KATEKYO TAIL   作:薔薇餓鬼

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今回の話は10000字を越えました。なのでいつもより長いです。


標的(ターゲット)62 涙

 

 

 

 

 

クロッカス。

 

「もう一遍、言ってみろコラ。誰が誰ほどじゃないって…?」

 

ガジルの視線には、ガジルの禁忌に触れボロボロにされているローグがいた。

 

「少しずつわかった気がする…お前が何で妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入ったのか…」

 

「何の話だ。」

 

ローグは語る。ローグはガジルの元いた幽鬼の支配者(ファントムロード)に幼少期から憧れており、大きくなったら入ろうと考えていた。だが幽鬼の支配者(ファントムロード)妖精の尻尾(フェアリーテイル)との抗争に敗れ、あろうことかガジルは妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入ってしまった。だがガジルがそうしたのには理由があるということに気づいていた。

 

「仲間…だろ?」

 

ガジルが妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入った理由が仲間の存在だということをローグは気づいていた。一方で剣咬の虎(セイバートゥース)には仲間意識はなく、ギルドのメンバージエンマの兵隊扱いであった。そのせいかローグはわからなくなっていた。ギルドとは何か、仲間とは何か、自分たちは何の為に戦っているのかと。

 

「立て。お前は何もわかっちゃいねぇ。」

 

ローグの話を聞いたガジルは恐ろしい表情から、口元を緩ませる。

 

「カエルは仲間だろ。」

 

「カエル?」

 

急にカエルと言われて、キョトンとしてしまうローグ。だがすぐに自身の相棒であるフロッシュのことだということに急づく。

 

「フロッシュは猫だ!」

 

「正確にはエクシードだ。」

 

フロッシュのことをカエルだと言われてムキになって反論するローグだったが、ガジルのお陰で仲間とは何なのかということを理解することができた。

 

『ローグ。前を見ろ。敵はまだ目の前に立っている。』

 

「誰だ!?どこにいる!?」

 

「あ?どうした?」

 

突如、声が聞こえる。ローグが辺りを見回すも誰もいなかった。突然おかしなことを言い始めるローグを見てガジルは、疑問符を浮かべていた。どうやらガジルには聞こえていないようである。

 

『ローグ…ガジルを殺せ!』

 

「おい!どこにいるんだ!」

 

『それがお前の運命だ。』

 

「どこに…」

 

『馬鹿め…俺はお前の影だ。』

 

ローグは後ろ振り返り、自身の影を見た。影には目と口がはっきりと映っており、不気味な笑みを浮かべていた。

 

『力を貸してやる。ガジルを殺せ。』

 

その瞬間、ローグは両手で頭を抱え苦しみ始める。そしてローグはガジルを吹き飛ばした。

 

「こいつ…」

 

「ククク…少しだけ力を貸してやるローグ。」

 

「誰だ!?」

 

「影…運命を司る影。」

 

先程までとは打って変わり、ローグの魔力がさらに上昇していく。

 

「何、言ってやが…ぐぁっ!?」

 

急に様子が変わったローグにガジルは戸惑いを隠せずにいたが、蹴り飛ばした。

 

「何だか知らねぇとことんやり合いたいってことか…面白ぇ!鉄竜剣!」

 

ガジルは右腕を剣に変形させ攻撃するが、ローグは影となり、ガジルの腕の周りをグルグルと回りながら近づいていく。

 

「影竜の連雀閃!」

 

「ぐはぁっ!?」

 

両手に影の魔力を纏い、ガジルを上空へ吹き飛ばす。

 

「どこに行った!?」

 

上手く着地するも、ローグの姿がどこにも見えず辺りを見回す。

 

「ここだ。」

 

「!?」

 

ガジルが声のする方へと振り向いた。振り向いた先はガジルの影であり、ガジルの影にはローグの顔が映っていた。

 

「影竜の斬撃!」

 

「うぁあああ!」

 

ガジルの影から飛び出し、影の魔力を纏った拳を叩き込んだ。ここから形勢が逆転し、ガジルを一方的にやられてしまう状況となってしまう。

 

