生まれたらミリムの親友になれた件 作:骨人
「本当にありがとうなのだ!」
そう言って私に抱きつくミリムさん。そんなミリムさんの頭を撫でつつ。私は言いました。
「いえいえ、では私は旅に戻らせて貰いますね」
「待つのだ!」
「グエッ」
ミリムに首を掴まれて変な声がでてしまいました。その声を聞いてラミリスさんとギィさんが笑います。
「ははは!グエッだと?笑えるな!」
「ほ、本当ね!ぷ、あははは!」
「あの、笑わないでくれませんか?」
そう言いいますが、二人はどうやらハマってしまったらしく、しばらくお腹を抱えてました。
「ワタシはお前に何も返せていないのだ!だから名前を付ける事にしたのだ!」
「え?」
「……え?」
「……へ?」
そう言い放つミリムに固まる私達。
「だから、お前に名前を付けるのだ!」
「いえ、それは分かりますけど…大丈夫なんですか?」
「そ、そうだぞ!?ミリム!考え直せ!」
「そうよ!考え直しなさい!コイツは貴女の攻撃に耐えたのよ!?どれだけ魔素を持っていかれるか分からないわ!」
そう言って諭す二人ですが、ミリムは聞く耳を持ちません。
「う〜、一々煩いのだ!付けると言ったら付けるのだぁぁ!」
「わ、分かりました!分かりましたから暴れないで下さい!」
目に涙を溜めてそう言うミリムさん、私は暴れると思い、了承する事にしました。
「なら安心なのだ!では付けるぞ?お前の名は……ファルスなのだ!」
そう言うと私の中で変化が起こりました。何かが刻まれるような、そんな感覚が
「つ、付けちゃった…ミリムが…」
「おい、大丈夫かミリム?」
「平気なのだ!それよりファルスはどうなのだ?」
そう言ってニコニコと私を見るミリムさん。私はミリムさんに告げました。
「ミリムさん」
「何なのだ?」
「名前を付けて下さりありがとうございます」
「む、むず痒いのだ。いつも通りでいいのだ!それにワタシとファルスは親友なのだ!だからそんな言葉で話さなくてもいいのだ!」
「そうですか…それではミリムさん」
「ミリムでいいのだ!」
「いえ、そういう訳にも」
「ミ・リ・ムで良いのだぞ?」
「……ミリム」
「もう一回言うのだ」
「ミリムさ……なんでもありません」
一度ミリムさん、と言いかけてミリムの拳がプルプルとするのが見えたので訂正します。
「ミリム」
「〜〜!」
悶えるように動くミリムさ…ミリム。そんなミリムを見てギィさんとラミリスさんは
「おい、ミリムってあんなだったか?」
「…いえ、少なくともあんなのじゃなかったわ…」
「む〜!二人はワタシを何だと思っているのだーー!」
そして名前をミリムから貰った私は旅へと戻ろうとした時、ギィさんが私に提案しました。
「なぁ、ファルス。訓練して行かないか?」
「訓練、ですか?」
「あぁ、今のお前は強い。だがその強さを恐れて人間がお前を殺さないとも限らない。……人間が今のお前に勝てるとは思えないが、勇者が連れてこられたら別だ。いくらお前でも死ぬ」
「そう、ですか」
「それに……ミリムを宥めたお前の姿を見て戦いたくなってな」
「……それ、貴方が戦いたいだけなのでは?」
「……うっせーぞ、さっさとやるぞ!」
そう言って構えるギィさん。私も構えます。
「ああ、手を抜いてやるから安心しろよ?せっかくミリムが目を付けたんだ。ここで死なれちゃぁ困る」
「はい、よろしくお願いします」
そして私とギィさんは戦いました。
しかしその戦いは1時間程度で終わった。
「おお、凄いのだ!」
「……凄いわね」
そこにはお互い膝をつき、息を荒げる二人が居た。
「ぜぇぜぇ……お前、最初はボコボコにされてたのに……なんで途中から躱せるようになったんだ?」
「いや……そんな事を言われても……わかりません…よ」
「そうか……お前が魔王になれば……俺も退屈せずに済みそうだ」
魔王という単語を口にするギィに対して私はこう答えました。
「それは……お断り…ですね」
「そうか……そりゃ……残念だ」