†MULTIPLE AIGIS†SPECIAL Ξ THE HAPPINESS DIZAIA   作:てゐと

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こんにちは。色々手直ししてたらすっごい遅くなりました。ですが自分でほぼリメイクして満足する結果になりましたのでお楽しみください。


†MULTIPLE AIGIS†SPECIAL Ξ THE HAPPINESS DIZAIA episodeⅠ 後編

 

 

 

 

 

 

 

イッコウセン「ううっ…」

ユウラ「やっと気が付いたね」

イッコウセン「お前たち…。ここは…」

ドラーシェス「病室だ、揃いも揃って不覚を取った」

イッコウセン「…。エクレール様は…ぐっ…!」

ハヤテ「動くな、お前が一番重傷だ」

そう言ってイッコウセンを寝かせるハヤテ、だが彼女も大概だったためすぐにマキに止められる

マキ「だめです!ハヤテさんも安静に…「あ…あぁ…。すまん…」」

ユウラ「とりあえず眠気覚ましにイッコウセン、聞くね。お前が寝てからあったことを」

 

 

 

 

 

 

イッコウセン「そんなことが…」

ドラーシェス「現在毒組の方々が動いてくれている」

ハヤテ「ギンリョウタウン…以前にエクレール様から聞かされたことがあるスリバチ山周辺にあるエクレール様の故郷だと…」

マキ「向かいましょう!私たちも力に…!」

ユウラ「マキ、気持ちは同じね、だが…私らだけが行ったところで歯が立たない。仮に場所がわかっても足手まといね。全員対峙したからそれくらいは承知できているはずね」

マキ「…」

それを聞いてかマキは胸が締め付けられた気分になってしまった…他の四人が勇敢に立ち向かったのに対して自分はただ逃げまどっていただけだった…。その結果…ハヤテに大けがをさせ、エクレールの身にも危険が迫っていることに強い負い目を感じていた。それを払拭するためにもマキは向かおうと思った、だが…実力も無ければ場所もわからない。ただの妄言に近かった

ハヤテ「…。弱いことは決して悪いことではない。私もそうだった…そしてお前たちも、…違うか?」

マキの様子を見て察したのかハヤテが話題を振る。それはなにもマキだけではなく、彼女を除いた四人の共通点でもあった

 

ドラーシェス「確かにな…。俺も…昔は今よりもっと弱かった…」

イッコウセン「…否定はしない、そして今も、まだまだ自分たちは未熟だと思い知らされた…」

ユウラ「…過去の私らを変えてくれたのはエクレール様ね、今、行かずにいつ恩を返すか…!!」

沸々と燃え上がるエクレールへの恩義、彼らは今にも飛び出しそうなほどの熱気を放っていた

マキ「…(でも私たちだけでは…また返り討ちに…。いったいどうすれば…。考えろ…マキ…、こういう場合…エクレール様ならじゃない…私なら…どうするの…?)」

ハヤテ「…、マキ。どうした?焦る気持ちはわかるが…まだ我々も完全に傷が癒えたわけではない、今は…「だめです!!今を逃せばエクレール様は…!」」

初めて聞いた、マキが声を荒げて自分に意見するその姿に。他の三人も同様に驚き、ハヤテは少し思い出し笑いをしたのかぼそっとつぶやいた

ハヤテ「ふふっ…入った時とはまるで別人のように成長したな…」

マキ「!!」

バンっ!!大きな音を立てながらマキは急いで病室をでた!それを全員が一瞬唖然となり、急いで追いかける

ユウラ「いきなりどうしたね…!まさか一人で向かったなんてことは…!!」

イッコウセン「どうであれ!マキだけでも傷つけさせないためにも探すぞ!!」

ドラーシェス「…いや、どうやら…」

一階に下りてすぐにマキは見つかった、その手には…

マキ「はい…。お願いします…」

ガチャンっと戻した受話器を握り、先ほどまでの険しい表情はどこへやら。マキは強く、活気に満ち、覚悟を決めた凛々しい顔をしていた

マキ「行きましょう!エクレール様の元へ!」

 

 

 

ベノ「ってなると!アイツは俺たちや人間の負の感情がある限り不死身だってのか!?」

走りながらガラシャに問う。全員が全速力で初代鈴の塔を目指していた

ガラシャ「そうなる。だからこそ封印という選択肢しかなかった。そして以前の封印は強すぎるあまりザラームでさえ破れなかった。もう二度と破れなかったはずだった!私は一年に一度この時期に村人の供養のために訪れるのだが今年訪れれてみればあの有様だ。だが封印はつい最近破られたと確信する。でなければ今頃この地方は…」

ラグナ「どうなるんだ!?」

ガラシャ「奴によって…。奴が腹を満たすためだけに征服され、憎しみを育てる地獄と化す。その憎しみはやがて世界を巻き込み、戦争を生み、極上の悲しみを生み出す。他人への劣等感。ザラームの息のかかっていない地域や食料の奪い合い。時間さえ立てばその穢れは国境などの問題ではなく、星を穢す。今すぐ止めなければ滅亡だ…!」

リタ「…確かに、地方一つの穢れを奴が取り込めば私たちに勝機はなくなるだろうな」

ベノ「落ち着いて言ってる場合か!んなもんほっとくわけいかねぇだろ!!ただでさえステゴロ専門のエクレールが追ってんだ!相性最悪じゃねぇか!」

ガラシャ「…そのエクレールという者、もしかして赤眼黒髪か…?」

もみじ「そうだけど…どうして?」

ガラシャ「…ほのかお嬢様…」

ルークス「?」

ガラシャ「なんでもない、急ごう」

その顔は眼こそ見えないものの悲しそうな顔をしていた。そして先頭を走りながらガラシャは思い出していた…

 

 

 

 

【十年数前】

 

ガラシャ「光(こう)様。お茶が入りました」

光(こう)「お、ガラシャか、悪いな…」

ガラシャ「…コウア文字でございますか?」

この当時、まだガラシャの両目は健在であった。白く濁った色の瞳で光の書いた文字を見る

光「あぁ、お前なら読めるだろう?ほのかには教えてないからな…あの子にはただ…純粋でまっすぐ、明るく生きてほしい…」

お茶を口にするとほっと一息。少し疲れているのかウトウトしているようだった

ガラシャ「いけません、布団を敷きます故、休んでください」

光「そうはいかないだろ…?あのクソ野郎のせいで同胞が散りに散って、もう封印ができるのはアタイと秀(ほず)しかいないじゃないか」

ガラシャ「しかし…」

光「大丈夫だ、秀もわかってくれてる。いざって時は…あんたにほのかを託すよ」

ガラシャ「そんなこと冗談でも言わないでください…ほのかお嬢様はまだ8才ですよ…!?お嬢様にこんなの…!あんまりではありませんか…!」

光「…悪いとは思ってるさ、でもね。どうせ人生ってのは咲いて散るものなのさ。だったら…最後に豪華絢爛の花吹雪。咲かせてやろうじゃないか。あんたと、娘のために」

煙管を吸い、灰を捨てると光はニカッと笑う。この後に待ち受ける運命を受け入れるように…

ガラシャ「…どうかお気をつけて…。願わくば…生きて…生きてください…!」

光「こらこら泣くんじゃないよ。いくつになったんだい?」

ガラシャ「ですが…ですがっ…!!」

光「…わかってるさ、もう一時間もないだろうね、だからさ…先に死んでく奴等は最後に残されたものの配慮なんざできない。できることは…さらなる不幸を…業を背負わせないようにすることだけさね」

筆を進め、出来上がった本をガラシャに渡す。ガラシャは涙を必死に抑えながら泣いていた…

光「それじゃあ行ってくるよ。秀ももう準備できてるだろうしね。ほのかのこと…頼んだ…。願うならどんな形でもいい、幸せであっててほしい」

 

 

 

 

 

 

