お漢(かん)転生   作:ガイル01

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あけましておめでとうございます!
お待たせしました、新年1作目出来ましたのでどうぞ!

この作品は、独自解釈、ネタばれ、原作改変、ブレイクなどがあります。
注意してください。




第12話

 

 

「ふおおおおおおおおおおっ!!!!」

 

 この声、兵藤か。

 …うるせぇ。

 何時だと思ってやがる、あの馬鹿野郎。

 

 俺は時計を見る。

 

「まだ、五時前じゃねえか。」

 

 今度アイツラに会ったときにただじゃおかねぇぞ。

 

 しかし、あれからもう3週間は経つか…

兵藤に特訓を頼まれたが俺が出来んのは実際に戦うことぐらいだ、それ以前にあいつにはやるべきことも他にあっから断ったんだったな。

 

 毎朝よくやるもんだぜ。

 とりあえず、今は…

 

 ね…

 

 

 る…

 

 

 

 

 ZZZ

 

 

 ジリリリリリリリリリリリリリ!!!!

 

 バンッ!!

 

 クソ、やっぱ寝た気がしねぇ。

 

「ふぁあ。」

 

 欠伸をしながら、準備を整える。

 1階に降りて冷蔵庫を開ける。

 

「昼飯どうすっか…」

 

 豚肉はあるな、メインはしょうが焼きであとは…

 

 よし、さっさと作っか。

 

 ………

 

 ……

 

 …

 

 うし、出来た。

 

 弁当の荒熱をとってる間に自分の飯を食ってと、その前に新聞取ってくっか。

 

 俺は新聞を取りに外に出る。

 

「ワンッ」

 

 それに気づいたコロちゃんが小屋から出てくる。

 

「よしよし、夜に散歩連れてってやるから待ってろな。」

「ワンワンッ!」

 

 コロちゃんを一撫で…何回か撫で家に戻り、飯を食う。

 

「鶏肉が底値か…」

 

 飯を食い終わり、コーヒーを飲みながらスーパーのチラシを見る。

 

「シンちゃんおはよ~。」

「おう、飯はそこに作ってあっから。」

「いつもありがと~シンちゃん大好きぃ。」

「馬鹿なこと言ってんじゃねえ。親父にも伝えとけ、俺はもう行く。」

 

 自分の食ったモンを片付け、荷物を持って外に出る。

 

「いってらっしゃ~い。」

「おう。」

 

 

 

「ん、ありゃあ…」

 

 学校に向う途中に見慣れたやつを見つける。

 

「あ、荒垣先輩。おはようございます!!」

「おはようございます。」

 

 兵藤とアルジェントが挨拶をしてくる。

 

「おう。」

 

 そういや、身元のねぇアルジェントは兵藤ん家で暮らしてんだったな。

 

「アルジェント。」

「はいっ!」

 

 若干緊張した面持ちでこちらを見てくる。

 そういや、あれからあんまししゃべっちゃいねぇし、こいつの前じゃあキレてる事の方が多かったからしかたねぇか。

 

「こっちの暮らしには慣れたか。」

「はいっ、イッセーさんも部長さんも皆よくしてくれます!!とても幸せです。これも主のみちび、ハゥッ!」

「アーシア!?」

 

 悪魔が祈りゃあ、ダメージくらうのも当たり前だろうが、こいつは。

 俺が苦笑いをする。

 

「荒垣さん笑ってますぅ。ひどいです。」

「はっ、気のせいだな。」

「ううう、絶対笑ってます。」

 

 アルジェントがこちらを涙目で見上げてくる。

 俺は目を逸らし、兵藤のほうを向く

 

「そういやぁ、兵藤。」

「はうぅ、話しを逸らされてしまいました。」

 

 アルジェントは…若干ふくれてっが、まぁ、いいだろう。

 兵藤に朝の件も言っとくか。

 

「お前、まだ朝の訓練やってんだな。」

「はい、あの日から毎日やってます!」

「そうですよ、イッセーさん毎朝頑張ってるんです!」

 

 兵藤の言葉にアルジェントが飛びつく。

 

「アーシアや部長が手伝ってくれるからな。アーシアいつもありがとな!」

「えへへ、イッセーさんの手伝いが出来てうれしいです。」

 

 顔を赤らめながらアルジェントが答える。

 

 兵藤の野郎、ハーレムハーレムとか言いながらなんで気づかねぇんだ?

