お漢(かん)転生   作:ガイル01

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初戦闘回です。
どうぞ。

この作品は、ネタばれ、独自設定、原作設定と異なる点があります。
ご注意ください。


第3話

 支取とスーパーで出会ってから数日が経ったある日、放課後に俺が廊下を歩いていると後ろから声をかけられた。

 

「す、すみません。」

「あ?」

 

 振り向くとそこには兵藤が緊張した面持ちで立っていた。

 

「急で申し訳ないんですが、あの先輩。この間、町で俺と会ったのを覚えてますか?」

「ああ。」

 

 兵藤と町で会ったのはあの日一回だけだから間違いはねぇだろう。

 

「!! その時、俺と一緒にいた女の子のことも覚えてますか!?」

「ん、あの黒髪の…女だろう?」

 

 あの女の目つきは気にくわなかったが、この様子を見るに彼女かなんかなんだろう、下手な事は言わねぇでおくか。

 

「そうですか!ははっ、やっぱり夕麻ちゃんはいたんだ!!」

 

 …こいついきなり叫びだしてどうした。

 俺が若干引き気味でいると

 

「先輩どうもありがとうございました!!」

 

 そう言って兵頭は思い切り頭を下げ、廊下を飛び跳ねながら駆けていく。奥にダチがいたのかこっちまで聞こえるでけぇ声で話始める。

 

「松田、元浜!今日は無礼講だ!炭酸飲料とポテチで祝杯をあげながらエロDVDでも視聴しようじゃねぇか!」

「おおっ!それだよ、それ!それこそ、イッセーだ!」

「その意気だ。青春をエンジョイしようではないか。」

 

 何を話すかは人の自由だが、人前で大声で話す内容じゃねえだろ、女子がすげぇ目でみてんぞ。

 直前まで話してた俺まで変な目で見られかねねぇからとっとと帰るか。

 

 

 

 

「あそこは予想以上だったな。」

 俺は一度家に帰った後、夜ラーメンを食いに出かけていた。そのラーメン屋は屋台でいつも決まった時間に決まった場所にいるわけじゃねぇ。神出鬼没。連日現れたかと思えば、一週間以上現れない時もある。かくいう俺もタイミングが悪く、出会うことが出来たのは今日が初めてだった。ネットで知り合ったグル☆キンとかいうやつに教えてもらわなきゃ今回も食えずじまいになるとこだったぜ。

 

「はがくれには及ばないものの、美味かったな。塩ラーメンの中じゃダントツだな。塩ラーメンはあっさりという固定概念をぶち壊す一品だった。」

 

 ラーメンには、具はなし。あるのは麺とスープのみ。あのスープ、底がはっきり見えるくらい透き通っているのに飲んだ瞬間口に広がる豊富な食材の味。どれだけの食材を使ってんだというくらい複雑な味、スープを飲むだけで一食食べたかのような満足感に襲われた。かといってお互いを邪魔することなく、引き立てあってやがった。あのバランスを取る何かがある。だが、まだそれはわからない。それにあの麺だ、それだけ複雑な味のスープに負けることなく、小麦の味をしっかり感じさせる麺だった。スープに絡みやすい縮れ麺であり、口の中で噛むとプツンという音とともに切れ、口の中で味が広がり、スープと混ざり合い、『ラーメン』として高い次元へと昇っていく。

 

「久しぶりに通いてぇって思った店だったぜ。おっと、もうこんな時間か」

 

 時計を見ると、既に午後十時を過ぎていた。

 

「一応伝えてあるとはいえ、あんまし遅ぇとお袋がうるせぇしとっとと帰るか。」

 

 久しぶりの満足行く味に俺は上機嫌に歩いて帰る。家への近道になる公園を抜けるため、公園に入ろうとすると、

 

 

 

 

 血塗れになって倒れる後輩と光の槍を逆手で構えた黒い羽の生えた男がいた。

 

 俺は咄嗟に近くにあるものを掴み、公園へ駆け込む。

 そして、羽の生えた男に死角から容赦なく振り下ろした。

 

「おりゃあああああああ!!」

 

 ズドォン!!