「やはりナツ・ドラグニル程ではない。」

 

「てめぇ…」

 

「ナツ・ドラグニル…いや、沢田綱吉やリボーンであっても、今の俺の敵ではないな。」

 

再び、ガジルを煽るローグ。少なくともガジルが劣勢だということは事実であった。

そして

 

「あが…ぐっ…カハッ…」

 

ガジルはローグに首を絞められた状態で宙に浮いていた。ローグはガジルを地面に落とすと、自身の影にガジルを吸い込もうとする。ガジルは徐々に、影の中へと吸い込れていく中で不気味な笑みを浮かべる。

 

火竜(サラマンダー)にできて、俺にできねぇはずがねぇ。」

 

そう言うとガジルは大きく息を吸い込み、自身を侵食している影を食べていく。違う属性の魔法を食べるという予想外の行動にローグは動揺を隠せずにいた。食べ終えると、ゆっくりと立ち上がっていく。

 

「誰だか知らねぇが、そいつの体から出て行け。」

 

「ローグから!?」

 

「それとそいつの名前はローグじゃねぇ。俺の弟分だったライオスだ。」

 

ガジルの体に影の魔力が纏わりつく。

 

「お前は俺に憧れてたんじゃねぇ。あの頃の俺がそんな男じゃなかったのは俺が一番よく知っている。お前は俺を恐れていたんだ。」

 

(これは…!?)

 

「もう一度、思い出させてやる。俺の恐怖心を。」

 

(鉄影竜!?)

 

ガジルはナツと同じく違う属性を吸収し、二つの属性を持つ鉄影竜となる。ガジルは一気にローグに突っ込んでいく。ローグはガジルを捕らえようとしたが、ガジルが影になった為、攻撃が当たらず、後ろからガジルの攻撃を喰らってしまう。

このままではまずいと思ったのか、ローグは影の中に潜って移動し始める。ガジルも影となってローグを追いかける。ローグに追いついたガジルはローグの胸ぐらを掴んで、引きずり出す。

 

(何!?影から引きずり出され…)

 

ローグは影から引きずり出されたことに驚きを隠せずにいた。ガジルはローグを地面に投げ飛ばす。投げ飛ばした影響で地面が崩壊する。再びガジルは影となり、ローグに追いつくと、ローグの顔を鷲掴みにする。

 

「消えろ!」

 

ローグを上空へおもいっきり投げ飛ばすと、ガジルは大きく息を吸い込む。

 

「鉄影竜の…咆哮!!」

 

「あぁああああ!!」

 

上空に向かって、鉄の属性と影の属性が混ざり合った咆哮が放たれ、ローグを包んでいく。これによって決着が着いた。

 

「クク…所詮、今のローグにはこの程度が限界か。」

 

地面に大の字になって倒れ、戦える状態ではなくなったローグであったが、意識はまだあった。ローグの背中の辺り、影が飛び出し消えていく。

 

「もー止めて!ローグが死んじゃうよ。もうー止めて!」

 

フロッシュがローグの前に立ち、涙を流しながら両手を広げローグをこれ以上、傷つけないようにとガジルに頼んでいた。フロッシュはローグの様子がおかしいことに気づいた為、観客席からやって来たのである。この後、ローグが目覚めるも先程の記憶なく、結局、ローグにだけ聞こえた声の正体はわからなかった。

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)52p

 

 

 

 

 

 

 

メリクリアス

 

「火竜の翼撃!!」

 

ナツは両手に炎を纏って攻撃し王国兵を飛ばした。ナツたちは地下を通って城からの脱出を試みていたのだが、なぜか地下に王国兵が配置されており、足止めされてしまっていた。

 

「派手にやり過ぎんなよお前ら。俺たちまで生き埋めになるぞ。」

 

リボーンは鍵のないルーシィとユキノの前に立って二人を護っていた。

 

獅子王の輝き(レグルスインパクト)!!」

 

「ロキ!」

 

しばらく戦っていると、ルーシィの星霊であるロキが王国兵を吹き飛ばしながら加勢にやって来た。

 

「お待たせルーシィ。はい、鍵。君のも。」

 