 明らかに、アルジェントのヤツ、兵藤に好意を持ってんだろうが。

 

 それは、まぁいい。

 

「そうか、そりゃいいが、お前ランニングの際に叫ぶんじゃねぇ。近所迷惑だ、お前のランニングのルートに俺ん家の前が入ってんだ。今朝も叫んでたろうが。」

「つい…すみません。今後気をつけます。」

「夜もだぞ、前叫んでたろ。」

「あははは。」

「ったく。」

 

 乾いた笑いでごまかす兵藤を睨む。

 

「あ、夜といえばアーシアも仕事をやり始めたんですよ。」

 

 ほぅ、って大丈夫なのかそれは。

 

 アルジェントの方を見る。

 

 なぜ見られているのか分からず首をかしげる。

 

 いや、ダメだろこいつじゃあ。

 

「…なんとかなってんのか?」

「はい!まだ未熟なのでお仕事の際にはイッセーさんについてきてもらってますけど大丈夫です。」

 

 俺は兵藤を見る。

 

「ええ、俺もアーシアが騙されたりしないか不安でしたけど、相手の願いに合わせてこちらも対応するんで大丈夫です!ただ、最近皆忙しくてアーシアに付き添うのが大変になってきてるんですよね。」

「イッセーさん、迷惑をかけてしまってごめんなさい。」

「いいんだ、アーシア。俺はアーシアを守るって決めたんだ、これくらいなんとでもないさ。」

「イッセーさん…でもそれでイッセーさんが身体を壊してしまったら…」

 

 なんだ、この空気は…

 グレモリー辺りならわざとってのも考えられっが、コイツラの場合そうじゃねぇから気まじぃ。

 

 あぁ、くそっ!

 

「どうしようもねぇ時だけだ。」

「「えっ?」」

「どうしようもねぇ時だけ手伝ってやる。後は自分たちで何とかしろ。」

「本当ですか!?でも、以前荒垣先輩には迷惑かけちゃったし、部長もそれを気にしてるみたいで…」

 

 あれは、例外中の例外だったらしいが、この様子を見っと気にしてるみてぇだな。

 あいつらに非がねぇわけじゃねぇが…

 

 はぁ。

 

「こっちだって都合があんだ、しょっちゅう呼ぶんじゃねぇぞ。あと、この間みてぇにただ働きをするつもりはねぇ、グレモリーになんか用意しとくよう伝えとけ。」

「あの。」

「この間の最終的に引き受けたのは俺だ。それに、今後対価も貰うんだ、気にしなくていい。」

「ありがとうございます!!」

 

 思いっきり頭を下げる兵藤。

 

「ありがとうございます!」

 

 アルジェントも頭を下げてくる。

 

「お前ら、道のど真ん中でやんじゃねぇ。周りに変な目で見られんだろうが。」

「あ、すみません。」

「はぁ。」

 

 俺は先に歩き出す。

 

「待って下さい。」

 

 二人がその後をついてくる。

 

 そのまま、校門の前に着く。

 

「イッセェェェェェェェェ!!!」

「死ねェェェェェェェェェ!!!」

 

 あぁ?

 突っ込んできた男子が兵藤を吹っ飛ばす。

 

「イッセーさん!?」

 

 そのまま兵藤に詰め寄ってやがるし、女がどうとか漢女がなんだとかワケわかんねぇ事いってやがるな。

 

 俺には関係ねぇな。

 

「アルジェント、俺ァ先行く。」

「え?あの、え~と、はい。わかりました。」

 

 おろおろしているアルジェントに一声かけて俺は先に行く。

 

 

 

 教室に着くと姫島が声をかけてくる。

 

「おはようございます、荒垣君。」

「おう。」

「ふふ、今朝はとてもにぎやかだったみたいですね。」

 

 こいつ見てやがったな。

 

「あいつらが勝手に騒いでただけだ。」

「あらあら、そうですか。」

 

 ったく。

 グレモリーも外を見てやがるって事はあいつも見てたってことか…

 

 ん?

