†MULTIPLE AIGIS†SPECIAL Ξ THE HAPPINESS DIZAIA 作:てゐと
シャーヴァル「買い出しご苦労。さて、お前達。本題だ」
朝っぱらからエレッサが食べた分+買い出しに出掛けた新生鍼組一同。買い出した物を片付けながら広い台所でシャーヴァルが話を切り出す
シャーヴァル「緊急にして極秘の任務。それも俺たちにしか出来ない」
その一言で全員の目付きが厳しいものに変わる。裏世界組は元より元一般人出身のれんがやキサラギ達も入隊後シャーヴァルに鍛え上げられたため戦闘関連になるとそのモードに切り替える
シャーヴァル「先日、毒組、地組、兎組が立て続けてトラブルに巻き込まれた。無関係に思われたこれらが繋がっているのではないかというのが俺の推測だ」
れんが「根拠とかあるの?」
シャーヴァル「毒組が対峙したザラームという闇の化身の封印が外的要因で解かれていたらしいのだが。それを守れと一般人を脅した人物が兎組を襲撃した者と特徴が同じだという」
ステイル「それは偶然とは言いにくいですな…」
シャーヴァル「時をほぼ同じくして地組と大立ち回りをしたクティス・オス・サンクティスという集団。それらに味方したのがわかな、ラピスの同僚だったとも聞いた。やはり俺の推測というのは嫌でも当たりやすいようでな。二人に確認した所…、ジンティアと呼ばれる暗殺組織が関与していることがわかった」
エルッタブ「それを潰すのが任務なのか?」
シャーヴァル「即決に言えばそうなる。だがただでは潰さない。今回主に狙うのは…、奴等の研究施設だ」
ルヴィローム「あ?なんでんな所潰すんだよ。皆殺しにすりゃいいだろ」
シャーヴァル「…。無論出来るならやるつもりだ。だが最優先はそこだ、奴等は人工的にダークネスポケモンを産み出そうとしている。それも俺達の過去を蒸し返すようにな…」
複雑な心境か表情に出るシャーヴァル。しかしすぐに切り替えて話を進める
シャーヴァル「もし奴等に簡単に見つかればどうなると思う?」
ソフィア「雑魚やそれなりの奴を送り込んでくるわね。そうすれば研究資料や資金を持ってトンズラぐらいは出来るんじゃない?」
シャーヴァル「まさにその通りだ。奴等の戦力の全体も把握出来てない以上、やれることは火消しぐらいしかない」
リヴェータ「正しい判断ね、兎組を襲ったのが尖兵に過ぎないなら本拠地には恐らく…」
シャーヴァル「…。これも嫌な予感だが…、ルヴィロームがデストロメアと呼ばれる前、ソフィアなら知ってると思うが不自然なタイミングで裏世界の賞金首から数名名前が消えた事があった。簡単に殺されるような連中ではなかったはずだが…」
たらこ「それを殺せるような奴が居たってこと?」
リヴィリーナ【私達みたいに契約したかもしれないよ?】
シャーヴァル「どちらも考えられる。何にせよ気をつけて行くぞ」
キサラギ「何処に…?」
シャーヴァル「スオリア地方、フリダラシティ」
キサラギ「何処だよ…(超小声)」
エルッタブ「聞かない地名だな」
シャーヴァル「当然だ。オーレ地方の北北西に位置する地方であのニケルダーク島が地図にギリギリ入ってるくらい遠い」
リヴィリーナ【懐かしいなぁ。思いっきり歌ったよ】
シャーヴァル「治安は正直かなり悪い。一見平和そうに見えて人通りが少なかったり夜になると本性を現す地方だ」
ソフィア「そのせいで他の地方から全然旅行客とか来ないのよ。賄賂を貰えば警察だって犯罪を黙視して協力してくる。裏世界の住人でも滅多に行きたがらないわ」
シャーヴァル「宿も簡単には取れない。盗難や襲われる可能性がある。なので目的地のフリダラシティまでは他所の街にはいかない」
