……本当ですよね、前回の投稿から2週間以上経ってますからね。ゴジラもガルパンも公開されましたからね。
全く展開が思いつかなかったのが原因ですね、ええ。お待たせしました。
さて、今回は間があいてしまったのであらすじからです。
あらすじ
人類の起源、種まく方舟アケーリアスを目指す武蔵は、中性子星を回避するために危険宙域と言われていたサルガッソーの付近を通過していた。
その途中、ガミラスの救難信号を受けて無人機による調査を敢行、生存者5名と同時にガミラスの艦隊を襲った敵とも遭遇する結果となった。
惑星探査装置を応用して敵の位置を察知した武蔵は助けを待つガミラス人のために救出作戦を決行するのであった。
第15話 「救出作戦」
「武蔵、第一戦速。これより救出作戦を開始する」
波動エンジンを点火させた武蔵は、先陣をきった航空隊に続いて小惑星帯へと突入した。波動防壁にぶつかる天体が放つ光の中を進む。
「やっぱり武蔵には狭かったか……」
「先に向かったシーガルの救出部隊は問題なく進んでいるか」
厳しい表情で操艦する泰平とは対照的に、有賀は冷静であった。
「シーガルは直掩のファルコン3機と共に順調に進んでいます。今のところ攻撃は無いようです」
「わかった。索敵用の無人機を出す。小惑星帯に隠れつつ、武蔵の後方に」
開く扉からせり出てきた無人機の装備は、先ほどのブースターから変えられていた。
機体上部に付けられた二つのレドーム、ウェポンベイにはそれぞれ機首のレーダーを発展させたものが4つ増設され、長期飛行のための追加燃料タンクが付けられた。
カタパルトを飛び出した機体は上方へと逃れ、武蔵との距離を保ちながら飛行を始める。
武蔵のレーダー表示範囲が拡大し、武蔵本来の索敵範囲の前方には扇状の探査装置の観測範囲が、後方には無人機の索敵範囲がそれぞれ表示される。
「シーガル隊、当該艦へと到達。救出活動を開始しました」
淡々と告げる美佳の声を背に、有賀は砲雷長へと目を配った。
ゆっくりと左右に指向する砲身にぶつかって軌道が変わる小惑星が窓を抜ける。
「間もなく密集地帯を抜けて、ガミラス艦の座礁ポイントへと到達します」
「観測範囲内の熱源に動きなし」
「……おかしい……」
あまりの静寂。敵の潜む宙域に進入しているとは思えないそこに、有賀は思わず呟く。
やがて肉眼で緑の艦体が見え始める頃、漂っていたデストリア級が突如爆炎へと消えた。
次いで、艦橋内に青い光が満ちる。
それは攻撃を弾く防壁の光。
「攻撃、全方位!」
「なるほど……武蔵の目的を絞ってここから動けないようにしよって魂胆か」
全方位からの攻撃はしかし、波動防壁の跳弾がガミラス艦に当たらない射角で放たれていた。
間髪入れずに着弾した攻撃も同様、武蔵だけを狙っている。
「本艦だけ……?」
「なら、ここから離脱すれば――」
「接舷する。救出活動中のシーガルを見捨てるわけにはいかない。航空隊へ、本艦の死角となる角度の敵を補足し戦力を削げ」
来島の声を聞きつつも通信を行う有賀は、泰平と向き合って頷く。
「砲雷長、砲塔は全て右舷へ。索敵、右舷からの砲撃の位置をマークして砲雷長に報告。技師長、無人機を本艦右舷に向かわせて索敵強化。シーガルから帰還の信号があれば直接第三格納庫へ報告、機関長と航海長は――」
「緊急発進用意、だろ?」
有賀へと笑いかける泰平に唖然とする彼だったが、その顔はすぐに笑顔に変わった。
「ああ、そうだ」
ゆっくりとガミラス艦に近づく武蔵の上下を抜けていくファルコン達を見送る。
刹那、闇の中にいくつもの光が瞬く。
「右舷から攻撃来ます!」
美佳の声の直後、青い光と轟音が響いた。
「波動防壁、避弾経始圧低下」
「出力をドーム周辺に集中、砲雷長!」
柑奈と有賀の声を受けた彼女は冷静にパネルを操作し、砲口が火を放つ。
