校で、新人戦だけで見た点差は50ポイント。モノリス・コードをこのまま辞退しても新人戦の準優勝は確保できます。新人戦が始まる前まではそれで十分だと思っていたのだけど……ここまで来たら新人戦も優勝を目指したいと思うの。三高のモノリス・コードに一条将輝君と吉祥寺真紅郎が出ているのは知ってる?」

「はい」

「あの二人がチームを組んでトーナメントを取りこぼす可能性は低いわ。だから達也君……モノリス・コードに出てもらえませんか」

 

真由美は達也を見据える。この場に皆が集められたのはこの交渉が目的なのだ。芺も最初この話を聞かされた時に訝しげな顔をしたが“達也君であれば問題ないか”とすぐに同意を示していたのである。それに加え芺は達也の戦闘センスに対してとても興味があったためにこの場に顔を出す事にした。

 

「二つ、お聞きしてもいいですか」

「ええ、何かしら」

 

達也はメンバーの入れ替えについて大会のルールに則っていないと主張する。しかしそれは特例で認められたらしく交渉を蹴る材料にはならなかった。そして達也はもう一つの質問をぶつける。

 

「では、なぜ自分に白羽の矢が立ったのでしょう」

「達也君が一番代役に相応しいからだと思ったからだけど……」

「実技の成績はともかく、実戦の腕なら君は多分一年男子の中ではナンバーワンだからな」

 

芺は心の中でその摩利の言葉には少々同意しかねるな、と思いながら話に耳を傾ける。彼が所属するマーシャル・マジック・アーツ部の一年生には一人大きな有望株がおり、いつか達也と戦って欲しいと芺は考えていた。入学当初は期待していなかったものの、中々の腕を持っていた一年生に芺は近接戦闘ならこの異質な高校生である達也と互角の勝負が出来る可能性を感じていた。

 

「モノリス・コードは実戦ではありません。肉体的な攻撃を禁止した魔法競技です」

「魔法のみの戦闘力でも君は十分ずば抜けていると思うんだがね」

「しかし自分は選手ではありません。代役を立てるなら一競技にしか出場していない選手が何人も残っているはずですが」

 

その言葉に摩利は口を噤む。

 

「一科生のプライドはこの際考慮に入れないとしても、代わりの選手がいるのに代役をスタッフから選ぶのは、後々精神的なしこりを残すのではないかと思われますが」

 

達也は正論を並べ立てる。それに一科のプライドに関しては真由美が一番触れてほしくない部分であった。達也はその二つでこの場を乗り切ろうとしたが、ここで思わぬ一撃が入る。

 

「甘えるな司波。お前は既に代表チームの一員だ。選手であるとかスタッフであるとかに関わり無く、お前は一年生二百名から選ばれた二十一人のうちの一人。そして今回の非常事態に際し、チームリーダーである七草はお前を代役として選んだ。チームの一員である以上、メンバーとしての義務を果たせ」

「しかし……!」

「メンバーである以上、リーダーの決断に逆らうことは許されない。その決断に問題があると判断した場合はリーダーを補佐する立場である我々が止める。我々以外のメンバーに異議を唱えることは許されない。そう、誰であろうとだ」

 

達也はそのセリフから言葉以上の意味を感じ取る。“誰であろうと”……達也は偶然とはいえその言葉に大きな衝撃を受けた。

 

「二科生であることを逃げ道にするな。弱者の地位に甘えるな司波。たとえ補欠であろうとも選ばれた以上、その務めを果たせ」

「……分かりました。義務を果たします」

 

快諾……とは行かなかったが、達也が申し出に応じてくれたことで彼らの間に笑顔が生まれる。張り詰めていた雰囲気が少し緩くなったようだ。

 

「それで、俺以外のメンバーは誰なんでしょうか」

「お前が決めろ」

「……は?」

 

達也は予想だにしていなかった答えにとても間抜けかつ失礼な反応を示してしまう。

 