秀(ほず)「遅かったじゃないか」

光「女にんなこと言うんじゃないよ。ほんとデリカシーってのがないね。あんた」

秀「ははっ、すまないな。鈍感で」

光「今からヘマしたら承知しないよ。閻魔ん代わりに地獄に蹴り飛ばしてやっからな」

秀「怖いなぁ、ほのかが泣くぞ?」

光「…」

秀「…」

光「…。最後に…抱きしめてやったらよかったかなぁ…」

秀「あー、僕もそうすればよかったかなー…」

光「アタイらそのことで恨まれそうだな!あっはっはっは!」

秀「違いないな、ほのかは甘えん坊だし」

二人が笑うと同時にたどり着いた場所、そこは…ザラームの封印された場所、そして今、その封印をじわじわとやぶり、おぞましいその姿が現れんとしていた…

光「ったくよぉ!あんのクソ爺!もっとちゃんと封印しろっての!」

秀「村長は…父さんはしっかりと務めたさ…。あいつがすべて……!」

光「…いくよ。娘のためだ、気張んな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガラシャ「こちらです。急いで」

ほのか「ねぇ…ガラシャぁ…おかーさんとおとーさんは…?」

ガラシャ「…後で説明いたします」

ほのか「ねぇ…おじーちゃんや村のみんなはどこにいったの…?もしかしてそこにいくの…?」

ガラシャ「…」

知っている。全ての真実を。だが…それは簡単に説明できるものでもないしましてやまだ8才の少女にその現実は重過ぎる。そう思えば思うほどにガラシャは黙っていった…

ほのか「ねぇ…」

ガラシャ「…っ!」

だが…ガラシャには耐えられなかった、全てを偽りで隠すことを。純粋なほのかの瞳に流れる涙を拭うつもりで、意を決してしゃがみ、ほのかと目線を合わせて全てを打ち明け始めた…

ガラシャ「ほのかお嬢様、私の話を、聞いてください。そして無理かもしれませんが…受け入れてください。今から真実をお話しします…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほのか「それじゃあ…みんな…しんじゃったの…?」

ガラシャ「すべては…ザラームの仕業です…」

目線を合わせ、真剣に話した。事の顛末。そして…彼女の両親の運命さえも…

ガラシャ「今のあなたには重過ぎるかもしれない…ですが…私には…黙っているだけなど…。嘘を付いてお嬢様と共にいるなど…耐えられませんでした…!」

ほのか「…」

ガラシャ「お許しください…!自身の都合のよいように逃げるだけしかできなかった…。そして幼心に真実をたたきつけてしまった中途半端な私の事を…」

ほのか「…ゆるさない」

ガラシャ「この身…いかようにも…」

ほのか「違う…。ガラシャは悪くない。悪いのは…ザラームだよね…?」

ガラシャ「…!」

その赤い瞳は…もはや8才のそれではなく。自分の死に場所を見つけ、打ち倒すべきは何なのか、それがハッキリとした顔をしていた

ほのか「ガラシャ…、いつかね、封印が解けたなら…。ザラームは…私が殺す…」

ガラシャ「ほのか…お嬢様…?」

ほのか「…ほのか?復讐に大事な名前を使いたくない…。…今から私はおかーさんとおとーさんの意思を受け継ぐ…。…秀でし光…閃光。エクレール…!」

闇夜に輝く雷は、彼女の怒りを表すように…激しく鳴り響いた…

 

 

 

 

ガラシャ「…(私がつなげてしまった憎しみの連鎖…。私の手で断ち切らねば…!)」

自らの罰として潰した両目。その戒めを胸に…

 

 

 

 

 

 

 

ガラシャ「ついたぞ…!ここが…初代カネの塔だ…」

全員息を切らせながらたどり着いたその場所は何重もの塔。天守閣は高すぎて見えない

ベノ「いくぜ…!とまってらんねぇ…!」

???「おっと、早速ですまネェがご退場願おうか!」

塔の入り口が開くと、そこには…

ベノ「誰だ!今は非常時だ!邪魔するなら誰だろうとぶっとばすぞ!!」

???「あいにく俺たちも引けなくてなぁ…。それより…話し合うより殴り合う方がわかりやすいか?」

ベノ「あ?やんのかてめぇ…?ぶっ殺されても化けて出てくんなよ!!」

ここまで走りづめだったためかベノはかなりイラついていた。しかもなぜか初対面のその相手にもいけ好かない何かを感じて…

???「上等だ、まとめて相手してやっからよぉ!!かかってきやがれ!!」

もみじ「あー!」

何かに驚いたのかもみじが声を上げた。もちろん指先は目の前の四人組に向けられてる

ベノ「あいつらがどうかしたのか?」

もみじ「もしかして…!幻のバンドチーム…名もなき旅団!?」

リツ(オーダイル:♂)「へぇ、おじょうちゃん。俺たちの事知ってんだな」

ムラサキ(クロバット:♀)「ちょっと!へんな噂ついたらどうするのよ、また客が減るじゃない!」

ノワール(ブラッキー:♀)「それには及ばないよ、ちゃんと叩きのめした後で事情説明すればいいでしょ?」

グンジョウ(ヘラクロス:♂)「さすがに引けない理由があるとはいえ…俺たちの事を知ってくれてる相手は気は引けるな…」

リツ「なにビビってやがる!俺たちの人生がかかってんだろが。どこのどいつか知らネェが、本気で行くぜ!」

もみじ「各地でライブをして旅してるバンドチームだよ!私大ファンなんだ!」

ベノ「んな奴らがこんな辺境になんでいるんだ?人違いじゃねぇか?」

もみじ「間違えるはずないよ!リーダー、ドラムのリツ!ボーカルのムラサキ!ギター&ベースのグンジョウにキーボードのノワール!特に私!ノワールの事大好きなんだよー!本物に会えて感激~!!」

ムラサキ「ノワール、客数確保のためにサインあげなさい」

ノワール「えー。めんどくさいからこっちきて、今書いてるから「やったー!」」

グンジョウ「ノリノリじゃねぇか」

リツ「おじょうちゃん。よかったな。嬉しいから俺達のサインも個別にやるよ。色紙とペンは常に持ち歩いてんだ」

もみじ「えっ!?いいのっ!!?」

リツ「記念撮影もするか?俺達のファンでも滅多に持ってネェぞ?」

全員からサインを貰えただけでなく記念撮影までさせてもらったもみじはほくほく顔でベノたちの元に戻ってきた

もみじ「ありがとー!!(*^▽^*)ノシ…と、いうわけで…私戦えないからー!みんながんばってー!」

毒組「うらぎりものー!!」

たったかたーと笑顔で後ろに下がるもみじ、完全に買収されてしまったが本気で嬉しいのか笑顔でくるくると回っている

ベノ「ちっ、しゃーねぇな…。こうなりゃ速攻で片づけんぞ」

ラグナ「もみじが餌付けされるとは思わなかったな…」

カティ「どうします?相手は…ああ見えてかなりの実力者ですよ…?」

そのバンドチームには明らかに本業とは不相応の実力を感じ取れ、全員がそれを察して戦闘態勢に入る

ベノ「こちとら数で勝ってんだ、リンチだの暴力だの言われようが知ったこっちゃねぇ!俺とチグサメ、リタであの茶色(リツ)の!ラグナ、しゅヴぁる、らんまるで青い(グンジョウ)の!紫のはカティ、カゼキリ、ガラシャ!黒いのはぷりんとルークス、タマズサで頼む」

ラグナ「やってやろうじゃねぇか、久しぶりだな、戦うのは」

ガラシャ「承知した、だが殺すわけにもいかないだろう。出来るならみねうちを狙う」

ぷりん「なんだか他人のような気がしないねー、いくよぉー!」

リツ「いくぜお前ら!!」

それぞれが戦う相手と対峙し、戦いが始まった!ベノとガラシャは打撲武器持ちであるためすぐさま背後に回り込み、相手の首筋を狙いに行った!!

リツ「おっと!悪りぃが…!」

ムラサキ「甘くないわよ」

ガキィン!!