れんが「じゃあどうすんの?」
シャーヴァル「改造キャンピングカーを二台。男女で分けて使う」
ソフィア「それなら危険は低いわね昼夜交代で見張ればさらに危険は減るし」
シャーヴァル「負担は掛かるがキサラギに氷でドームを作って貰えればさらに危険は減る」
キサラギ「頻度にもよるけど…。そのくらいなら…やってあげますよ…」
れんが「ありがと!キサちゃん!」
キサラギ「(うっぜぇ、熱い、キモい)れんが先輩は外でいいですか?」
シャーヴァル「れんが。感謝は充分伝わったから離れてやれ」
エルッタブ「ガレージにキャンピングカーなんてあったか?」
シャーヴァル「改造含め手配はしてある。RPGぐらいなら耐えれるように頼んだ」
れんが「へー、ゲーム出来るの?」
ステイル「れんが。RPGとは対戦車用のロケットランチャーのことだ」
れんが「何それ!?そんなの飛んでくるの!?」
シャーヴァル「これが実物だ」
ヒョイと投げられる弾丸無しの銃火器。シャーヴァルはいままでガレージにあったが厳重に施錠されていたドアの中から次々と武器を持ってくる
ルヴィローム「どれも手入れが行き届いてるな」
シャーヴァル「いざと言うとき使えないのでは宝の持ち腐れだ。それとお前は自前があるだろう。触るな」
よほどルヴィロームに触られたくないのか釘を刺す。実際の所ルヴィロームの銃火器は改造されており、引き金からして強靭に作られてある。何故なら彼女の握力や腕力が強すぎて普通の武器が耐えられないからだ。引き金を引けば折れ、グリップを強く握れば痕が付く。剣を握らせれば振りかぶった時に刃が割れ、最悪刀身がすっぽぬける時もある
シャーヴァル「各自適当に装備を取れ。全員の防弾チョッキも用意する」
ソフィア「よほど癪に触られたのね」
シャーヴァル「私情は挟みたくないがそれを抜きにしても大事態だ。速急に対処しなければいけないだろう」
かなり手慣れた手つきで装備を整えたシャーヴァル。いつもと違う胸当ての右側には織田木瓜が刻まれており左には「刀」の文字。普段と似ているが違う姿に着替えていた
ソフィア「あら、懐かしいわね」
トットッパ「シャーヴァル様。そのお召し物は?」
シャーヴァル「昔使っていたものだ。時代遅れの装備だったが時間を見つけては補強していてな、つい最近使い物になるまでこぎ着けた」
右肩を大胆に出したデザインだがシャーヴァルにとってはこの方が刀を振りやすいようで一方左肩はちゃんと袖を通しているが懐に小型の武器をしまうためでありアシンメトリーなことにほとんど意味はなかった
ソフィア「昔はその赤い片袖と鎧を見ただけで逃げ出す兵も居たわね」
たらこ「いつものも良いけどカッコいいね。リーダー」
シャーヴァル「あれは囚人服をアレンジしただけだ。そのぶんこれはちゃんとした戦闘服。強度や利便性は段違いだ」
クラッパ「素材は何だす?」
シャーヴァル「月の石から稀に変化するルナエレメントと希少な軟質金属。ホワイトメタルを加工した。刃を通さず銃弾を弾く優れものだ」
コンコンと固くも軽い音。いつも素手のシャーヴァルには珍しく籠手も付けている。完全な戦闘態勢だ
シャーヴァル「各自射撃訓練。リヴェータとリヴィリーナ。お前達は免除だ」
ルヴィローム「あたしは?」
シャーヴァル「武器の点検でもしていろ」
冷たくあしらわれてどこかへ行くルヴィローム。れんがは挙手をする
シャーヴァル「なんだ」
れんが「なんで二人は免除なの?」
シャーヴァの「バトルスタイルに銃が不必要だからだ」
確かにリヴィリーナは声、リヴェータは体術で過去の生計を立てていた。それを言われると二人は言われるまでもなく突如体術による組み手を始めた
