†MULTIPLE AIGIS†SPECIAL Ξ THE HAPPINESS DIZAIA   作:てゐと

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こんにちは、私も楽しみにしてました。いつも見に来てくれている言葉無き方々にありがとう。そして初めて見に来てくれた方々にようこその言葉を送りたいです


†MULTIPLE AIGIS†SPECIAL Ξ THE HAPPINESS DIZAIA episodeⅣ 第一話

シャーヴァル「ここに来るのも何年ぶりか…」

 

感傷に浸りながらルヴィロームを引き連れて荒くれたちの集うバーに入るシャーヴァル。店の中の喧騒を無視し、二人はカウンターの椅子に腰掛けた

「いらっしゃい、何にします?」

後ろを向きながらそう言うマスターにシャーヴァルは真顔ながら口を開く

シャーヴァル「いつものを頼む、ルドルフ」

ルドルフ「その声…!シャーヴァルさん!?生きてらしたのですか!?」

シャーヴァル「幽霊にでも見えるか?どうやら反応からして針組が壊滅したというぐらいしか俺の情報は無かったようだな」

顔馴染みのマスター、ルドルフに気さくに話すシャーヴァル。普段から警戒心が強く高圧的な雰囲気を出しがちなのだが今はそこにはない

ルドルフ「いやはや…夢でも見ているのでしょうかね…?私はその一報を聞いてからもシャーヴァルさんの安否を気にしていたのですが」

シャーヴァル「訳アリだ、ボスは変わらずベノというのもな」

ルドルフ「ベノさんといえば現在はてゐ国歌劇団という組織を結成しているのでしたね、まさかそこに?」

シャーヴァル「あぁ、機密にしてくれるか?」

ルドルフ「もちろんです」

差し出されるドリンクに折り畳んだ紙が差し出される。シャーヴァルはそれをポケットに入れると一息つく

ルドルフ「お疲れのようですが何かございましたか?」

シャーヴァル「ルドルフ。情報が欲しい。ジンティアについてだ」

ルドルフ「!!」

シャーヴァル「知ってると思った。報酬はなんでもいい」

ルドルフ「シャーヴァルさん。ここではお話しできません。店が閉まるまで待っていただけますか」

シャーヴァル「構わない。そういう情報だからこそお前のところに来た」

円滑に進む話し、そしてルドルフは付き人にようやく気がついた

ルドルフ「シャーヴァルさん…!?」

シャーヴァル「安心しろ、俺が抑止力だ、暴れはさせない」

ルヴィローム「おいおい、そんな人を暴れ馬みたいに言うの止めろよな」

シャーヴァル「暴れ馬なんて優しすぎるな、銃口に手足が着いたような奴だお前は」

ルヴィローム「言い返しがいちいちおもしれぇなぁ。ルドルフ…だっけか、ジムビームあるかい?」

シャーヴァル「酒は飲むな、連れて帰る手間が増える上に酔ったお前はうるさい」

ルヴィローム「酒場だろ?他に何があるんだよ」

シャーヴァル「ジュースは何がある」

ルドルフ「今ですとジンジャーエールやアップルジュースがオススメです」

シャーヴァル「なら俺はアップルジュース、コイツにジンジャーエールを頼む」

ルドルフ「かしこまりました」

シャーヴァル「炭酸でも飲んで黙ってろ」

ルヴィローム「あいよ」

また余計な事を言うと禁止令を出されると感じたルヴィロームは椅子を2つ使って寝そべる。行儀は悪いがこんなチンピラだらけのバーでそれができるのも彼女くらいだ

 

シャーヴァル「本当に久しいな…。ここにいるとあの頃のことが思い出される」

ルドルフ「恐縮です」

差し出されたアップルジュースを少し飲むとまた口を開く。シャーヴァルにしては本当に良く喋る。それほどルドルフを信頼しているのだろう

シャーヴァル「治安は最悪だがマスターは腕利きだ、それが逆に助かる」

ここまでうるさいと逆に静かすぎる気配が分かりやすい。加えて情報の漏れが少ない。ここで日頃から騒ぎ飲んでる連中の耳には右から左へ素通りだ

ルドルフ「久しく会えば誉め殺しとは…。お恥ずかしい限り」

実はこのルドルフ、過去に何度もシャーヴァルに恩義と借りがあり、命を救われた事もある。裏世界ではいつ死んでもおかしくない。情報収集だって命懸けなのだ。そんな中で危ない橋を渡らざるおえない時、シャーヴァルに幾度も救われた、だからこそルドルフはシャーヴァルの生存を願って情報を集めていたほど慕っている

