現在面談室。
かれこれ2時間ぐらい待たされてる気がする。
そろそろ腹減ってきたし脱走したい。
にしても面談室に来るのは結構久しぶりだなぁ。やらかした時にしか来ないからネ。前回来たのは確か…2月の14日、教室で節分とバレンタインを一緒にやろうとして教室内がチョコまみれになったとき以来だ。
…割と最近だったわ。
後10分待って誰も来なかったら忘れられてるものとみなして飯くいに行こう。
途端に担任で面談室の主である寺沢が入ってきた。
「お前…とんでもないことをしてくれたな」
「ただ言われた通り触っただけっスよ!」
「まぁお前がどうして動かしたかなんてどうでも良い。これから来る人に粗相の無いようにしろ」
それだけ言って寺沢は出ていった。
誰だ?客って…?
あの人なら今更粗相もクソもないはず。
じゃあ誰だ?
てか、もっと言うべきことがあるやろ…
仮にも自クラスの生徒じゃん。
いや、今更アイツの教師性について考えてもしょうがねぇわ。
そこに学年主任の有賀先生が1人の女性を連れて入ってきた。
俺はその女性を見たことある気がするが、いまいち思い出せない。どっかで見たことあるんだがなぁ…まあ、人の顔と名前覚えるの苦手だからしゃーなし。
その女性は有賀先生にお礼を言うと先生は俺に小声で
「じゃあ、後よろしくね」
と言って出て行った。
女性と二人きりになった。とっても気まずい。
女性が口を開いた。
「君が外道進か?」
「はい、自分が外道です」
「私はIS学園から来た、織斑千冬だ」
名前を聞いて納得した。
「あぁ、道理で見覚えがあるわけだ。お目にかかれて光栄です」
「すまんがそういうのはあまり好きではない。早速で悪いのだがご家族はまだいらっしゃらないのか?こちらとしてもそんなに時間が有るわけではないのだが...」
「え?ウチの教師陣から聞いてませんか?家族なら来ないですよ。両親も祖父母も既にくた…他界してるんで」
おいおい教師陣ェ…俺が言うと気まずくなるじゃん。
「そうだったのか。それはすまない」
ほら見ろ。
「気にしないでください。過去は戻って来ませんし。ささっ、本題に入りましょうや」
織斑さんは1つ咳払いをすると説明を始めた。
「まず初めに、君には先ほども言った様にIS学園に入学してもらう。これは決定事項だ。学園の寮の準備が整うまで君には今日から我々の警備するホテルに泊まってもらう」
「ええと、今日からですか...?」
「この説明が終わった後に私を護衛として一度君の家に向かう。そこで諸々の準備をしてくれ。ホテルでの生活でもしも足りないものが有れば護衛に頼めば買ってきてくれるだろう。それでいいか?」
俺は頷く。世界最強が護衛とか贅沢すぎんか。てか、家帰るだけなら護衛も要らない気もするが…
「続けるぞ。君には学園に入学するまでにやってもらわなければならないことがたくさんある。まずはこれだ」
そう言って織斑さんが取り出したのはそこそこな量の書類。まあ、これぐらいなら何とかなる。
「これら、一枚一枚をきちんと読んで名前と判子を押していってくれ。そして終わり次第護衛に渡してくれ。」
「これぐらいなら余裕ですね。1日で終わらせて見せますよ」
「ほう、そうか。喜べ。だがまだまだあるぞ」
「ゑ?」
嘘だろ…これだけで結構な量だぞ?
「それと...これだ」
と言って机に置かれたのは割りと薄めの冊子、題名は「IS学園 学園のしおり」と書かれている。
脅かすなよ…こんなんだったら誤差だよ誤差。
「これは題名の通りだ。暇な時にでも読んどいてくれ。そして、最後にこれだ」
は?まだあんの?
そう言って机に置かれたのは六法全書サイズの本、題名は「必読 ISのススメ 入門·基礎編」
まさか…
「これを入学するまでに覚えてくるように。これが分からないと授業に全く付いていけないのでな」
俺は泣きそうになるのを我慢しながら頷いた。
サヨナラ、俺の春休み。てか、読み切れる気すらしないぞぉ…
「学園からの配布物は以上だ。何か質問はあるか?無いのなら君の家に向かうが...」
「量が多すぎやしませんかね…?」
「今さっき余裕だといっただろう?」
「…」
「ではもういいな?君の家に向かおう」
「うっす。最後に寄りたい所があるんですが寄っていいですか?ここを去るなら私物も回収しなきゃいけませんし…」
「構わんがなるべく急いでくれ。今日中にやらなければならないことがまだある」
「ありがとうございます。了解です!ちょっぱやで片付けてきます!」
「では私は正門前の黒い車の中で待っている。急げよ?」
そうして俺と織斑さんは面談室を出て、織斑さんは職員室に、俺は俺の所属する委員会のたまり場である第三会議室へ行く。
第三会議室は校舎の屋上にある。会議室の鉄の扉を勢いよく開け言い放つ。
「おら、今日の主役様の登場だぞ!」
「「ああ?」」
いきなりメンチ切ってきやがったのはヨシオとタヌキ。
「うっせーぞ、禿共‼」
と委員長の明久が止める。
部室にいたのは委員長の明久を始めとした5人。
イかれたメンバーを紹介するぜ‼
まずは委員長の明久。飛び切りのクズだ。
そして技研の部長、亮。こいつは変態。
技研副部長のヨシオ。こいつも変態。
パソ部部長のタヌキ。手に負えないほどのカスだ。
