†MULTIPLE AIGIS†SPECIAL Ξ THE HAPPINESS DIZAIA   作:てゐと

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こんにちは、このepisode Ⅰの編集。そして後編に登場するゲストの方に許可をいただいてました。


†MULTIPLE AIGIS†SPECIAL Ξ THE HAPPINESS DIZAIA episodeⅠ 前編

この物語は

ポケモン

ポケモン擬人化

申し訳程度のサクラ大戦要素

を含みます。これがダメという闇の力の僕たちはとっととおうちに帰りなさい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コインには表と裏がある。陰陽の様に何事にも対となるものは存在する、例えば赤と緑、金と銀、紅と藍、炎と草木、金剛と真珠、心と魂、黒と白、破壊と再生、大地と海、太陽と月、そして…光と闇。

 

 

我々が知る極一般的なものには必ずこう言ったものは存在する、そして生物とは無意識にも光を掴もうとする、だが誰しも光を掴める訳ではない。当たり前だ、そんな綺麗事が存在しない、誤魔化されているのが光だからだ。

 

 

 

 

逆に闇は誤魔化さない、鮮明で残酷な現実を見せる。興味本位で闇の道を行く者も居るがそういった者に限って深淵を見た者は居ない。完全な闇が怖いからだ。だが実際には陰中の陽というように闇の中にも光がある、その逆も然りである。

 

 

 

 

だが…光があるといって闇から逃れる事はできない、

 

 

絵の具で黒を塗りつぶせる色は存在しない。一度でも混ざれば白でさえ黒を完全に塗りつぶす事はできない。

 

 

安易に闇に踏み込んで無傷で居られた物など居ない、キレイでは居られない。他者を傷つけ自らをも傷つき、泥にまみれても前を進む、それが真の闇。

 

 

 

 

…この物語は今まで誰も踏み入れることの無かったタブーに自ら踏み込んだ異端者達の物語である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【???】

 

???「…腕を上げましたね」

???「恐縮ですわ、あなたにそう言ってもらえると…」

???「でも…」

カツン。褒めて落とすように片方の女性がチェスの駒を動かす。その一手にもう片方の女性はくすりと笑う

???「これで、チェックメイト…かしら?」

???「……、くっ…ふふふ…あはははっ!あーっはっはっは!!」

その静かな笑いは徐々に大きな笑いへと昇華していた。まるですべてが事極まれり。自らの思い通りに行ったかのように狂気の笑い声が暗い部屋に木霊する

???「甘いですよぉ!?甘い!甘すぎる!!あなたがここで仕掛けるには早計!つまり私にとって詰んでいるこの状況!!あなたにとっては逆にピンチなのでしょうぅ??」

そう高らかに言い放ちぐるりとチェス盤をひっくり返し、彼女は自らの駒を置き放った

???「逆に言いましょうぅ…。これで形勢逆転、あなたはここで私を落とせず、この駒を落とさねば負けてしまう…!!チェックメイトと言うのはこういうこ「はい、ステールメイトで」

だが話をぶちぎる様にあっさりと駒を動かして両者動けなくなった。いわゆる「引き分け」だ

???「…」

???「仕事がありますので。でも久しぶりに会えて遊べたこと、楽しかったですよ」

???「ふっふっ…きゃっーっはっはっは!!!…いけませんねぇ…あなたといるとついテンションがあがってしまいます…」

???「そんなあなたも好きですよ、それじゃあ…。あっと、忘れるところでした」

席を立ち、去ろうとした瞬間。一枚の便せんをチェス盤に飛ばす。それは相手のキングを真っ二つにして盤に突き刺さった

???「あなたたちが担当のお仕事です。最近お仕事増えてきてますから、他の人たちも呼んできてくださいね?」

???「…わかりました。まったく、お仕事増えるのは結構ですが一気に増えるのだけは嫌なんですよねぇ」

???「お願いしますね。期待してますよ」

???「そう言われなくても仕事は完遂しますよぉ…。それじゃあ失礼しますねぇ…くすくす…」

邪悪な笑顔を見せながら彼女は去り、いつしかもう一人もいなくなり、そこにはキングの割れたチェス盤だけが残されていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【スリバチ山:奥地】

 

イッコウセン(ゲッコウガ:♂)「ぜあっ!!とぉあ!!」

次々と現れるつるされた大木。それをたやすく破壊しているのは忍組のひとり、ゲッコウガのイッコウセンだ。

 

 

彼は久しぶりの休暇として山奥で修行に励んでいた。彼は由緒正しい忍者の家系として生まれ、彼もそれを重んじているからこそ自他共に厳しくしている。それはいついかなるときも主君であるエクレールを守護せんとする強い意志によるものだ

イッコウセン「…!」

今は奇襲に対する修行。突然の事にも対処できるようにと訓練に励み。いよいよその修行も大詰めに迫っていた

イッコウセン「ふっ!!」

最後に飛んでくるひときわ大きな大木を思いっきりサマーソルトで蹴り上げ、一瞬で真上に移動。強烈無比なかかと落としをあびせる!

イッコウセン「光賀流!!綿流し!!!(こうがりゅう わたながし)」

バキベキと強烈な音共に周辺へ木片が炸裂する。そして軽く息を吐くと周囲の木片を拾い集め、処理をすると共に荷物をまとめ始めた

イッコウセン「…そろそろ夕時。早く戻らねばエクレール様に心配をおかけしてしまう。…ん?」

そう独り言をつぶやいたあたりだった。突如周囲に気配を感じて振り向く。そこには…

イッコウセン「(旅人…?)そこの御仁。どうなされた」

人がいた。だがふらふらとしており。暗いせいで顔も良く見えない…

イッコウセン「…!」

その時、気配に違和感を感じ、即座に臨戦態勢にはいる。よく観察すると…その人と思っていた者には”左腕が無く、顔には複数に目があった”のだ

イッコウセン「何奴…!?」

荷物を手早くおろすと左手に水手裏剣。右腕に水の小刀を逆手持ちにしてじりじりと離れた距離を保ちながら様子をうかがう

 

 

 

イッコウセン「(こやつ…ただものではないな…。拙者では逃げることも難しいか…ならば…!)」

 

 

敵の異質さから力量を即座に察知したイッコウセンは左手の手裏剣を相手に投げるとすばやく腰につけた信号弾のはいった筒を手にし、上空へ放とうとした。空を見て正面に向き直すと奴は目の前にいた

イッコウセン「っ!!(ばかな…目を離したのは一瞬だぞ…!?今のを避けて気配も無く…!?)」

 

パシィ!!

