おまけと思って読んで貰えれば幸いです。
夜の帳、ワタシは只ひたすらと歩いていく。
ワタシは誰で、ワタシはどうしてここにいるのか分からない。
自分を知ろうとする事自体、考える事もなかった。
色々な人がいたような気がする。
優しい人、厳しい人、ひどい人、愛した人。
色々な人がいたような気がする。
「お前は、特別なんだよ」
捕まった先で誰かにそう言われた。
特別なんだ、特別なんだからと教えられて牢の窓から差し込む光を浴びていた。
次から次へと変わる風景、一体ワタシの安息の日は来るのだろうか。
「おや、これは面白い
何百年も前に現れた男は、ワタシを見てそう言った。
お前は何にでもなれるが、お前は何もできない。
だから、お前は役に立ちなさいと全てを教えこまれた。
ワタシは舞台で踊る
ーーリムルside
イブキが作ったホットケーキもどきはとても美味しかった。
形は不格好だったが、一生懸命作ってくれたモノにケチをつける者なんてここにはいない。
それどころか最後の一枚は誰が食べるのかと、奪い合いになったぐらい好評だったのだ。
嬉しかったのか、イブキが久しぶりに笑っている姿を見て少し安心した。
『久しぶりに作りました、ホットケーキ』
そんなイブキが昼前になっても現れないらしく、ちょうど居合わせた俺が暇なので部屋に見に行っているわけだ。
何時もなら朝早く起き、特訓の為に森に出かけたりしている筈なのだが寝坊でもしているのだろうか?
「おーい!起きてるかー?」
部屋の扉をノックしてみたが、反応はない。
部屋の鍵はかかっていないので、ゆっくりと開いて部屋の中を覗いてみる。
「あ、リムルさん……」
中にいたイブキの表情は暗く、目は泣いていたのか充血していて目元は赤くなっていた。
酷い悪夢を見た、何時もなら朝早く起きて修行をしたり手伝いをしたりと動き回っている時間だ。
悪夢のせいで部屋から出る元気もわかず、心配になったのかリムルさんが部屋に訪ねて来た。
「すいません、夢見が悪かったみたいで……」
夢の内容は薄れてしまい、思い出せないが"あれは"自分にとって苦痛の塊に違いない。
冷や汗を拭い、何時ものように身体に喝をいれて奮い立たせる。
夢は所詮夢、落ち込んだり苦しんだりしているよりも今を大事にしないと!
「……大丈夫か?」
「大丈夫です、リムルさん態々すみませんでした……ちょっと待っててくださいね直ぐに着替えますから」
汗で気持ち悪いので新しい服を取り出して着替えようとすると、リムルさんが外で待ってると言ってきた。
いやいや、男同士(?)だから大丈夫じゃないですかと言ったが、泣いてる所を目撃されたり色々な事があったので用心しているのか聞いてもらえなかった。