 

ルドルフ「それにしても…。まさか本物のデストロメアとお会いできるとも思っていませんでしたよ。確かに何処かへ雇われたからと賞金首のリストから除名されていましたが…」

シャーヴァル「昔話したとおりコイツとも長い付き合いだ。今は俺に手綱を握られてるが」

デストロメアとはルヴィロームの二つ名で、裏世界でこの名前を聞いたものは大きく二つの反応に別れる。一つはそんなもんおとぎ話だと笑うもの、もう一つは名前を聞いただけで逃げ出すものだ

ルヴィローム「あ゛ー、つまんねぇな」

シャーヴァル「タダで飲み物飲めるだけ文句言うな。これ以上無駄口叩くようならお前の給料から払うぞ」

ルヴィローム「別に構わねーよ、その程度の金でごちゃついて険悪になるほど腐れ縁でもないだろうよ」

シャーヴァルに隠れているがルヴィロームもいつもの人を小馬鹿にしたような口調が鳴りを潜めていた。人間もポケモンも自然体で居られることが最も素の自分を出せる。そこに…

「おうおう、偉く態度のでけぇ姉ちゃんじゃねぇか」

「このあたりじゃ見ない顔だな」

ルヴィロームの姿勢もあってか酔った勢いでチンピラどもが寄ってきてしまった、シャーヴァルはやれやれと警告する

シャーヴァル「悪いことは言わん。そいつに手を出すな」

「こりゃ傑作だぜ、彼氏か?」

シャーヴァル「カップルに見えるなら眼科行け、悪寒が走る」

ルヴィローム「ひっでぇの」

「こんな奴ほっといて俺達と遊ばねぇか?悪いようにゃしねぇ…」

ルヴィローム「私の懸賞金越えてるなら抱かせてやるよ」

「五十万ポケドル、イカすだろ?」

ルヴィローム「なんだ、お粗末な金額だなせめて100万だろ」

「てめぇ…懸賞金「よほど自信があるらしいな」

ルヴィローム「なんならてめぇらの合わせても足元に及ばねぇよ」

シャーヴァル「挑発するな、お前達も死にたくなければ…」

「黙りやがれ!ここまでコケにされて黙れるか!」

ルヴィローム「10京」

「は…?」

ルヴィローム「10京58億9000ポケドル、越えてみろよ」

その声は一瞬静まり返った店内に響き、全員の耳に入ってしまった。ざわつく者もいれば腰を抜かしている者も居る

ルヴィローム「ちょっと留守にしただけで裏世界ってのは忘れちまうのか?デストロメアってのをよぉ…!」

その瞬間にバーはパニック状態。全員が悲鳴を上げて我先にと逃げ出す阿鼻叫喚の地獄絵と化した

ルヴィローム「おーっと、てめぇは待ちな。人をナンパしておいて逃げんのかよ?ちょっと付き合えよっ…!」

シャーヴァル「泡吹いて気絶してるぞ」

ルヴィローム「それが?」

バァンッ!!

シャーヴァル「いい加減にしろ」

言葉が挟まらないくらいの早さでマグナムをチンピラの脳天に突きつけて引き金を引くルヴィローム。だがそれを察したシャーヴァルが銃身を掴んで上に向けたことでチンピラは命拾いした

ルヴィローム「止めんなよな、見せしめにしねぇとまたバカが来るだろ」

シャーヴァル「バカはお前だ、俺の行き付けで改造マグナムを黙って撃たせるとでも思っているのか?」

天井には拳銃の開けたものとは思えない穴が空いており、確かなことはすべての床と天井をぶち抜きその弾丸が屋根さえ突き破っていることだった

 