 

「グッ!!貴様何者だ!」

 

 男は羽根を広げ、空へと距離をとる。

 

「チッ、腕一本か。浅かったか。」

 

 羽の生えた男を見ると、槍を構えていたほうの手がひしゃげてはいたがそれ以外に大きなダメージは見られなかった。

 

 くそっ、死角からの奇襲で一撃でしとめられねぇなんて、なさけねぇ。ここまでなまってやがったか。

 

「人間だと…ふざけるなぁ!人間ごときがこの私によくも傷をぉおおお!!」

 

 ヤツの叫びに大気が震え、瞳は怒りに染まり、俺を捕らえる。そして久しぶりに感じる殺気、遊びではない。戦場に再び戻ってきたのをいやでも実感させられる。

 さて、どうする。次の行動を考えていると先に動いたのはヤツだった。

 

「死ねぇい!!」

 

 そう言うとヤツは傷ついていないほうの手を振り上げ、光の槍を作り、投げつけてきた。

 容赦のない一撃。すさまじい速さで俺の心臓へと迫る。

 一般の人間では避けようのないもの。しかし、それを俺は。

 

「フン…オラァ!」

 掛け声とともにさっき咄嗟に手に取った武器。しかし、使い慣れた武器である『バス停』を振り回して破壊する。

 

「なにぃ!?」

「す…げぇ…」

 

 まさか、人間ごときに自慢の槍が破壊されるとは思っていなかったヤツは動きを止める。

 その隙に兵藤に駆け寄る。

 兵藤の腹には光の槍が刺さっており、それが傷口を焼いていた。あきらかにやべぇもんだというのがわかる。すぐに俺は持っていたハンカチを兵藤の口に突っ込む。

 

「歯ぁ食いしばれ。それ抜くぞ。」

「ぐぅっ!!」

 

 ずりゅ。

 

 嫌な音とともにそれが抜ける。

 

 がらぁん。

 

 音を立てながら槍が落ちる。

 兵藤の口からハンカチを抜き、上着を脱ぎ、腹に巻きつける。

 

「動けるか。」

「は、は…ゲホッ」

「チッ。」

 

 返事をしようとしたが、傷が深いせいで血を吐く。

 

「喋るな、俺があいつの気を引く。気を失ったフリをして俺が離れたら逃げろ。」

「で…も、それ…じゃ…せんぱ…いが…」

「しゃべるなって言ったろうが。」

 

 兵藤の前に手を出し、これ以上話させないようにし、立ち上がり、ヤツのほうに歩き出す。

 

「それにこういうのには慣れてんだよ。」

 

 そう言って武器を肩に乗せ、ヤツを睨む。

 

「さて、鳥野郎。掃除してやる、かかってきな。」

 

 兵藤から意識を遠ざけるためにヤツを挑発する。

 

「おのれぇ、殺す。絶対殺してやる!!」

 

 挑発と槍を壊されたことでプライドが傷ついたせいか、槍を携えヤツはこちらに向かって急降下してくる。

 

「接近戦なら好都合だ。」

 

 そう言いつつ迎撃する。

 急降下のスピードに合わせ、出された突きを正面から受け止める。

 

 ギンッ!

 ズザァ

 

 少し押されるがもんだいねぇ。受け止められて体制を崩したやつに向かってバス停を振り下ろす。

 

 ガンッ!

 

 受け止められる。さっきの槍より頑丈に作られているのか、折れはしない。

 

 ドンッ

 

 反撃される前に蹴り飛ばして距離を開ける。

 

「グッ」

 

 続けざまに横からバス停で殴りつける。

 

 ブンッ

 

 ヤツの横顔をかする。あたってねぇ。だが、ヤツがのけぞる。追撃だ。

 前に踏み込み、全力で再びバス停を振り下ろした。

 

 ズドォン!!

 

 直撃はしなかったが、避け切れなかった右足は折れ、衝撃でヤツは吹き飛ばされる。

 

「ぐはぁ。」

 

 さっきの蹴りで骨が折れて刺さったのか血を吐く。

 

「おのれおのれおのれおのれおのれおのれええええ!!人間ごときがああああ!!」

「ごとき、ごときってうるせぇ。テメェがどんだけ偉いかなんて戦いには関係ねぇだろうが。」

 

 そう言いながら、兵頭がいた場所に意識を向ける。そこには既に姿はなく、血の跡が公園の外へと続いていた。

 

「よし、逃げたか。」

 

 そう呟くと、ヤツに向かって駆ける。

 

 やつは迎撃しようと槍を突き出す。

 

「槍の扱いが中途半端なんだよぉ!!」

 

 そう言いながら、槍を弾き飛ばし、やつの胸倉を掴み引き寄せ、頭突きをかます。

 

 ドゴォ!