彼らはどこから出したのか瞬時に武器を出し、首を守った!そして間髪入れずにベノとガラシャは蹴り飛ばされ、城壁に激突する。この時点で凄まじい実力であることが判明した

ラグナ「ベノ!ガラシャ!なろぉ!!」

グンジョウ「負けられない!俺たちのためにも…!」

腕を取っ組み合って力と力がぶつかり合う。ややラグナが優勢だがグンジョウも負けじとさらに力を込める!

ラグナ「聞いてやりたいが…話せない事情持ちみたいだな…!」

互いに取っ組み合いをやめ、殴り合いに移行、拳を拳で相殺する!そこに卑怯を承知で横からしゅヴぁるが切りかかろうとするとグンジョウも武器を取り出してそれを防ぐ!

グンジョウ「くっそっ…!こんなもん使いたくないが…!」

そういって取り出された武器はギターかベースを模していたが禍々しい。とても彼らとは似つかわしくない外見をしている

グンジョウ「生きててくれよ…!殺しはしたくないからな!ヘラクス・ピッキング!!」

しゅヴぁるの剣槍を受け止めながらグンジョウは思いっきり弦を鳴らす。その衝撃で近くに居たラグナとしゅヴぁるは大きく吹き飛ばされた!

らんまる「大丈夫か?」

ラグナ「なんとかな…。だが…あの楽器…あいつらのものじゃないらしいな」

しゅヴぁる「手慣れた楽器であるのは間違いないが楽器に使い慣れた後が無い、間違いなく嫌々使ってるものだ」

 

 

 

 

 

ノワール「あらよっと、リツー!この人たちすっごく強いんだけどー!」

リツ「うるせぇ!てめぇでなんとかしろ!こっちも手一杯だ!」

ノワール「ちぇー、つまんないの」

助けを求めるその声とは裏腹にノワールはぷりん、ルークス、タマズサを相手に互角に戦っていた、何気にこの三人、遠近中がそろった毒組屈指の相性の良い組み合わせである

ぷりん「強いねおねーさん。ここまで強いの私の兄妹にもそうそう居ないよ」

ノワール「へぇ、お嬢ちゃんの兄妹興味あるね。私さ、強い弱いとか気になんないけど…同族にだけは負けたくないんだよね」

ルークス「おしゃべりの暇!あるのかしら!?」

手持ち鉄扇を武器に格闘術で攻めるルークスをノワールは危なげにかわしていく、そして綺麗に入れ替わるタマズサの体術にもすぐに対応していく。総じて適応力がかなり高いのだろう。すぐに距離を離して彼女も楽器を取り出した!

ノワール「今すぐにでも叩き割りたいよ!こんなの…!」

取り出したのはショルダーキーボード、通称キーターと呼ばれるギターと似た持ち方ができるキーボードだ、それを華麗に弾き鳴らしてぷりんたちを脱力させる!

タマズサ「か…からだが…!うごかへん…!?」

ノワール「ごめんね、ぜんぶ終わったらちゃんと説明するから…!」

 

 

 

 

 

リツ「げはっ!」

ベノ「ごはっ!」

互いに拳が顔面に入り怯む二人、ベノの隙を潰すように小柄で素早いチグサメがリツを強襲する!

チグサメ「っ…!」

リツは何発か喰らいつつも急所や致命傷を受けないように慎重に立ち回っていた、そしてチグサメの蹴りを見切って掴むと思いっきりベノへ投げ飛ばした!

リツ「あのガキやるな…」

なんと蹴りを受け止めた手が痙攣をおこしている。リツはそれを拳を握りしめることで緩和してすぐにその場を離れる。リタの魔法が飛んできたからだ

リタ「ただの一般人に手を挙げることはしたくないのだが…やむをえまい…!」

とはいうものの先ほどから致命傷を与える攻撃をしていないところを見ると命までは奪う気はないとリツも感じ取っており、リタもまた、彼らがやむを得ない理由で戦っているだけであってこちらと命のやり取りをするつもりがないことを感じ取っていた

リツ「…、できれば使いたくネェんだがな…!」

だが負けるわけにもいかないのか邪悪な楽器を彼も取り出してしまう。

リツ「死ぬんじゃネェぞ…!」

 

 

 

 

 

 

ムラサキ「スラッキーノイズ!!」

激しい空中戦の最中、優勢だったカオティクス、カゼキリ、ガラシャの三人はムラサキが取り出したサックスの音波で怯み、地上に叩き落されて身動きが取れなくなっていた。

カティ「ぐ…あぁっ…!」

カゼキリ「おのれぇっ…!サンダータービン!!」

ガラシャ「風裂斬!!」

遠距離攻撃を素早くかわしながら演奏するムラサキ。これで名もなき旅団全員が楽器を鳴らし、その場は聞いている全員が耳を塞ぐ光景が出来上がってしまった。その威力と範囲は他と戦ってるメンバーまで耳を塞ぐ五月蝿さ。特に大ダメージを受けていたのは聴力の高いベノともみじ。ベノに至っては耳を髪の中に収納しているほどだ。その妨害のためではないが三人がかりでもリツたちはあまりにも強く、誰も太刀打ちできない最悪の不協和音だ。演奏している本人たちもかなり嫌々やっているようで苦しそうにしていた

カゼキリ「やかましいっ…!!あの武器さえ取り上げれれば…!」

カティ「あれより大きな音で対抗するのは…無理ですか…」

ルークス「…!ぷりん!耳かして…!」

ぷりん「…!。わかった、やってみよー!」

ルークス「ベノー!ラグナー!どいてえええー!!」

耳をつんざく爆音を我慢するようにルークスとぷりんは耳から手を離す。そしてベノ達に退避を促すと巨大扇を出現させて思いっきり回りだした!

ルークス「ぷりん!いくわよぉぉおお!!」

ぷりん「いっくよぉおお!!」

足元から氷のグラインドレールを作り出して飛び出すぷりん!そしてルークスは急ブレーキをかけるように踏ん張り、扇を思いっきり振った!

ルークス「でぇえええりゃあ!!」

放たれた突風をすさまじく、なんと軽く地面をえぐり飛ばして離れた場所に居たメンバーを軽く吹き飛ばした!その風の向かう先には…ぷりん…!

ぷりん「受け取ったよ!風の力!!絶対零度も生ぬるい!!森羅万象よ凍てつけ!フェンリル・カラミティ!!」

ルークスの風を纏った氷槍が一閃!突風を凍てつかせてその風を受けている楽器を内部から凍結させた…!

ぷりん「ルークス!!」

ルークス「そおれっ!!」

今度は斜め上への突風。凍った楽器はリツ達の手を離れて宙を舞う。全員がそれに唖然としている

ぷりん「真…ドラゴンフリーズ!!」

フィンガースナップで楽器周辺の酸素もろとも凍らせる!それに向かってルークスが叫ぶ!

ルークス「今よ!みんな!あれを狙って!!」

ベノ「上手いこと考えやがって…。任せろ…よっ!!」

錐揉み状態の氷塊に天月嘩檄斬を放つベノ、それに続いて放たれる遠距離技の数々。その攻撃で氷塊は中の楽器もろともバラバラに砕け散った!!