小惑星もろとも陽電子に貫かれた艦艇はその場で爆散し、空間に9つ火球を作り出した。
「シーガルから通達、ガミラス軍人5名の救出完了。これより帰投する」
通信を読み上げた一ノ瀬に頷いた近藤は、通信機を手にとって呼びかける。
「医務班は第三格納庫で待機せよ」
「艦体、ダメージ増加……このままだと危険です!」
小刻みな揺れを感じて向き直ると、敵にさらしている右舷から大量の黒煙が立ち上っていた。
「ヤツら、こっちの防壁が切れた時を狙って攻撃の頻度を上げやがったのか……応戦!」
黒煙の中に混じる白煙から抜け出した8本のミサイルが途中で割れ、中から解放された大量のミサイルが点火した。
小惑星と残骸を焼き払うような爆発に包まれる宇宙。
ガミラス艦越しにその光を受けたファルコンは連続でミサイルを放ち、左右に分かれたコスモタイガーは弾幕を抜けて機銃で艦橋を撃ち抜く。
「なんだこの船、コンゴウ型みたいな形してるぞ」
『なんか丸っこくてかわいいですね、隊長』
「敵のフネだぞ。そんなこと言ってないで一つでも沈めろ」
コクピットでそんなことを言いながらも、着実に艦体に穴を開けて飛び去るコスモファルコン。
しかし航空隊長の宗方は、その不自然な形状に違和感を覚えていた。
「射角が変えられない?」
宗方からの報告を受けた艦橋では、有賀がパネルに映された艦の画像を見上げていた。
『ああ、空襲をほとんど考慮してない。しかも敵は確実に武蔵を包囲できる位置でしか狙ってないんだ』
「そもそも対艦戦特化で、火力で押し切るスタンスってことか」
いまだに続く断続的な攻撃に応戦を続ける武蔵は、自身を壁にしてシーガルの収容作業を急ぐ。
『対空射撃が来ないわけじゃねぇが、こりゃザルだ。単装しかないんじゃ、ガミラス艦やガトランの速射砲相手に戦ってきた俺たちには当たらんな』
「そうか。間もなく本艦は離脱行動に移る。航空隊は現作戦を続行せよ」
『おうよ』
通信が切れると同時に右舷に新たな光が灯る。
「第三格納庫から通達、シーガル収容完了とのことです」
「よし、機関長!」
突如としてエンジンから炎を噴き出した武蔵はガミラス艦から離れると右へ方向を変え、左右へと砲撃を加える。
「前方、小惑星の陰からミサイル12!」
「対空戦闘用意!」
両舷のシールドが開き、艦内に畳み込まれるとそれぞれに連装パルスレーザー砲が顔を出す。
前方に放たれる対空砲火に加えて2番砲塔からは三式弾、艦首の魚雷管からもミサイルを落とすべく6発の魚雷が放たれる。
「……このミサイル、軌道がおかしい……蛇行しながら接近してきます」
「進路予測ができない……既に魚雷は回避されました!」
美佳と来島の言葉通り、眼前では小惑星に着弾した魚雷が爆発していた。
三式弾も虚しく空を切り、目に見えるミサイルの軌道はこれまでの物とは一線を画するものである事が分かった。
「ミサイル迎撃不可能域まで、あと10秒!」
「着弾地点が分からないんじゃ回避のしようがないぞ……どうする戦術長」
「……ッ」
「着弾!」
響く爆音、揺れに耐えるために身体に力が入る。
「くっそ……攻撃地点をマーク、撃ち落とせ!」
武蔵の攻撃オプションがそれぞれ違う標的を狙う。
それが放たれた時、その内側に光が現れた。
「この波長、ワープアウト反応! 義弥さん、これは物質転移装置です!」
「ガミラスの……⁉︎」
左舷に当たるのは異次元から現れたミサイル。
「あのミサイルは物質転移装置でワープして来たとは限らない。だが一度来ればデータは取れる」
不敵な笑みを浮かべた近藤は、柑奈の方を見つめてデータを送った。
「これを元にワープアウト座標を突きとめろ」
次いで砲雷長、戦術長へとデータを送信し、2人の背中を見つめる。
「変な弾道の弾が12発も来ればおおよその予測はできる。あと重要なのはレーダー……」