 グシャ

 

 ヤツの顔面に当たり、吹き飛び倒れる。

 俺は武器を構えたまま警戒をする。

 

 おかしい。

 

 戦いながら気づいたが、ヤツは槍の扱いが中途半端だ。そもそも近接戦闘そのものが中途半端だ。

最初見たときヤツは槍を使い、兵藤を殺そうとしてやがった。ヤツの武器が槍なのは間違いねぇ。なのに、なんであんな中途半端なんだ。

 

 考えろ、やべぇ予感がする。

 

 俺とヤツが対峙した時、ヤツはプライドを傷つけられ、激昂状態だった。なら通常の状態はいつだ。

 兵藤とやりあってたときだ。

 兵藤と向き合ってたときのこいつはどういう状態だった?

 

 腹に槍が刺さる兵藤

 

 右手に槍を持つヤツ。

 

 複数の槍

 

 強度の異なる槍

 

 ッ、そうだ!あの時のヤツの槍の持ち方、兵藤への槍の刺さり方。

 

 気づいた瞬間、俺は全力でヤツに向かって駆ける。

 

「うおおおおおおお!」

 

 バス停を振り上げ、振り下ろす。

 

 ズドォン!!

 

 衝撃で地面が揺れ、土埃が舞う。

 しかし、敵を打った感触はなかった。

 

「チッ。」

 

 上から急に何かが降ってきくる。

 咄嗟に飛び退り、避ける。

 

 土埃が晴れた時、ヤツは空中にいた。

 

 

 周りにいくつもの光の槍を携えながら。

 

「それが本来の戦い方ってワケかよ。」

「そうだ、人間と侮っていた私が愚かであった。ここは、狩場ではない。戦場だ。ならいるのは狩られるものではなく、敵だ。」

 

 そういうとヤツは一斉に槍を放つ。

 

 そう、ヤツは近接系ではなく、自分の能力を生かした物量で敵を制圧する遠距離系の敵だ。

 

「クソッ。」

 

 時に弾き、時に避け。自分に当たる最低限のものだけを対処する。

 しかし、自分に当たらないものも時が経つにつれ量が増え、壁となって避ける障害となる。

 

「このままだとジリ貧か。」

 

 しかし、ヤツは一切の油断なく、徹底していて一定の距離を保ち、空から降りず、槍を放ち続ける。

 

「ったく、山岸のありがたみが良くわかったぜ。」

 

 ヤツの槍は止むことなく絶えず降り続く。

 

 俺は避けながら次の手を考える。

 

 その時だった。偶然だった。気づかなければ良かった、でも気づいてしまった。

 

 一匹の猫が脇の茂みにいたことを。

 そして、そこに向かって大量の槍が降り注いでいることに。

 

「クソがああああああああ!!」

 

 駆ける。

 

 辿り着いた時、槍は既に目の前にあった。

 

 ズドドドドドドドッ!!

 

 槍が彼らの居た一帯に降り注ぐ。

 周りの木を、草を吹き飛ばす。

 

「お前は本当に人間か?人間ならとうの昔に吹き飛んでいるはずなんだがな。」

「へっ、あいにく頑丈に出来ているもんでな。そう簡単には死なねぇんだよ。」

 

 俺はそう言う。しかし、俺の脇腹と左足には槍が刺さっている。数が多かったせいか兵藤に刺さっていたものよりは細いが相当やべぇ状況であることには違いねぇ。

 俺は自分の後ろを見る。

 

「血の跡はねぇな。逃げたか。それでいい。」

 

「ガッ。」

 

 口から血を吐く。ふとあのときを思い出す。

 

「はは、そういや…あの時も似た感じだったかな。」

 

 思い出すのは、あの路地裏。

 

「だがな、あの時と違って俺は死ねねぇんだ。あいつとの…約束があるからな。」

「お前は危険だ。最後まで徹底させてもらう。」

 

 そういうとヤツは空で今までと比べ物にならないほどの大きさの槍を作り始める。

 

 俺は、それを見て…

 

 

 笑う。

 

 そして呟く。

 

 

「ペ」

 

 

「ル」

 

 

「ソ」

 

 

「ナ」

 

 

 ゴッ!!

 

 その瞬間、俺を青白い光が包み、後ろには一つの異形が現れる。

 一本足の馬のようなものに跨り、胸を巨大な刃で突きさされた男性

 

『カストール』

 

 もう一人の『俺』の姿であった。

 

「チャージ」

 

 そう言うと俺に力が戻る。いや、さっき以上の力が俺に宿る。

 

「くらいやがれ!」

 

 俺は全力で右手に持っていたバス停をヤツに向かって投げつける。

 

「なっ」

 

 メキメキッ!!

 グシャッ!!