「残りの二名の人選についてはお前に任せる。時間が必要なら一時間後にまたここに来てくれ」

「いえ、その必要はありませんが……相手が了承するかどうか」

「説得には我々も立ち会う」

 

その言葉の意味する所は“相手に否定はさせない”という事だ。十文字や七草を前にして説得に抗える人物は恐らくこの高校には存在しない。“相変わらず強引な人だ”と芺が思っていると

 

「誰でもいいんですか?チームメンバー以外から選んでも」

「ええ!?それはちょっ……」

「構わん。この件は例外に例外を積み重ねている。あと一つや二つ増えたところで今更だ」

「十文字君……?」

 

素晴らしく酔狂な発言が飛んできて横にいる服部の胃痛が心配になってくる頃合だった。

 

「では1-Eの吉田幹比古と同じく1-Eの西城レオンハルトを」

「おい司波!」

 

予想通り服部が抗議の声をあげる。彼の気持ちも分かる、九校戦のメンバーに選ばれていないということは実技の成績が優秀でないという事とほぼ同じと捉えてもおかしくないのだから。そんな服部を芺は手で抑える。

 

「いいだろう」

「達也君、その人選の理由を聞いても構わないか」

 

芺は服部を落ち着かせる為にも達也に説明を要求する。

 

「無論です。()()の理由は俺が男子メンバーの試合も練習もほとんど見ていないという事です。俺は彼らの得意魔法も魔法特性も何も知りません。試合は明日です。一から調べていたのでは作戦も調整も間に合わない」

「なるほど、今の二人ならよく知っているということか」

「ええ、吉田と西城については同じクラスであるということだけでなく、よく知っています」

 

芺もレオと幹比古が達也とよく行動を共にしていることも知っていたので特に不信感は抱かなかった。隣の摩利もそれについて同意を示した。

そして同じく彼らの事を知る芺はもう一つ、わざわざ達也が前置きに語った言葉について尋ねた。

 

「それで、()()()()()理由はなんだ?」

 

 

 

「──実力ですよ」

 

───

 

九校戦も八日目となり、終わりが近づいてきた。いつもと変わらない九校戦の会場だったが、どこかざわめいているような印象を受ける者も少なからずいたのは仕方の無いことだろう。

 

「まさか、大会委員の中に本当に工作員がいたなんて……」

「でももう捕まったみたいだね。これ以上被害が出なければいいんだけど」

 

五十里と千代田が話してるように大会委員に紛れていた『無頭竜』の工作員は全て逮捕された。可能な限り秘匿された逮捕だったが、力を持つ名家の出身が多い第一高校の生徒間では既に知っている者も多かった。

 

「全くだ。だがもうこれ以上選手のCADに細工がされる事はないだろう」

 

芺の言葉に許嫁コンビは同意を示す。事実、大会委員に紛れ込んでいた工作員は一人残らず拘束されたために彼の言う事は正しかった。そしてそう語る芺の姿を見つめている者が一人。

 

(よく言う……しかしさすがだな。昨日の今日で工作員を炙り出すだけでなく逮捕に持ち込むとは。さすがに警察が絡んでくれば『無頭竜』も手を出せまい)

 

達也は皮肉めいた笑みを浮かべつつ心の中で賞賛する。厳密に言うと達也の推測は完全な正解とは言えないが、概ね彼の考える通りだった。芺が自分の命で動かせる部隊を使ったのだから。

達也は深雪に降りかかる可能性のあった火の粉を振り払った事に感謝しながら、その行動力と成果に改めて賛辞を送り、モノリス・コードの準備に向かった。

 

───

 

芺はテントにて摩利と真由美と同席して達也達のモノリス・コードを観戦していた。達也は素早い身のこなしで敵に的を絞らせず、加重系統の魔法で敵のバランスを崩しその横を走り抜けていく。しかし相手方もまた、選ばれた者である。その選手は怯まずすぐに達也に照準を向けた。しかし達也が発した想子の砲弾により魔法式や起動式といった諸々は粉々に吹き飛ばされてしまった。

