生まれたらミリムの親友になれた件 作:骨人
私はその王国へと向かいました。道中は何も起こる事が無く、すんなりと王国の正門が見えてきました。
「あの、入りたいのですが…」
私は門番の男性に話しかけます、
「…ん?獣人とは珍しいな、こんな滅ぶ寸前の王国に何か用か?」
「滅ぶ…?」
「あぁ、大きな飢饉があってな。食料がずっと足りていないんだよ。それを聞いた貴族が『森を開拓して畑にすればこのの飢饉を乗り越える事が出来ます』っていいやがって勝手に森に雇った傭兵崩れどもを送り込んだんだよ」
そう言う門番、しかしあの賊達は国王の命令と言っていましたが…
「森に攻め入ったのは国王の命令では無いのですか?」
「アンタ、あの森に居たのか?そりゃ災難だったな。貴族のヤツも森の動物などは好きにして構わないって言ってたからな…よく生きてたな。あの傭兵崩れどもは強さで言うならB+の強さだからなぁ…」
「B+…?」
「ああ、アンタに言っても分からないかB+ってのは
「私にはよく分かりませんが、そこそこ強いという事ですか?」
「まぁ、そうだな。おっと、この国に入るんだったな。目的は?」
「国王に会いに来ました」
「……国王様にか?お前、なんか頼まれてる訳じゃねぇよな?」
「いえ、あの森について話しがありまして」
「そうか…まぁ、危ない物を持ってないかの検査はさせて貰うからな」
そう言うと門番は私に持ち物の検査をし、私にブレスレットのような物を付け、王国の中へ入れてくれました。彼の言う通り、この王国の人々は痩せ細っており、元気がありませんでした。そしてしばらく真っ直ぐと進むと古びた城が見えてきました。
「ここに国王様がいらっしゃる。後、それは取るなよ?それを取っちまったなら殺さなくちゃならねぇからな」
「ええ、分かりました」
彼は城の扉を開け、中にいる人に話をすると来た道を戻って行きました。
「…門番より話は伺っています。どうぞこちらへ」
執事服を着た青年に案内され、私は国王が居るという王の間の目の前まで来ました。
「国王様、話がしたいという者を連れて来ました。通してもよろしいでしょうか?」
するとか細い声で『よい、通せ』と声が聞こえました。そして扉が開かれると…
「………」
「な……」
国王と言われたので煌びやかな衣装を身に付け、椅子に踏ん反り返っている物だと思っていましたが……全く違いました。ボロボロの服を着ており頬はこけ、今にも死にそうです。
「それで話とは…?」
「ええ、それなのですが…この国は食料が足りていないと聞きました」
「確かに我が国は元々植物が育ちにくい土地柄じゃ、だからこそ森の近くに畑を作り、食物を育てていたのだが…その畑まで枯れてしまった…」
「なるほど、だから森の中へと入ったと」
「それはこの国の貴族の強行手段じゃが、ワシも止められなかったのじゃ…」
「確かに貴方達から見ればあの森は喉から手が出るくらい欲しいでしょう、ですが…」
「その森から追い出された動物達はどうするのです?」
そう王様に問う。すると
「し、仕方ない事じゃ」
「仕方なくありません。なぜ共存するという道を選ばなかったのです?」
「そ、それは…」
「……ダメですね、どうしても感情的になってしまう…」
「もしや…其方はあの森に住んでいるのか?」
「ええ、住んでいました。少し旅をしようと出て行き、今日森へと帰って見れば…動物達が殺させれいたんですよ?……貴方に分かりますか?仲の良かった人と数日会わず、久しぶりに会ってみれば死んだという事を知った時の絶望が」
「それは……本当にすまないと思っている。出来れば譲歩して頂きたい…ワシらにも時間が無いのじゃ…」
「ええ、貴方が言いたい事も分かります。では交渉というのはどうでしょう?」
「交渉ですか…?」
「貴方達には森の復旧を手伝って貰い、森の一部を畑として利用して貰い、その収穫の一部を動物達に分けて貰いたいのです。冬を越すのにも一苦労しますし、本当に一部だけくださればいいので」
「それでは私達の方が不利だと思うのですが…」
「ええ、その時の収穫量から引く分を決めますし、余りにも少ないようでしたら取りません」
「そうですか…では民達にその事を伝えましょう」
「ええ、お願いします」
《
そんな声が聞こえた気がしましたが気のせいでしょう。
こうして平和的に解決した私は、国王直下の騎士や農民達と共に森の復旧を始めました。すると……
「おお……果物、果物だ!」
生き残っていた木から突如木の実はなりました。そして人一人分の大きさになるとプツリと農民や騎士達の目の前に落ちました。
「これは……森が私達に感謝しているのでしょうか?」
「きっとそうだ!よし、もっと頑張るぞ!」
『おぉー!』
農民や歌騎士達、そして生き残った動物達。そして……
「この森を元に戻すのだな!力仕事なら任せるのだ!」
「キュイ!」
「ま、魔王ミリム!?」
「大丈夫なのだ!お前達は襲わないのだ!一緒に森を元通りにするのだ!」
「ええ、お願いします。ミリム」
私はミリムにお願いしました。
「任せるのだ!それで何をすればいいのだ?」
「ここの灰だらけの土を掘り起こして、灰を被った土を中にするようにしてもう一回埋め直す必要があるのです。出来ますか?」
「任せるのだ!ガイアも手伝うのだ!」
「キュウ!」
ミリム達の協力もあり、森はたった3週間で元通りになりました。
「元に戻りましたね…」
「うむ、とても綺麗なのだ!」
すると王国から走ってくる人が居ました。
「はぁ…はぁ……大変だ!王国にデカイ木が生えたんだよ!」
『えぇぇ!?』
驚く農民と騎士達。そんな彼らに私はこう言いました。
「ふふ、きっとこの森が感謝を込めて王国に木を生やしたのでしょう。それにこの森の木はトレントですからね」
『トレント!?』
「はい、何度かお話しもしましたし。どうやら皆さんに感謝として枯れた大地をなんとかしてくれたようです」
「そうなのか……トレント!ありがとう!」
『ありがとう!』
そう言って騎士や農民達はトレントへと感謝を告げるのを見届け、私は王国へと戻りました。
「おお!ファルス殿!見てくだされ!」
嬉しそうに言う国王が指差す先には……
「美味しい!」
「こんな木がいきなり生えて来るだなんて…」
「自然の恵みだ!」
その巨大な木から様々な木の実が落ち、国民達はそれを美味しそうに食べていました。
「それに各地の貴族達の領にも同様に木が生え、恵みを与えて下さっておる…ファルス殿が何かしたのでしょうか?」
「いえ、私は何もしていません。貴方達が森を救った恩返しをしてくれているだけでしょう。……この木を大事にして下さい」
「当然ですとも、代々この木を大事にします。貴族達にもそう伝えます」
「ええ、ありがとうございます」
喜ぶ国民達の声を聞き、木は嬉しそうに葉を揺らしていました。
これは後々、『王国を救った伝説の木』として国民達に愛され、貴族達も自分達の領地に生えた木を大切に後世へと大切に残すようになるのですが……それはまた別のお話、というヤツですね。
「ファルス殿、頼みがあります」
「……何でしょうか?」
「貴方にあの森を納めて貰いたいのです。森の一部を畑として利用させて貰っていますし、誰かあの森を管理できる者が必要ですから」
「いいですよ。その代わり森での採取や狩りをする場合は要交渉、という事でいいですか?」
「当然です。我々にとってもあの森は大切ですから」
こうして私は魔王となると同時に一つの国を救い、領地として私の住む森が与えられました。