シャーヴァル「すまない。ルドルフ」

ルドルフ「いえ、私の店は前払いオーダーなので。それに人払いにもなったのではないでしょうか?」

ダンディーな対応にシャーヴァルは珍しく笑った。強がりなのか仲間の前では笑顔など滅多に見せないシャーヴァルにルヴィロームは(コイツにもこんな笑顔ができるんだな)と心の中で呟いた

 

 

 

ルドルフ「さて、盗聴機の類いも無いようですしこちらへ」

カウンターの中へ案内させられる二人、ルドルフが棚の奥を触ると床が開き地下への道が出来上がった

シャーヴァル「懐かしいな」

ルドルフ「恐縮です。ささ…」

座り心地のいいソファーに座るシャーヴァルとルヴィローム。ルドルフはいくつかのファイルを開いて口を開く

ルドルフ「ジンティアは最近フリダラシティ近辺にて頻繁に目撃されています。街中にアジトがあると見て良いでしょう」

シャーヴァル「スオリア地方のか、よくもあんなところに…」

ルヴィローム「懐かしいなぁ、私が皆殺しにした街だろ?」

ルドルフ「その通りです。それから二年たった時に街は再建されました、ですが今度はデスハーメルンの襲撃を受けて再び住民は皆殺し、三度目の正直という訳にも行かず国から破棄された街です。ジンティアにとって立ち入り禁止区域なのが幸いしたのでしょう」

ルヴィローム「そんなことまで知ってるたぁただの情報屋じゃねぇな?」

シャーヴァル「ルドルフ・ガンディーニ。元は裏世界で処刑人をして生計を立てていたが仲間から処刑の時に手を抜いていたと難癖をつけられて裏切られた。追手に終われている中で偶然針組に捕縛された」

ルヴィローム「ほぉ…?良く生きてたなぁ」

ルドルフ「恐縮です。その時捕縛してくださったのがシャーヴァルさんとその直属の部下の方々でした。シャーヴァルさんは見ず知らずの死に損ないであった私にとても親身になって介抱してくださりました。そして私の属していた組織を潰しに行っていた針組に私の知る情報をすべて、余すこと無く告白しました」

ルヴィローム「で、ベノにルドルフのことを言わず逃がしたってわけか?」

シャーヴァル「当時のベノのことを考えるとな…」

ルドルフ「えぇ、シャーヴァルさんに拾われたのは本当に奇跡でした」

ルヴィローム「そういやよ、当時のベノってどんなんだったんだ?」

シャーヴァル「そうか、お前はその頃デビューしたてだったな。当時のベノはそうだな…」

 

ルドルフ「ヴァイオレットフレスベルグ…。紫の鏖魔でしたかな…?」

ルヴィローム「聞いたことねぇな。針組のことは知ってたがよ」

シャーヴァル「お前が本格的に活動し始めた頃には針組は壊滅していたからな、知らなくて当然だ。命があるからこそ罪がある。だから皆殺しにする。それが当時のベノだ」

ルドルフ「重ね重ねその節は…」

シャーヴァル「何度も言ってるだろう。何度も礼は要らん。ところで…」

ルドルフ「おやっさんの情報。ですか?」

シャーヴァル「あれから音沙汰は」

ルドルフ「やはりもう裏世界から引退なさっていますと足取りは…」

シャーヴァル「そうか…」

ルドルフ「また何かあれば連絡いたしましょう。お代は結構ですので」

シャーヴァル「俺としてはいくらでも払いたいのだがな」

ルドルフ「私が素直に受けとると思いますか?」

シャーヴァル「買える間際にポケットにでも返されるのが関の山だ」

ルドルフ「仰る通りです。それではこれを…。私が知るかぎりジンティアの情報です。今話した以外の事も書いてあります」

メモリを渡すルドルフ。シャーヴァルは一言「すまないな、いつも」と返して受け取ると立ち上がって踵を返した

 

ルドルフ「ご武運を」

シャーヴァル「次はちゃんと飲みに来る。良い酒を置いててくれ」

 

 

行きとは違う扉を開いてシャーヴァルとルヴィロームはルドルフの店を後にした

 

 

 

 

 

 

 

第二話へ続く…

 

 




お疲れ様でした。次も頑張ります
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