 なんか様子が違ぇか?

 

「部長は家のことで少し悩んでいるんです。そっとしておいてあげてください。」

「そうか。」

 

 その様子に気づいたのか姫島がいう。

 

 コイツがそう言ってんならそうするか。

 

 

 ………

 

 ……

 

 …

 

 

 授業も終わり、買い物をして家に帰る。

 飯を食い終わると、俺は散歩の準備をする。

 

「よし、行くか。」

「ワンッ!!」

 

 コロちゃんがしっぽを振りながら答える。

 

 いつも通りのルートで神社に行き、ひとしきり遊んだ後、ペルソナの訓練に入る。

 

「ペルソナッ!」

 

 カストールを呼び出し、木を殴らせる。

 

 ザァッ

 

 落ちた葉が風に乗って舞う。

 

 すぅ

 

 はぁ

 

「カストール!」

 

 俺が叫ぶとカストールは胸から刃を引きずり出し、舞う葉を切り刻む。

 

 集中しろ。

 

 威力は要らない。

 

 正確に切り落とす。

 

 外すな。

 

 葉が全部地に落ちたのを確認すると俺はまたカストールに木を殴らせ、同じ事を繰り返す。

 

 

 もう同じ事は繰りかえさねぇ。

 

 

 1時間ひたすらに切り続けた。

 

 

「ふぅ、ここまでにしとくか。」

 

 置いておいた水を飲み、汗を拭く。

 

「さて、コロちゃんを迎えにいって帰っか。」

 

 俺は境内へと足を向ける。

 

 prrrrrrrrrr

 

 これは兵藤か。

 

「なんだ?」

「荒垣先輩…助けてください。」

 

 なに?

 どういうことだ?

 すげぇ切羽詰った声してやがる…

 まさか、敵襲か!?

 

「どこにいる。」

「旧校舎の部室です。」

「そこは安全なのか?」

「え?ええ。」

「今行く。」

 

 コロちゃんを戻しに行ってる暇はねぇ。

 部室が安全ならそこに置いとくしかねぇか。

 

 俺は神社の階段を駆け下りる。

 コロちゃんもそれに続く。

 

「間に合えよ。」

 

 

 

 

 旧校舎に着く。

 部室まで全力で駆け、扉を開ける。

 

 バンッ

 

「おい、無事…か?」

 

 俺は固まる。

 

 全力で駆けてきた俺を向かえたのは

 

 

「すいませんっしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 土下座の兵藤だった。

 

 

 頭を地面にこすりつけ、決してあげようとしない兵藤。

 その隣りでオロオロしているアルジェント。

 

 パァッ

 

 部屋にある魔法陣が光り、姫島が現れる。

 

「あらあら、荒垣君がなぜここに?あと、これはいったいどういう状況かしら?」

「俺が聞きてぇ位だ。」

 

 とりあえず。

 

「兵藤、ツラあげろ。そのままじゃ話しになんねぇ。」

 

 

 ………

 

 ……

 

 …

 

 

「ようするに、今日言われたばっかなのに呼び出すのが申し訳なくてあんな声になり、仕事の依頼が大量に来てテンパッて説明を忘れたと。」

「はい…」

 

 再び土下座に戻った兵藤が答える。

 

 コロちゃん、踏みつけるのは止めなさい。

 

「とりあえず、もういい。要件を聞かなかった俺もわりぃ。俺ァなにをすればいい。」

「手伝ってくれるんですか!?」

「そういう話だったろうが。」

「ありがとうございます!!」

 

 兵藤は何回も頭を地面に打ち付ける。

 それを止めるアルジェント。

 

 そういえば、グレモリーもいねぇな。

 

「グレモリーはどうした?」

 

 俺は兵藤に問いかける。

 

