ドラゴンクエスト~邪神の眠るダンジョンと夢見る戦士~ 作:モゾモゾ
とりあえずの目標は100000文字
最新作のゲームが発売されるらしい。
体の情報をスキャンで取り込み、それをゲームのキャラクターとして動かす。
久々に触れたゲームに、感動を覚えた。
だが、時は残酷だ。
ゲームが発売した時の、俺の年齢は45歳。
スキャンして、いざチュートリアルを始めた俺は、水に浮かぶ自分の体を見てため息を浮かべる。二の腕がたるんたるんで最近はまりだした酒とチーズの組み合わせがうますぎたせいなのか、腹が出てきている。
体力とスタミナはマックスになるどころかあふれ出てしまった。
顔は少し…いや、だいぶ脂ぎっている。
なんと俺は、典型的な中年太りをしているのだ。
いや、知ってたけどね。
別にいいさ、太っている奴が世界救っている世界がある。
年を取った爺さんが魔王を叩きのめしたりするんだ。
なら別に、太って脂ぎっていて、何なら運動不足の俺が世界を救ってもおかしくないだろ?
まぁ、普通に考えればそんな奴に世界が救えるはずがないだろう。
せいぜいできて、肉壁だ。勇者なんて言ったら鼻で笑われる…
だが、しかし! だが、しかし!
これはゲームである。誰だって主人公になれる。
つまり、俺がごちゃごちゃ何を言っているのかというと…
ドラクエビルダーズ2面白かった!
すでにクリアした後だった。
あまりの面白さに、有給も消化し危うく仕事にも差支える寸前だった。
実際に体を動かして物を作る行為。
最初は、AIに体を動かしてもらっていたが補助を切ることにより、世界が広がった。
発売当初が45歳、魔王を倒したのが50歳の時だ。
最初の5年間はひたすらトライ&エラーの繰り返し。
物を作ることにも当たり前のように失敗した。
料理なんかバフが乗るものが毒になっており、味覚センサーが異常を知らせてきた。
地味にショックだった。
武器なんか作っている最中にケガなんか当たり前だし、魔道具なんて、爆発して体が吹き飛んだ。
NPCが集まってきて泣かれた時は、心が締め付けられた。
そのことが原因で、遊びではなく実際に生きていると仮定してゲーム内を楽しむようになった。
久々だった…こんなにも感情が自然に溢れ出すゲームにであったのは。
だが、そんなゲームも先日納得のいかない形で終わった。
原因不明の症状が発生したのである。
50歳を超えたあたりで、体に違和感を感じたのだ。
最初は、体の疲れが原因かと思い対処しなかったのだが、日に日に症状が悪化していき
今では立つこともままならない。
既に末期だった。
家族は既に他界しており、「血筋を絶やすわけにはいかぬのだー!!」と婚活に励んだのが40代、結局いい人ができずに一人寂しく暮らしていた。
そんな時に運命に出会ったのが、ドラゴンクエストビルダーズ2だった。
今まで数々の、ドラクエを経験してきた私に激震が走ったのは。
なんだか偉い人がすごい技術でゲームの中に実際に暮らしているような感覚で遊べるやつを作ったらしいのだ。
おじさん驚嘆。
圧倒的な世界観。
CMで流れているのを口を開けながらみていたのだった。
楽しかった。
まるで、子供の時のように無邪気に遊んだ。
遊びすぎて、血は途絶えた。笑おうにも笑えない案件だった。
でも、満足していた。数々のアップデートにパッチ、世界はどんどん広くなり私も盛り盛り町や島を開拓した。
体の動きが徐々に鈍くなっても助けてくれる友がいた。
そんな友に、もう、思い残すことも事もないように最後に、別れを告げた。
「今まで、本当に楽しかったよ、ルルにシドー。世代は違えど、君たちに出会えたことを神に感謝するよ」
「へっ!なんたって、俺自身が神なんだ。当然だろ!それに、急に畏まるなよ。俺たちの仲じゃねえか」
得意げな顔でいつものように、返してくれた。
「そうよ。私たちの間に堅っ苦しいのは、なしって言ったの貴方のほうよ。ダイキ」
