四宮の料理人兼白銀の親友は近侍さんに告りたい 作:トネッピー
ふひ~。昨日あんなことになったから、早坂と会いづれぇ‥‥。
それに、最近おかしい。何かすぐに素が出かけるんだよな。
「誠?どうかしたのか?もしかして‥‥」
「いえ、風邪は完治していますよ」
「それは良かった」
「それよりも‥‥」
「ん?どうしたんだ?」
「どうして、会長は今フランス語を勉強されてるので?」
もうフランス交流会なんてないだろうに。
ほんとに、御行は真面目だな。
「いやなに、もう一度交流会があればそのときは今回のようにならないように、な?」
「なるほど、流石ですね。会長、それでは自分はここで」
「おう、それじゃあな。誠、体には気を付けろよ」
「わかってますよ。それじゃ」
さぁ、帰ろ帰ろ。
今日はゆっくりしよう。
え?この映画は今日公開だったんだな。
前作がかなり怖くておもしろかったから見に行きたいんだが‥‥。
一人で行くのは嫌だしなぁ‥‥。
そうだ!!早坂を誘おうかな?でも、早坂がこの手の映画嫌いだったら申し訳ないしなぁ‥‥。
とりあえず、それとなく聞いてみるか。
《特になにもなく帰宅して‥‥》
ありゃ?今日ってあの二人こんなに早く帰ってくるとか言ってたっけ?まぁ、いいや。
「ただいまー」
「「おかえり」」
「今日は早いんだね?」
「早いんじゃないよ。早く帰ってきたんだ」
「あ、そうだったのね。ごめんよ父さん」
「響也さんが、誠が心配であまり仕事に身が入ってないから皆さんを休ませて帰ってきたんですよ」
そんなことして大丈夫なのかよ‥‥。
でも、心配されるのは嬉しいけどな。
「なぁ、誠?」フシャー
「どうしたの?父さん」
「どうして、クロに俺はこんなに嫌われてるんだ?」
「クロに絡みすぎなんじゃない?」
「う~む‥‥。そういうものなのかな?」
「そういうものなんじゃない?」
「そういえば誠君、誠君」
「なに?母さん」
「近々、四宮邸に皆さんで集まるそうですよ」
「え゛。母さん、それマジ?」
「えぇ、マジです」
マジですか‥‥。
俺あの家の雰囲気大っ嫌いなんだよな。
あいつら、みんな他人の顔色うかがうばっかで気色悪いし。
何よりかぐや嬢の親父だよ!!
なんだあいつ?娘に無関心なんて親としてどうなのよ?
それに、娘を道具程度にしか認識していない感じがするから嫌いなんだよな。
「‥‥わかったよ」
「まぁまぁ、そんなに嫌そうにしないの。それより、早坂ちゃんとはうまくいってるの?もう告白位はしたの?」
「「‥‥は?」」
え゛?ちょっと待ってね?
思考が追い付いてない。
「え~っと、母さん?それってどういうこと?」
「そっそうだぞ?母さん、どういうことだ?」
「あれ?誠君って早坂ちゃんが好きなんじゃないの?」
「そうなのか?誠、早坂さんの子が好きだったのか!?」
「はぁ~、すきですよ~だ。そうですよ~、俺は早坂のことがすきですよ~だ」
はぁ~、なんで母さん気づいたの?
ってかいつから気づいてたんだよ‥‥。
今まで他の人にバレたことなかったのに。
「誠君、その様子じゃまだ告白してないのね?」
「そうだよ。告白してねぇよ。何か文句あるか?あ゛ぁ゛?」
「きゃあ~、響也さん~誠君が怖いわぁ~(棒)」
「棒読みで言われてもな‥‥。それで、誠どうして告白しないんだ?」
「それはな、俺は…自分を偽らなければ誰かに愛されることはないと思ってるからだよ」
「それってどういう‥‥」
「響也さん、少し黙っててください。誠君いいわ、続けて」
「俺は、大事な人に見捨てられたくないし、だからこそ弱いところも見られたかな‥‥」パチンッ
「ちょ、母さん!?」
え?俺、今母さんに引っ叩かれた?
