お漢(かん)転生   作:ガイル01

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お待たせしました、なんとか今日中に投稿できました。

この作品は、独自解釈、ネタばれ、原作改変、ブレイクなどがあります。
注意してください。



第8話

「う…、もう朝か。」

 

 クソ、結局帰ってきたのは深夜なせいでまだねみぃが…

 

 俺は時計を見る。

 

「もう、11時か…。」

 

 流石に起きねえとマジィな。

 

 ギシッ

 

 俺は起き上がり、着替えを済ませ、一階に降りる。

 

「誰もいねぇのか。」

 

 ダイニングを見渡すが誰もいねえ。

 

 ん?これは、書置きか?

 

 ペラッ戦場(タイムセール)

 

『シンちゃんがぐっすりなようなんでパパと朝食デート行ってきます!そのまま遊びに行くので帰りは夜です。ママがいなくて寂しいかもしれないけど晩御飯は一人で食べてね。 

                                        ママより

追伸

女の子を連れ込んでも大丈夫よ!』

 

 グシャ

 ポイッ

 

「阿呆が…」

 

 相変わらずすぎて頭が痛くなるぜ…

 

 さて、どうすっか。

 

 あの堕天使のことも気になるが、いまんとこ俺にできる事は…

 

 よしっ。

 

 俺は棚からリードを取り出し、外に出る。

 そして、庭へと向う。

 

「ワンッ!!」

 

 そこには俺を見つけ、尻尾が千切れるんじゃねえかと思うぐらい振り回し喜ぶ犬―コロがいた。

 

「よしよし、散歩行くか。」

「ワンワンッ!」

 

 俺はコロちゃんを一撫でし、首輪にリードをつけ、門を出る。

 

 さて、いつもんトコ行くか。

 

 俺は歩き始める。

 

「あらぁ、真次郎君じゃない。元気?」

「あ?」

 

 コロちゃんをつれて歩いていると横から声を掛けられる。

 この人たちは…

 

「あらあら、少し見ない間にもうこんなに大きくなっちゃたの?男の子ってすごいわねぇ。」

「そうよね、それに凛々しくなって~女の子にもてるんじゃない?」

 

 最初に話しかけてきた方が小学校から同じトコ通ってるヤツの親でもう片方が町内会会長の嫁さんだったか。

 

「いや、そんなことないです。」

 

 この手の人たちは話がなげぇからな、適当にきらねえと…

 

「真次郎君は一見近寄りがたい雰囲気してるからねぇ。でもうちの娘なんかどうかしら?小学校から一緒でしょ?時々家で話題になるのよ!」

「あら、ずるいわ。うちの娘もどうかしら、毎年夏祭りとかで会ってるからお互いのことよく知ってるんじゃない?」

 

 おいおい、娘の意思は完全無視だな…

 

「いや、今は色々忙しいんで。」

「あら、残念。気が向いたらいつでもおばちゃんに言ってね。すぐに娘と引き合わせるから。」

「うちもいつでも良いわよ。あ、そういえば今朝ご両親を見かけたわよ。いつまでも仲がよさそうで良いわよねぇ、うちの旦那なんて…」

 

 やべぇ!

 

「すいません、この後があるんで失礼します。」

「そうね、引き止めちゃってごめんなさい。貴方も散歩中だもんね。」

「ワン!」

 

 おばさんはコロちゃん撫でながら言う。

 

「それじゃあまたね。あ、最後に。サトミタダシの今日のタイムセール時に卵が一パック無料と海老の袋詰め放題やるらしいからがんばりましょうね。」

 

 ッ、マジか。

 

「わかりました、ありがとうございます。」

 

 その情報に感謝をし、頭を下げた後、その場を去る。

 

 

 

 

「さて、着いたか。」

 

 俺がやってきたのは今は使われていない神社。

 誰かが手入れをしているのか綺麗なままではあるが、町のはずれにあり、道から階段も長く人はめったにやってこない。

 

 それが逆に俺には好都合だ。

 

「ワンッ!」

「ちょっと待て、今はずしてやっから。よっ。」

 

 俺はコロちゃんの首輪からリードをはずす。

 

「よし、とってこい!」

 

 ブンッ

 

 ボールを投げる。

 そうすると勢い良く駆け出す。

 

「そこそこな年なはずだが、相変わらず元気なヤツだ。」

 

 考えをついつい口に出しながら、ボールを咥えて戻ってきた、コロちゃんを撫でる。

 

「よしよし、良くやった。」

「ハッハッ。」

 

 ジーッ

 

 コロちゃんがお座りしながら、期待した瞳でこちらを見てくる。

 

「もう一回やるか?」

「ワンッ!」

「よし、じゃやとってこい!」

 

 俺は結局あの瞳には勝てず、延々とボールを投げ続けることとなった。

 

 

 

 そこそこな時間が経った後

 

 「よし、コロちゃん。ここでちょっとまってろ。」

 

 俺は神社の脇の日陰でコロちゃんにおやつと水を与え、待ってるように指示する。

 