「ありがとうロキ!」

 

「ありがとうございます。ごめんなさい、ライブラ、ピスケス。」

 

「これで、戦力が揃ったな。」

 

「さぁ!反撃するわよユキノ!」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方でグレイとリオンは。

 

「「はぁはぁ…」」

 

グレイとリオンの周りに砕け散った氷の破片が散らばっていた。二人の魔力が切れており、もう新たに造形する

力すら残っていない状態であった。

 

「もう造形魔法は…」

 

「使えねぇ…」

 

「「だが…」」

 

二人は拳を握り締めると迷うことなく、走り出した。

 

「「まだ俺には師匠(ウル)から受け継いだ根性がある!!」」

 

グレイの拳がリオンの顔に、リオンの拳にグレイの顔にが決まる。ここから二人は殴り合いが始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方でジュラと当たったラクサスとオルガは。

 

「ジュラさんよ。あんたの本気ってのを見ておきたいねぇ。」

 

「む。」

 

「こいつを受け止める度胸はあるかい?」

 

オルガが両手に黒い雷を纏い、発射する体制を取る。

 

「どうだい聖十の魔導士。防ぎ切れるかい?」

 

「よかろう。」

 

(こいつ、おっさんを罠にハメた。)

 

オルガはジュラを挑発し、自身に敵意を向けさせる。

 

「雷神の荷電粒子砲!!」

 

オルガは凝縮した雷をジュラに放った。ジュラはオルガの攻撃を避け、魔法を使わずただの拳でオルガを地面に叩きつけ倒す。目の前でジュラの強さを目の当たりにしたラクサスは驚きのあまり、その場で固まってしまっていた。これによって蛇姫の鱗(ラミアスケイル)は50pとなった。

 

「綱吉殿とも拳を交えてみたかったが、お主とも一度、拳を交えてみたかった。かのマカロフ殿の…「おっと」」

 

ラクサスはジュラの言葉を遮ると、コートを脱いで戦闘の準備を始める。

 

「その先は言うな。ここに立ってるには偉ぇ称号背負ったおっさんでも、誰かの孫でもねぇ。ただの二匹の男だ。」

 

「よい眼だ。」

 

二人は膠着状態に入る。少しするとラクサスは全身に雷を纏い、ジュラに突っ込んでいく。だがジュラはここでも魔法を使わず、手刀でラクサスを地面に叩きつける。

 

「世の中上には上がいる。」

 

「それはよく知ってる…」

 

「!!」

 

「だがたまには下も見るもんだぜ…そいつはすぐ足下にいるかもしれねぇ!」

 

ラクサスは雷を纏った拳で、ジュラにアッパーを喰らわせる。

 

「うぁっ!?」

 

ジュラは地面を隆起させると、ラクサスを上空へ吹き飛ばした。

 

「雷竜方天戟!!」

 

「崖錐!!」

 

ラクサスは雷で作った槍を投げ飛ばすが、ジュラは再び地面を隆起させて防御する。ラクサスは飛んで一気にジュラへ拳を叩き込むが、ジュラは腕でラクサスの拳をガードした。ジュラはもう片方の腕を使って地面を隆起させる。ラクサスは躱しながら後ろに下がっていく。

 

「はぁ!」

 

「ぐはっ!?」

 

ラクサスは再びジュラに突っ込んでいくも、ジュラの掌底を喰らってしまう。だが今度はすぐに雷を纏った拳を叩き込む。

 

「おおおおお!」

 

ラクサスが雷を纏った拳を振り下ろすと、ジュラに雷が落ちる。

 

「これは…たまげたわい。」

 

「はぁはぁ…」

 

「まさかリボーン殿以外に、ワシを滾らせる人物がおるとはのう…」

 

「噂通りのバケモンだぜ、アンタ…」

 

ジュラはリボーン以外にここまで自分を滾らせる人物がいたことを知って嬉々とした表情を浮かべていた。ラクサスは拳を交えてたことで、ジュラの強さを見に染みて実感していた。

 

「こういう時に何て言うんだっけなナツ…」

 

ラクサスはナツのいつも言っている言葉を思い出す。そして拳を握る。

 