 

 

 

リツ「っつ…!お前ら!!」

ムラサキ「戻れ!天のサックス!!」

ノワール「帰ってきて!月夜のキーボード!!」

グンジョウ「来い!大地のギター!!」

リツ「来やがれ!激流のドラム!!」

四人が手を天に掲げて何かを呼ぶと四つの光が彼らの元に集い、形となった…!それは先ほどの楽器とは正反対の印象を受ける神聖な雰囲気の楽器だった

リツ「ふぃー…、やっと戻って来やがった。感謝するぜ」

敵意を収め、それぞれの楽器をブレスレットに光としてしまうと四人はベノたちの前に集まった

ベノ「状況が見えねぇんだがよ…」

リツ「俺たちはワケあって大自然の七楽器って奴のうち、四つを持ってライブしてんだ、残り三つの楽器を探す旅をな、それでエンジュシティで変な緑のふりふり着た奴にケンカ吹っ掛けられてボロ負けしてよ、楽器を取られただけじゃなく俺たちの楽器と正反対の邪楽器ってのを持たせてここに誰も入れるな、入れたら楽器を破壊するって脅して来やがってよ。仕方なく従ってたんだが…」

ぷりん「今ので邪楽器っての壊れちゃったんだねー」

グンジョウ「多分レプリカだろうな、本当の邪楽器は俺たちの楽器でしか壊せない。逆もまたしかりってことは…」

リツ「あぁ、どうやら本物の邪楽器を持ってやがるな。残り三つがそいつらに渡ってないことだけが気がかりだぜ…」

ムラサキ「でもまた会ったら二の舞よ?何か対策を立てなきゃ…」

ノワール「それはそれとして、とりあえずお礼言おうよ。ありがと」

リツ「だな、すまネェ。助かった。この楽器が無きゃ旅も出来ネェところだったぜ、ありがとな」

ベノ「…おう。それじゃあな」

握手をしながらすれ違うと全員が門に向かって走り出す

リツ「おい!お前ら…なんでんな所に登んだ?」

ベノ「仲間の命がかかってんだ。わるいな、行くぞ!」

リツ「行っちまいやがった…。ったく、気のはえぇ奴らだ…」

その背中を見送ると名もなき旅団は去っていった。また彼らが相まみえることになるのかはまた別のお話…

 

 

 

 

ベノ「お前ら!気をつけろ!何が待ってるかわかんねぇぞ!!」

ガラシャ「ベノ殿。しゅヴぁる殿。私と罠を壊しながら皆を先導してくれ!」

次々と押し寄せる罠を全員で壊しながら進む!元々はザラーム等の輩を撃退するための物なためかガラシャは罠の種類。どの順番で襲ってくるのかを把握しているようだった。その中でベノは強く思った

ベノ「待ってろよ…!エクレール!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

エクレール「…はぁ…っ!はぁ…!」

満身創痍。そんな言葉が似合ってしまうほどに傷つき、全身から血を流して瓦が敷き詰められた屋根にエクレールは倒れていた…

エクレール「なんでだよっ…!お前は死ぬべきなんだ…!私が殺すべきなんだっ…!」

ザラーム「…」

エクレール「なのにっ!なんでっ!あたしがっ…!こんなところに這いつくばってんだよ!!」

ガシィン!!

立ち上がる過程で足元の瓦に拳をたたきつけると血が滴る瞳でザラームを睨みつける。だがザラームは一切動じない

エクレール「死ねねぇんだ…!みんなの仇を討つまでは…!もう…!」

ぼろぼろでたちあがるも…ザラームの竜髪がエクレールを大きく突き飛ばす…。なんども転がり…血に濡れた手で踏ん張るもずるずると屋根から…

エクレール「くそっ…!ちくしょおおおおおおっ!!!」

落ちていった…

 

 

 

 

ザラーム「…」

落ちていったエクレールを見て振り向くザラーム、その時…!

???「おっと、次のお前の相手は俺だぜ!」

ザラーム「!」

屋根の下から影が飛び出し、それを目で追ったザラームの目の前には…炎と電撃…!間一髪避け、爆煙の奥の相手を見据える。それは雄々しき羽ばたきによってその姿を現した…!

タケル(ニコニコ動画にて活動されているタカヒロさん作。ポケモンストーリーからゲスト出演)「お前がザラームか…、行くぞ!ピカチュウ!リザードン!」

ピカチュウ「ピッカァ!!」

ザラーム「…?」

タケル「10万ボルト!」

ザラーム「…!」

チュドン!!小爆発が起こるとザラームは痺れたように少し仰け反った。もちろんタケルは見逃すはずなく間髪入れずに指示を出す

タケル「ピカチュウ!アイアンテールで足元を狙え!リザードン!はじけるほのお!!」

すばやくザラームに近づき、少し電撃を纏ったアイアンテールが瓦を裂く!その衝撃でザラームは仰け反る。そしてリザードンのはじけるほのおが直撃!さらにピカチュウはザラームから弾けた炎をアイアンテールでザラームにクリーンヒットさせた!これにはたまらずザラームは空へ逃げ出そうとする

タケル「逃がすか!いくぞ!」

屋根のピカチュウを拾い、リザードンと共に上空に逃げ出したザラームと激しい空中戦を繰り広げる!伸ばす髪や指骨からの炎を放つがそれよりも苛烈な電撃と炎の追撃がザラームを追い詰めていた。

タケル「いまだ!ピカチュウ!見せるぞ!俺たちのゼンリョク!そしてっ!いくぞリザードン!メガシンカ!!」

Zリングとキーストーンの莫大なエネルギーにザラームが完全に怯んだ!その姿はおぞましくもどこか哀れにも見える…

タケル「リザードン!ブラストバーン!!ピカチュウ!!スパーキングギガボルト!!!」

ザラーム「…!!」

文字にならない大爆音と共に大爆発が起こる。完全に直撃したのかザラームは体に黒煙をまとって隕石のように地面に落ちていった

 

 

 

 

 

タケル「戻れ、リザードン」

モンスターボールにリザードンを戻すと地面に落ちたザラームの元に行く。そこでは立ち上がる素振りを見せながら全身を痙攣させている異形の怪物がそこにはいた…

タケル「…。これ以上は無駄かもしれないけど…。どうしてもお前を許せない。だけどこいつは…一人ではお前に勝てないと感じた。だから…。俺と一緒に…!」

サッとピカチュウを下がらせるとモンスターボールを取り出す。青と白に赤い二つのグリップ。スーパーボールを見つめてぎゅっと握る

タケル「あの時みたいだな…!」

クスリと笑うとタケルはボールを投げる姿勢に入り高らかに中にいるポケモンの名を呼んだ!

タケル「いけっ!マキ!!」

上空を舞うボール。その中から現れたのは…マキだった…!

マキ「行きましょう…!タケルさん…!」

その姿は…いままでとは全く違う忍び装束を纏っていた。深紅の腕甲。紺碧の袴。黒銀色の羽織りに鎖帷子。特徴的な赤黒い口隠し。そう…それは…ハヤテが送った忍組全員の特に優れた装備品を集めて強化した絆の忍び装束であった…!

マキ「お願いします…!」

タケル「影分身!!」

素早く手を動かして忍術を発動!三人のマキが不規則の動きでザラームに襲い掛かる!ザラームは迎撃するためか腕の骨を地面に突き刺し、炎を爆発させてマキを退けようとする!だがマキはひるまずにザラームへ攻撃を加えていく!マキが付けている口隠しはユウラのもの。実はこれ、ただの口隠しではなく、顔全体を保護する特殊な氷の粒子が発生している。そのため煙幕程度では目つぶしにならず、ガスも無効にできる優れものである。深紅の腕甲はハヤテのつけているものをマキのサイズに、頑丈で力を入れやすく。紺碧の袴はイッコウセンが見繕ったもの、動きやすく羽毛のように軽く、鋼のように丈夫。そして黒銀色の羽織りと鎖帷子はドラーシェスの手製。その強度はザラームの火炎からマキを完全に護っていた。マキは今…、仲間たちと一緒に強大な存在に立ち向かっている…!!