本当は、彼女の方が先だったが、今更、この流れで訂正するのは空気読めなすぎなので黙っていた。
「すまんすまん。最近歳のせいか、涙もろくてね。こんな風に言わんと喋れなくなりそうなんだよ」
「まったく、そういうしぐさをするから、おじさんくさいって言われるのよ。女性にもてたいなら、気をつけなさい!……それより、本当にいなくなるの?いつでも遊びに来ればいいじゃない。私たちはあなたのことをずっと待ちつづけるから」
初めて会ったころからだいぶ、色気が増した彼女に言われ少しテンションが上がった私だが、彼女は既に既婚者。
シドーとくっついたのであった。
昔から、周りからもお似合いだと言われ続けられた。私も、もちろん祝福した。
シドーが申し訳なさそうな顔をしていたのは、今でも覚えている。
「そうしたいのは山々なのだが、恐らくこれが最後だろう。実は、指もあまり動かないんだ。最後に君たちだけ。初めて、この島で開拓した君たちだけと共にこの夜を過ごしたかった」
「チッ!そんな弱弱しいこと、言うんじゃねえよ。…馬鹿野郎」
悪態ついているが、普段涙を流すことのない友が、私のために泣いてくれている。指摘すると怒りそうだが、これが最後だ。ログアウトする時、からかってやろう。
「もう、既に日は昇りつつある。あれが、完全に出たときにこの世界から飛び立とうと思う。今まで、長い間話に付き合ってくれて、ありがとう」
現実世界では、看護師さんから時間をどうにかもらい、セットしてもらったのだ。
体を無理やり動かすための副作用の大きい薬も処方した。私の命を削ってどうにか、体を動かしている。
「おい、待てよ!まだまだ、話してないことがいっぱいあるだろ!」
「そうよ、そうよ!」
「さよならだ。シドー。私のために泣いてくれて嬉しかったよ。ルルも。また、来世で会おう」
そして、ログアウト30秒ほど前になったので話を切り上げた。
すると、辺りに声が響いてきた。
⦅ギリギリ間に合った!!待って待って、その命。あなたまだ生きたいでしょ?私のとこで働いて欲しいの。返事はきかないわ。あなたならやるって、言うと思うもの。だって黙ってるままなのは、イエスということなんでしょ?大丈夫大丈夫!ちゃんと、若返らせてあげるし、病気も治してあげる。その代わり今まで貯めたあなたの経験値全部なくなるけど大丈夫よね?…うん!大丈夫そうね!そしたら転送始めるわよー⦆
なんか、恐ろしいこと言っているが、体がすでに光り輝いてきている。
「おい!なにもんだてめえ!ダイキに何しやがる!」
⦅私ルビス!新米だけど神様っぽいのしてるの。ちょっと私の世界が大変なことになるかもしれないから、色んなとこにスカウトしてるの⦆
「なら、俺もつれてけ!相棒の俺がいねえと、どうすんだ!」
「馬鹿!!お前こそ、ルルをどうするんだ!赤子がいるんだろ!お前が守ってやれ父親だろうが!!」
「うっ。しかし……分かった。なら俺の力を持っていけ!それくらいはさせてくれ!」
⦅えっ!急に言われても時間ないから急いでその人に触れて!ってあなた力でか過ぎなのよ。無理無理!できてギリ半分くらいが精一杯⦆
「構わん!さっさとやれ!…俺は確かにお前のそばについてはいけないけれど、この力でいつもお前を支えてやる。頑張れよ」
いい子に育ってくれたなー。
時々周りが見えなくなって困らせることもあるが、気持ちはうれしい。
急にあほっぽい、神様に攫われたけど、彼の頼もしかった力を分けてもらえて正直助かった。本当に俺一人で行ったらスライムの大群に殺されるかもしれないのだ。
「シドー…ありが」
意識が反転した。彼から伝わってきた触られていた手のぬくもりや、優しさが感じなくなったのだ。
「っていうのが今までの流れです。あなたたちは、今の私の話を信じますか?トルネコさん、ルイーダさん」
続く…
次から、書けることがどんどん増えるので文字数が稼げそう!
次回「胸元の色気」