「燃えてきたぜ。」

 

「来い。どちらかが果てるまで戦おうぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれが奴の本気か…」

 

「あんなツナ、初めて見たよ…」

 

「もうあれを止めることは不可能だ…」

 

ツナとミネルバの戦いは続いていた。ツナとミネルバの戦いの様子は見えなかったが、爆発や崩壊音だけが聞こえていた。一つだけわかるとすればツナの怒りが頂点に達しているということだけだった。ツナに離れろと言わていた3人だったが、あまりの戦いに体が動かなくなってしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方でミネルバと戦っているツナは。

 

يهيسو(イ・ラーグド)(消えろ)!」

 

ミネルバは広範囲に渡って爆発を発生させる。

 

「ぐはっ!?」

 

ツナは爆発の中を突っ切り、ミネルバの頬をおもいっきり殴り飛ばす。

 

「馬鹿な…!?妾の魔法が…!?」

 

「お前の魔法はもうとっくに見切ってる。俺には通じない。」

 

ツナは炎を逆噴射させて、一気にミネルバの間合いに移動する。

 

「くっ!」

 

ミネルバはとっさに自分とツナを入れ替え、ツナの攻撃の回避すると、後ろからツナに蹴りを喰らわせる。

が、

 

「言ったはずだ。お前の魔法は見切ったってな。」

 

「がはぁ!?」

 

ツナは後ろを振り向くことなく右手でミネルバの足を掴んでいた。ツナはそのまま片手でミネルバをグルグルと回すと地面に叩きつける。地面に叩きつけた後、ツナはミネルバを投げ飛ばした。

 

「この!」

 

今度は魔力の牢でツナを捕らえる。先程と違って牢の中に重力をかけ、簡単に牢から出らないようになっていた。

 

「はははっ!動けまい!」

 

「くだ…ない…小…な」

 

「何だ?聞こえぬぞ?」

 

「くだらない小細工だな…」

 

「がはっ!?」

 

ツナがそう言うと突如、魔力の牢が破られ再びミネルバがぶっ飛ばした。

 

「ば、馬鹿な…!?妾の最強の魔法を次々と…!?」

 

「お前の魔法は空間を入れ替えたり、空間の属性を変化できる。確かに強力だが、お前の攻撃の癖さえ見抜いてしまえば見切るのは簡単だ。」

 

「馬鹿な…どこにそんな力が…!?くたばり損ないの分際で…」

 

「言ったはずだ。こんな傷、ルーシィやミリアーナの受けた痛みに比べれば痛くないと。それにこの程度の痛みなら、気合いで耐えればいい。」

 

刀で貫いたのにも関わらず、ツナの戦闘力が下がるどころか、むしろ上昇していたことにミネルバは驚きを隠せないでいた。

 

X(イクス)ストリーム!」

 

ツナはミネルバの周囲を高速で周りながら、上へ上へと上昇していくと炎の竜巻が発生させミネルバを閉じ込める。

 

X(イクス)ブラスター!」

 

「くっ!?」

 

竜巻の上空からツナは炎の球体作ってミネルバに向かって投げ飛ばす。投げた直後にミネルバは再びツナを入れ替えた。

 

「ここには逃げ場はない!自分の技を自分で喰らうがいいわ!」

 

炎の竜巻のせいで避けられないと思ったミネルバ。

 

「逃げ場がないのはお前の方だ。」

 

「何っ!?」

 

ツナは炎の球体を上空にいるミネルバに向かって蹴り飛ばした。

 

「ぐわぁああああ!」

 

まさか蹴り飛ばすとは思ってもみなかったミネルバは、ツナの攻撃を喰らってしまった。

 

「終わりだ!」

 

「がぁああああ!」

 

ツナは上空にいるミネルバに向かっていく。ミネルバは自身の前に何重にも硬化させた空間の防御壁と、空間の魔力を自身に纏い、硬化させて防御体勢を取った。ツナは勢いをつけた拳で防御壁を破壊していき、ミネルバの腹部に拳を叩き込みんだ後、おもいっきりミネルバをぶっと飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォオオン!