「ワンッ!」

 

 元気良く返事をし、おやつの骨に齧りつき始める。

 

「よし。」

 

 俺はその様子を確認すると神社の脇から林の中へと入っていく。

 

 ザッザッ

 

「ここら辺で良いな。」

 

 少しひらけた場所に着く。

 正面は岩壁となり、周りには大きめの岩が転がっている。

 

 すぅ

 

 はぁ

 

 俺は心を落ち着かせ、意識を集中させる。

 

「ペルソナ。」

 

 ゴッ

 

 一瞬、俺が青白い光に包まれ、背後にカストールが現れる。

 

「砕け。」

 

 俺が指示すると、カストールは駆け目の前の岩へ拳を振り下ろす。

 

 ドンッ

 

 一発で岩が吹き飛ぶ。

 

「威力を抑えて連打の後、デッドエンドだ。」

 

 俺は次の指示を飛ばす。

 カストールは近くの岩に拳でラッシュをかける。

 最後に乗っている馬のようなもので岩を打ち上げる。

 

 ズルッ

 

 胸から刃を引き出す。

 

 ブンッ

 

 落ちてきた岩目掛けて、上段に構えた刃を振り下ろす。

 

 一閃

 

 

 ズズンッ

 

 

 岩は真っ二つに切れ、落ちる。

 落ちた瞬間、ラッシュの衝撃で脆くなっていたせいか岩が砕ける。

 

「ふぅ。」

 

 一息つく。

 

 まだ、足りねえ。

 この世界でペルソナに目覚めたのはずいぶん前だが、負担がでけぇせいでガキの頃は使えねえし、中学ん時からやってるが『あの頃』と比べっと相当なまっちまってんな…

 

 だが、理由はわからねえが、適正は今の方がたけぇ気がする。カストールとの連携がやりやすい。 強弱、虚と実の使い分け、細かい指示にも対応できるようになってやがる。

 

 けど、気はぬかねぇ。二度とあんなことにならねぇように、テメェの力に振り回され、無様なことになんねぇために…

 

「次行くか。」

 

 俺は再び集中する。

 

「カストール。」

 

 俺は訓練に戻っていった。

 

 

 

「今日はこんなモンか。」

 

 1時間ほど訓練をし、神社へと戻る。

 

 ザッザッ

 

 ん?誰かいやがる!?

 

 気配を殺し、足音を消し、近づく。

 

 林からでて、神社の裏に回る。

 ゆっくり、近づく。

 

「…っ…は、…。」

 

 少しずつ声が聞こえるようになる。

 

 一歩、また一歩。

 近づくたびに声が鮮明となっていく。

 

「よし…。ふふ、あな…主…はどこ…。」

 

 この声は…

 俺は聞き覚えのある声に気づき、隠れるのをやめる。

 

「ワンッ!」

「あ…。」

 

 先にコロちゃんが俺に気づき、駆け寄ってくる。

 その動きにつられ、そこにいた人物が俺の存在に気づき、立ち上がり、こちらに向かってくる。

 

「こんにちは、荒垣君」

 

 声をかけてきたのは、

 

 支取だった。

 

「支取、どうしてこんなとこにいんだ?それにいつきやがった?」

 

 ここは神社、俺がちいせえころから誰も居らず、使ってっがなんか起きたことはねえから他の勢力とかはいねえんだろうが悪魔にとって心地いい場所ではねえだろう。

 

「貴方を探しに来たんです。最初はお家の方に伺ったんですが誰もいなく、困っていたところを近所の方がこっちの方に向ったと教えてくれて、神社の前まで来たら微かにですが荒垣君の魔力を感じ、この神社はどの勢力も使ってなさそうなので入らせてもらいました。階段を登った所にこの子が寄ってきたので遊んであげていたら荒垣君が現れたといった感じです。」

 

 なるほどな、周りには大分気ぃつかってたんだがな…次からはもっと気をつけねぇとな。

 

「コロが手間かけさせた、礼を言う。」

「いえ、かまいません。しかし、一つお聞きしたいのですが、荒垣君はなにをしていたのですか?」

 

 まぁ、見逃すわけねぇわな。

 

「最近ぶっそうだからな、鍛えといて損はねぇだろ。」

 

 嘘はついてねぇ。

 

「そうですか、私が感じたのはあの魔道具の魔力だったのですね。努力家なのですね。」

「そんなんじゃねえ、降りかかる火の粉を振り払うのに力が必要だってのと、テメエの力には責任を持って振り回されねえようにするためにやってるだけだ。」

「ふふ、十分真面目で努力家ですよ。」

「チッ。」

 

 支取は微笑みながら告げる。

 

 が、

 

「さて、本題に入る前に一つ。」

 

 やべえ、支取の雰囲気が変わりやがった。

 

「お聞きしたいことがあります。」

 

 さっきと同じく、微笑んでやがるが目が全く笑ってねえ。

 

「荒垣君。」

「お、おう。」

 

