四宮の料理人兼白銀の親友は近侍さんに告りたい   作:トネッピー

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皆さんお待たせしました

今回から『花火の音は聞こえない』編に突入致します

駄作でしょうが楽しんで読んでいただけるとうれしいです

それでは、どうぞ


2人の糸は繋がらない~~side崇宮誠~~

クソが………

なんで俺がこんなとこで料理を作らなきゃならんのだ……

 

「おいそこ!!料理は作り終えたのか?早くするんだもう四宮様方の食事まで時間がないんだぞ!!」

「チッ。承知しております。こちらも急いでいるんです!少し黙っててください」

「それなら早くするんだな。もう料理は続々と出来ているし、時間もないんだからな」

 

うるせぇ、俺は自分の主や大事な奴らにしか料理はまだ出したくないんだよ

なんで、こんなことになってんだよ

 

《~~回想始まり~~》

 

「いっよいっよ今日は~♪早坂と~小旅行~~♪」

 

やっと、来たぜ~~♪

楽しみだなぁ~~♪

 

「フンフフーン♪」ピロリンッ

 

ん?なんだ?早坂からか?

何々~~

 

「え。」ポトッ

 

『すみません。小旅行に行けなくなりました。』

『えっと、どうしてだ?』

 

とりあえず、平静を装って理由を聞こう

 

『急に本邸に行く事が決まったんです』

 

…………あ、そういえば母さんがそんなこと言ってたな

なんで……、なんで、こんなタイミングなんだよ……

これじゃ、夏休み会えねぇじゃねぇかよ……

折角、早坂と二人になれる状況を作れそうだったのによ……

 

『そうか、それじゃしゃーないな。んじゃ、今回のは、縁がなかったってことに』

『そう………、だね……』

『それじゃ、また始業式でな』

『うん、またね。崇宮君』

『またな。早坂』

 

夏休みの間にもう会えねぇってことは、告白のタイミングなくなったのか………

どうしてこううまくいかないんだ?

まぁ、考えてもしゃーない

切り替えていこう、切り替えて

 

「誠君?お楽しみのとこ申し訳ないんだけど、スーツ着て準備して欲しいな~……」

「母さん?どしたの?なんでスーツ?」

「今から、四宮本邸に行きますよ。前に言ったでしょう?」

「あ~、言ってたな。わかった、直ぐ準備するよ」

「それじゃ、先に下で待ってるからね」

「はいよ~」

 

さて、さっさと着替えるか

 

早坂に連絡………はいいか

向こうは今忙しいだろうしな

 

うしっ!着替え完了

それじゃ、さっさと下行くか

 

「父さん、母さん、お待たせ~」

「早く行くぞ~。誠」

「さ、早く乗って。誠君」

「はいよ、お待たせいたしました」

 

さて、行き道で早坂に連絡するか、本邸に行く、って

 

「そういえば、誠?」

「ん?なんだ?父さん」

「ご当主様が、お前に何か作らせろってよ」

「は?」

「お前に食事会の料理を一品作れってさ」

「ふざけんなよ!!クソジジイィーー!!」

 

《~~回想終了~~》

 

あんのクソジジイめ、いきなり料理作れなんて、父さんと母さんに伝えやがって、なんだアイツ

お陰でレシピ考えるのに夢中で早坂に連絡できなかったじゃねぇか

っと、できたな。

これを急いで運ばなきゃな

 

「お待たせしました!!完成しましたよ!!早く持っていってください」

「は、はい!!承知しました!!」

 

全く、皆大忙しじゃねぇか、もっと段取りよく作っとけよ阿呆ども

 

「さて、ちょっと余裕も出来たし早坂に連絡……」

 

え。あれ、俺のスマホじゃね?

何時落としたんだよ……

しかも、あんなとこに落ちてるってことは……

 

「はぁ、やっぱり踏み壊されてる……」

 

画面バッキバキだし中身もいかれてんなこりゃ

はぁ、買い換えるとなると出費が増えるなぁ……

早坂も来てる筈だし後で連絡できないこと、タイミングを見て伝えないと

本邸に来てるのも伝えてないし……

全く、災難続きだ畜生……

 

「おい、そこのお前」

「なんでしょうか?」

「お前、崇宮さんのとこの子だな?」

「そうですが、どうかしましたか?」

「お嬢様の所にお食事を届けてくれ」

 

なんでだ?今も忙しそうじゃねぇか

なのになんでわざわざ人手を減らすような真似を?