 

強くにぎった筒はまるで最初から持っていなかったかのように軽々しく弾かれた。だがイッコウセンは小刀で一閃!!相手がよろけた瞬間空中に放り投げられた信号弾をさらに上へと蹴り飛ばし、その衝撃で信号弾を起爆させた!

 

イッコウセン「よし…!あとは…!!」

 

着地と同時に距離を取り、両足と刀を持った右腕を地面につけ、複数枚の手裏剣を左手に、イッコウセンは相手に鋭いまなざしを刺すようにむける

イッコウセン「耐えしのぐのみ…!」

たとえかなわないとわかりきっていたとしてもそれ以外に道はなかった。いくら彼らが強くとも規格外と鉢合わせることは少なくない。非常時には助けを呼ぶ。とにかく殉職だけは避けるのがてゐ劇の決まりでもあった

 

 

 

【フスベシティ:リュウグウジ拳法総本山】

 

エクレール(レントラー:♀)「あー…ちかれたー…。明日は筋肉痛だべー…」

タマズサ(ハクリュー:♀)「おつかれはん、どう?リュウグウジの総本山での修行。結構くるやろ?」

エクレール「よくまぁこんなんやれたね。タマちゃんなら根をあげそうとか思ってたんだけど」

タマズサ「失礼やなぁ、こんなん4才からやっとんのよ?」

らんまる(ランターン:?)「14才からやらなくなったがな」

タマズサ「ただ強くなるだけが嫌やっただけや。さぼるつもりはあらへんかった!」

ちょっと不機嫌そうにらんまるの揚げ足を一蹴するとエクレールも思わず笑いだす

エクレール「わかるなぁ…私も修行嫌だった時期あったし」

タマズサ「そういえばエクレールはんってどこの出身なん?ジョウトやろ?」

エクレール「うんとね、スリバチ山のふもとにギンリョウタウンってとこだよ。もっとも今は廃村だけどね」

タマズサ「らんまる知っとる?」

らんまる「たしか名前だけなら古い歴史本で見たことがあったような…」

エクレール「そんだけ古いところなんだよ、もう地図にない村…。ん…?」

空をみるとエクレールは目つきを変え、頭巾をかぶりなおした

タマズサ「エクレールはん?」

エクレール「…ごめん、ちょっといってくる」

タンっと一飛び。あっという間にエクレールの姿はみえなくなってしまった…

 

 

 

イッコウセン「ぐぅううう…!!」

攻防に一時間近くイッコウセンは耐え続けていた。その攻撃は鮮烈にしてつかみどころがなく。こちらの反撃もまるで意味がなく、暖簾に腕押しをしているようだった

イッコウセン「キリがない…!」

???「…、……、…?」

イッコウセン「(先ほどから意味不明な雑音を…!)くっ…!」

そして相手を水平に切る様に刀を振った瞬間、目の前から奴の姿は消え去った…

イッコウセン「…」

驚きも戸惑いもせず静かに気配を探る。まだ近くにいる。感じ取れる

ーめ―――か――り―――は――い―――で――――

イッコウセン「…!?なんだこの音…いや…歌…?」

ぶきみなその音は、まるで夕刻の時を教える町内放送のようにも聞こえる。周囲には風もないのに木々が揺れる。橙色の空が常闇にゆがむ。そして…

イッコウセン「ぐぅっ!?」

???「雨代埜翔孟堕阿 ?」

なんと背後から黒い槍のようなものがイッコウセンの身体を貫く。警戒していた。ずっと注意を払っていた。なのに…

 

イッコウセン「きさまは…なに…ものだ…」

 

背後にいたはずなのに、正面に倒れたイッコウセンがみたのは、ずっとこちらを真正面からみている奴の姿だった…

 

 

 

エクレール「イッコウセン!!どこだい!?」

ハヤテ(ハッサム:♀★)「エクレール様!こちらです!ユウラたちが発見しました!」

エクレール「すぐ行く!!」

 

 

 

 

エクレール「イッコウセン…」

ドラーシェス(ドラミドロ:♂)「大丈夫です、死んではいません。応急処置も終わりました」

そこにいたのは瀕死で倒れていたイッコウセン。その傷跡や血だまりがどれほど戦い抜いたのかを教えてくれた

エクレール「…」

ハヤテ「すぐに病院につれていくぞ。ドラーシェス、おぶっていけるか?「あぁ」」

ユウラ「エクレールさま、ご命令を」

エクレール「…全員。イッコウセンを病院に、そしたらさ、ちょっと集合して…」

どこか悲しげな顔でそうつぶやくとエクレールはどこかに消えていった…

 

 

 

 

ハヤテ「というわけだ、エクレール様の命に従いツーマンセルで行動する。マキ、私と来い。ユウラとドラーシェスで組んでエクレール様をお守りする」

ユウラ(マニューラ:♂)「…。それは命令違反ではないか?エクレール様、わたしらに近づくな言うたね」

ハヤテ「…責任は私がとる。エクレール様のご命令とはいえ、私たちがやるべきことはイッコウセンの仇を取ることだ。だがそれよりも最優先としてエクレール様をお守りすることが第一。」

ドラーシェス「理にかなってはいるがそれではただの屁理屈だ、きっとエクレール様はお怒りになるだろう。俺は反対だ」

ユウラ「同じく」

ハヤテ「…」

腕を組んで悩むハヤテ、同じく頭を抱える二人。マキはどうすればいいのかおろおろしていた。顔色も良くない

ユウラ「…面倒ね。こういう場合、エクレール様が何を望むかね?敵はきっとエクレール様も狙う。イッコウセンが受けた傷からして相当な手練れ…」

ドラーシェス「もしや敵の狙いはエクレール様でエクレール様は俺たちを巻き込むまいと自らお一人になられたのではないか?ならば…我らが全うすることは、」

ハヤテ「…不本意ではあるが自らの身を護れと…?」

ドラーシェス「その通りだ。でなければイッコウセンのようになる。あれはどこか見せしめのようにも、エクレール様への挑発のようにも見えた。普通なら確実に殺せたのにそれをしなかった」