「今お家の方が忙しく、部長最近夜は一時的に実家に帰ってるみたいです。ただ、そのせいで仕事が大変になってるんです。」

「どういうことだ?」

「ええと、上級悪魔である部長を呼ぶ相手というのはそれ相応の地位にある人が多いんです。部長の代わりに対応できるのは『女王』の朱乃さんだけなんです。なので、朱乃さんの分の仕事も俺たちが担当していて…特に今日は部長宛と朱乃さん宛の仕事が多い中、俺たちの仕事もありで…」

「なるほどな。」

 

 ソロモン72柱のグレモリーという名の悪魔を呼び出すんだ、呼び出される側もそれ相応の対応をしなければならないってわけか…

 

「…大丈夫そうですね。」

 

 ん?

 

 姫島の方を見ると、なにか魔法陣をいじっていたらしい。

 

「この魔法陣は本来、グレモリー眷属の悪魔しか使えないものなのですが、この間のことからグレモリーと契約した人間。つまり荒垣君でも魔力と認証をすれば使えるようにしましたわ。」

 

 確かに、あの神父とやりあった時、こいつが使えてたらもう少し楽だったが、しっかり対応をしてたか。

 

「昨日の今日でもなく、今日の今日に、本当にすみません。あ、呼び出しが…」

「呼ばれてんならさっさと行け。」

「はい、アーシアをよろしくお願いします。」

 

 兵藤は一度頭を下げた後、外へと駆けていった。

 

「あら、私も次の仕事が入ったようです。基本はアーシアちゃんが相手の望みをかなえ、荒垣君はアーシアちゃんの護衛と補助をお願いします。」

「わかった。」

「では行ってきますわ。」

 

 そう言って、姫島は魔法陣から移動する。

 

「よろしくお願いします!!」

 

 アルジェントが深々と頭を下げてくる。

 

「おう。ただ、メインはお前だ。わかってるな。」

「はい、がんばります!!あ、私もお仕事が来ました!!この人は以前イッセーさんが担当した方みたいですね。」

「なら問題ねぇな、さっさと行くぞ。」

「はい!!」

 

 俺とアルジェントは魔法陣の中央に立つ。

 そうすると、俺の手が光り、契約の際に現れた紋章が現れる。

 

 その瞬間、景色が歪み、目の前が真っ白になる。

 

 ッツ。

 

「着いたか。って、んだこりゃ?」

 

 目の前は確かに部室じゃねェが、ワケのわからねぇポスターやが部屋一面に張られ、棚にはフィギュアやDVDか?が並んでやがる。

 

 アルジェントのヤツは見たことねぇモンに目を輝かせてるが…

 

「いらっしゃいにょ。」

 

 後ろだと?

 警戒はしてたはずだ。

 気配すら感じねぇだと!?

 

 俺とアルジェントは同時に振り返る。

 

「なっ!?」

「ひっ!!」

 

 なんだこいつは!?

 人間か!?

 

 圧倒的な巨体

 

 その身体は鍛え上げられ、一部の隙もねぇ。

 

 そして、あの目。

 怒り?

 自己嫌悪?

 殺意?

 それらが入り混じりながら、目的のためなら手段を選ばないという覚悟が読み取れる。

 

 コイツは立っているだけなのに圧倒される。

 

 なんてプレッシャーだ、冷や汗が止まらねぇ。

 目が離せねぇ。

 目線をずらしただけで殺られる。

 

「はぁ、はぁ。」

 

 アルジェントのヤツが緊張のあまり過呼吸になってやがる。

 

「アルジェント!しっかりしろ。」

「はっ!?はい!」

 

 俺は目を目の前のヤツから目を逸らさずに叫ぶ。

 

 なんとかこっちの声に反応したがそう長くはもたねぇ。

 

 どうする。

 

「違う、悪魔さんにょ。」

「なに?」

 

 カッ!!

 

 やつの目が光る。

 

 とっさにアルジェントの前に立つ。

 

「クッ!」

「きゃああああああ!」

 

 目の前が一瞬歪みやがった。

 それに風が吹いたわけじゃあねぇのに後ろに吹き飛ばされそうになる錯覚がしやがった。

 

 気当たりってやつか!!

