お漢(かん)転生   作:ガイル01

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初投稿になります。
もし良かったら読んでください。
ペルソナ3のキャラのハイスクールD×Dへの転生ものです。
ペルソナ3のネタばれ、独自解釈がありますのでお気をつけください。



プロローグ

「俺」は暗く、黒い海のような場所を漂っていた。ここがどこなのかわからない、いつからここにいるのか、どうしているのか、なぜいるのか、それもわからず気付いたらすでにここにいた。

 そもそも「自分」はだれだ?ここに来る前は何をしていた?頭もうまく働かない、ただ眠い。この眠気に従い眠ってしまったらどれほど気持ちいいだろうか、そう考えているうちに自然と瞼が下がっていく。その時、声が聞こえた気がした、懐かしい声だ。

 その声に意識を集中させたとたん、体が浮き上がり目の前が明るくなったのを感じ、目を開けた。

そこに写ったのは、

 

 

地面に這い蹲る仲間たちだった。

 

 

 何が起こってやがる、目の前のありえねぇ状況に唖然とする。アキが美鶴が、他の仲間たちが皆這い蹲ってやがる。

 

「オイ、アキッ!!」

 

 声をかけるがアキは気づかず、触れもしねぇ。それどころか周りのヤツラも誰一人反応しねぇ。

 

「クソッ」

 

 声を荒げながら周りを見渡すと、「あいつ」がいねぇことに気づいた。俺が後を託したやつ、「あいつ」が周りを見捨てて逃げるわけがねぇ、じゃあどこにいきやがった。

その時、皆が空に向かって叫び出した。それに釣られて上を見ると「あいつ」がいた。たった一人で何かと戦っていやがった。何かはわからない、ただやべぇってことは感じる。観ているだけで『死』を感じずにはいられない。こんだけ離れててこれなのにあいつは臆せず立ち向かってやがる。

 

その姿に、俺は…

 

「怒り」を感じた。

 

俺はなにをしてやがる、託すだけ託して後はあいつにまかせっきりか?そんなの許せるか!!

 

 俺は「あいつ」のところに向かう。「あいつ」の周りには「あいつ」を守るように光が舞い、傷ついた「あいつ」を癒していた。そして俺は隣に立つ。他のヤツラと同じように俺の存在に「あいつ」も気づかない。触れねぇのも声が届かねぇのもわかってるが、それでも声をかけずにはいられねぇ。敵は強大で、勝てる気もしねぇ。だが、そんなん欠片も感じさせねぇように、「あいつ」に、「湊」に言った。

 

「さて、やるか…な?」

 

 その時、俺の体が急に光り、体から光の玉が抜き出た。それは湊の周りを他のと同じように舞い始めた。その瞬間、湊は驚いたように周りを見渡し、口の端をあげながら、

 

「はい、荒垣先輩!」

 

といいながら、右手を振り上げた。その瞬間、湊の体から光が放たれ、全てを包み込み、俺の意識も途切れた。

 

 

 再び目が覚めたとき、俺はまた暗い海の様な場所にいた。あの時と違い頭ははっきりしており、周りを観察するとただ真っ暗というワケではなく、遠くのほうに点のような光がいたるところにあった。

 

「どこだ、ここは?」

「お気づきになられましたかな、お客人。」

 

ッ、後ろだと!?

 俺は急に声をかけられ、振り向きながら臨戦態勢をとる。

 

「ご安心なさいませ、我々は貴方様の敵ではありません。」

「こんなとこに人なんかいるわけ…!?」

 

 振り返った俺が見たのは、青い服を着てウェーブがかった銀色の髪を青いリボンかなんかでまとめている女。そっちは別にいい、だが、もう一人は一見は小柄な老人だが、

 

「鼻がおかしいだろうがよ…」

「さてお客人、私の名前はイゴールと申します。そしてこちらが。」

「マーガレットと申します、以後お見知りおきを。」

「スルーかよ!!マーガレットとかいったか、あんたおかしいと思わねぇのかよ!!」

「…いつ見ても素晴らしいものですよね。」

「はぁ、もういい。で、ここはどこなんだ?」

 

 追求することを諦めて尋ねた。

 