マキ「捕まえた!」

タケル「アシッドボム!!」

長い猛攻を仲間の力と共にくぐり抜け、ようやく一人のマキが捕まえたザラームへ二人のマキがアシッドボムを放つ!ザラームは不快感からかすぐにはねのけ、背後のマキを手骨で串刺しにした…!だがそれは分身。消える間際に爆弾でザラームを攻撃、これにはたまらずザラームは怒り狂うように骨や髪を振り回して周囲を攻撃する。言葉無き錯乱が見て取れる

タケル「いいぞ!いまだ!マキ!」

マキ「多重!影分身!!」

次々と周囲を分身したマキが埋め尽くす。ザラームは周囲を見渡しながら完全に混乱しているようだった。むしろ混乱というより錯乱に近い。何かトラウマを踏み荒らされている。そんな反応をしている

ザラーム「…!!!???!!!!??!!!???」

 

 

かーごーめーかーごーめー…

 

 

 

 

 

 

 

 

かーごのなーかのとーりーわー…

 

 

 

 

 

 

 

いーつーいーつーでーやーるー…

 

 

 

 

よーあーけーのーばーんにー…

 

 

 

 

つーるとかーめがすーべったー…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザラーム「うしろのしょうめん…だあれ…?」

マキ「タケルさん!」

タケル「行くぞ!!」

マキ・タケル「これがわたし:おれたちのZ技だあああああっ!!!」

左手に小さな水手裏剣。それを空に掲げ、巨大な水手裏剣にして一斉にザラームに投げつける!弧を描いて渦巻き、ザラームは抵抗することなくその技に呑まれた

マキ・タケル「渦流手裏剣(かりゅうしゅりけん)!!!」

ザラームの体内のエネルギーと反応して爆発を起こすとマキは凛々しく幼い顔でザラームをキッと見つめる。そして、それを見ていた人物がいた…

 

 

 

 

 

 

 

 

エクレール「…成長したね、マキちゃん…」

ハヤテ「はい、立派に。ようやく我らと肩を並べるほどに」

その姿をエクレールを間一髪救助した忍組が屋根からその様子を見ていた。厳しくも優しいその瞳はどこか悲しさと嬉しさを兼ね備えていた

エクレール「あたしゃマキちゃんのことを見くびっていたのかもね…」

ハヤテ「僭越ながら、マキに聞けば皆さんのおかげですと謙遜するでしょう」

エクレール「違いないね。ん…?…!!お前たち!」

胸をなでおろしたのも束の間、なにかを感じたのか、エクレールは屋根から飛び降りた!続いて忍組も飛び降りる

 

 

 

 

 

 

タケル「気をつけろマキ!まだあいつやる気だぞ!」

マキ「はい!」

エクレール「ちぃ!まずいね!」

タケル「エクレール!?」

エクレール「よぉ、しゅヴぁるつは元気してる?」

マキ「エクレール様!お体の加減は…」

エクレール「大丈夫さね、あんたらのおかげだ。それよりも…」

ベノ「おい!エクレール!」

エクレールたちが振り向くとベノ達が塔の窓から出ようとしていた所だった。中から見つけたのか破壊しながら出ようとしている

ガラシャ「ほのかお嬢様!!」

エクレール「ガラシャ…!?どうして!?」

ガラシャ「話は後程!今参ります!!」

ザラーム「!!!」

ベノとガラシャ、リタが窓から飛び出た瞬間!血塗れのザラームの腕が上がり、塔が紫色の邪悪な光に包まれる。すると次に飛び出そうとしたもみじたちが弾き飛ばされた!

もみじ「いったぁー!なにこれ!?」

ラグナ「嘘だろおい!!」

カオティクス「閉じ込められた…!?」

攻撃するもねじれるだけでバリアのような結界はびくともしない。外側からベノも攻撃するが全く手ごたえがせず、暖簾に腕押し状態だ

しゅヴぁる「ベノ!俺たちの事はいい!エクレールたちの所に…!」

ベノ「すまねぇ!」

もうしわけない気持ちを抑えて飛びおりた先にいたのは…もはや…ザラームの原型を留めてなどいなかった

ガラシャ「これは…!」

リタ「厄介なことになったな…こいつこの塔の周辺にさまよう怨念を手当たり次第に吸収したか…!」

タケル「なんだよこれ…!こんなのありなのかよ!?これポケモンですらないだろ…!!」

顔は眼玉そのもの、髪の毛は四つの竜の頭がうごめき、胴体は触手に包まれ、腕の骨は両手。おどろおどろしい黒い影を引きずった黒い脚。その姿は悪魔とも亡霊とも違う。まさしく読んで字のごとく、怪獣と呼ぶに相応しい見た目になった…!

 

 

 

???「ふむふむ…。まさかあんなことができるとは…。思った以上に期待していい打ち上げ花火かもしれませんねぇ…。さて…もう見どころも無いでしょう…。(ピッ)もしもし。えぇ、私です。そろそろそちらに向かいますね。はい。ではアサギのカフェで待ちあいましょう。あぁそれと、邪楽器ですけれどもう用済みなので売っといてください。それじゃあ…」

電話をしながらその人物は深い霧の中へ消えていった…

 

 

 

ベノ「くそっ!大丈夫か!お前ら!!」

エクレール「なんとか…。って言ってもこの数で大苦戦だよね…」

タケル「がんばってくれ!皆!!」

マキ「タケルさんも…!この中で一番体力を消費してるのはタケルさんなんですから!」

メガシンカを一回にZ技を二回。それを連続で放ったタケルは息を上げていた。当然と言えば当然だった。メガシンカもZ技もトレーナーの体力を大きく使う物だからだ

リタ「お前たち!無理なら下がっていろ!」

もっとも善戦しているのはリタだった。それもそのはず。この中でザラームとまともに戦えるのはリタの魔法のみ。時点でタケルのポケモンたちだ。再度繰り出されたリザードンや手持ちのゲッコウガ、スピアーも総動員して戦ってはいるが皆タケルを庇いながらというのもあり防戦一方。ザラームに力及ばず苦戦している

リタ「赤いぼーや!絶対に前に出るなよ!」

注意勧告をしながらタケルを護る体制に入る。自分たちはポケモンであり、ベノとリタは不死者だ。タケルは普通の人間。いざとなれば護る他は無い

リタ「…くっ、ベノぼーや!アイツをどうにか弱らせることできないか!?」

ベノ「やれなくはないがここにいる全員が消し炭になるぜ?んなことやれっかよ」

そう。このザラームという存在はベノともすこぶる相性が悪い。ベノが得意とする物理全面が効かない他。ベノの非接触技はどれも癖が強く。周辺を余裕で巻き込むため集団戦では使えないのだ。特に破滅の十字架は威力を抑えてあたりが消し飛ぶため本当に相性が悪い

ベノ「やりずれぇぜ…!くそっ!」

マキ「タケルさん!なにか光って…」

虹色の光がタケルの胸元で光る。不思議そうにタケルはそれを取り出した

タケル「虹色の羽根…!?でもどうして今…」

取り出された光にザラームが嫌悪感を感じるようにタケルへ攻撃をしかける!ベノとリタはタケルの楯となる形で攻撃をその身に受け止める

ベノ「くそっ…!この野郎…!」

リタ「まずいな…今ので私たちのこと狙わなくなるかもしれない…。ベノぼーや、最悪あの赤いぼーやだけでも逃がすぞ」

絶体絶命。戦ってる大半は重症人。苦戦しない方がおかしい話でもあった、塔の中では毒組全員が必死に結界を破ろうと奮闘している。彼らにとっては歯がゆすぎる。生殺しのようなものだ。

ベノ「どうすりゃいい…。あ…?なんの音だ…?」

その時、ピクリとベノの耳が動いた。他は気づいていないがベノにははっきり聞こえた。空を割くそして闇に包まれた空を見ると身体が咄嗟に動く!

ベノ「さがれ!!何か来るぞ!!」

警告した直後。とんでもない勢いで何かがベノ達とザラームの間に激突し、クレーターを作り出していた

タケル「な…なんだ…!?」

ドラーシェス「新しい敵か…!?」

???「未知のエネルギーによって正確な座標を確認、目標発見。探しましたよ…」

リタ「…!?まさか…!」

その声を聞いた瞬間。姿が見えないにも関わらずリタはにやりと笑う。まるで勝ち誇ったように

 

 

 

 

 

 

 

せいさい(テッカグヤ★)「お久しぶりです。マスター」

リタ「おぉ!やはりお前だったか!久しいな星彩!」

ご機嫌なステップで近づくとびしっ!とザラームに指をさすリタ。その顔はかなり余裕そうにしている

リタ「聞け!ザラーム!貴様言葉の意味は理解できるだろうな!?貴様にチャンスをくれてやる!!」

先ほどまでの劣勢はどこへやら、さすがにベノ達も首をかしげながら引き気味だ

リタ「こいつを倒してみろ!そうすれば世界も!私たちの命もくれてやる!!」

全「はああああああっ!!!???」

奇抜すぎる提案に全員が絶叫する。世界の命運が今、突然空から降ってきたどこの馬の骨ともわからない奴に託されてしまったからだ

リタ「星彩」

せいさい「はい。なんでしょうか。マスター」

リタ「少し時間を稼げ、私が遅ければ倒してしまっても構わん」

せいさい「かしこまりました」

ザラーム「…!!」

しびれを切らしたのかいきなり襲い掛かったザラームの突進をせいさいは指一つで止めた…!