 

「あれは……!」

「恐らく『術式解体(グラム・デモリッション)』……でしょうね」

「ええ……まさかとは思ったけど達也君、使えたのね」

「二人とも、あれが何か知っているのか」

 

真由美が説明を始める。

この魔法は体内でサイオンを圧縮したのち、イデアを通じずに直接対象へぶつけるという文字だけでいえば簡単に見える魔法である。

このサイオンの砲弾(より厳密には強いサイオン流)をぶつけられた起動式や魔法式などのサイオン情報体は、そのサイオン構造を破壊され、魔法を発動することができなくなる。

射程が短いという欠点があるものの、実用化されている中では最強の対抗魔法とも言われてはいるが、一度発動するだけでも莫大な想子を要求されるために使用者はほとんどいないのが現状だった。

この説明を聞いて摩利はやはり初日のバスに向かってきた車両にかけられていた魔法を全て吹き飛ばしたのは達也君ではないかと確信に近いものを感じたが、確信には至らなかった。

 

───

 

その後、二高との試合を危なげなく終えた第一高校。達也は休憩を終えて、次に始まる三高──恐らく決勝で当たるであろう彼らのの試合を見に行くため、宿舎であるホテルを後にしようとしていた。

正午から始まる試合に余裕を持って見に行くため、深雪と共に会場に向かおうとしていた達也の耳に聞き覚えのある声が聞こえる。その声のする方に顔を向けると、そのには見覚えのある男女がいた。

 

「ご無沙汰しています、修次殿」

「ああ、久しぶりだね。芺君」

 

訂正をするとその内の一人にはあまり覚えが無いが、すぐにエリカの兄、千葉修次だと言うことが分かる。達也も彼の事は知っていた。『千葉の麒麟児』とも呼ばれる彼は三メートル以内の間合いであれば世界十指に入るとも言われる正真正銘の実力者でもある。

現時点で芺が勝ち切れていない剣士の内の一人でもあり、お互い門派は別だが、機会が合えば切磋琢磨し合う仲だった。

 

「お会い出来て嬉しくはあるのですが……確か今はタイに剣術指南のため出向中ではありませんでしたか」

「そうですよ!なぜ次兄上がここにいらっしゃるのですか。……まさか渡辺先輩のためにお務めを投げ出されたと……?」

 

エリカの言う通りここには彼女と同門の剣士であり、尚且つ学校では先輩にあたる渡辺摩利がいる。彼女はなんと千葉修次と絶賛お付き合い中だ。

そう。今芺にとっては学校で世話になっている先輩と、そのボーイフレンド、そしてそのボーイフレンドの妹(後輩)と同席中という世の中の狭さをしみじみと感じさせられる状況なのである。

 

「こらエリカ。あまり失礼な事を言うもんじゃないぞ。なあシュウ」

 

エリカの先程の発言に対して修次にフォローを入れる摩利。ちなみに“シュウ”というのは修次の愛称だ。

そしてエリカの質問に関しては芺も口に出したように疑問に思っていた。まさか千葉修次を呼び戻さねばならないような緊急事態が発生したのかと、悪い予想も立てていたが……

 

「……実は……その通りなんだ。摩利が怪我をしたと聞いていても立ってもいられなくなった」

「シュウ!?」

 

赤面する摩利。悔しそうに目を伏せる修次。若干の気まずさを滲ませる芺。目に見えて気まずそうなエリカ。一瞬、その場に絶妙に居心地の悪い空気が流れた。

 

「次兄上は渡辺先輩と付き合い始めてから堕落しました……これで失礼します。行きましょう芺さん」

「おいエリカ!?」

 