「ここは、ベルベッドルームと申します、お客人はある方の願いのためにこちらにご案内させていただきました。」

「ある方だと、誰だそりゃ?」

「以前のお客人で我々はペルソナの管理などのご協力をさせていただいておりました。有里湊様でございます。」

「ッ、そうだあいつらはどうなった、無事なのか!?」

「落ち着きくださいませ、皆様ご無事です。こちらをご覧くださいませ。」

 

 マーガレットはそういうと手元にあった本を開いた。

 

 そこには、見慣れた校舎の屋上とアイギスと湊が写っていた。そこに美鶴が息を切らせながらやってきて何かを話している。そうしていると仲間たちが次々とやってくる。そんな中、湊のやつは幸せそうに昼寝を始める。

 

「ったく、あいかわらずマイペースなやつだな。」

 

 そんなことをぼやきながら見ていると、急に本が閉じられた。

 

「申し訳ありませんが、話を進めさせていただきます。」

「ああ、あいつらの無事がわかったんなら問題ねぇ。で、なんで俺はここに連れてこられたんだ?」

「それが湊様の願いだったからです。」

「さっきからあいつの「願い」とか言ってるが具体的には何なんだ?」

「湊様は貴方様の死で胸を痛めておりました。絆を深めておきながら救うことができなかったと。」

「あの野郎…」

 

 許さなくたっていいが笑えって言ったろうが、俺なんかのことを悔やまなくていいのによ。

 

「そして、最後の戦い、貴方様の声が聞こえた、最後の最後で助けられたと。」

「ちょっと、待て。あれは夢じゃなかったのか?確かにリアルだったが、そもそも俺は死んだんじゃねぇのか?」

「貴方様の肉体は既に死んでおられます。しかし、湊様と絆を育んだことにより、一時的に精神の死が遅れておりました。」

「はっ?そんなことがありえんのかよ。」

「実際に湊様と絆を育んだ方の一人であり、素晴らしい魂の輝きを持った方は一時的に精神のみとなり湊様と時を過ごしました。」

「マジかよ。」

 

 そんなことを聞き驚いていると、

 

「話を戻しますと、湊様の願いとは『貴方様の幸せ』でございます。」

「俺の『幸せ』だと?」

「ええ、ペルソナに苦しみながら誰よりも自分を犠牲にし、僕たちを支えてくれたあの人にもっと幸せになって欲しいとのことです。」

「チッ、余計な世話しやがって。誰よりも苦しんだのはてめぇの方だろうが。俺なんかを気にしてないで自分が幸せになりやがれってんだ。」

 

苦々しくつぶやいた。

 

「それでも湊様は貴方様の幸せを願い、契約をなさいました。」

「契約だと。おい、その手のものには代償が必要だろう。死んだやつを幸せにだろ?できるかどうかわからねぇがそんなことすんには相当な対価が必要だろう。あの野郎なにしやがった?」

「湊様には『世界』を見せていただきましたし、多大なご迷惑をおかけしましたので今回はこちらで対価を払わせていただきます。」

「だが、今の状況は自分の意思で決めたことだ。てめぇのケツはてめぇで拭くことにしてんだ。悪いがあいつの件はなかったことにしてくれ。」

 

俺は十分幸せすぎた、あんなことをしときながらこれ以上幸せになる資格なんかねぇよ…

 

「ホッホッホッ」

 

 急に鼻長が笑い出しやがった。

 

「急になんだよ?」

「いえ、湊様の仰っていた通りになりましたので。」

「あぁ?」

「湊様からの伝言です。「幸せになるのに資格なんて必要ありません。しかし、荒垣先輩は納得しないでしょう。なので、これは約束を守ったことの対価です。あの夜、長鳴神社で約束したことを僕は守りました。こんどは荒垣さんの番です。あのことを悔い背負っているのは知っています。でも天田は乗り越えました。罪は悔いて背負うだけではなく、罰によってあがなわれるべきです、荒垣さんへの罰は他の人を幸せにし、荒垣先輩も幸せになることです。約束ですよ。相手にとって嫌がることが罰ならこれ以上の罰は荒垣先輩にはないですからね。罪には罰を、罰の先には光りある未来を。荒垣先輩の次の人生が光に満ち溢れていることを願います。」とのことです。」

「ったく、約束ってのは両者の意思を確認してするもんだろうが。これじゃあただの押し付けだろうが。」

「いかがしますか?」

「ここで反対してもどうせ無理やり何とかするんだろう?」

 

 さっき湊のペルソナの管理と言っていたことから俺なんかより間違いなく強いだろうから逆らっても無駄だ。

 