その言葉に美佳は俯く。
「お前たちを信じてる。俺の信じるお前たちがいるこの艦は絶対に沈まない」
小惑星の陰から武蔵の周囲を囲むように飛び去る艦載機の引いた尾を見送り、微笑みながら顔を上げる。
「第一戦速、本艦の全力をもって包囲を突破する!」
散開する機体の背後から飛ぶ陽電子は武蔵に肉薄せんとする艦を溶かし、貫き、爆炎で包んだ。
「両舷からミサイル接近、数20」
「弾道計算、迎撃開始」
不規則な軌道をとり始めた敵弾に対して放たれた武蔵のミサイルは、的確に敵のミサイルを射抜く。
「ミサイル全弾撃墜! 続いて陽電子砲来ます!」
艦全体の姿勢制御スラスターを全開にしてバレルロールを仕掛けながら別角度に構えた砲身から砲撃を与える。
ロールと共に仕掛けられた軌道変化によって敵の砲撃は全て艦体をかすめるに至らず、位置を晒した敵艦は宇宙に消えた。
回転を止めた武蔵は直後に魚雷を撃ち込み、ワープアウトしたミサイルをその場でデブリとして道を切り開く。
直後に展開された観測装置から放つ緑の光を煙幕の代わりとして前方の視界を奪い、コスモタイガーが観測された熱源を焼き払った。
戦闘による閃光が艦橋を満たす中、一ノ瀬はモニターの中に出た通知が目に入った。
「……これは……」
「艦尾に被弾、ダメージコントロール作動」
「弾幕、手を緩めるな!」
喧騒の中黙り込んだ彼は、振り向き近藤の方へと向かう。
「艦長」
倒せど襲い来る弾幕、不規則な弾道に突如現れるミサイル、そして前方に集中された火力を用いての波状攻撃。
いくつもの艦を塵に変えても、その数は減っているようには感じられない。
「もっと減ってくれてもいいのに!」
「敵も必死なんだ。数の利なんて巻き返せる力がこの船にはある。後一歩だ」
嘆く来島に告げる有賀へと、近藤の視線が向く。
「戦術長。今ここで、この場所を維持したまま10分間敵を釘付けにできるか」
「ここで、ですか……」
進む武蔵に降りかかる砲火、揺れる艦体。閃光が止んだ闇の中を見つめた有賀は、火線の数と敵艦の総数を頭で反芻して振り返った。
「本艦の戦力で現在位置を維持したままでは不可――」
「可能です」
断言した柑奈は有賀を見て笑顔を見せる。
「大丈夫ですよ。理沙ちゃんなら分かってると思うけど、攻撃オプションはまだ残ってる。10分程度なら問題ありません」
「私も同様の意見です。ダメージは受けていますが十分戦えます」
柑奈に続いた来島の言葉に嘆息した有賀は、頭をかきながら「それじゃあ断れないじゃんか……」とつぶやく。
「……本艦の損傷は間違いなく拡大します。どの程度になるのかは分かりませんが、それでもいいのなら」
「構わない。ただ、10分後にワープができるようにだけは気をつけてくれ」
「……了解」
また難しい事を、と内心強く思ったがそれを押し殺した有賀は、息を吐いて瞼をあげる。
「反転、艦首魚雷管発射用意。主砲一番二番に三式弾装填。対空警戒を厳とする」
波動エンジンを止めた武蔵が姿勢制御ノズルを開けて反転すると、そこから放たれた魚雷は扇状に広がりいくつもの火球を作り出した。
にわかに回転数を上げるフライホイールの音をかき消すように撃ち出された三式弾は途中で炸裂し、迫っていたミサイルを撃墜。
「マグネトロンプローブ発射、艦体防御に回せ!」
両舷から撃ち出されたミサイルに内包されたプローブが周囲の小惑星に突き刺さり、赤い光を放つ。
徐々に近づいてくるそれの合間を縫って撃ち出された実弾は着実に敵艦の装甲を貫き、武蔵の周辺を回る小惑星が敵の火線を弾く。
イズモ計画の遺産、ヤマトで初めて使われ、月面再生任務を受けた銀河まで引き継がれたマグネトロンプローブは武蔵にも搭載されていた。性能そのものはヤマトのものと大差ないが、操る人物の技量によってその動きには差が出る。