シャーヴァル「他に質問はあるか?明日の朝に車は届き、すぐ出発する。一秒も無駄に出来ないぞ」
れんが「何もないよ」
シャーヴァル「解散」
作られていた射撃訓練所で射撃を始める八人。ソフィアはグキグキと体を解すとシャーヴァルと組み手を始める
エルッタブ「思いの外当たらん…。反動か?」
クラッパ「エルッタブ、その撃ち方してると肩をやられるだすよ」
トットッパ「サブマシンガンやライフルは肩を完全に密着させて反動を流さないと危ないぞ」
エルッタブ「ん、そうなのか。というか何でそんなこと」
トットッパ「俺達こう見えて大学出てるしクラッパのせいで色んな知識増えてるからな。そんでもって重火器の扱い方を勉強した」
クラッパ「原理さえわかれば意外と扱いやすいだす。それで撃ち方も各それぞれ把握してればもっと使えるだすよ」
数時間後…
シャーヴァル「訓練終了!夕飯を食べて明日に備えて寝ろ!」
就寝命令を出した後、シャーヴァルはガレージにいた。ようやく届いたキャンピングカー(機能はほぼ戦車)のメンテナンスと積み荷作業をしていた
ソフィア「がんばり屋さんね。手伝うわ」
シャーヴァル「お前が命令違反か。珍しい」
ソフィア「善意よ」
特に咎めることもなく淡々と作業する二人。なにせ世界一物騒な遠足へ向かうのだ。今回ばかりは死傷者が身内に出るかもしれない。歴戦を経験したことによる不安が二人を襲っていた
ソフィア「怖い?」
シャーヴァル「いつだって仲間を失う可能性がある戦は怖いに決まっている」
ソフィア「そうよねぇ…」
シャーヴァル「そういえば聞いてなかったな。かつての部下はどうした」
ソフィア「みんな元気よ。数人は病や後遺症で死んだけど」
シャーヴァル「戦闘で死んでいなかった辺り女神の加護は健在なようだな」
ソフィア「よしなさいな。昔のジンクスよ?」
昔、ソフィアが軍に、シャーヴァルが針組にいた頃。とある小隊の顔触れが全く変化していなかった事からソフィアは軍神と呼ばれていた頃があった。だがその通り名を気に入らなかったのが当時のジーパン。ソフィアが率いる小隊の数名を強襲して殺害。ソフィア本人の顔にある大きな火傷はその時投げられた火炎手榴弾による物だ。それ以来彼女は火傷顔の戦女神(フライフェイスブリュンヒルデ)と呼ばれるようになり、それから二度とメンバーが死亡することがなくなったという
シャーヴァル「昔は刀も軒並み折られて疎ましかったが今ではそのジンクスが欲しい所だ」
ソフィア「弱気?」
シャーヴァル「かもしれない。正直兎組のあの怪我を見れば嫌でもわかる。あの怪我を負わせた奴等は本物の殺し屋、それも容赦しないタイプだ」
思い返すとアデア達が受けた怪我は少なかった。だがそのぶん急所周辺に傷が多く、どれだけ執拗に狙われたかを物語っていた
シャーヴァル「無駄傷を増やさず、殺しだけを遂行する…。か」
ソフィア「殺し屋としてはパーフェクトすぎるわね」
シャーヴァル「ゆきのの親族を皆殺しにしておいて痕跡もほとんど残してない。同じ大量殺人をさせてもルヴィロームとは大違いだな」
ソフィア「ふふっ。違いないわね」
思わず吹き出したソフィア。ある意味ブラックジョークなのだが身内に本人がいるということもあって笑ってしまう
シャーヴァル「すまない。笑ってくれて少し気が楽になった」
ソフィア「それは何より。そういえばついさっき元部下から情報が来たわ」
シャーヴァル「内容は」
ソフィア「裏世界で賞金首リストに動きあり。また不自然に数人消えたらしいわ」
シャーヴァルはそのリストを見せられて少し驚く。消えたのがどれも指折りの名だたる賞金首ばかりだったからだ