ユウラ「…もしそうなら許しては置けないね…。これでもてゐ国歌劇団序列九位、忍組相手になめたマネしてくれる…!」

ハヤテ「…、考えていても仕方がない…。ともかく、かならず二人で行動することだ、いざとなれば信号弾で救援を求めること。今のうちに道具の手入れだけでも済ませておくぞ」

 

 

 

 

 

ベノ(ニドキング:♂)「はぁ?エクレールがどっか行ったきり戻らねぇだと?カティ、醤油取ってくれ」

エクレール除いた全員での食事の最中、タマズサが心配そうに切り出した

タマズサ「そうなんよ…。ウチとらんまるはてっきりすぐ戻る思うてたんやけど…。はい、しゅヴぁるはん「すまない」」

ラグナ(ラグラージ:♂)「エクレールのことだから心配はいらないとは思うが…。ちょっと引っかかるな…」

ベノ「誰か連絡来てたりするか?通じる奴は?」

もみじ(ガーディ:♀)「だめ、電源切ってるか電波の届かないところだって」

ベノ「…飯食い終わったら探しに行くぞ、あのエクレールが連絡無しなんざぁ珍しい、なんだかんだ言って何かするとき連絡はきちんと入れる奴だからな、あれで」

しゅヴぁる(シュバルゴ:♂★)「なら手分けするか、俺やラグナは山道を探す」

らんまる「なら、らんまるたちは街の中を探そう。誰かチョウジも探してくれると助かる」

リタ(イワンコ:♀)「なら私たちだな。リカじょーちゃん、一緒に探すとするか」

カゼキリ(スピンロトム:?)「夜でも私様たちなら常に視界良好。まぁ私様たちが一番だろうな」

ベノ「カティとぷりんは留守頼む。あともみじ、迷子になんなよ」

もみじ「ならないやい!もう!」

味噌汁をすすりながらそう言い、飲み干すとお箸を置いて全員が合掌する。

「ごちそうさまでした」

 

ベノ「…。今週の食器洗い誰だ?」

ルークス「迷子の迷子の子猫ちゃん(エクレール)よ」

ベノ「お留守番組、洗い物頼むわ」

カティ「ぷりんさん」

ぷりん「仮眠で忙しいからパス」

カティ「僕もこの資料今日片づけないと…」

ベノ「…。こんなこと言いたくねぇんだがよ。総司令命令だ、とっとと黙って洗い物をやれ」

ラグナ「俺が聞いた中でロリポップ買ってこいの次に無駄な権限だな」

ベノ「るっせ、おら行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【チョウジタウン】

 

ユウラ「…ドラーシェス」

ドラーシェス「…、何かいるな」

街中にも関わらず妙な視線を感じた二人は臨戦態勢に入る。人ごみに紛れてこちらをピンポイントに見つめている視線が

ドラーシェス「…どうする?」

ユウラ「ここでやるのは得策ではないね…、やるなら…」

瞬時に裏路地に移動。建物の壁を使って屋根におりたつと一気に武器を構える。ドラーシェスは毒を仕込んだ鞭。ユウラは鋭いカギ爪だ

ドラーシェス「そこに居るのだろう、出て来い!!」

ピシャン!!鞭を地面に打ち付けて威嚇すると陰になっているところから何者かが現れる。不気味な風貌。ただ何も言わない。

ユウラ「一つ聞くね、イッコウセンをやったのはお前か?」

正体不明のその敵はパキパキと音を立ててその身にまとう腕の骨ようなものを開閉し、左肩あたりから触手を伸ばしてきた!!

ドラーシェス「はぁっ!!」

その触手を器用に鞭で束ねるように絡めるとドラーシェスは自分側に引き寄せる!そしてユウラがおもいっきり敵の腹部を蹴り押した!!ポンプのように跳ねだされた敵は受け身を取ることなく右腕だけで立ち上がる

ドラーシェス「気をつけろ、まだ様子見しているようだ」

ユウラ「だろうね」

素早い動きで敵の眼前で止まるとユウラは足を払い、常人にはかなり無茶な態勢の上段後ろ回し蹴りで敵を再び蹴り飛ばす。その瞬間を逃さず、すかさず掌に氷をあつめ、氷の苦無を作り出してそれを投げた!!

ユウラ「くたばるがいいね!!氷刃!薙氷柱(ひょうじん なぎつらら)」

ひるんだ相手にトドメと言わんばかりに氷を纏ったカギ爪で切り裂くユウラ!だが…

ユウラ「なにっ…!?」

腕の骨のようなものが固い音を立ててそれを阻んだ!まるで意思を持つように手をひっくり返し、甲の部分で攻撃を防ぐと払うように軽くユウラを吹っ飛ばした!

ドラーシェス「大丈夫か?」

ユウラ「なめ腐りやがって…!今ので分かった…!あいつ全然本気じゃないよ…!」

ドラーシェス「…どうする?ここは街中だ、信号弾など撃てば…」

ユウラ「安易に一般人を巻き込む羽目になることぐらいわかてるね!問題はわたしらが束になっても敵わないことよ…!!」

声に悔しさが現れるほど二人は相手との実力差がわかってしまった。彼らは決して弱くはない。ただ毒組とほぼ行動を共にするそのデメリットの一つが目の前に来てしまっていた。それだけのこと…なのだが、前例と違うのはなぜか毒組ではなく明らかな敵意がこちらに向いていることだった

ドラーシェス「…、きっとイッコウセンも同じことを思い、救援を求めたのだろう…。このままでは二の舞だな…!」

不気味にその敵はゆらりと巻き付けている腕の骨のようなものを自分の背後につける。だがそれさえもまだまだ本気など出しておらず、もてあそばれているということが二人には嫌でもわかってしまう。

ドラーシェス「逃げるか…?」

ユウラ「お前バカになったか?逃がしてくれそうにもないね」

???「…」

何かをつぶやくと骨の指先が紫色に燃え、火の玉が打ち出される!!それをよけようとするがとんでもない追撃力がそれを許そうとしない

ドラーシェス「こいつっ…!!まさかっ…!!?」

ユウラ「くそっ!!見境なさすぎね…!!ぐあっ!!」

その流れ弾は街にも及ぼうとしていたがそれに気が付いた二人がギリギリのところで引きつけたり撃ち落したため被害はほぼゼロ、さきほどまで余裕のあった体力は削りに削られてもはや逃げる体力すらも奪っていった

ドラーシェス「ユウラっ…、いきてるか…?」

ユウラ「この程度でくたばるわけないね…!エクレール様の修行の方がもっときついね…!!」

ぴくっ、わずかにエクレールという言葉に反応したのか敵は一瞬だけ動きを止めた。それを二人は見逃さなかった!

