どうして料理が下手な人は、自分の腕に自身を持っているのだろうか。
味見もしない、調味料は目分量、勝手に食材を増やしたり減らしたり。
あまつさえ、料理に使ってはいけない劇薬でさえも簡単に投入してしまう始末。
「…………」
目の前で
最早、これは新たな生命が誕生しているのではないかと、現実逃避をして考えこむ。
そもそも、料理は蠢かないし、こんな摩訶不思議な色をしていない。
どうやったらこうなる、どうしたらこうなってしまうんだ?
じっーっ、と料理を作ったシオンさんを睨みつけてみたがニコニコと笑顔を向けてくれるだけ。
対面にはとっても楽しそうにこちらをみているリムル様がいる。
確に逆の立場なら、ワタシだって楽しそうに見学する事は間違いないだろう。
(ほらっ、早く食べないと冷めるぞ?)
(ぐぬぬっう……死んだら化けて出ますからね!)
(大丈夫、ダイジョウブだヨ!)
にまっと、口元を釣り上げて笑う。
内心の声が聞こえていなければ、絶世の美少女に間違えられるぐらいの美貌を持っていても、これだけ邪悪な考えしたいたら差し引きゼロだ。
料理にしては柔らかいような、硬いような、そもそもザリザリしているような。
本当に、これは、料理なのか?
(いや、ここで観察したらもう食べる事が出来なくなる。そもそも、これから一ヶ月は対面するのだから、勇気を出すんだ!!)
意を決し、目を閉じて料理の様な物を口に運ぶ。
一口、また一口と噛ましめて来たる激痛を待っていたが、一向にその気配は来なかった。
それどころか、美味しいと脳が感じてしまっている事に驚きを隠せなかった。
何だ、恐ろしすぎて味覚が壊れてしまって、美味しく感じてしまっているのだろうか?
さらに一口、また一口と料理に手を付けていく。
数分後には盛られていた皿は殻になり、その事実が驚愕の真実をワタシに突きつける。
わなわなと手を震わせながらも、リムル様に視線を向けると、そこには先程まで笑顔から真剣な表情へと変わっていた。
「ユニークスキル、料理人」
「なん……ですって!?」
その一言で察した、察せられた。
今までの人や魔物を屠れる程の料理は、あろうことかユニークスキル、料理人によってもう一度食べたいと思うほどの美味な料理へと昇華されている。
はわわと、思わず口に出しながら驚きを隠せずにいると。
シオンがもう一品、ワタシの前に差し出しながら一声掛けてくれた。
「おかえりなさい、心配していましたよ」
あっ、とまた口から声が出た。
ワタシの顔を知る人は、ワタシがあの状況から消息を断った事に心配をしてくれていた。
リムル様は知ってはいたが、改めて色々な人に心配をかけていた事を再認識させられた。
「た、ただいま……すみません、ご心配かけました」
けど、差し出した料理も見た目は料理に見えないんですけど、シオンさん。
にっこりと、笑顔を浮かべながらシオンさんは決意をした表情で語り始める。
「反省しているならば、貴方もリムル様の為に料理に励みましょう!美味しい物は、一日にしてならず!さぁ、行きますよイブキ!!」
「え、え?」
首根っこを掴まれて、真剣な表情から笑顔を見せたシオンさんに連れてかれる。
置かれた料理はリムル様がいつの間にか口にしており、見た目が良ければなーと思っていそうな顔をしていた。
リムル様、少し残しといてくださいね!
実の所、リムル様には許されはしたが。
色々な人に心配や迷惑をかけている事に対し、恐怖があった。
今回のシオンさんに会うことだって、本当は裂避けたい事だったけれど。
罰から逃げる事は出来るわけがない、そんな心をリムル様は既に見透かしていたのだろうか。
(ふふっ、俺には隠し事は出来んよ。イブキ君、せいぜい色々な人に怒られたり、実験台になるこった)