リタ「五分ほど稼げ、そうすればケリがつく」

せいさい「了解です」

スパァン!!弾いた中指によるデコピンでザラームの巨体が弾き飛ばされると怒ったのか竜頭から無数の火炎弾を吐き散らす!

せいさい「…出力、周辺。及びマスターの配慮を計算…」

なんとその火炎弾をせいさいはすべて腕の動きだけで弾き散らす!先ほどからせいさいは一歩も動いていない

ベノ「あいつ…強いだけじゃねぇな…」

エクレール「何かがおかしいね…。ザラームって物理効かないのに…」

リタ「ふはははは…!ザラームがお前たちの天敵なら…ザラームにとっての天敵は…あの星彩だ」

ガラシャ「どういうことだ…?」

リタ「ザラームには非接触技は通用する。というのは間違いなのだよ。正しくは”魔力に弱い”のさ」

マキ「魔力…?」

リタ「そう。たとえ物理手段でも何かしら魔力を宿していれば奴に有効だ。その証拠にエクレアじょーちゃんよ。お前の攻撃はザラームに通用していたらしいな。だが奴はお前との接触で魔力を吸い取り、自分への有効打を無くそうと考えたのだろう。だからジリ貧で負けたのだ」

エクレール「あたしが…魔力なんて…」

リタ「お前の親が親なのだ。遺伝してるのは何らおかしい話でもあるまい。そして閑話休題だ。星彩の身体は特殊な金属でできていてな、今から240年ほど前に朽ちていたところを私が魔力をたっぷり練り込んで再生させたのだよ。そのためあいつは魔力の固まり。いくら物理が効かない奴でも…あれはたまらんだろうな。言ってしまえば固体化した水や火で思いっきりぶん殴られているのと同様だ。効かないわけがない」

せいさい「マスター、間もなく…」

リタ「おぉ、早いものだな。ではサポートを頼む」

せいさい「はい。それでは…」

足元に魔法陣。何かを唱えるとせいさいの三倍はあるであろう巨大な竹筒が二つ出現した

せいさい「失礼します」

二つの竹筒と共に飛び出すと華麗なサマーソルトでザラームを蹴り上げる。怯んだ瞬間巨大な竹筒も自らの意思を持つようにザラームへ追撃を放ち、せいさいはさらに追い打ちをかける。なんと彼女の腕が変形。右手は鋭利なブレード、左手はガトリングになり、ザラームを攻めてたて、ほとんど動けない状態にまで追い込んだ!

リタ「上出来だ。お前たち、もっと下がれ。星彩!行くぞ!!」

せいさい「どうぞ」

リタ「変わらないな!頼れるところは!!」

一瞬でザラームの目の前に移動するとリタはにやりと笑みを浮かべてザラームの腹部へ自分の腕をねじ込んだ!!

リタ「特別だ。地獄行きのエクスプレスに乗せてやる。自由席でな…!!ザジリエ・ラズリエ。ファルクス・エヴァンジェル!アイギスに封じられた魔性の禁忌よ。今一度その力を現世に具現し新たなる贄を地獄へ誘え。願わくばその命、永遠に蘇ることなく血の一滴さえも石に変えて(Est magica contraindication Aigis arca clausus est. Semel iterum invitare nova militi praemia, involverent illa potestas in hoc mundo, et inferni. In votis est ut vita etiam est lapis sine gutta sanguinis in in convertam eum aliquando revixisse)完全石化(インテグラル・ペトリフィケーション)!!」

長い呪文を唱えて腕をねじ込まれた所からザラームの身体がねずみ色に…石化していく…!おぞましいその姿でもがこうとするもピキピキと石化は残酷にも進んでいく

リタ「詠唱の早い私でも魔力を練るのに四分かかる長さの魔法だ!スペルも長いが生憎実態の有無関係なく石化させる私のオリジナルでな…!先は唱える余裕もなかったが…これで終わりだ!!」

石化しながらもエクレールへ手骨を伸ばすザラーム。それを見たエクレールは覚悟を決めた

エクレール「悪い、タケル君や。ちょっと借りる!」

タケルの手から虹色の羽を取って全身に力を込めるエクレール。虹色の羽が輝いて体を光らせるとそれを左手に一点集中させた!

エクレール「大人しく…。地獄に落ちろやぁぁぁぁっっ!!!」

音速でザラームの眼の前に跳ぶエクレール。光の鉄拳が、今…!

エクレール「閃光封雷拳!!数珠丸恒次っ!!(せんこうふうらいけん じゅずまるつねつぐ)」

光の速さを越えて放たれた!!衝撃で後ろに吹き飛ぶエクレール。リタはさらに魔力を込めて一気に終わらせる!!そしてザラームはエクレールの放った一撃で石化に抵抗する力を失い…

ザラーム「…だ…」

リタ「…?」

ザラーム「い…………た……て…」

リタ「…」

パキパキと音をたて、完全に石化した…

リタ「…」

腕を引き抜くとリタはどこか悲しそうで明らかにイライラしている顔になっていた

ガラシャ「…やったのか…?」

リタ「…やったとも…そして奴の正体がわかったよ…。さて、エクレアおじょーちゃん。こいつは壊しても大丈夫だ、奴はもう復活しない。ただ…」

エクレール「ただ…?なにさ」

リタ「…。ザラームの正体を言っておく。深くはあえて言わないがな…」

エクレールの耳元に近づくと、リタはそっと口を開いた…

リタ「かごめかごめ…。はるか大昔から売り飛ばされた性奴隷の童(ガキ)共の怨念だ…」

エクレール「!!」

リタ「奴は結界に強いのではない…おそらく…生前に閉じ込められたことの恐怖から本能的に結界を壊すように生まれたんだろう」

エクレール「死に物狂いだったんだろうね…。食べるものにも…居場所にも…」

それだけをつぶやき返すとエクレールはタケルに虹色の羽を返してザラームの石像の目の前に立つ

ガラシャ「ほのかさま…」

エクレール「…。私さ。もうほのかじゃないんだ…。私の名はエクレール…でも…今だけは…」

頭巾、口隠し、そして…髪留めを外すとエクレールは…ガラシャと向き合う…

ほのか「エクレールじゃなくて…ほのかとして…。みんなの仇を取る。今までさ、名前を捨ててエクレールとして戦ってきたけど…。この瞬間までエクレールとしてふるまっちゃうとさ…やっぱりなんか違うよね…」

右手で石化したザラームの巨大な眼を掴むと…ためらうことなく力を入れていく…

ほのか「エクレールとしてこれしちゃったらさ、多分、きっと、絶対。私は後悔する。だって…エクレールはもう…大切な名前だからさ。あれからずっと考えてた、ほのかとしてやれることは…ガラシャに…復讐させちゃいけない、残されたものにさらなる不幸を…業を背負わせないことだけはしちゃいけない」

ガラシャ「…ぁ」

光(最後に残されたものの配慮なんざできない。できることは…さらなる不幸を…業を背負わせないことだけさね)

ほのか「さようなら。ほのか」

バキィ!!