 

「な、何だ!?」

 

「敵か!?」

 

突如、3人の前に何かが降って来る。エルザは咄嗟に剣を構え、戦闘体勢を取った。

 

「こ、これは…!?」

 

エルザが目にしたのは全身ボロボロで、腹部を抑え苦しんでいるミネルバであった。少しするとミネルバをぶっ飛ばしたツナもミネルバを追いかけるようにやってきた。

 

「ツナ…これは…」

 

「ああ。もう終わった。」

 

エルザに戦いが終わったことを告げるツナ。今の状態のミネルバを見て誰もが決着がついたと思っていた。

が、

 

「まだだ…まだ終わってはない…」

 

ミネルバはゆっくりと立ち上がる。だがツナの攻撃を受けて無事なわけがなく、立っているのがやっとの状態であった。

 

「止めだ。」

 

「何だと…!?」

 

「これ以上、戦ってもお前のやったことがなかったことにはならない。お前にはルーシィとミリアーナ謝ってもらう。だから降参しろ。」

 

「それも魔法すら使えないような奴が…妾に命令するな!!」

 

ツナにこれだけボロボロにされてもなお、ミネルバの態度が変わるどころか、ツナに挑もうとするミネルバ。

 

「命令じゃない。これ以上、戦ってもお前に勝ち目はないと言っているんだ。お前は許せない奴だが、これ以上、傷つけるつもりはない。」

 

「その態度が気にいらないのだ!下級ギルドの分際…それも魔法すら使えないような貴様のような男にそんなことを言われることがな!」

 

「ギルドに強弱はあっても、上も下もない。確かにこの大魔闘演武はフィオーレ1のギルドを決める大会だが、勝っても国のトップになれるわけじゃないだろ。」

 

「我らは民に誇示せねばならない!剣咬の虎(セイバートゥース)が完全無欠のギルドであり、天下一のギルドであるということをな!」

 

「天下一のギルド…誰もそんなこと思っていないぞ。」

 

「何?」

 

「ルーシィやミリアーナを必要以上に傷つけている姿を見た人たちは、剣咬の虎(セイバートゥース)を恐怖の対象としか思ってないぞ。」

 

ツナは剣咬の虎(セイバートゥース)がどう思われているのかを理解していた。

 

「このままいけば、いずれ信頼をなくし、ギルドから人はいなくなり、剣咬の虎(セイバートゥース)は崩壊の一途を辿るだけだ。」

 

ツナは知っていた。初代霧の守護者であるD(デイモン)・スペードは自分の愛した女性、エレナの為にボンゴレを自警団から泣く子も黙るマフィアにした。だがその為に多くの人が犠牲になったことを。今のボンゴレと今の剣咬の虎(セイバートゥース)が同じ状況であることを。

 

「強さを求めすぎた組織はいずれ、疎まれ、恨まれ、孤立するだけだ。どんなに最強の組織であってもだ。」

 

ツナはわかっていた。マフィア界最強と謳われるボンゴレは、多くのファミリーから信頼を得てはいるものの、それでも多くのファミリーから怨まれていることを。そしていつ孤立してもおかしくないことを。

 

「ここで止まらないと、とりかえしのつかないことになるぞ。大人しく降参しろ。」

 

「図が高いぞ!!妾は天下一のギルド!!剣咬の虎(セイバートゥース)だ!!貴様のような下級ギルドとは格が違う!!」

 

あまりにも異常な勝ちへの執念にミネルバに、全員驚きを隠せずにいた。

 

「怖いんだな…本当は…」

 

だがツナだけは違った。ツナは哀れむような目でミネルバのことを見ていた。

 

「怖いだと!?妾がお前などに恐怖するわけなかろう!!」

 

「俺じゃない。」

 

「っ!?」

 

「俺と戦っているうちにお前は徐々に焦り、恐怖し始めた。だがそれは俺に対しての恐怖じゃなく、もっと違う何かに向けられた恐怖。」

 

ツナに超直感でミネルバの心を見透かしていた。ミネルバが別の何かに恐怖していることを。

 

「お前がそんな風になったのは、その恐怖が原因じゃないのか?」

 