 一歩詰め寄りながら支取は俺の名前を呼ぶ。

 

「昨日なぜ私には助けを求めてくれなかったのですか?」

 

 俺を睨み付けながらそう告げた。

 

「荒垣君は契約の際に言いましたよね。一方的には守られないと。それは構いません、私が危ないときは頼ります。なのに、貴方は私に守らせてくれないのですか!!なんのために契約したのか、今回は貴方に大きな怪我がなかったから良かったものの契約をし、貴方を守れる立ち位置になったのに結局前と変わらず結果だけ知らされる。凄く悲しかったです。」

 

 …

 

「前に私に言ってくれましたよね。周りに頼れと。貴方も頼ってください。私は貴方の契約相手であるけど、その前に友達なのですから。私にも貴方を守らせてください。」

 

 …

 

「あっ、え~とすみません。感情的になりすぎました。つまりですね「わりぃ。」え?」

「お前の言うとおりだ、俺ァ基本的に自分でなんとかしてきた。お前みたいに色々背負ってたわけじゃねえから自分だけでなんとかなった。」

 

 前も基本的に向こうのほうから色々と突っかかってきたり、やらかしたりで俺からはあんま関わろうとしなかったからな。

 

「あ~つまりだな、慣れてねぇんだ。他のヤツに頼るってのに。」

 

 顔を背けながら言う。

 

「これからは気が向いたら頼る。」

「気が向いたらですか?」

 

 顔を背けた方に支取は回り込み、見詰めてくる。

 

「わぁったよ、なんかあったら知らせる。契約だからな。」

 

 再び顔を背けながら告げる。

 

「はい、契約ですからね。」

 

 嬉しそうに支取が微笑む。

 

 チッ、見透かした感じが気にくわねぇ。

 

「それで、今日は何の用なんだ。」

 

 このままだと、色々面倒くせぇから話題を変える。

 

「ええ、今日は堕天使についてわかったことを伝えにきたの。」

 

 支取は表情を引き締め、話し始める。

 

「どうやら、あの堕天使たちは独断で動いてるみたいなの。」

「上の命令じゃねえってことか。」

「ええ、理由まではわからないけど。逆に危ないわ。」

「そうだな。」

 

 命令されているだけならお互いに譲歩の点があるが、悪魔の公爵が治める地にわざわざやってくるくらいだからそれ相応の目的と覚悟があると思って良いだろう。

 

「彼らをどうしようが、堕天使との戦争になることはありません。ただ、我々にどのようなことがおきるかはわかりませんので注意してください。

「わかった。これはグレモリーには…」

「はい、こちらから伝えておきます。」

「頼んだ。」

「はい、調査を続けますのでわかり次第お伝えします。」

「おう。」

 

 やれやれ、どちらにせよ単純な問題じゃあねえとは思ってたが、目的がはっきりしない分厄介だな。

 とはいっても出来る事はぶん殴って捕まえて吐かせるだけか…

 

なら。

 

「飯でも食って帰るか…。」

「いいですね。」

 

 あん?独り言のつもりだったんだが…

 負い目もあるし、今日ぐらい奢ってやるか。

強敵(とも)

「食いてえモンあるか?面倒かけたから奢ってやる。」

「あら、ありがとう。じゃあ…」

 

 そう言いながら、俺と支取は間にコロを挟み、神社の階段を降り始めた。

 

 

 




 ガイル01です、今回も読んでいただきありがとうございます。
 原作ではイッセーとアーシアが遊んでいるタイミングですね。
 あと2話位で原作1巻が終えられるかな~
 現在の時点で大分原作と異なってきていますが、ストーリー自体は原作沿いでいくつもりです。
 そして明らかにヒロイン度が高い気がする支取さん…他のキャラよりなぜか書きやすく、こんなことに…他の支取眷属も早く書きたいなと考えています。
 では、また次回お会いしましょう。

[補足]
・おばさん駆ける
 前の方の話でガキさんについてのインタビューをした時の学生の母親。支取がガキさんの家を訪ねたことに興味津々らしい。
スーパーの戦場(タイムセール)における歴戦の猛者、ガキさんとは戦場(タイムセール)で時に争い、時に協力する強敵(とも)である。

・ペルソナ
 今回使った技は『デッドエンド』で威力は中の斬撃属性です。敵単体を振り下ろしで叩き切る幹事のイメージな技です。他のは技ではなく、通常攻撃です。(原作ではペルソナによる通常攻撃はないので独自設定ですが、P4のアニメや映画では普通に戦っていたので…)
 ペルソナは物理技がHPを、魔法がSPを使います。基本的にガキさんの技は物理メインなんで小学生のころは負担が大きくペルソナをあまり使っておらず、自分の身体を鍛える方向で鍛錬をしていました。中学に入り、ペルソナの暴走をさせないために、ペルソナも訓練をはじめ、前世より安定してペルソナを使えます。ただ、今でも暴走させたトラウマは残っており、相当気を使っております。

質問ご感想等ありましたらよろしくお願いします。


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