完全に呆れたエリカは芺を引っ張ってその場を後にしようとする。本来なら引き止めるべきだろうが、芺も今回ばかりは

 

「……すみません。修次殿、次お会いした時には是非お手合わせを」

 

そう言って芺もエリカと共にロビーから去っていった。

 

(千葉修次……やはり強いな)

 

──

 

モノリス・コードに出場することになった達也達も会場で第三高校の試合を観戦していた。達也は自分を真っ向勝負に引きずり出した吉祥寺真紅郎に対して賞賛を口にしていた。

 

「まいったなこれは」

「全くだぜ。なんだよあの防御力は」

「それに一条選手以外の手の内が全く見られなかったのも痛いね」

 

今までの第三高校の試合は全て一条将輝のワンマンアーミーだった。しかし吉祥寺真紅郎に関しては達也はいくらか予想がついていた。

 

「吉祥寺選手の方は大体予想できる。吉祥寺真紅郎が発見した基本(カーディナル)コードは加重系統プラスコード。出場した種目はスピード・シューティング。ならば得意魔法は『不可視の弾丸(インビジブル・ブリット)』だろう」

「達也、それって確か……」

「芺先輩がアイス・ピラーズ・ブレイクで使用していた魔法だな。まぁ、偶然だろうが……」

 

その先は言うまでもなく、もし偶然じゃなければかなり人の悪い事をしていたという事である。(もちろん芺は北山潮から起動式を渡されたので偶然と言えば偶然である)

吉祥寺真紅郎からしてみれば偶然といえどいい迷惑だっただろう。自分の得意魔法を大衆の目の前で使われた挙句、対処法さえも既に提示してしまっているのだから。彼もさすがに自校の選手に教えない訳にはいかなかっために、三高のアイス・ピラーズ・ブレイクの選手は芺の『不可視の弾丸』に対して対策を講じれたのである。

 

「なんにせよ、俺達がまず気にするべきはカーディナルやプリンスではなく、九高との試合だ」

 

───

 

九高との試合を終え、帰還した達也は先程小野遥から受け取ったマントとローブをレオと幹比古に手渡していた。一通り説明が終わると、レオから使用用途に対しての質問が飛んできた。

 

「カーディナル・ジョージの『不可視の弾丸』には性質上、相手を視認しなければならないという欠点がある」

 

達也はそう言いながら芺の方を向く。真由美や服部、桐原と共にいた芺は“その通りだ”と返した。

 

「達也君、決勝ステージが草原ステージに決まった事は知ってる?」

「はい」

「遮蔽物のないフィールドで砲撃戦が得意な一条選手と対戦しなければならないけど……大丈夫?」

「司波、策はあるのか」

 

真由美と服部が達也に尋ねる。まさか服部まで自分を気にかけてくれるとは思ってなかったのか一瞬間が空いたが、すぐに答える。

 

「本来の戦い方をされると手も足も出なかったところですが……どうやら一条選手は過剰に俺を意識してくれているようですからね。接近戦に持ち込めれば、どうにか」

「格闘戦は禁止されてるぜ」

「触らなければいいんですよ、手はあります」

 

達也は桐原の問いに笑顔で答える。そして達也は外を指さして

 

「芺先輩、少し付き合ってくれませんか」

 

──

 

外に出た二人は構える。なんでも少し体を動かしたいとのことだった。芺も達也の体術の腕前がどれほどのものか興味があったのでそれを快諾した。

 

「試合前ですので、軽くお願いします」

「了解した」

 

達也が仕掛ける。達也の拳を腕で逸らした芺は左手で掌底を繰り出す。その掌を屈んで避けた達也はそのまま回し蹴りを放った。芺は右腕をクッションにして受ける。

 

「……軽くじゃなかったのか」

「自分はそのつもりですが」

 