無人艦を指揮してきた武蔵が操る小惑星は、艦尾をアステロイドシップにしつつも艦体を3本のリングが立体防御を行うという挙動を見せていた。
武蔵の射線からリングが逸れる一瞬を逃さない正確な射撃とアステロイドリングの多重防護は一種の要塞のようであった。
「岩盤減少率15%、パターン切り替えます」
「……攻撃に対して岩盤の減少率が低すぎませんか……?」
攻撃を指示する手を止めることなく来島が呟く。
アンドロメダと対峙したヤマトが使用した際のログでは、一撃での減少率は5%以上を記録していた。ただの小惑星であったヤマトのアステロイドリングは脆く、短時間の時間稼ぎにしかならなかった。
不完全形成のカラクルム級の破片を使った最終決戦の際ですら完璧な防御にはならなかった。
しかし今回は違った。
弾幕の濃さに対して記録にある減少率が低すぎるのである。
「小惑星の構成……多分、この小惑星帯の星にコスモナイトが多く含まれてるからだと思う」
「って事は、ここはヤツらにとって資源を採掘するポイントでもあったわけだな」
その間にも減少する岩盤からは、輝く物質が見え隠れしていた。
柑奈に答えた有賀は、続いて美佳へと振り向く。
「作戦時間はあと何分だ」
「あと2分、岩盤減少率は46%です」
「54%残ってりゃ十分だ。航空隊を喚び戻せ」
泰平と目を合わせて頷くと、次の瞬間強い横向きの慣性と共に艦が振り返り、岩盤がエンジンの付近に集まり始める。
「岩盤を壁にして推進力を底上げする。ワープ速度に加速する時間をこれで短縮する」
「でも形成中に岩盤が減らされたら効果は薄くなります」
「大丈夫、理沙ちゃん。まだ試験段階だけど……試す価値はある」
有賀と目を合わせた柑奈は、親指を立てて笑顔を向けた。
「波動防護弾装填、後方に向けて撃て!」
両舷のミサイル発射管から白煙と共に撃たれた弾は方向を変えて後方へと向かい、炸裂する。
それは武蔵に迫っていた実弾、光線砲のことごとくを防ぎきってみせた。
「やった成功!」
ガッツポーズをした柑奈のモニターには、艦後方に展開した円形の青い盾が映し出されていた。
「すごい……」
「作ってて良かった……これは波動防壁の応用、土星沖での重力子スプレッドの使い方から着想を得てずっと作ってたの」
「波動防壁ですか?」
「そうだよ美佳ちゃん。あの弾頭には防壁を短い期間出せる程度の波動エネルギーと、防壁を出すシステムが積んである。もっとも、そのシステムが全く上手くいかなかったんだけど」
「試験で使えて実戦で使えない武器より、いざって時使える盾の方がありがたい」
振り返った有賀もまた、彼女に親指を立てる。
「作戦時間まであと1分……ん?」
笑顔でモニターを見返した美佳の表情が一転する。
「どうした?」
「お兄……前方に、何か、大きなエネルギーが……」
「爆縮反応ですね。この波長は……波動砲⁉︎」
「作戦通りだ。ワープする!」
点火されたエンジンの炎はすぐさま蒼く変わり、岩盤の表面を焼きながら加速する。
二本の光が合わさり、光の中から雨のようにそれは降り注ぐ。
「拡散波動砲、目標のターゲットを一掃した模様です」
「武蔵の反応、検知できません」
「まさか本当に……?」
にわかに慌ただしくなる艦橋は、眼前に現れた光によって静寂に戻った。
「やはり生きていたか」
微笑む冴島の目には、傷つきながらも光信号を放つ艦の姿があった。
その姿は以前より強く、たくましく映っているのだろう。
『武蔵よりアカギへ。援護感謝する、今後の方針を定めるため、作戦責任者の本艦への乗艦を求む』
――第15話 「救出作戦」――
ありがとうございました。
例のごとく次回は未定なわけですが、16話〜26話の展開を再考したく思うのでまたちょっとかかるかもしれません。
それではまた次回お会いしましょう!