「ご協力感謝いたします。貴方様には『転生』していただきます。」

「はぁ?そんなことできんのか?」

 

 また突拍子もねぇ話が出てきやがった。

 

「本来なら貴方様も輪廻転生の輪に入り、流れに沿って生まれ変わる予定でした。しかし私どもの力を使い、予定を少し早めるにすぎません。」

 

 そう簡単にできるとは思わねえがやれるってんならやれるんだろ。

 

「そうか。で、どうすんだ?」

「ここから私どもがお送りさせていただきます。その前にこちらをどうぞ。」

 

 そう言われあるものを渡された。

 

「これは!?おい、これをどこで手に入れやがった?」

「湊様からの預かり物でございます。壊れていたようでしたのでこちらで修理をさせていただきました。それと、「渡すのが遅くなってしまい申し訳ありません、次は落とさないように気をつけてくださいね。」とのことです。」

「あいつ…」

 

 久しぶりに手にした懐中時計を握り締める。もう戻ってこないと思っていたものが急に戻ってきて口元が緩む。

 

「そろそろ参りましょう。マーガレット、ご案内を。」

「かしこまりました。」

「おう、頼む。」

「では、お客人の旅に幸多からんことを。」

「では、こちらに。」

 

マーガレットが指を指した方向を歩き出したその瞬間、俺の足元に何もなくなった。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……」

「マーガレット。」

「様式美でございます。」

「はぁ、私は逝きます。この後のことは任せましたよ。」

「はい、かしこまりました。この後のことは私と弟にお任せください。」

「私は最後に良いお客人たちに恵まれた。」

 

 そういうとイゴールは目を閉じる。足元から光の粒子に変わり、何もなくなった。

 

「お休みなさいませ。」

 

 そういうと、一台の車がマーガレットの前にやってくる。

 

「お待たせしました、お姉さま。」

 

 マーガレットとよく似た服装の男が車から降りてくる。

 

「テオドア、主は逝かれました。我々も行きましょう。」

「かしこまりました。」

 

 テオドアは後部座席の扉を開き、マーガレットは乗り込む。車は再び動き出し、次の客のところに向かう。

 

 

 

 




 皆さん始めまして、ガイル01と申します。この作品は初めての作品となります。ミスや表現が異なるなどのことが多々あるかと思います。その際はぜひご指摘ください。
また、この作品はネタばれ、独自解釈や原作と異なる点が多々あります。そのことだけはご注意ください、それらの点はご指摘いただいても修正できない場合があります。
この作品ですが、やってしまいました。荒垣先輩の(以降ガキさん)転生ものです。ハイスクールD×Dが好きなのでなにかしら書こうと思っていたら、ガキさんが鈍器を振り回して堕天使や悪魔を吹っ飛ばしているシーンがぱっと浮かび、気づいたら資料を集めてました(笑)
今回はプロローグと言うことで次回からD×Dの世界での新たな人生が始まります。楽しみにしていてください。

[補足]
・ラストバトル
PS2版でガキさんの声を聞いたときは号泣しましたね。実は傍にいたというのは独自解釈です。

・マーガレット
誤表記ではないよ。

・屋上で美鶴と話す
ヒロインコミュで一番好きなもんで、湊のメインヒロインとなりました。

・素晴らしい魂の輝きを持った方
太陽コミュの神木さんです。

・あのこと
ペルソナの暴走で天田の母親を殺してしまったこと。

・湊の願い
完全に賛否両論に分かれる内容です。この作品を書くにあたって何種類か候補があり、罪を引きずるパターンなどもありました。でも今回はこのパターンでいきたいと思いますので受け入れられない方はいつかまたご縁があるときにお会いできたらと思います。

・長鳴神社で約束
PSP女主人公版のコミュLV10でアキを頼むという約束です。今作は男主人公ですが月のコミュをガキさんと築いたことになっています。グルキンごめんなさい。

・イゴール
一人の運命を変えるなんて管理者でも難しいことでしょう。また、ペルソナ5が発表され、きっと新しいイゴールが出てくるでしょうが、それは別の人という区別の意味を込め、ここで区切りとし、お休みしていただきました。私にとってイゴールはあの人だけなんで、中の人のご冥福を祈って。


以上が補足でした。なにかご質問ありましたらよろしくお願いします。
次回またお会いしましょう。

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