KATEKYO TAIL   作:薔薇餓鬼

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更新が遅れてすいません…もう少しでこの小説は1周年を迎えます。1年近くやってたった64話。前作は305話。
全然、書けてない…


標的(ターゲット)64 新たな戦いの始まり

 

スティングが降参を宣言したことによって妖精の尻尾(フェアリーテイル)の優勝が決まり、会場中がかつてない程、盛り上がる。こうして妖精の尻尾(フェアリーテイル)は完全復活を果たした。

 

「ふぅ…終わった…」

 

スティングを倒し大魔闘演武で優勝できたことにホッとすると、ツナは(ハイパー)死ぬ気モードを解除した。

 

「おいツナ!大丈夫かー!?」

 

「グレイ!みんな!」

 

ツナが振り替えると、グレイ、ラクサス、ガジル、エルザがいた。

 

「まさか一人で決着をつけに行くとは思ってもみなかったぞ…」

 

「無茶しやがるぜ…」

 

「ごめんエルザ…もうみんなボロボロだったし。それに大魔闘演武で足引っ張ってばかりだったからさ…」

 

エルザとグレイに言われて、勝手にスティングと戦ったことを謝るツナ。

 

「つーかてめぇ!美味しいところを持っていきやがって!」

 

「だ、だから!みんなボロボロだったから…」

 

「他の奴らと一緒にしてんじゃねぇ!俺はまだまだピンピンしてんだろうが!」

 

「どこが!?どうみてもボロボロじゃん!?」

 

「ツナの言う通りだ。魔力を消耗したお前じゃ、勝ち目はねぇよ。」

 

ローグとの戦いでボロボロになったのにも関わらず、ボロボロじゃないと言い張るガジル。ラクサスはそんなガジルをジト目で見ていた。

 

「まさかあの状態でスティングに勝つとはな…」

 

「大した男だ…」

 

「流石ツナだね!」

 

ミネルバに肩を貸すカグラと、レクターを抱えたミリアーナがやって来た。レクターの姿を見た瞬間、スティングは顔色を変えながらレクターの元へ走っていく。

 

「レクター!」

 

スティングがレクターの名前を叫ぶと、レクターは目を覚ます。そしてこちらに向かっていくスティングの姿が視界に映る。

 

「スティング君!スティング君!」

 

「レクター!ああっ!」

 

レクターも同じくスティングに向かって走って行く。涙を流しながらスティングはレクターを抱き寄せる。その光景は生き別れた親子が再会したかのうようだった。この光景を見てその場にいた者は温かい目で見守っていた。

 

「もう大丈夫だカグラ…一人で歩ける…」

 

「わかった…」

 

そう言うとミネルバは一人でゆっくりとおぼつかない足取りでスティングとレクターの元へと歩いていく。

 

「スティング…」

 

「お嬢…」

 

「すまなかった…妾の都合で…」

 

「いいんだお嬢。どういう理由があったにせよ、お嬢はレクターを護ってくれた。それでいいじゃねぇか。」

 

「スティング…」

 

「はい。お嬢のお陰で僕は助かりました。」

 

「レクター…」

 

「これから大変かもしれねぇけどよ、ちょっとずつ変わっていこうぜ。」

 

笑顔でそう言うスティング。この時から剣咬の虎(セイバートゥース)は変わっていくのであった。

 

「どうやら、あっちの蟠りは解決したようだな。」

 

「よかった…二人がちゃんとミネルバのことを許してくれて…」

 

スティングとレクターがミネルバのことを許した瞬間を見て、エルザとツナは安堵していた。

 

「ツナー!」

 

「あ!シェリア!他のギルドのみんなも!」

 

全員が振り替えると、そこには蛇姫の鱗(ラミアスケイル)青い天馬(ブルーペガサス)人魚の踵(マーメイドヒール)四つ首の番犬(クワトロケルベロス)のメンバーがいた。

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の諸君。優勝おめでとう。」

 

「完敗としか言いようがないね…」

 

「最下位から一気にトップとか、格好よすぎんだろ。まぁとにかく優勝したことは褒めてやるけどよ。」

 

「まさか一人も脱落せずに勝つなんてね。」

 

「やっぱり凄いね君たち。」

 

「特にツナ君。」

 

青い天馬(ブルーペガサス)が妖精の尻尾《フェアリーテイル》に称賛を送る。

 

「来年は絶対に負けねぇからな!」

 

「キレんなよ。」

 

「トビーの言う通りだ。来年こそ負けん。」

 