ドラーシェス「煙幕!!」

ユウラ「くっ!!」

ドゥン!!

 

 

 

 

 

一斉に煙球を投げて視界を潰し、逃走を図る!!二人は残った体力を出し尽くすように建物を伝った!!

 

 

ユウラ「なんとか巻いたか…?」

ドラーシェス「…っ!?」

二人が背後を確認した直後、なんと目の前に先ほどの敵がいた…

ドラーシェス「くっ…、こいつはなんなんだ…!?」

ユウラ「ひとつわかったことがあるとすれば、こいつは人間でもポケモンでもないのは明白ね…!」

???「…」

再び先ほどの火炎弾が準備される。だが二人にはもう体力は残されておらず、ただ…祈るしかなかった…、主君の無事を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エアロギロチン!!

 

 

 

???「…!」

上空からの急襲に敵は攻撃を中止、空いた距離の間に颯爽と二人組が現れた…

リタ「おやおや、ずいぶんおかしな奴が見つかったものだ」

カゼキリ「黙って見過ごすほど私様たちは甘くないぞ?」

 

それは上空からエクレールを探していたカゼキリとリタだった

 

カゼキリ「エクレールを探してみればまさかその従者がみつかるとはな。オマケになんだ?この生き物は」

リタ「おー?どっかでみたことがあるな、こいつ」

カゼキリ「知り合いか?」

リタ「いーや、たしか百年ほど前に…」

???「…!」

その言葉に反応したのか敵は骨を伸ばしてリタを串刺しにしようとする!!

リタ「おっと」

間一髪それを避けるとすばやく魔法を詠唱、石の刃を飛ばしてけん制する。怯んだ隙を見てカゼキリが風の刃を飛ばしてさらに追い打ち、リタの詠唱を助ける

リタ「ヴラフォス・ヴェロス(大地の弓兵)!!」

地面が盛り上がり石の矢が下から襲い掛かり、敵はたまらず姿を消した。それも一瞬。まるで最初からいなかったかのような出来事だった…

リタ「騙されんぞ、ザジリエ・ラズリエ・ファルクス・エヴァンジェル。クイクードエフォシスマールツァントプルべレムテュームカム(切り刻め凩、瓦礫を刃に荒れ狂え)テラーターヴィンス!!」

詠唱によって発動した砂塵をまとった竜巻が不意打ちをしようとしていた敵を直撃!またしても陰に消えるように姿を消した

リタ「…今度は消えたな」

カゼキリ「こちらカゼキリだ、隊長。忍組を発見した、負傷している」

 

 

 

 

 

ベノ「わかった、すぐに向かう(ピッ)ラグナ、カティに連絡しろ。負傷者だ」

ラグナ「カティ、聞こえるか?どうやら忍組が負傷したらしい、至急手当の準備を、場所は…」

 

 

 

 

ドラーシェス「もうしわけありません…我らが不甲斐ないばかりに…」

リタ「気にかかる程度の事か?仲間が危機なら助けるのがここ(てゐ劇)なのだろう?」

気高くその身に合わない目付きで笑うリタ、しかし二人は自分たちが情けないという顔をしていた

ユウラ「だとしても情けなさすぎるね…!私たち弱過ぎよ…」

カゼキリ「別に強さなんていらないと思うが?自分が自分らしくあり、自分で正しい価値を得られれば私はそれだけでいいと思う。強さなんてそこについてくるオマケだ」

しらっとそういうとあくびを交える。もう夜も更けているためか眠いのだろう。一方吸血鬼のリタはピンピンしている

ドラーシェス「…!しまった…」

リタ「どうした?深刻そうな顔をして、私たちがいるかぎり手は出させないさ」

ユウラ「違うね…わたしらなんかより…ハヤテと…マキが…」

 

 

 

【スリバチ山:森林地帯】

 

 

ハヤテ「マキ、だいじょうぶか…?」

エクレールを諦めきれず、捜索していたハヤテ、それに付き添ってきた健気なマキを気遣う。もう夜も深いため下山していたところだった

マキ(アギルダー:♀)「はい…ただ…イッコウセンさんの怪我…普通じゃ…ないですよね…?」

ハヤテ「…」

そう、誰もが気づいていた。正直なぜ一命をとりとめているのかが不思議なくらいの傷だった

ハヤテ「奇跡…だと思いたい」

マキ「…なんですかそれ…。あんな酷い怪我で奇跡なら…イッコウセンさんの命は…そんなに軽いものなんですか!?私納得いきません!!あんな…あんな見せしめみたいな傷…!素人目でも気づきます…!」

ハヤテ「マキ、落ち着け、イッコウセンだって必死に戦ったに違いない。その結果、なんとか一命をとりとめたんだ、だから、あの傷は見せしめなんかじゃない、そう…信じよう…。今だけでも奇跡だと信じて…」

マキ「…」

ハヤテ「…。そういえばマキ…。その…、これを受け取ってほしい…」

マキ「これは…?」

ハヤテ「…二人だけなのだ。他の奴らの前では恥ずかしくてな…。気に入ってもらえるとありがたい…」

それは少し大きめの古い感じのする平たい木の箱だった。紫色の結びで封をされており、すこしずっしりとした感じから重いものであることがほのかにわかる

マキ「開けてみても…いいですか?」

ハヤテ「あ…あぁ…いいぞ…」

いつものハヤテからは想像できないくらいの初々しい反応からマキも少しためらう

マキ「…や…やっぱり後で…ちょっと気恥ずかしくて…」

口元が嬉しさから緩み、顔を傘帽子で隠すとハヤテもぷいっと顔を隠すように横を向く

ハヤテ「そ…そうか?それでもいい…受け取ってさえくれ”ザシュ!!”ば……な…?」

マキ「へ…?」

それは 静寂を踏みにじる

???「…」

 

 

 

悪夢の始まった音だった

マキ「いやあああああっ!!!ハヤテさんっ!!」

黒い影のようなものがハヤテの腹部を貫通。血が噴き出してマキの仮面と傘帽子にかかる。そして奴は暗闇よりぬぅっと這い出てきた

ハヤテ「マキっ!逃げなさい…っ!!」

マキ「あ…あ…」

ほとんど力が出ない状況で必死に声を張り上げてマキに逃走を促す。ハヤテはエクレールの右腕として数々の戦闘を経験している。その積み重ねが痛みよりも早く戦闘能力の桁がはるかに違うことを把握してしまったのだ。ほかの三人と同様に…!