 

 ズンッ

 

 ヤツが一歩前に出る。

 こちらは自然と一歩下がる。

 

 ズンッ

 

 さらにヤツは歩を進める。

 

 チィッ!!

 出し惜しみなんかしてる場合じゃねぇ。

 

「ぺルッ!?」

 

 俺がカストールを呼び出そうとした瞬間、目を離していねぇはずなのにヤツは俺の目の前にいた。

 

「なぁっ!?」

 

 俺はとっさに右手で殴りかかる。

 

 片手で止められる。

 

 マジかよ、手加減はしてねぇぞ。

 

 グッ

 

 掴まれた俺の手に力が入るのを感じる。

 やべぇ、手がつぶされる!!

 

 だが、引いてもビクともしねぇ。

 

 ヤツはもう片方の手も使い、俺の右手を挟む。

 

 アルジェントがいるなら右手は壊れてもなんとかなるだろう。

 ヤツが俺の手を破壊した瞬間、反撃に移る。

 

 俺の右手にさらなる力が入る。

 

 ミシッ

 

 骨がきしむ音がする。

 

 グッ、まだだ。

 

 俺の手が限界を迎えようとする。

 

 今だっ!!

 

「カス「ミルたんを魔法少女にしてほしいにょ!!」」

「はっ?」

「へ?」

 

 ヤツは俺の手を持ったまま跪き、言った。

 

「今まで会ったり、呼んだりした悪魔さんたちには無理だったにょ。でも今回は二人も来てくれたにょ。お願いしますにょ。」

 

 俺の聞き間違いか、コイツの語尾がおかしくないか。

 それによく見たら服装もおかしいじゃねえか。

 なんだ、その服!!

 明らかにサイズあってねぇだろ、はちきれんぞ!!

 てか、猫耳とかおかしいだろ。

 

 スッ

 

 アルジェントが俺の前に出る。

 

「おい、アルジェント!!」

「大丈夫です。この人の目、一見怖そうですけれどとても優しい純粋な瞳をしています。」

「おい…。」

 

 アルジェントはポケットから機械を取り出し、打ちはじめる。

 あれは以前兵藤から聞いたが願いの対価だかを調べる道具だったはずだ。

 

 打ち終えると、ヤツの近くにより声をかける。

 

「ごめんなさい、私では貴方の願いをかなえてあげることが出来ません。」

「…やっぱり、無理だったかにょ。」

 

 目に見えてヤツがへこむのが分かる、やつの周りを覆っていた気配も弱まる。

 

「本当に…ごめんなさい。貴方のような純粋な方の願いすら叶えられない私を許してください。」

 

 アルジェントは泣きながら答える。

 

「私のために泣いてくれるのかにょ?なんて優しい子なんだにょ。うおおおおおおおおんん!!」

 

 ビリビリッ!!

 

 ヤツの泣き声に大気が振るえ、いや部屋全体が震える。

 

「泣かないでください、私の力不足がいけないんです。」

 

 おい、アルジェント。

 さっきまで、過呼吸で死にそうになってたのになんだその順応の速さは。

 警戒心を持ちやがれ、あの手が少しでも当たったら死ぬぞ、お前!

 

「うおおおおおおおおおん!!なんて、なんていい子なんだにょおおおおお!!!」

 

 パパパパンッ!!

 

 うお、窓ガラスまで割れやがった!

 

「アルジェント!!どうでもいいからとりあえずソイツを止めろ!!」

「は、はいッ!!」

 

 ………

 

 ……

 

 …

 

「ごめんなさいにょ。つい感極まってしまったにょ。」

「いいえ、構いませんよ。時には泣くことも必要だと思います。」

「アーシアたん…」

 

 あの後、アルジェントがコイツを宥め、落ち着かせることに成功し、ようやく自己紹介をして落ち着いたわけだが…

 

「それでどうすんだ。」

「え?」

「お前は契約を取りに来たんだろうが、最初の望みが無理なら他のにするとかあんじゃねぇのか。」

 

 正直さっさと帰りてぇんだ、目の前の存在から一刻も早く離れてぇ。

 

「そうですね。ではミルたんさん他になにか願いはありますか?」

「う~んとにょ、そうだにょ!」

「なにかありましたか?」

「え~とにょ…」

 

 コイツいきなり落ち着きがなくなりやがったが…

 

「あの、そのにょ。」

「遠慮しないで言ってくださいね。」

 

 メキッ!