「誠君?それってもしかして、私や響也さんにも思ってるのかしら?」
「‥‥‥‥」
「沈黙は肯定と受けとりますよ。それでは、スゥーッ。あなたはほんっとにバカですね!!」
「‥‥ビクッ」
「母さん、おちつい‥‥」
「響也さんは少し黙っててください!!いいですか?誠君、あなたのその考えは確かに間違ってないかもしれません。でも、そんなことであなたが自分の恋を諦める理由にはなりません!!それに、弱いところの一つや二つ見られたぐらいで見捨てる人は本当の大事な人なんかじゃありません!!」
母さん‥‥。
こんなに怒るなんてはじめてだ‥‥。
だけどな‥‥
「けどよ!!あんたらはいつも!!いつも俺が居て欲しい時にいねぇじゃねぇかよ!!昨日の風邪だって結局今日になるまで帰ってきてねぇじゃねぇか!!俺だってもっと甘えてぇよ!!もっとかまって欲しいよ!!でもそれはあんたらの邪魔になるから我慢してきたんだろうが!!そんな生活を俺は今まで送ってきたんだよ!!そんで我慢し続けた結果、俺は自分を偽ることにしたんだよ‥‥」
「誠君‥‥」
「それに、もう嫌なんだよ‥‥。好きな人にも大事な人にも、想像と違うって言われんのも、鬱陶しいって言われんのも‥‥」
「あなたの思ってることはわかりました。だからこそもっと私や響也さんに頼ってください、弱いところを見せてください。そうしないといつかあなたは壊れてしまう。四宮邸に集まる皆さんのように他人の顔色をうかがうばかりの人になってしまう。私たちはあなたにそうなって欲しくないの」
「そうだぞ。子供は親に甘えて、かまって貰うのが仕事なんだよ。それにな?俺達家族でも言葉にせずにわかりあってる事なんてたかが知れてるんだよ」
「父さん‥‥」
「今回がいい例だ。俺と玲香はお前がもう大人だから大丈夫だと思っていた。だが、実際はどうだ?誠はもっと俺達に甘えたいって、もっとかまって欲しいって言ったよな?」
「なにが言いたいんだよ‥‥」
「人が人をわかるのに一番簡単な方法はな?話すことだと俺は思ってる」
「‥‥おう」
「だからな?今すぐとは言わんが‥‥。話してみろよ、友達に。それでもし、想像と違うって言われたんなら俺達に話せよ。聞いてやることなら俺達にだってできるし、話せば以外と皆受け入れてくれるかもしれないぞ?」
確かにそうかも知れない。
でもな‥‥
「怖いんだよ。大切な今が壊れちまうのが」
「そうだな。誰だってそうだ。俺だって母さんに告白するときすごく怖かった。それが普通なんだ」
「まぁ!」
「だったら‥‥」
「でもな?俺は話してスッキリすることできっとお前は初めて本当の意味で大事な存在を手に入れることができると思ってる」
「でも‥‥」
「じゃあ聞くが、お前の言うその大事な人は友人の変な部分を見てその人を嫌ったりするか?」
「そんなことする訳ないだろ!!俺の大事な人達を馬鹿にすんな!!‥‥あっ」
「それが答えだ。結局のところ、お前はやる前から諦めてるんだよ。でも、お前はそんなに大事な人を信じれてるんだ。それじゃその信じる人を信じて話せばいいんだよ」
「そういうもんかな?」
「そういうもんだよ。誠」
そうかもな。だったら、もっと早く話せば良かった。
そうすればこんなことにならなかったかもしれないのに‥‥
「「少なくとも俺達(私達は)あなたがどうあろうと見捨てたり鬱陶しがったりはしない(しませんよ)」」
「二人とも‥‥。ありがとうお陰でスッキリしたよ」
ほんとにこの人達の子供に生まれて良かったよ。
待っててくれ早坂、俺は覚悟を決めて必ずお前に想いをつげてみせる!!
「あ、ところで誠君?いつ告白するのかしら?」
「この状況でそんなことよく言えるな?玲香。確かにそれは俺も気になる。なぁ誠、教えてくれないか?」
「それは俺の好きなタイミングでするよ。それに、この感動的状況で二人ともそんなこと聞くなよぉぉぉ!!」
はい、というわけでいかがでしたでしょうか。
これで、崇宮君の心の不満や溜め込んでたもの、トラウマはほぼ消え去りました。
この先どうなっていくのか‥‥。
また次回もお楽しみにしていてください!!