ハヤテ「ぐぅう…っ!!」

渾身の力を振り絞って突き刺さった黒い影のようなものを思いっきりつかみ、相手を木にたたき伏せる!たとえ自分を犠牲にしてでもマキを逃がすための行動だった。だが…マキは足がすくみ、完全に腰が抜けて失神寸前だった…

ハヤテ「マキっ!!逃げろおおっ!!」

その言葉に反応し、マキも力を振り絞るが…その姿はなさけなく、なんどもこけ、トレードマークの傘帽子も捨てて木の箱を抱きかかえたまま尻尾を巻くように逃げ出した…

ハヤテ「それでいい…それで…」

腹部に刺さった影を抜かれるとハヤテはよろめきながらも敵に鋭い殺意を向ける。いや、それは殺意というよりマキをなんとしても護るという鋼よりも固い決意からくるもののようにも見える

ハヤテ「ふ…ふふ…この程度の不意打ちで私がくたばると思うか…?舐めるなっ!!私がいる限りあの子には指一本触れさせるものかあっ!!!」

ギラッと黒い十字の付いた鉢がねをつけるとハヤテは何かを取り出した!

ハヤテ「私の全身全霊を持って!!あの子を守って見せる!!メガシンカ!!!」

全ての鎧がパージ、真新しい鎧装が次々と生成、装着され、腕にのこぎり刃のハサミ状のナックル。背中に羽を展開し、顔には鋭くも凛々しい仮面が装着された!!

ハヤテ(M)「来いっ!!貴様の相手は私だけだ!!」

 

 

 

 

 

マキ「っ…はぁ…はぁっ…!!」

逃げなきゃ

マキ「うっ…っはぁ…げほっ…!!」

走らなきゃ

マキ「ぐすっ…うぅっ…!!」

どうして…こんなことに…?

マキ「あっ…!」

ドシャっ!!

マキ「…どう…して…?」

どれだけ逃げたかわからない。もう足元も見えないままがむしゃらに走っていたマキは傾斜から滑り落ちた

 

 

おおきく転んだ衝撃で気の箱が手元から離れ、転がる。そして何かにぶつかったようにころりとそれは動きを止めた

マキ「ぐっ…!どうしてこんなひどいことができるの!!?あなたはいったい誰なのっ!!?」

そこには、目の前には…マキを見下すように…奴が立っていた…。周囲は明かり一つ無い暗闇、そこに奴の異形な眼だけが見えていた

マキ「あなたなんでしょ…!?イッコウセンさんをあんなひどい目にあわせて…ハヤテさんも傷つけた!!ユウラさんとドラーシェスさん…エクレール様のことも傷つけたら私はあなたを絶対に許さないから!!!」

ピシャァアン!!!

いつしか鳴り響いた雷鳴は雨雲を運び、あっという間にその場は土砂降りになった。マキは泥だらけで立ち上がり、奴をにらみつける。このとき、彼女は初めて誰かに対する怒り、憎しみ、殺意に目覚めた

マキ「許さない…!許すものかぁっ!!!」

???「やめなさい。マキ」

上空から誰かがマキと奴の前に降り立った。それは…

マキ「エクレール…様…?」

エクレール「いやぁ、ごめんね。こいつのこと探してたんだけどね。まさかあんたたちの方に行くなんざぁ…思ってなくてさ…」

決して笑っていない顔を見せることなくミシミシと右手を握り、一気に開き骨を鳴らす。そしてその手をまた握り…大木に打ち付けた。その衝撃で吹き飛ぶ森林。バリバリと電気がスパークする音、そして…

エクレール「…悪いねぇ、封印なんて私習ってなくてねぇ…。てめぇをズタズタに引き裂いて地獄に送ってやるから…!!手加減なんてしねぇからな!!」

一瞬で奴の首元を蹴ると顔面を左手で掴む。すると物の数秒で顔の形が変形していく…!

 

実はエクレールの握力はてゐ劇の中でも群を抜いており、彼女より上はラグナしかいない。

 

 

腕力や脚力など体術的なことを総合すると他のメンバーを鼻先で笑い飛ばせるほど能力が高い、それが、彼女がエリートと言われるが所以である

 

 

 

エクレール「おら、どうした、利き腕じゃねぇぞ。てめぇがおねんねするには…早すぎるんだよぉっ!!!」

メキメキミシミシと直に骨が砕ける音が聞こえる。抵抗に腕の骨がエクレールを攻撃しようとするがたやすく回避されて指をすべて蹴り飛ばされる。完全にグロッキー状態。またしても容赦なく首を締めあげるエクレール。殺意が尋常ではなかった

エクレール「なめんじゃねぇぞ…?アタシの故郷を滅ぼし!!家族やみんなまで奪い!!私の大事な忍組まで潰そうってか!!?あ゛ぁっ!!?アタイの幸せを踏みにじって楽しいかよ…!?ザラーム!!!」

明らかになった敵の名、ザラームの触手をエクレールは右腕で掴むとそれを思いっきり引きちぎる!ブチブチと生々しい音を立てて黒い何かが噴き出した

ザラーム「…!」

ぎょろりと不気味な視線をエクレールにぶつける。だがエクレールは今までにない形相でザラームを睨み返す。一切手を抜かずにちぎった触手を捨てると利き腕も加えて首をさらに締めあげ始めた