握りつぶした衝撃で…ザラームの石像は粉々に砕け散り…ほのかの手の平から…目の前から、風が砕けた石灰をさらっていった…

ほのか「…」

???「なぁにしょげた顔してんだい?」

ガラシャ「な…!?その声…」

ザラームが砕けたところから少し離れたところ、二人の男女がたたずんでいた。先ほどまでは影も形も無かったのに…

光「よっ、何年ぶりだい?ほのか、ガラシャ」

秀「大きくなったなぁ。光に似て美人だ」

ほのか「おかー…さん…おとーさ…ん…?」

ガラシャ「光様!秀様っ!!」

駆け寄るガラシャ、しかし…

ガラシャ「っぁ…!」

その身体には触れること敵わず、すり抜けて転がる

光「おいおい。アタイらもう死んでんだぜ?触れるわけねぇだろ?」

ガラシャ「そんな…」

ほのか「…本当に…?おかーさんとおとーさんなの…?」

秀「あぁ、本当に大きくなったね。そして…本当にすまなかった。キミの人生を狂わせたのは私たちの責任だ」

ほのか「違う…違うよ…ザラームが…!!」

光「死んでわかったよ。あいつの真の正体。あんたがさっき知った通りだ。あいつに悪気はなかった。でもああでもしないともっと多くの命が奪われてしまう。あんたらが肉や野菜食うのと変わんないのさ」

秀「奴に感情があれば…、言葉を交わせたなら。もっと結果は違っていたのかもしれないね。封印に携わった僕らの事を奴は奴なりに恨んでいたんだろう。ジレンマという奴だね」

ほのか「でも…もう終わりなんだよね…?こんな悲しみの連鎖…」

光「終わったよ…。あーあ!命かけたアタイらがバッカみたいだ!」

秀「まぁまぁ。最後にこうしてほのかとガラシャに会えたんだ。感謝しなきゃ」

ポゥと白い玉が浮かび、二人の姿は次第に薄れ始めた…

ほのか「待って!!いかないでよ!!私っ!!まだいっぱい話したいのに!!私をまた一人にしないでよ!!」

ガラシャ「光様!秀様!」

光「まーた泣くかこの従者め。あんたらは一人じゃない!いい!?よーく聞きなさい!ガラシャはほのかのこと守ってくれたんでしょ?そしてほのか!あんたの後ろに誰がいるのさ!」

涙を流すほのかが後ろを向く。そこには…忍組がうなずき、ベノ達毒組がやれやれという顔でこちらを見ていた

秀「いい人たちじゃないか。こんなところまで、君のためだけに駆け付けてくれたんだよ?」

その秀の言葉にほのかは大粒の涙をぽろぽろと流す。そして泣き崩れる娘に秀は触れられないのを承知でそっと抱きしめた…

光「ガラシャ、最後の命令だ。ほのかのそばに居てやってくれ、ずっとじゃなくていい。ほのかの力になってやりな」

ガラシャ「っ…はい!切江ガラシャ!主の命に命尽きるまで従います!!」

隠れた目から涙を流し、声を彼振るわせながらガラシャは叫ぶ。これが…最後の使命だから…

光「さて…。ほのか、ごめんね。ちゃんと抱きしめてやれなくてさ」

ほのか「おかーさん…」

光「恨むんじゃないよ、これでも抱きしめてやってんだ」

掴めない。触れない。目の前にいるに。でも…ほのかは両親の温かさを確かに感じていた…

光「それじゃあね、身体には気を付けていい人見つけるんだよ!」

秀「ほのか、ガラシャ。忘れないでくれ、僕たちはずっと君たちの…そばに…」

二人は無事に天に昇って… 

……  …消えていきました

エクレール「さよなら…おかーさん、おとーさん…」

 

 

彼女の掌を撫でるように…

 

 

金と銀の羽根が空高く

 

 

 

舞い上がって消えていった…。

 

 

時を超えた遭遇(であい)に幕をおろすように…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三日後…

 

 

リタ「お前の実力、改めて見せてもらおうか、星彩」

せいさい「かしこまりました」

リタ「いいか?相手が相手だ、絶対に手加減するなよ。教えたとおりにな」

作戦会議をする傍ら、対戦相手は準備運動をすでに終えてスタンバイしていた

ベノ「おい、さっさとやるぞ。それと…加減なんかしたら許さねぇからな」

せいさいの対戦相手は…なんとベノだ。せいさいはリタに一礼するとバトルフィールドの中に入り、ベノにも一礼する

せいさい「ご無礼を働きます故…何卒宜しくお願い致します。」

ベノ「ずいぶんと礼儀正しいな。まぁ評価はするが…それとこれは別だ、御託はいらねぇ、全力でかかってこい」

ラグナ「これより毒組入隊試験を開始する!各自!前に出て名乗れ!」

ベノ「月輪罪角、てゐ国歌劇団総司令兼毒組隊長、ベノホーン」

せいさい「…、飛鏖月華(ひおうげっか)、月輝夜 星彩(つきよ せいさい)」

ラグナ「両者。見合って…試験開始!!」

せいさい「失礼します」

まずは手始めにとせいさいが先手を取る。腕を模した竹筒から火炎弾を連射!ベノはそれを動くことなくすべて弾いた

ベノ「…(小手調べから入るか…。実力は先日のザラーム戦で見てたから知ってるが…。俺たちの中にこういう遠距離から弾撃ってくるタイプすくねぇんだよな…。やりずれぇぜ…)」

せいさい「それでは次は…」

こんどは竹筒を二つ合体させて棍棒を作りだす。手持ち武器であるものの自らの身の丈ほどの獲物をまるで重さを感じないように持っている

ベノ「ほぉ…」

めずらしい形状のためか少しベノは警戒する。これを見ている人にわかりやすく星彩の持つ棍棒の形状を説明するなら「ギガバトルナイザー」といえばわかりやすいだろう。

ベノ「武器使うってんならこっちもそうさせてもらうぜ」

いつも通りの打突剣を出現させると一気に詰め寄り剣で殴り掛かる!だがせいさいはそれをあろうことか素手で掴んできた!

ベノ「なっ…!」

せいさい「ご容赦ください」

棍棒の先端をベノの顔面に向けると間髪入れずに火炎弾を放つ!竹筒が合体しているのだ、当然大砲としての機能もあるにきまっている。その一撃をもろに受けたベノは転がり落ちるようにせいさいから距離を離す。左目をやられたらしく、回復は始まっているようだが面を喰らって完全に怯んでしまっていた

せいさい「…」

もちろんせいさいもそれは承知しているようで棍棒をベノに振りまわして攻撃する。一方のベノは片目を抑えたまま右腕に持つ剣だけで対応している

ベノ「(やっぱり俺がやって正解だぜ…、いってぇぇ…)」

どうにか距離を離すと剣による衝撃波を放ってせいさいを揺さぶる。そしてどさくさに紛れてジーパンの技であるドラストスィングも織り交ぜた弾幕でせいさいをさらに追い詰める

ベノ「(リタのやろぉ…!俺の戦闘スタイル教えやがったな…!どう考えても対応力が高くて速い…!なにより的確で正確だ…!普通あの状況で顔面に大砲なんざシャーヴァルでもやってこねぇよ…!♯)」

完全に察したベノは苦手な遠距離戦から攻めるために準備を始める。一方の星彩は衝撃波をいなしつつベノを追い詰める。着実にベノの逃げ場を奪いながら接近戦に持ち込もうとしている

ベノ「なろぉ…リタの野郎ぉ…!せいさいに俺を接近戦で圧倒させてプライドへし折ろうって魂胆だろうがそうはいかねぇぞ…!」

ベノの足元に火炎弾が直撃!爆発を起こし、黒い煙が漂う…

せいさい「…生命反応…なし…」

バッキィ!!!

なんとベノが地面から襲来!せいさいに拳を叩き込み、続けて蹴りで思いっきり棍棒を弾き飛ばす!これにはせいさいも計算外だったのか格闘戦で対抗しようとする…が

ベノ「わりぃな!素手なら負けねぇぞ!!」

いつものベノからは想像もできないほどすばやいローリングソバット!続いて距離を詰めた二連蹴り!蹴ったせいさいを踏み台に流星キック!!直撃したせいさいの右肩は動かなくなりベノが左手でそれを掴んで引き寄せ…!