「黙れ!!」

 

『なぜに貴様はそれ程、弱いか?』

 

ツナの言葉にミネルバは否定する。だが心当たりがあるのか、ムキになって反論していた。

 

「お前は誰かに止めて欲しいんじゃないのか?こうなってしまった自分を。」

 

「黙れ!!黙れ!!黙れ!!」

 

『許しを乞うのか!馬鹿娘が!』

 

ミネルバの脳裏に浮かんでいた。幼少期に、自分の父であるジエンマに修行させられ、泣く度に酷い仕打ちをされた頃を。

 

「本当は辛いじゃないのか?もうこれ以上、自分に嘘をつくのは。」

 

「妾の心を見透かしたような口を聞くな!!妾は自分に嘘などついていない!!妾は強くあらねばならない!!その為ならどんな手を使う!!それが妾の本心だ!!」

 

「そうか…エルザ、カグラ、ミリアーナ。少し離れていてくれ。」

 

ツナは左手を後ろに下げ、右手を前に出した状態で動きを固定した。

 

「オペレーションX(イクス)。」

 

『了解シマシタボス。イクスバーナー発射シークエンスヲ開始シマス。』

 

「「「!?」」」

 

ツナは後ろに下げた左手から炎を逆に噴射させる。まさかここでX(イクス)BURNER(バーナー)を使用するとは思ってもみなかったのか、3人は驚きを隠せずにいた。だがツナには何か考えがあるのだろうと思った3人は何も言わずにその場から離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グレイとリオンの殴り合いは続いていた。

 

「しつこいぞ…グレイ…」

 

「お前もな…リオン…」

 

もう二人は立っているのがやっとの状態であり、顔も腫れていた。そして二人は拳を握り、同時に走り出し、拳を振るう。

 

「ごふっ…!?」

 

グレイの拳はリオンには届かず、リオンの拳がグレイの腹部に決まる。勝利を確信したリオンは不適な笑みを浮かべる。

が、

 

「捕えたぜ。」

 

「!?」

 

グレイは両手でリオンの腕を掴んで、リオンの動きを封じた。

 

「これで終わりだ!リオン!」

 

グレイはリオンの額に頭突きを喰らわせると、鈍い音が辺りに響き渡る。

 

「ぐはっ…!?」

 

リオンはグレイの全身全霊の頭突きに耐えることができず、ゆっくりと倒れてしまう。

 

「ったく…手間取らせやがって…」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)53p

 

 

 

 

 

 

 

 

ジュラと戦っているラクサスは。

 

「滅竜奥義…鳴御雷!!」

 

ラクサスは全ての魔力を右腕に集中させて、ジュラに叩き込んだ。

 

「参った…」

 

ラクサスの全身全霊の拳の一撃をまともに喰らったジュラ。倒れる最中、嬉々とした表情を浮かべながら倒れていった。

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)58p

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツナとミネルバも決着が着こうとしていた。

 

「お前ごときに…妾が負けぬわ!」

 

ミネルバには、両手に魔力を纏い、無謀にもツナに真正面から突っ込んでいく。ミネルバは冷静な判断ができる状態ではなく、さらに先程の戦いによって魔力がほとんど残っておらず、このような攻撃しかできなかった。

 

X(イクス)BURNER(バーナー)!!」

 

ツナは真正面から突っ込んで来るミネルバに向かって、大量の死ぬ気の炎を放った。ミネルバは避けることはできず、炎に包まれてしまう。

 

(な、何だこれは…!?)

 

大量の死ぬ気の炎に包まれたミネルバであったが、意識はあるどころかダメージすらなかった。

 

(この炎は妾を燃やしていない…燃やしているのは妾の内にある負の感情…)

 

炎に包まれていく中で、ミネルバは自身の内に巣食う負の感情が浄化されていくことに気づいていた。

 

(まさか…妾を救う為に…!?)