エクレール「苦しみも痛みも無く殺してやるっ!!てめぇがアタシにしたように今、てめぇの全てを奪ってやる…!!」

その姿を見ていたマキは…ザラームよりもエクレールに恐怖を覚えていた…。いつもはひょうきんでおちゃめでなのにしっかり者で…。優しい…。だが目の前のエクレールにその面影はなく、形が同じなだけの別人にも見えた

マキ「これが…エクレールさまの本気…?」

エクレール「…」

一瞬マキのことをみたエクレールの瞳は…かすかに泣いているようにも見えた…。その一瞬だけ力が緩んだ

ザラーム「!!」

その一瞬の隙をザラームは見逃さなかった!!髪の毛から黒い竜頭を突き出してエクレールを強引に突き放す!!すかさず邪悪な球体を連続発射してさらに突き放そうとする

エクレール「っ!!こんな攻撃!!」

すばやくその攻撃をよけ、ザラームに攻撃を仕掛けようとする!!だが…怒りに飲まれるあまりにエクレールは忘れていた…

エクレール「っ!しまっ…!!」

自分のすぐ真後ろに、マキがいたことを…

マキ「…っひ!」

バァン!!

それは…マキに被弾…しなかった…

マキ「ハヤテ…さん…?」

ハヤテ「無事か…?」

護ったのは…満身創痍のハヤテだった…

ハヤテ「ぐっ…う」

ドサリと崩れ落ちるとハヤテは意識を失った…。全身ズタズタ、腹部に穴が開いているにも関わらずハヤテは最後までマキを護るために…

マキ「ハヤテさん!ハヤテさんっ!!」

エクレール「っ…。なっ…!」

マキとハヤテにエクレールが気を取られた隙を見てザラームは逃げ出したようだった…。気配はなく、いつのまにか雨も上がっていた

エクレール「…くそっ!!また…護れなかったのかっ!!アタシはっ!!くっそおおおおおおっ!!!」

強く握った拳で大木を殴り飛ばすとエクレールはギリギリと歯を鳴らし、大声で慟哭し、なんども地面に自分の拳を打ち付ける。握った掌からも、打ち付けた拳からも、赤い血が泥に色を付けていく

エクレール「ちくしょおおおおっ!!!」

マキには、ハヤテを思いながらそれを見ているしかできなかった。いつもは太陽の光のように明るい笑顔が憎しみに染まったその顔に、どういう言葉をかければいいのかわからなかった

エクレール「…ごめん…ごめんよ…マキちゃん…みんな…。もう…終わらせるから…。アタシが全部…」

そういって顔を上げるとエクレールはどこかに姿を消した…

マキ「エクレール…さま…」

 

 

 

 

 

 

 

 

ベノ「…なるほどな、どうやらそのザラームってのが今回の事件の中央にいるとみて間違いねぇな。だが…妙だな…ザラームって奴の情報、いまだ一つも見つかんねぇとは…」

忍組ほぼ全員が入院している病室でマキからの情報をもとにザラームについて調べていたベノ。情報が一つも見つからないことに難儀していた。エクレールも行方不明。完全に八方塞がりだった

ベノ「すまねぇな…こんなザマじゃ見舞いにもなりゃしねぇ」

マキ「いえ…」

ベノ「…見たんだろ?エクレールの力を」

核心に触れることを言われ、眉を動かすマキ、その瞳には複雑な感情が見え隠れしていた…

ベノ「…あいつな、俺の事殺しに来やがったんだ」

マキ「え…」

ベノ「…、昔の事だ、俺は人に褒められる過去をしてねぇ、だからその時の俺を憎んで暗殺しようとする奴も少なくねぇ。エクレールもそんな雇われた殺し屋の一人だった。不意を突かれたのもあってかなりヤバかった。だが…すぐにラグナたちが来てくれてよ、俺は助かったんだがエクレールの奴は悲しそうな眼をしてた。そん時だ、こいつも孤独(そういう奴)なんだって感じてよ、その場でスカウトしたってわけよ。それからすぐあいつはすぐに地位を高めていきやがった。それこそ天才ってのはああいうことを言うんだと思ったぜ」

マキ「そんなに…すごかったのですか…?」

ベノ「最下位の奴が一か月、しかもたった一人で上位の組と成績でタイ張ってたらそりゃ二度見するだろ。即隊長会議の話題になったもんだ。とまぁその時丁度どの組にも馴染めなかったはぐれもの四人がいてよ、そいつらのお守を任せたんだ。それが忍組誕生のきっかけだ、その二年か三年後だな、お前がスカウトされたのは」

マキ「…」

ベノ「お前からの話が本当ならよ、エクレールは過去に護れなかったものがあった。そして今、新しく護るべきものも護れなかった。その罪悪感に苛まれてんだろな。…俺には痛いくらいわかるぜ…」

アルタイルを見つめて…ベノはそうつぶやく…その時病室のドアが前触れもなく開いた

リタ「坊や、吉報だ!」

ベノ「ノックから出直せロリババア」

リタ「まぁ良いではないか、それよりザラームのこと、思い出したぞ」

 

 

 

リタ「確か150年前だな、その時私はエンジュシティに立ち寄ったことがあってな。丁度”カネの塔”の前後を見たことがある」

ベノ「…そりゃあのライコウ、エンテイ、スイクンの伝説の事だな?あの焼けた塔の伝説の」

リタ「ふっ、ベノ坊や、その伝説、本当のものだと思うか?」

ベノ「…なにがいいたい?」

リタ「これを見ろ、私が当時高価だったカメラを使ってこっそり撮影したものなのだがな」

そういってボロボロの写真が手渡される。色あせているがはっきりと塔が燃えているのがわかる写真。だがそこにはとんでもないものが移っていた!!

ベノ「こいつ…マキっ!!これか!?」

マキ「こ…これです…!エクレール様が呼んでいたザラームというのは…!」

そこには小さいながらはっきりと、上空からカネの塔を見下すザラームが映っていた…!