達也は芺が基本的に冷静で落ち着いている事は入学してからの時間でよく知っていた。しかしそれと相反するように中々に好戦的な一面を持っていることも聞いていた。……主に上司の影響なようも気がするが。芺は挑発と分かった上でそれに乗る。芺は体術としての縮地で達也に詰め寄る。一片の無駄もない洗練されたその体捌きは最小の動きで最大の速度をもたらし、接近した事に一瞬思考が追い付かない程だった。達也も自分も似たような技術を駆使する者としてその完成度には感服しながらも拳を突き出す。

軽いスパーリングと聞いていた周りの生徒はそれにしてはハイレベルすぎる攻防に目を奪われる者が半分、呆れる者が半分だった。芺の強烈な肘打ちを達也は受け止める。

 

「達也君、今からでもウチの部活に来ないか。君がいれば大会の表彰台を今後独占し続けていく事も叶いそうなのだが」

「……申し出はありがたいんですが……その、あいにく忙しい身でして」

 

“今後”と言ったのは一年生のとある部員も負けず劣らず優秀であるからで、二人が切磋琢磨してくれれば言うことは無いと芺は思っていたからだ。だが達也も相手が本気ではないのは分かっていたのでやんわりと辞退する。そんなこんなしていると、この攻防の終わりを告げる存在がやってきた。

 

「お二人共、タオルをお持ち致しました」

「ありがとう」

「助かる」

 

軽い運動のつもりだったが随分と激しく動いてしまったなと達也は反省しながら冷たく冷やされたタオルで汗を拭く。汗こそかいているが達也はまだ十二分に体力を残していた。芺も達也の体力と実力を弁えた上で後に響かない程度の動きをしていたのだ。彼は礼を言った後そのまま手を挙げて去っていった。兄妹水入らずの時間を邪魔するつもりは無いようだ。

 

「ここらで十分だろう。達也君、楽しみにしているぞ」

「……はい」

「あ、芺先輩!お兄様にお付き合いいただきありがとうございました」

 

達也は芺の本心を隠さないエールに微笑をたたえて答える。深雪も兄の申し出に嫌な顔一つしなかった芺に礼を述べていた。

一方テントに戻った芺は真由美から絶賛抗議中に。こういった近接格闘を見慣れない彼女から見ればよっぽど本気の模擬戦にでも見えたのもしれない。一々説明するのも面倒な上に熟練者面するのも気が引けるので芺は素直に謝罪した。

 

「ちょっと!試合前にあんまり体力使わせちゃダメじゃない!」

「すみません。自分も軽いスパーリングで終わらせるつもりだったんですが」

「思ったより司波兄が強えから興が乗ったって顔だな」

 

桐原が笑みを浮かべながら呆れ顔で言う。芺は図星といった顔をしていた。

 

「全く持ってその通りだ。ウチの十三束ともいつか勝負してもらいたいものだな」

 

───

 

モノリス・コード新人戦決勝の結果は第一高校の勝利で終わった。あのクリムゾン・プリンスとカーディナル・ジョージを達也達が打倒したのだ。それだけならまだよかった。史上稀に見る大金星だろう。ただ試合の内容は達也は一般的な魔法師が一日かけて捻り出せるかどうか怪しいほどの想子を要求される『術式解体』を何十回も使用し一条将輝の『偏倚解放』の魔法式を撃ち落とし続けていたのだ。そして達也のプレッシャーに恐怖した一条が思わず発動したオーバーアタックが直撃した。しかし達也はそのまままるでダメージが無かったように起き上がり、一条の耳のすぐ側で指を鳴らし、その音を増幅することで鼓膜を破壊しあのクリムゾン・プリンスを打ち負かしたのだ。残るカーディナル・ジョージこと吉祥寺真紅郎は全力を取り戻した幹比古の精霊魔法の連撃に倒れ、残る一人も一条の攻撃を受けダウンしたと思われたレオからの一撃で地に伏した。

かくして達也達第一高校は第三高校から勝利を奪い、新人戦での優勝を勝ち取った。

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