 

 予想外の反撃にヤツは反応できず腹に当たり、そのまま落ちる。

 

「チッ、滑ったか。」

 

 投げた瞬間、手についた血で滑った。当たりはしたが死んではいねぇはず。

 

「とっとと逃げっか。」

 

 そう呟いて公園を離れようとしたとき。

 

「ドーナシーク!!」

「マジかよ…最悪なタイミングだな。」

 

 振り向くと倒れているやつのところに二人の女が立っている。

 

「あんたがやったのね。」

 

 ゴゥッ!

 

 そう言いながら一人の女が殺気を出す。

 

「ミット…ルテ、やめろ。」

「ドーナシーク!?」

「騒ぎ…過ぎた。もうやつ…らが、くる。」

「ッ、でも!人間一人くらい!!」

「そいつを…舐めるな。」

「そうよ、ドーナシークをここまで追い詰めた人間。手負いだからこそ危険だわ。」

「カラワーナまで。」

「これからのためにこれ以上戦力を削るわけには行かないし、ドーナシークも危ない。始末はあの人間にでもやらせればいいわ。」

「くっ、わかったわ。」

 

 そう言うと、女はこっちを睨みながらも飛び去っていく。

 

「やれやれ、なんとかなったか。」

 

 ズルズルッ

 

 俺は木にもたれかかり座り込む。

 

「やべぇ、眠たくなってきやがった。」

 

 ぼんやりした意識の中、最後に黒い髪が写り、俺の意識はそこで途絶えた。

 

 




あとがき
え~皆さん初めての戦闘でしたがいかがでしたでしょうか?
あれ、どうした。初めてのバトルシーンだと頑張ってみたらドーナシークさんが強キャラに…レイナーレ戦どうしようってか今後のバトル…汗
色々後ほど補足はします…

全く話は異なりますが連休だったんでペルソナ3の映画を見てきました!!
原作を知ってる分大興奮でした。てか、ペルソナってほんと強いんだなと改めて実感、そのせいもあってドーナシークさんは強くなったにチガイナイ!
すみません、調子に乗っただけです。
ただ、ペルソナが強いというのは知っていたので味方も敵も原作よりパワーアップはさせるつもりでした。そうしないとガキさんが無双すぎるんで。緊張感のある戦闘にできればなと、それに伴いかなり独自設定や原作と異なる設定が出てきます。すみませんがご了承ください。
では補足に入ります。

追記
映画館特典のシールはマジシャン・ヘルメス・エリザベスでした。サイン色紙がなぜか2枚もらえました。ガチャガチャが全部男キャラでした、次の人が美鶴さんだして泣きそうでした。

[補足]
・グル☆キン
今作で月コミュの役割を奪われ、哀れすぎたのでこうなりました。

・ラーメン
至高のラーメン『はがくれ』、裏メニューにはがくれ丼と常連中の常連しか食べられない???があるらしい。原作のガキさんいきつけのお店ですペルソナ3で一番行ってみたいお店です。

・奇襲
アトラス作品はハードモード以上で奇襲を受けるとほぼ全滅です、そのためこんな考えに。

・バス停
皆大好きバス停です!!ガキさんにはこれしかないでしょ。
原作でエリザベスの依頼を受けるともらえる武器です。ドラマCDにもでる人気の高い武器です。

・近接戦
なまっていても戦えます。体はずっと鍛えてきた設定の予定なので、実践の感、アナライズなしの違和感、ペルソナのなまりが大きな点ですね。

・ペルソナ
カストールさんきました!今回ガキさんが苦戦した大きな理由のひとつです。前世で暴走させ、人を傷つけてしまったことから。あまり使いたがっていません。しかし、力を持つものの義務として二度と暴走させてはいけないという考えから昔から人のいない場所でペルソナの訓練はしていました。LV50はあります。最初からペルソナを使っていれば、もっと楽に勝てました。ペルソナ使いではなく、一般人?のイッセーがいたので使いませんでした。
 あと弱点はありませんが、ペルソナ的に槍や矢って相性が悪いんですよね。(カストールは戦場で槍もしくは矢を受けて死んだとされている。)アナライズもなく、ピンチってのもあり、今回こうしてみました。今後、ガキさんの戦闘の際の警戒心がグンとあがります。可愛そうになる敵も出てきます。

ガキさん習得済みのスキル一覧

治癒促進・小(ターン毎に2%体力回復・自動発動スキル)
デッドエンド(中威力・斬撃属性)
カウンタ
デビルスマイル(LV39)(相手を恐怖状態にする)
ヘビーカウンタ(LV42)(一定確立で物理反射・カウンタより頻度が高い自動発動スキル)
チャージ(LV50)(一回限り物理攻撃を2倍以上)

とりあえずこんなところでしょうか。
ご意見・ご感想ありましたらよろしくお願いします。

ではまた次回お会いしましょう。

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