 

「どうして私なんでしょうか?」

「お嬢様も知り合いが届けてくれた方が少しは気が緩むだろ?だからだよ」

「そうですか……。では、届けさせていただきます」

「あぁ。俺だけかもしれないが、お嬢様が可哀想だからな」

 

ここにいる人の中にもまだいた、っていうか、皆同じ気持ちなのに言葉に出来ねぇのかな?

そうだとしたら、それを俺に言ったこの人はスゴい人だな

 

「そうですか。それでは少し失礼します」

「すまないが、できるだけ早く帰ってきてくれ」

「わかっています。それでは」

「頼むぞ」

 

さて、かぐや嬢に早く届けに行ってやるか

ついでに早坂に色々と言わなきゃいけないことがあるから、それも伝えないとな

 

《~~崇宮君、食事を運び中~~》

 

そこを曲がれば早坂とかぐや嬢がいる部屋だな

あ、あれは使用人の人!?

なんでこんなとこに居るんだよ!?

 

「お嬢様にお食事をお届けですか?」

「はい……。そうですが?」

「なら、私が代行致しますのでお早く調理にお戻りください」

「………はい」

「お嬢様とその近侍の方に会いたかったですか?でしたらお通し致しますけど?」

「いいえ、結構です。別に会いたいわけでもないんで。それでは私はこれで……」

 

仕方ねぇ、引き下がるしかないな

このまま、通ってたらクソジジイやクソ野郎にチクられるな

ここには父さんと母さんの事を良く思ってないやつだっているし、そんなとこで俺が持ち場を離れてたなんて知れたら父さん、母さんに迷惑がかかるし、早坂に二度と会えなくなるかもだしな

でも、ホントは会いてぇに決まってるよ

畜生………

でも、今は会えなくても

絶対に会いに行くチャンスがあるはずなんだ

だから、それまでは我慢だ、我慢

 

《~~崇宮君、悔しいと思いながら移動中~~》

 

「おう、戻ったか。それじゃ、また頼むぞ」

「はい!!任せてください!!」

「気合い入ってるな。良し、じゃあここを……」

「わかりました。任せてください」

 

さっさと終わらせて早坂に会いに行ってやる!!

頑張るぞ!!

 

《~~崇宮君、調理終了~~》

 

終わったーーー!!

これでやっと早坂に会いに行けるーー!!

 

「よ、お疲れさん」

「あ、さっきのすげぇ料理人さん」

「俺は何にもすごかねぇよ。ただのしがない料理人にすぎないからな」

「俺からしてみればスゴい事ですよ。かぐや嬢のことをとやかく言える人がここにまだいるなんて」

「そこかい。別に、ただお嬢様はあれで良いなんて思っちゃいないって思っただけさ」

 

この人、やっぱここには似合わないくらいしっかりした人だ

なんでこんなとこで働いてるんだ?

 

「あなた、ここで働くのあってないと思うけど、なんで働いてんだ?」

「んあ?んな事は簡単だよ。俺は店を持つ器じゃねぇのさ」

「どうしてさ?そんなに他人の事を思いやれるなら店員も集まるだろ?」

「崇宮さんの子な、人生や店の経営、それにそれなりに繁盛させようと思えばな、思いやりだけじゃどうにもならんことも多いのさ。そして何より!!俺には夢よりも大事な物があっただけさ。それが、俺がここで料理を提供してる理由だ」

「でも!!」

「でももだってもねぇんだよ。これが俺の結果だ。お前や、他の奴がなんと言おうとな」

 

そんなの、そんなのって

ただ、逃げてるだけじゃんか……

ただ、楽な道を取ってるだけじゃんか……

 

「何か言いてぇんだったら、お前はお前のやりてぇ事を見つけるこったぁな」

「なんで、俺がやりたい事がわかんねぇの知ってるんだよ」

「んなもん、見てりゃ大体わかるさ。お前の料理の動きにしっかり出てるぜ。お前は自分が料理人でありたいのか、崇宮の当主でありたいのか、その他になりたいのかで揺れてるんだろ?だから味付けや焼き加減、その他諸々にムラが出る。違うか?」

 

なんで、なんで俺が一番料理で困ってるのをこの人はわかるんだよ……

やっぱりこの人はここで腐っていい人じゃない筈なんだ……

 

「そこまで、料理がわかるのにどうして……」

「泣きそうになるなよ、お人好しが」

 