 

 うおっ、机を握りつぶしやがった。

 なにがしてぇんだ、コイツ!?

 

「ミルたんさん、深呼吸しましょう!」

 

 すぅ~

 スゥー

 

 はぁ~

 コォー

 

 アルジェントのは深呼吸だが、コイツのは違くねぇか…武術の呼吸法みてぇなやつだろうそれ。

 コイツの中でなにかが高まってんのを感じんぞ。

 

「アーシアたん!!」

 

 ゴウッ

 

 アルジェントに向って声を上げる。

 その瞬間、風が生まれ、アルジェントの髪が扇風機の正面に立ってるみたいに後ろになびく…それどころか後ろに倒れそうになってんじゃねえか。

 

「はい。」

 

 それでも、一瞬たりとも目を離さない。

 

「私の…友達になって欲しいにょ!!」

「はい、喜んで!」

「ッ、ほんとにょ?」

「はいっ!!」

「う…」

 

 やべぇ!!

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおんんんん!!!!!!!」

 

 うぉぉぉぉぉぉ!!!

 

 パンッ

 

 無事だった窓ガラスが!!

 

 ドサドサドサッ!!

 

 棚からモノが!!

 

 ギィィイイッ!!

 

 てか、棚自体まで!!

 

 さっき以上の泣き声に部屋が崩壊を始める。

 

「アルジェントォォォオオ!!」

「は、はいぃいい!!ミルたんさん落ち着いてください!!」

「うおおおおおおおおんんん!!」

 

 ………

 

 ……

 

 …

 

 

「それでは、私たちは行きますね。」

「また会えるのを楽しみにしてるにょ。」

 

 …

 

「ミルたんさん。」

「アーシアたん。」

 

 ガシッ

 

 抱き合う二人

 

 …好きにしてくれ。

 

「そうだ、お友達のアーシアたんのお見送りにミルたんの得意技を見せてあげるにょ。」

「本当ですか!!」

 

 おい、ちょっと待て。

 

「アパートの裏に空き地があるからそこに行くにょ。」

「はい!」

 

 嫌な予感しかしねぇ。

 

 

「それじゃあ、いくにょ!」

 

 ビシッ!

 

 ヤツが杖を振り、ポーズをとる

 

 ゴウッ!

 

 衝撃で周りがなぎ払われる。

 それをお構い無しにヤツのポージングは続く。

 

「エターナルゥウウウウ!!」

 

 ビシッ!

 ゴウッ!

 

「ミルキーィィイイイイ!!!」

 

 ギュルルッ!

 ザァァァッ!!

 

「スパイラルゥウウウウウウウウ!!!!」

 

 ズンッ!!

 ミシッ!!

 

 ヤツが杖を振るうたびに、衝撃波が走り、回転すると竜巻が生まれ、踏み込むと地面が割れる。

 

 そして

 

「バスタァァァァアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

 

 バッ!!

 カッ!!

 

 ヤツが杖を持っている手を振り上げた瞬間

 

 

 ヤツは光に包まれ…

 

 

 天をも貫く光の柱となった…

 

 

 

 杖関係ねぇよ、身体からでてるじゃねぇか。

 

「……………帰るぞ。」

「アーシアたん、荒垣さん、またにょおおおおお!」

「はい、素敵なお見送りありがとうございました!!」

 

 俺たちも魔法陣の光に包まれ、その場を離れる。

 

 

 パァッ

 

 俺たちは部室に戻る。

 

「アーシア!!お疲れ!!」

 

 兵藤が駆け寄ってくる。

 