ベノ「となりゃ…まさか…!?」

リタ「そうだ、突然の落雷などと伝わっているがこれをよく見ろ。私の記憶が正しければ当時は晴天、雲一つなかったはずだ」

写真の空を見てみると確かに雲ひとつない晴天のようだが塔は燃えている

ベノ「焼けた塔は落雷の火事じゃねぇ、燃やされたってことか…?」

リタ「ご名答だ、そしてなぜだがこの事件は途中から降ってきた大雨で鎮火されている。それこそあのルギアによるものだと私は推測している。そしてここからは伝説通りだ、三犬伝説につながる。この時、すぐにルギアとホウオウが現れなかった原因はわからんが…鍵を握っているのはもう一つある。それをタマじょーちゃんとらんまるが教えてくれた。エクレールの故郷…ギンリョウタウンだ」

 

 

 

翌日

 

ベノ「本当にあるんだろうな…そのギンリョウタウンってのは…。わりぃが歴史には少し鈍くてよ」

らんまる「いや、こんなもの、古い書物を好き好んで読まなければわからない」

タマズサ「なんやウチの家も古いさかいに数百年前の本とかぎょうさんあるんよ。らんまるは昔っからよく読んどったもんなぁ」

チョウジタウン周辺の森の奥地を毒組は歩いていた。昨夜、全員でリュウグウジ家の書物を手当たり次第にあさり、ギンリョウタウンに関する情報を手に入れた、場所はチョウジタウンの周辺とだけしかわからなかったがイッコウセンやマキが襲われた場所からスリバチ山方面に手がかりがあるのではないかと推測し、足を運んでいた

ベノ「しっかし…”幻の村”…か…」

その書物には奇妙なことが書いてあった、それはギンリョウタウンが廃村となる以前に侵入者を寄せ付けない幻の村であるということだった

しゅヴぁる(シュバルゴ:♂)「この近辺には最近修行に上ってみたが…村…らしきものは見なかったな…」

ルークス(ドレディア:♀★)「すんすん…。でもちょっと変よね、チョウジタウン周辺の木とここら辺一体の木、同じようで全く違う種類よ?」

ベノ「…カティ!そっちはどうだー!?」

上空に居るカオティクスに声をかける。いざというときのため飛べるメンバーは上空で移動していた

カオティクス(ウォーグル:♂)「前方に渓流です!それ以外は特に見受けられませーん!!」

ベノ「一回休憩にするかー!降りて来い!!」

 

 

 

ぷりん(グレイシア:♀)「うへー…疲れたー…」

もみじ「しゅヴぁる…それ重くないの?」

しゅヴぁる「慣れてしまった…今はむしろ暑いな…」

ラグナ「薄めの素材の着物にしたんだが…ここら一帯が元から暑いのかすぐ汗をかくな」

ベノ「水分補給はちゃんとしとけよ、あ…?」

その時、ベノは何かに違和感を感じた

ベノ「…おい、みんな」

全員を呼び出すと川の水を指さす

ベノ「なんか違和感しねぇか?」

その場所をのぞき込むと水面が揺れている。…のだが何かがおかしい

チグサメ(カポエラー:♂)「…?」

リタ「ほーお?」

カゼキリ「…色が違うな」

ベノ「だよな…」

そこに映っていたのは唯一一本だけ銀色の葉に包まれた金色の木、だが普通に見る分にはただの木だ

ベノ「まさかな…」

水に手を入れ、映った木に触れる。するとその木の触れたところは金色に輝きだした…!

カオティクス「もしかして…」

ベノ「たぶんだが…これを手掛かりにすりゃあ…たどり着くんじゃねぇか…?」

ラグナ「それなら…ちょいと自然にゃ申し訳ねぇが手っ取り早くやるか」

両腕を上げて水を集めるとラグナは巨大な球体を作り出す。それをベノが上空に蹴り飛ばす!遥か空から破裂した水の玉は雨となって森に降り注いだ…

ベノ「カティ、見てきてくれ」

空へ飛んだカオティクスは森を見渡すと手を振りながらベノ達を誘導する。万が一色が消えてもカオティクスが場所をわかっていればたどり着ける。そして…手がかりを伝うこと歩いて数十分…

ベノ「…っと、ここか…?」

そこは…苔むした朽木の家が少しある小さな広場のような場所だった…

ラグナ「だいぶ古いな…。これは…」

カゼキリ「約だが10年以上たってるな、中は…。うん…?」

中は意外と無傷であった、古いもののつい最近まで誰かがいた痕跡があった…

ベノ「…これは」

足にこつんと当たった本を拾い上げる。ページをめくるとまったく見たことのないような文字だった

ベノ「リタ、わかるか?」

リタ「…、これは今から200年以上前にイッシュ地方のとある地域で使われていたコウア文字だな、どれ…」

目を凝らしてペラペラとページをめくる

リタ「ときのはじまりわよこしまなるこころである…ひとびとやしんじゅうにやどるそれわいつしかおおきなさいやくをうみだしていた…。じゃあくなるえいえんにつづくあくむ。われわれわそれをざらあむ(邪螺悪夢)とよぶことにした」

ベノ「!」

リタ「われわれわざらあむをふういんすることにせいこうした、だがやつはたびたびふういんをじりきでやぶっていった。そのたびにわれわれわぎせいをだし、いまでわわたしとおっと、そしてむすめだけとなった。だがもうやつをふっかつさせない。わたしたちのこにはてをださせない。こんやがそのときである。どうか、わたしのむすめ、ほのかにはもうそのおもいをさせぬように…」