最後に史学部部長、大和。唯一のまとも枠(まともとは言っていない)DA。
他に数人いるが皆帰ったようだ。
なのでここに居るのは真の暇人ばかり。
「よお、
と大和。まともと言ったのを撤回したいセリフを吐きやがった。
「まだあるわ。切っても再生するしな」
「え、マジか。そこも再生すんのか」
「おい、そこまでにしとけ」
と低俗な会話が明久によって止められた。
「んで、お別れの挨拶にでも来たのか?」
「まあ、そういったところだな。後はついでに私物の回収も」
「そうか…転校ということになるのか」
「転校して再入学だよ。世話になったな」
「もう1回1年生からか。これから俺たち先輩には敬語で話せよ」
ちょっと真面目に話してたと思ったらこれだよ…
「焼きそばパン買って来いよ‼」
「じゃかましい!てめえが買って来いデブ‼」
煽ってくるタヌキを一刀両断する。
「冗談はこの辺にしといて」
「前置きが長げぇ」
「お前にはコイツをやろう」
と言って渡された真っ黒のカード
「ナニコレ?」
「入校証だ。喜べ。コレでいつでもココに帰ってこれるぞ」
「絶妙に帰ってきたくねえ」
「まあ、こっちからも呼ぶことがあるだろうしいちいち手続きしてたらダルいだろ」
「ろくな用事じゃないだろうから呼ばれたくねえよ」
「そういうなって。俺らの仲だろ」
「「うへへへ」」
嫌よ嫌よも好きの内なのだ。
そして亮から小型のポーチのようなものが投げ渡される。
「技研からお助けアイテムのプレゼントだ」
「なんだよコレ」
「学園防衛委員会員の7つ道具だ」
「初耳だし語呂が悪い」
「呼び方は各々適当に。中身を説明してるとすげー時間かかりそうだから詳しくは同封の目録を参考にしてちょ」
「ちゃんと使えるものなんだろうな…」
「そこは大丈夫。まあ、コイツを使わないに限るけどね」
「なら、ありがたく頂戴するわ」
「おう、感謝して。あ、それと使ったら使用感のレポートしてや」
「了解。それぐらいならやってやんよ」
「よろしく頼むよ」
「そんじゃあ、人待たせてるし、そろそろ行くわ」
あまり時間がないと言っていたのでここらで切り上げる。
「じゃあの…」
「達者でな」
と無難な言葉をかける技研勢。
「いつでも帰ってこいよ」
と大和。お前は俺のオカンか?
「向こうでも暴れちぎってこい」
と明久。暴れる前提なのかよ。まぁ暴れるけど…
やけにタヌキが静かだなと思ってヤツを見やるとガチ泣きしてやがる。高一のむさい男が涙をこぼして、意味が分からなすぎる。
泣きたいのはお前の泣き顔を見た俺の方だよ…
あまりの絵面の汚さに見なかったことにする。
荷物をまとめ出口に向かう。
意思表明をして行こう!
「お前らも頑張ってくれよ!あとの連中によろしく伝えといてくれ。またな!」
重い扉を開いて出陣する。
いざ!IS学園!
会議室を出て誰もいない校舎を歩き、校門へ向かう。途中で職員室横の自販機でエナジードリンク「mazaiの福音」とアイスコーヒーを2種類買っていく。大分待たせてしまったしなぁ。
あの人ブラックしか飲まなさそうな雰囲気だけど確信持てないからなぁ。
そして校門の前には黒塗りの高級車が…めっちゃカッコイイな
助手席側の窓をノックするとこちらに気づいた。
織斑さんは俺に助手席に座るよう言い、エンジンをかけた。
「いやー遅くなってしまってすみません!コーヒー買ってきたんですけど飲みます?」
「いただこう」
「ブラックと微糖どっちにします?」
「ブラック」
「うす」
やっぱブラックだよな…。てか微糖持ってかれてたらブラック捨てるとこだったわ。
俺は車中でいつか疲れ果てたサッカー部員を乗せた車にぶつかられるんじゃないかと心配だったが、30分後、何事もなく家の前の道についた。
てか、気まず過ぎた。何話せば良かったんや。マジで。助手席だからスマホいじるのも良くないってか申し訳ないし…
とりあえず助手席から降りて玄関の鍵を開ける。
「すみません、人くると思ってなくて全然片付いていないのですが…」
「気にするな」
そういう織斑先生をリビングに通してお茶を入れる。
こういう人に限って意外と部屋汚かったりする気がする。
「おい、何か今失礼なことを考えなかったか?」
「い、いえ、何も考えていませんが…?」
「なら良い」
ニュータイプかよ。怖っ。
「なかなか男一人暮らしにしては片付いているじゃないか。茶も美味い」
そりゃばーちゃんが買ってた高級茶だからなあ…俺、これ好きじゃなかったから在庫がはけて良かったよ、と思いつつ
「お褒めに預かり光栄です」とかっこつけてみる。織斑さんは満足そうだ。
そして俺は一度外に出てトランクに入れた荷物を取りに行った。と言ってもカバン2つだけだが
トランクを開け中のカバンを取り出していると、突然が乾いた音が住宅街に鳴り響いた。
なんだ?右腿が熱い。
手を触れてみると左手には赤黒い液体がついており、目線を下げると制服のズボンが赤く染まっていくのが見れる。
咄嗟に後ろを振り向くと10mほど先の十字路に拳銃を構えた女が見えた。それと同時に2回目の衝撃が俺の頭を吹き飛ばし、膝から地面に倒れ込む。地面冷てぇなぁ
1発で仕留めろよ。三下風情が…
俺は意識を失った。