ベノ「おらぁっ!!!」

思いっきり殴り飛ばした!!その一撃で壁に激突したせいさいは動きこそしたがすぐに倒れてしまった

ラグナ「そこまで!勝者!ベノホーン!!」

リタ「星彩!」

すぐにリタがかけよる。この様子を見るに本当に信頼しているのだろう

せいさい「マスター…もうしわけありません…このような醜態を…」

リタ「気にするな、相手が相手だ。むしろよくやった…」

ベノ「あぁ、あぶねぇところだった。油断してたら普通に負けてたな痛てっ…!」

右手を真っ赤にしながらベノが称賛する。普段殴り慣れてるベノが拳を痛めるほどせいさいは頑丈で、戦闘力もあり、素早い対応力もある。まさにオールマイティーと呼ぶにふさわしい強さだった

ベノ「さて、せいさいよぉ。結果発表だが…。合格だ、お前は今から…毒組の一員だ」

リタ「負けたのだぞ、いいのか?」

ベノ「ばーか、俺と実践試験で当たって勝てた奴なんざ毒組にもいねぇよ」

ラグナ「毎年毒組に入りたいって奴らを何人も門前払いしてるものな」

ベノ「入隊するのは勝手だがせめて三分はもってほしいぜ…。いっつも三十秒以内に終わんじゃねぇか」

ため息を付きながらベノが愚痴を漏らす。意外と激務の中でもそういった声を一つ一つ聞いては相手にしてはいるのだ

せいさい「ありがとうございます…」

ベノ「これからよろしくな」

せいさい「はい…こちらこそ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エクレール「…はい。これで正式に家に配属だね。ガラシャ」

そういって書類にサインするエクレール。その左腕はギプスで固められていた

ガラシャ「ありがとうございます。光様の命を胸に、ほの…エクレール様に忠誠を誓います」

エクレール「…ごめんね、心配とかいっぱいかけちゃったと思うんだ…。ガラシャにも寂しい思いたくさんさせた。これからはずっと一緒だよ」

全治二か月の大怪我を負いながらも生還したエクレールはガラシャと話し合った末に、彼女を忍組に迎え入れることにし、ガラシャもそれを承諾した。そして今、その瞬間が訪れた…

ガラシャ「はい。改めて…」

エクレール「よろしくね」

目いっぱいの笑顔で握手をする。互いに顔の一部は隠しているものの本当に喜んでいるのが感じ取れた…

 

 

 

 

 

ユウラ「あんなに笑顔のエクレール様、久しく見たね」

ハヤテ「だな、これも全て、マキのおかげだな」

木の上からエクレールの事を見る忍組。だがその状態は決してよいとは言えず、ハヤテとイッコウセンは全治三か月の大怪我、ドラーシェスとユウラもいまだダメージが残っている。このため現在忍組は全員が復帰するまで活動停止、彼らも命令として怪我の完治を命じられている

イッコウセン「当の本人はあそこか…」

エクレールとは反対方向を見てマキをみる。誰かと話しているようだ

ドラーシェス「今のエクレール様とマキの所に行くには俺たちは無粋だ、おとなしく病室に戻るとしよう」

そう言って四人は一瞬で姿をくらませた。そして…

 

 

 

 

 

マキ「本当にありがとうございました」

深々とお辞儀をするその相手は…元トレーナーであったタケルだった。マキは過去にタケルの元でチョボマキとして旅をしていた。だがエクレールと出会い、タケルの元から離れ、忍組に迎え入れられた。そして今回。自分達ではザラームに敵わないことから危険を承知で彼に助けを呼んだのだ

タケル「大丈夫だ、マキも、エクレールも、てゐ国歌劇団のみんなも、俺の仲間だしな。仲間を助けるのは当然だろ?」

マキ「ぁ…。はいっ!もし…何かタケルさんが危機に瀕した時…。今度は私たちが助けに行きます!」

自身に満ち溢れた笑顔、そこにはもう、控えめでおろおろしたマキはいなかった。それを見てタケルも思わず笑顔をこぼす

タケル「やっぱり…エクレールに預けてよかったんだな」

マキ「え…」

タケル「俺さ、ずっと心のどこかでお前の事思ってたんだ、元気にしてるかとか辛いこととかないかって。そう思えば思うほどにさ。ポケモンを交換する意味とその責任。何より別れの辛さって奴をその身で感じた。俺たちトレーナーは…昔はきらきらして輝いていた交換や対戦。”そういうことに慣れ過ぎた”だから…そういう事が希薄に感じて今ではさも当然のようにそれをしている。無責任にな。そう思えば思うほど…俺は無責任な思いだけは自分のポケモンにさせたくないってさ…」

マキ「タケルさん…」

タケル「俺の考え過ぎだとよかったんだけどな…。現実にそう言う奴もいるってことに旅して知った。だから…「そんなことないです」」

その言葉にマキが言葉を重ねる

マキ「タケルさんは…とっても優しい人です。だからこそ、考えて苦悩することもこの先あると思います。そういう時は…。振り返ってください。そこに私たちは居ます」

そっと手を差し伸べる。その手をタケルは迷わずに握った

マキ「一緒に探せばいいんです。それが…仲間です」

タケル「…あぁ!」

二人は握手をする。タケルの肩に乗ったピカチュウもマキと握手と笑顔をかわす

マキ「ピカチュウさん。皆さんでタケルさんのこと、支えてあげてくださいね」

ピカチュウ「ピッカ!」

タケル「それじゃあ、元気でな」

マキ「タケルさんも…。…そういえばタケルさんどうやってこんなに早く来られたのですか?たしか今アローラだって…」

タケル「あぁ、それは…」

振り返るタケルの背後には…金色のリングが浮かび上がった…!

マキ「!」

タケル「俺にもたくさんの仲間がいて、その中の一人が今回協力してくれたのさ。それじゃあまたな!マキ!ピンチの時はいつでも呼んでくれ!」

タケルたちが完全にリングの中に入っていくとそのリングはまるで最初から存在しなかったかのように消滅した…

マキ「…えぇ、また…」

その眼は空を仰ぎ、一粒の涙を流す

マキ「また…会いましょう…!」

次は自分が、タケルを助けられるぐらいに強くなる。新たな目標を胸にマキは歩き出した…!

 

 

 

 

 

        episodeⅠ the end

 

 

 

episodeⅡへ続く…

 

 

 

 

 

 




お疲れさまでした。ちょっと長い後書きになります。



まず途中に登場した

リツ
ムラサキ
ノワール
グンジョウ

の四人は名も無き旅団。別の世界ではベノともみじもこの旅団のメンバーだったりします。彼らが後集めなければいけないのは

灼炎のマイク
紫毒のギター
とうめいなすず

の3つです。そしてこれと正反対の邪楽器もあるのですがここまで




続いてニコニコ動画で活動されていますタカヒロさん製作の「ポケモンストーリー」シリーズからタケルとピカチュウ。リザードン、ゲッコウガ、スピアーがゲスト出演してくれました。

ポケモンストーリーはポケットモンスターシリーズの王道を行く動画でキミにきめたや無印のアニメを見ていた人からすれば取っつきやすいと思います。パートナーもピカチュウやリザードン等有名どころがチョイスされていますのであまりポケモンを知らない。けど対戦動画を見たいという人には是非ともオススメです。

ご縁としては私がTwitterを始めた初期からのフォロワーさんで後に動画を投稿なさった形になります。当初は主人公の名前は違っていたのですがその頃からのお付き合いという事で設定はそのまま、名前だけ変えてのゲスト出演になりました



知っている方は少ないのですが忍組に所属している今回のサブ主人公、マキは元々はタカヒロさんのチョボマキで色々あって譲り受け、お迎えし、今ではサブメンバーの一員です。その時交換したのがエクレールが言ってたしゅヴぁるつ(カブルモ)という訳なんです



今回のお話はこのスペシャルの二話に当たるのですが随分と間が空いてしまいましたね?実はなんと二万文字を越えているんです。これはハーメルンに投稿した過去最大の文字数だったりします。まぁそれだけ情報量も多いとのことでご了承ください


これで肩の荷が一つ降りたような感じです。改めてタカヒロさん。ゲスト出演ありがとうございました。デオちゃんファイトでもお会いしましょう。ではお疲れさまでした、また見てください(*・ω・)ノ
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