だって、だって……

そんなのってあんまりじゃないか

 

「まぁ、お前さんはその心を大事にしな。そして、料理人の先輩として、料理を安定させるコツを1つだけ教えてやろう。それはな?目の前にある問題から地道に消化していくことだ。お前さんは、まずは恋だろ?」

「うぇ!?///な、なんの事だ?」

「お前の料理を味見してわかったんだよ恋をしてる奴は味に特徴があるからな」

 

この人、マジですげぇ……

でも、人の恋路を勝手に読み取ったのは許せん

 

「誰にも言わないでくれよ!?な!?先輩!!」

「お、ようやく明るい表情になったな。良し、俺の名前は一之瀬海理お前さんは?」

「崇宮、誠」

「誠、だなよしわかった。暇があったらこの連絡先に電話かメールかL○NEしてみな、お前の知らない調味料の組み合わせとか教えてやるよ」

「あ、さっきの調理中にスマホはぶっ壊れたんだ……」

 

忘れてた、クソ!!

折角、こんなすげぇ料理人に出会えたのに……

 

「じゃ、買い換えたら連絡くれよ。それじゃあな」

「あ、あの!!」

「なんだ?」

「一之瀬さん、今日はありがとうございました!!」

「おう!!早く買い換えて連絡くれよ!!」

「はい!!」

「後、用事があるんなら俺と話すよりも優先した方が良かったんじゃないか?」

「??………あっ!!」

「じゃあな」

「は、はい。それじゃあ」

 

ミスった……

すっかり忘れてた

早坂に会いに行けると思ったのに……

まぁ、いい人と連絡先交換できたから良しとするか

……今から行けるか?

 

「あ、誠君見っけ。それじゃ、行きましょう?」

「………はい」

「あら、スマホ連絡したの気付かなかった?」

「壊れちゃって……。今度買いに行ってくるわ」

「そう?それじゃ部屋に行きましょう」

「あ、そこは親子一緒なんだ」

「そうみたい。それと誠君の料理、みんなに好評だったからね」

 

そいつは嬉しいニュースだな

明日、早坂に会えるといいな………

 

《その頃、一之瀬さんへは……》

 

「あら、海理。待っててくれたんですか」

「おう、愛華。なぁにちょっと面白い奴に会えたからな」

「それってどんな子ですか?」

「ん?まだ高校生なのにここの調理場に立っていっちょまえに料理して、でも、恋とか自分の将来の迷いとかでまだまだ不安定で、そして、俺が夢を諦めた事に泣きそうになってくれるような素敵な小僧さ」

「ふぅ~ん。その子、もしかしてお嬢様の部屋に行かせました?」

「そうだが?」

「じゃ、その子会ってませんよ?お嬢様方に」

「お前が邪魔したのか?」

「そんなつもりはなかったんですけどね?そんなことより……」

「んあ?」

「あなた、ちゃんと話したんですか?自分が夢を諦めた理由ですよ」

「あ~」

「話してないんですね。私が好きだから自分の店を持つのをやめてここに私を追っかけて来たこと」

「うっせぇ///んな事言ったら格好つかねぇだろうが……」

「そういじけないでくださいよ。私は嬉しかったんですから。それじゃ、行きましょう?」

「おう……。わぁったよ」

「拗ねないでくださいよ」

「拗ねてねぇよ」




読んでいただきありがとうございました

ここでは、オリキャラの二人の軽い紹介を

一之瀬 海理(いちのせ かいり)

年齢不詳

若い頃は自分の夢がなにかについて迷い、店を持つ事と恋を天秤に掛けて恋を取って好きな人を追っかけて四宮の料理人となった人
料理の腕前は超一流で天性の勘で相手が迷っていることや今、恋をしているか等を料理を見る、味見することで感じることができる

時崎 愛華(ときさき まなか)

年齢不詳

若い頃、自分の恋よりも使用人としての仕事を優先し、恋を諦め、好きな人の夢を応援する側に回ることを決意したが、結局、当の本人が夢を捨てて自分を追っかけて来たため恋を諦めず、勝ち取った人
使用人としては一流だが、行動が思っていることと違う方向にとられやすい人

崇宮君に勘違いされたのもこれが原因、本当はただ、かぐや様や早坂さんに会いたければ通すつもりだった
崇宮君が、本邸にいる人に良い印象がないことなどが原因で勘違いされてしまう

要は、タイミングが悪い人

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