「おい、兵藤。」

「荒垣先輩どうもありがとうございました!!」

「お前…すげぇよ。」

 

 肩に手をおく。

 

「え?」

「俺には無理だ。」

「え~と、アーシア?今回の依頼人は…」

「はい、イッセーさんのお知り合いのミルたんさんでした!!お友達になりました!」

「あ~ミルたんは…お疲れ様でした。ってアーシア!?お友達ってどういうこと!?」

 

 アルジェントと兵藤が話し始めると俺はその場を離れ、ソファに座り込む。

 

「あ~疲れた。」

 

 スッ

 

「あ?」

「荒垣君、お疲れ様です。紅茶を入れましたのでどうぞ。」

「ありがてぇ。」

 

 ズッ

 

「うめぇ。」

「ふふ、ありがとうございます。」

「荒垣先輩。これもどうぞ。」

 

 そう言いながら、塔城がクッキーを差しだしてくる。

 

「おう、サンキュ。」

 

 あ~疲れた身体に甘いモンがうめぇ。

 

「え~と、荒垣先輩とても疲れているようですがなにかあったんですか?」

 

 正面に座ってランスを弄っている木場が尋ねてくる。

 

「アルジェントに聞いてくれ…てか、なんだその槍は。」

「アハハ、そこまでひどかったんですか。これは、以前イッセー君が依頼の報酬として貰ってきた物です。普段はそこの壁に立てかけてありますので興味があったら見てみてください。」

 

 もういい、突っ込む気力もねぇ。

 あと、俺はあれをただの人間とは認めねぇ。

 

「ク~ン。」

 

 俺の足元にコロちゃんが擦り寄ってくる。

 

「大丈夫だ。」

 

 そう言いながら頭に手を置く。

 

「ワンッ!!」

 

 お~お~うれしそうだな。

 

「あらあら、ご主人様の気持ちが分かるなんて賢い子ですね。」

「…。」

「あら、小猫ちゃんどうかしましたか?」

「なんでもありません。」

「そ、そうですか。そういえば、荒垣君は他にも動物を飼っているんですか?」

「いや、今はコロだけだ。昔、猫やら鳥やらを飼ってたがな。どいつも拾いモンだけどな。コロも俺がガキの頃に親父が拾ってきた。」

「そうなんですか…じゃあ、本当に子どもの頃からの付き合いなのですね。」

「まぁな。ん、どうしたコロ?」

 

 コロは俺のところを離れて、塔城のところに向う。

 

「なんですか。」

 

 塔城とコロが見つめ合う。

 

 スリスリ

 

 コロが塔城の足に擦り寄る。

 

「あらあら、小猫ちゃん懐かれましたね。」

「…まぁ、犬は嫌いではありません。」

 

 そう言いながらコロを撫でる。

 

「いいな、小猫ちゃん。僕なんか触ろうとしたら吼えられちゃったんだよね。」

 

 珍しいな、コロが人に向って威嚇するような真似は普段しねぇんだがな…。

 

「さて、そろそろお開きにしましょうか。荒垣君今日は助かりました、本当にありがとうございます。報酬は部長に連絡して明日までに用意しておきますね。」

「おう。」

「ただ、教室で渡すと騒がれそうだから、帰りにでも部室に立ち寄ってくれますか?」

「わかった。」

 

 確かに、教室でやり取りすっと周りがうるせぇしな。

 

 外に出て、家へと歩き始める。

 

 とりあえず、今日はもう疲れた。

 帰って寝る。

 

「あの。」

「あん?アルジェントかどうした。」

「荒垣さん、本当に今日はどうもありがとうございました。」

「結局、俺はなんもしてねぇ。お前がやっただけだ。」

「そんなことないです、それに凄く心強かったです!」

「ああ、わかったわかった。落ち着け。」

「ただ、これが普通だと思うんじゃねぇぞ。これからは自分たちでどうにかしろ。」

「はい、がんばります!」

 

 両手でこぶしを握るアルジェント。

 

「アーシア!帰ろうぜ!」

「呼ばれてんぞ。」

「はい、それでは失礼します。」

 