ルークス「…でも封印はとけてしまったのね…」

リタ「もの好きだな、わざわざコウア文字で書くとは…」

そういいながら本を見回す。するとリタはとあることに気が付く

リタ「…この材質…。保存状態が良いとしても今から10年ほど前か…?だがなぜコウア文字で書いた…?」

???「それは…連鎖を断ち切るためです」

玄関に現れた謎の人物はまっすぐこちらに歩み寄ると本をリタから受け取る。そしてページをめくって再びリタに手渡す

リタ「…これは」

???「はい、奴の…ザラームの封印方法です」

ベノ「なんて書いてあんだ…?」

リタ「…読むぞ?」

全員がうなずく。リタはすこし悲しそうな眼をして口を開く

リタ「奴を封印するためには奴が腹を満たしている時に結界の中で拘束し、それで10~15年ほど封印できると書いてある。そのための対価は…封印する者の血肉だ」

ラグナ「なっ…!なんだよそれ…命を懸けてたったそれだけしか封印できないってのかよ…」

???「さらに奴は気まぐれで強固な封印をこじ開け、最短で一日たたずして復活したこともあります」

カオティクス「まさに悪夢ですね…」

リタ「しかもこの封印術式は東洋魔術の中でも飛び切り強い部類だな、これをあの悪魔共(七つの大罪)に使えば100年は何もさせずに封印できるやもしれぬぞ」

ベノ「七体いる時点で実用性は皆無だな」

リタ「ザラームの奴は生まれ次いで封印に極めて強い耐性を持ち合わせている可能性が高いな、いや…そもそも封印をあまり受け付けない体質なのか…?」

ルークス「それじゃあ…ザラームはどうして生まれたの?出生が関係しているかも…」

???「その本にも書いてありますが簡単に言えば奴は人やポケモンの心の穢れから生まれました」

ぷりん「穢れ?」

???「言葉通りの意味になりますが古来よりこのジョウトには二体の伝説のポケモン。ホウオウとルギアしかいませんでした。彼らは人々とポケモンの営みを見守り、時には試練を与え、空と海から大地に住まう命を支えていました。ですが時が重なるにつれて人々は傲慢になり、そのたびに心の穢れを彼らは取り除いていました。ところが…それは年々膨大になり、ついには彼らでは取り除けないほど莫大な闇として形を成していきました、その具現がザラーム。奴は生まれ出るとまずカネの塔…ルギアの止まり木を雷光で焼き尽くし、それに気が付いたホウオウとルギアが駆け付けると激闘の末に封印されました。その時の封印で奴は力のほとんどを浄化され、無力に近しい存在になりましたがその性質…人やポケモンの心に穢れが力となり、たびたび力を蓄えて封印を破り続けたことで耐性が付いていったのかもしれません」

リタ「なるほどな…。簡単に言えば人間のマイナスな部分が集まって生まれた闇というわけか…。殺す方法は?」

???「残念ながら…。奴は精神体のようなものです。物理的な攻撃はほとんど効力はないでしょう。少なくともこの地方や近辺の地方の呪術をすべて試しましたが効果はありませんでした」

カゼキリ「…ということは忍組の奮闘はまったく意味がなかったわけだな」

ベノ「ラグナやカティは相性最悪だな。殴る方が得意な奴はザラームとかち合うなよ」

リタ「逆に殴るのが苦手な奴は率先してザラームとやり合う必要があるな」

???「まさかザラームと戦われるのですか…?」

ベノ「あぁ、相手が何であれ仲間に危険が迫ってる。助け合うのが俺たちの流儀だ」

???「…微力ながら私にも手伝わせていただきたい。私はザラームによって主を失った。かたき討ちとは言わぬがもうこの悲しい連鎖を完全に断ち切りたい」

ベノ「…自分の身は自分で護れよ。えっと…」

ガラシャ(カミツルギ:?)「もうし遅れた、私の名は切江(きりえ)ガラシャ。ガラシャと呼んでくれ」

ベノ「よろしくな、ガラシャ」

互いに握手を交えるとガラシャは支度をすると言って奥の部屋に入っていった。ベノ達は家から出て空気をめいっぱい吸った

らんまる「…こんなに澄んだ空気を吸ったのは初めてだ」

しゅヴぁる「あぁ、いつかはこんなところで修行をして暮らしたいものだ」

もみじ「リタ、まだその本読んでるの?」

リタ「今は情報が惜しい。なにせ奴を封印するならの話だが奴が最大の力であることが封印条件だ。だがどこかになにかしら…殺す方法があるはずだ…。その手掛かりがほしい」

ガラシャ「待たせた、参りましょう」

ベノ「エクレールかザラームはこの近辺に居るはずだ、全員かたまって探すぞ」

ガラシャ「いや、その必要はない」

東にある山を指さすとガラシャは歩き出し、それに全員が付いていく形になった

ガラシャ「ザラームはおそらく、力を蓄え居城に戻っているはずです」

ベノ「居城?ここいらに城なんかあったか?」

カオティクスとカゼキリは互いに首を横に振る。他のみんなも見ていないようだった

ガラシャ「今向かっている山の峠には普段は霧で隠れているが今から400年前に使われなくなった初代鈴の塔がある。見た目は城だが内装は侵入者を排除する仕掛けで精神体のザラームからすれば痛くもないため不利益が無い」

リタ「…貴様。不老不死か?」

ガラシャ「長寿の種族なだけだ。実年齢は100を超えている」

ベノ「その口ぶりだと何度か入ったことがあるみたいだな」

ガラシャ「何十と入っていった。目の前で何人もの仲間を亡くした。それを刻み続け、私はここにいる…」

ベノ「犠牲の上に成り立つもの…か…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【初代鈴の塔:天守閣】

 

 

ザラーム「…」

エクレール「…」

ザラーム「…っ!!」

エクレール「死ねよ…。てめぇだけは死んじまえ!!!なんで生きてんだ!!生きる権利なんざてめぇにはねぇんだよ!!てめぇは…!!死ぬべきなんだ…っ!!生きてちゃいけないんだっ!!」

声を大きく張り上げて拳を握る…。空には雷鳴。赤い瞳がまっすぐザラームを捕らえていた

 

 

 

 

 

次回予告

 

復讐にためにザラームと戦うエクレール。その恨みや憎しみを糧にするザラーム。エクレールを助けるために走るベノ達。決断を迫られる忍組。その中ですべてに決着をつけるため、マキは決意する。虹の輝きの中で今、時を超えた奇跡が重なり合う

 

 

 

 

次回 †MULTIPLE AIGIS†SPECIAL Ξ THE HAPPINESS DIZAIA episodeⅠ後編

 

 

 

エクレール「さようなら。ほのか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「あーあ、やっぱり言う事聞かせること自体が無理でしたか。所詮は本能だけのバケモノですねぇ。”あの人たちの方がまだいう事を聞いてくれます”が…まぁいいです、まだ駒はあります…。せっかく封印解除の手助けをしてあげたのですから存分に暴れ、死んでくださいね?ザラーム…。くっふふふ…」

 

 

 

 




お疲れ様でした。これ以外の過去のSpecialの投稿はまだ決めかねています
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