シャーヴァル「…殺されたか」
ソフィア「でしょうね。そのリストに載ってるのはいずれもかなりプライドが高く、群れたりするのが嫌いな連中だもの」
シャーヴァル「お前達が消えて新たに裏世界を牛耳った実力者、および俺達のスカウトに応じなかった連中。どれも行方不明の一貫性に欠けるか…」
ソフィア「殺しに一貫性って必要?」
シャーヴァル「いや、計画的でないなと思ったまでだ。もし一つの組織によるものだとしたら動きが派手すぎる」
今一度そのリストを見る。この中で一人目に留まった人物名があった
シャーヴァル「剛速のライゼン…。世界最悪のオンバーンか、スカウトを試みただけに残念だ」
ライゼン「ぐあっ!てめぇら!俺が剛速のライゼンだと知ってこんな真似をしてんのか!?」
???「もちろん。初めまして、剛速のライゼンさん」
強制連行されて薄暗い闘技場のような場所に連れてこられたのは剛速のライゼン。そして話しかけてきたのは仮面をつけ、全身をローブで隠している紅袖だった
ライゼン「誰かは知らんが何の用だ!契約か!?」
紅袖「いえいえ、そんなとんでもない。あなたにはただ戦ってもらいたいだけです。勝てればお帰し致します」
ライゼン「戦う…?どいつとだ」
紅袖「まあそう焦らないでくださいな。今お出ししますから」
金属質な床がオープンしてせりあがって来たのは随所にアーマーを着けた少女。目元も隠れており表情が読み取れない
紅袖「さあ、いつでもどうぞ」
その言葉を鵜呑みするわけにもいかず様子を見るライゼン。隣では紅袖が仮面の下で笑っている
ライゼン「女に手を出すのは好きじゃねぇが…!許せよ!!」
覚悟を決めたライゼンは風の刃を複数作り出し、ブーメランのように飛ばす!そしてその風の刃と共に自身も飛び出す!
紅袖「遅いですねぇ…」
刹那、聞こえた一言。ライゼン自慢のスピードが遅いと比喩された。ライゼンは聞き間違いかと一瞬戸惑うがその言葉はそのままの意味だった
???「BELIAL SYSTEM STANDBY」
迫る直前聞こえる機械音。圧倒的に出遅れた少女は…
ライゼン「なにっ…!?」
風の刃を飛び出した風圧だけで消し去ってライゼンをも裕に越えるスピードで圧倒する
ライゼン「どこだ!?後ろかっ!?」
追えてはいる。だが反応が追い付かないほどの速さに翻弄される。煽るように紅袖はクスクス笑う
紅袖「これが今の裏世界最速ですかぁ?他愛ない…」
ライゼン「くそおおっ!!」
増える切り傷。しかし刃物で切られた感じではなくすれ違った時のかまいたちによるものだった。
ライゼン「この俺が…!捉えらきれないだと…!?ふざけるなぁっ!!」
生き物には不可能レベルの機動力。方向転換の速さ。反射速度、全てにおいてライゼンは手も足も出ない。加速し続けた結果ライゼンは足元から凍っていく
ライゼン「(空気が凍る…!?)」
全く動かせてもらえず凍り付くライゼン。凍りきった瞬間、その少女はただの高速体当たりでライゼンの凍った身体をバラバラにする
紅袖「はいはい。良くできました。今の裏世界は情けないですねぇ。上から数えてこの弱さとは笑いすぎて泣けてきますよ。あなたもそう思いません?」
砕けた氷塊を踏み割って言い放つ紅袖。一方で少女はじっと止まっている
紅袖「人形に何を言っても無駄ですか、ではおやすみなさい」
金属の床に収納されていく少女。紅袖はコツコツと歩き去った
紅袖「ダークネスポケモン。それを自在に操れれば…我々ジンティアは永遠となる…くっふふ…。作り出すも、壊すも、我々の思うがままに…!」
第三話へ続く…
お疲れ様でした。ちょっと理由があってこっち優先にします