 頭を下げて兵藤の下へと向う。

 

「俺も行くか。」

 

 俺も家へと歩いていった。

 

 





 新年明けましておめでとうございます、ガイル01です。今回も読んでいただきありがとうございます。
 原作2巻スタートとなりますが、地味に書き辛かったですね、今回。1巻を綺麗に終わらせすぎて、どうスタートするかかなり悩みました。次回はライザーの登場ですね、2次ではかっこいいか焼き鳥かの2択になる傾向が強いライザーですがうちではどうなることやら。
 あと、一点謝罪があります。ガキさんとグレモリー・シトリーとの契約内容について補則を入れてあるつもりでしたがすっかり忘れていました。すみません。今回の補足に入れますのでご指摘してくださった方、どうもありがとうございます。
 それではまた次回お会いしましょう。


[補足]
○契約について
 契約内容は、

1.相互召喚
2.念話
3.知識
  +
・証明書代行

の三つになります。
 1と2は作品中にも触れましたが、非常時や危険なときに互いを召喚することと特殊なパスを通じての念話ですね。ただし、結界などを張られてしまうと両方とも使用が不可能になります。
 そして、補足をし忘れていたのが3です。アーシアが人間の状態だと日本語が分からないはずなのに、ガキさんと話しているのはなぜ?というご意見を頂いたのですがその答えがこれです。
悪魔との契約は力・知識・富と権力が一般的なものらしいですが、その中の知識の部分を得る形で語学を理解し使える力を手に入れました。
 エピソードを入れると長くなるので端折ってしまったんですが、まとめると人間相手に必ずしも敵が日本語を話してくれるわけではない、語学が出来なければ駆け引きや目的を聞きだしたりも出来ない、という理由で語学関係の力もグレモリーとシトリーは契約に入れました。
 この力ないと今後ガキさんが仲間はずれ状態になるんで…重要なところを細くし忘れていてすみませんでした。
その他、魔力の底上げや譲渡、富や権力等も考えましたが、ガキさんはいらないと言うでしょう。特に力関係なんかは。
 この契約は、今のところ人間であることを選び、眷属にならないということの証明と今後出てくる海外関係の原作キャラと会話をさせるためという意味合いもあります。
 あと、ガキさんの両手にある紋章はグレモリー・シトリー両家の関係者であることを示し、今後証明書代わりになります。


○悪魔の仕事関係
 ガキさんに手伝わせるのは悩んだんですが、ミルたんと絡ませたかったんです!!すみません。原作なら「めんどくせぇ」や「気が向いたらな」で流してしまう気がしますが、うちのガキさん甘めですね。ただ、ある程度しっかり決めて、なあなあにはならないようにします。
 あと、通常特訓に関しては手伝わせる気は現状ないですかね、今の状態のグレモリー眷属が一緒に訓練したら大変なことになりますので、どう大変になるかは後数話でわかります。


○ミルたん
 原作においても明らかにチートなミルたんです。歴戦の強者ですらその気配を察知することが出来ませんでした。原作における人類最強だと思う。魔王様でさえ認める実力の持ち主。そんなミルたんとガキさんを是非絡ませたくて書いていたら案の定ストーリーが進みませんでした。
 原作ではそんなに戦闘シーンはありませんので独自解釈が多々含まれます。ミルたんに関しては遠慮をするつもりはありません、完全チートな存在になるでしょう。
 最後の光の柱はなんというか気というか生命エネルギー的なあれです、きっとドラゴン波とか普通に出せちゃいます笑
 あと、ミルたんの服装を見て、似合うに似合わないではなく、服の心配をするガキさんマジオカンです。
 最後に、アーシアがミルたんと友達になるのも原作にはありません、最初は宿敵の悪魔(設定)に力を借りるのが悔しいのと警戒をしてあのような目をしていましたが、1回目のイッセーやアーシアの優しさに触れ、一部の悪魔には心を許しています。が、アーシアがミルたん召喚できるようになったら最強な気が…

 以上、補足でした。
 なにか質問やご意見、感想がありましたら遠慮なくよろしくお願いします。

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