 

ミネルバは信じられなかった。自分の行った所業に対して、あれ程の怒りを見せておきながら、今は自分を救おうとしているという事実に。

 

(暖かい…これが沢田綱吉の炎…)

 

ツナの死ぬ気の炎の暖かさに、ミネルバは抵抗することを止めた。爆煙が晴れると、そこには両手を手につき座り込んでいるミネルバがいた。X(イクス)BURNER(バーナー)をまともに喰らってもなお、ダメージを受けていないミネルバを見て3人は驚きを隠せない。

 

「ツナ…何をしたんだ…?」

 

「大空属性の調和の炎だけを放って、あいつの内にある負の感情だけを燃やした。」

 

「そ、そんなことまで…」

 

ここにきて、ツナにさらなる力があることを知ってエルザは驚きを隠せずにいた。ツナはミネルバの元へゆっくりと歩いていく。

 

「大丈夫か?」

 

「なぜだ…なぜ攻撃しなかった…?なぜ妾を救おうとした…?」

 

「さっき言ってた通り、お前の本心が本当だったら攻撃していた。けどあれがお前の本心じゃないってわかったからな…」

 

「妾はお前の大切な者を傷つけた…妾を救う理由など、どこにもないはずだ…」

 

「人を救うのに理由なんていらないだろ。俺はお前を救いたいと思ったから救った。それだけだ。」

 

「っ!?」

 

こんな過ちを犯した自分を救いたいと言ったツナの発言にミネルバは驚いていた。それも先程まで自分に対してあれ程怒り狂っていた男が。

 

「そなたの言った通りだ…」

 

「?」

 

「怖かった…」

 

「…」

 

「マスター…父上が怖かった…弱さを見せるたびに殴られ…辱しめられて…だから妾は恐怖から逃れる為に強さを求めるように…」

 

「もういい…それ以上、無理に喋らなくていい。」

 

涙声になりながら自身の過去を話し始めるミネルバ。自分の辛いを過去を話し始めたことでかつてのトラウマを思い出したことで震えていた。そんなミネルバを見ていられなくなったのか、ツナはこれ以上無理して話さないでいいと言う。

 

「自分に嘘をつく必要なんてどこにもない。自分の生きたいように生きればいい。」

 

「だが…妾の犯した過ちが許されるわけがない…そなたの大切な者を傷つけだけでなく、同じギルドのメンバーの心まで傷つけてしまった…」

 

ミネルバの脳裏にはスティングとユキノの姿が浮かぶ。

 

「許されるさ。」

 

「え…!?」

 

「少なくとも俺はお前がルーシィとミリアーナに謝ってくれれば、俺はお前を許す。」

 

自分を救っただけでなく、自分の犯した罪までを許すといったことにミネルバは信じられなかった。

 

「誰だって過ちを犯すことはある。けど過ちと向き合い、反省し、償い、やり直すことはできる。」

 

「やり直す…」

 

「お前が自分の罪を償うというなら、俺はお前に協力する。だから…」

 

ツナは右手をミネルバの頭に手をポンっと置き、頬笑えんだ。

 

「俺の名を呼べ。いつでも、どこでもいい。俺がお前を護ってやる。もう怖がる必要なんてどこにもないぞ。」

 

ツナはミネルバが父親(ジエンマ)にまた酷い目に遭うということを予見して、ミネルバを護ることを約束する。その目には一点の曇りもなかった。ミネルバはツナの目を見て、ツナが嘘を言っていないことを理解するとボロボロと涙を溢し始める。

そして、

 

「ありがとう…ありがとう…ううっ…ううっ…うわぁあああああああん!!」

 

ミネルバは周囲の目を全く気にすることなく、おもいっきり泣き叫んだ。この光景に、ツナ以外はキョトンとしてしまっていた。

 

 

どんな状況であっても涙を流すことのなかった剣咬の虎(セイバートゥース)最強の女魔導士はたった一人の男の言葉に涙を溢した。その姿は何もかもを忘れ、ただただ泣きじゃくる女の子のようだった。

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)63p

 

 




はい。というわけでミネルバは闇堕ちしません。ミネルバがいなくても、冥府の門(タルタロス)篇に影響がないですし。どうせフェイスは起動しますしね。

次回はツナvsスティングです。大魔闘演武も終盤。お楽しみに!


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