トビー、ユウカ、リオンも妖精の尻尾(フェアリーテイル)が優勝したことを祝福する。

 

「次は負けねぇからな。今よりも強くなって本気のお前に勝ってやるからな。」

 

「ウム。今回は戦えなかったが、ワシも腕を磨いてそなたと戦ってみたいものだ。」

 

バッカスはツナとの再戦、ジュラはツナと戦いたいようであった。

 

「優勝おめでとうツナ!凄かったよ。」

 

「ありがとうシェリア。」

 

「あ!怪我したところ私が治してあげるから座って!」

 

「俺はいいよ。俺よりも他のみんなを…」

 

「アホかお前は。腹に土手っ腹空けてる奴が優先に決まってんだろうが。」

 

グレイがツナの頭を軽く叩く。ツナはグレイの言われた通り、シェリアの回復魔法で傷を治してもらうことを決める。ツナはボンゴレギアに炎を灯し応急措置の為に使った氷を溶かすと、ツナはその場に座ってシェリアの方に背中を向け、背中の方から治していく。

 

「痛みが引いていく…やっぱシェリアの魔法は凄いよ。」

 

「えへへ…ありがとう。」

 

ツナに褒められてデレッっとしてしまうシェリア。とりあえず背中の方の傷は治り、今度は前に空いた傷を治すことになる。

 

「じゃあツナ、楽にしていいよ。」

 

「ええ!?い、いいよ!」

 

シェリアはその場で正座し、両手を開いて膝枕してあげるということをアピールする。これにはツナは戸惑いを隠せずにいた。このシェリアの行動に、ほとんど者がまさかと思ってしまっていた。

 

「遠慮しなくていいよ。」

 

「い、いや流石に…」

 

「世話の焼ける奴だ。」

 

「え!?ちょ…!?」

 

ツナが迷っていると、両肩を誰かに捕まれそのまま引っ張られてしまう。引っ張られるとツナの後頭部には太股の柔らかい感触が伝わり、両頬にスベスベとした手の感触が伝わる。

 

「これでいいだろ。」

 

「カ、カグラ!?」

 

なんとここでカグラがツナを膝枕する。このカグラの行動に誰もが唖然としてしまった。シェリアは嫉妬したのか顔を可愛く膨らませていた。

 

「少しぐらい甘えたっていいんだぞ…!!///」

 

「きゅ、急にどうしたの!?」

 

「その傷は私を庇ったのが原因だからな…!!///これぐらいのことはして当然だ…!!///か、勘違いするなよ!!///私が責任を感じてやっているだけで、お前の為じゃないんだからな…!!///」

 

カグラは顔を赤くし、そっぽを向いてしまう。この反応にエルザ以外、衝撃を受けてしまっていた。シェリアはずっと嫉妬しており顔を可愛く膨らませていた。

 

「わぁっ!カグラちゃんってば大胆!」

 

「か、からかうなミリアーナ!!///」

 

「カグラ舐めちゃいけないねー。」

 

「あのカグラがねぇ。」

 

「とうとう春が。」

 

「お前たちも止めろ!!///その顔を!!///」

 

人魚の踵(マーメイドヒール)のメンバーがニヤニヤしながらカグラのことを見守っていた。カグラは顔を真っ赤にしながら反論するも、メンバー全員はニヤニヤしながらカグラのことを温かい目で見守るだけだった。

 

「なんか修羅場になってますね、はいー…」

 

「だな…そういやお嬢…え…?」

 

「え…!?」

 

スティングが横にいるミネルバの方を向いた。しかしそこにいたのはミネルバではなく、ツナに膝枕をしていたはずのカグラであった。

 

「じゃ、じゃあ妾も…!!///」

 

「ミ、ミネルバ!?」

 

今度はミネルバが自分の魔法で自分とカグラを入れ替えカグラの代わりに膝枕をしていた。ツナが美女3人を落としたという事実に、シェリア、カグラ、ミネルバ以外は頭を抱えていた。

 

「き、貴様!何のつもりだ!?」

 

「なっ!?」

 

「いでっ!」

 

カグラは大急ぎでミネルバを引き剥がした。カグラが引き剥がしたせいで頭を支えるものがなくなり、ツナは地面に頭を強打してしまった。

 

「この傷は元はといえば妾の不意討ちのせいでついたものだからな!!///だから変わってやろうと思ってだな!!///」

 

「な、何を言う!!///あれは私がお前の不意討ちを避けられなかったのが原因だ!!///」

 

ただ想い人(ツナ)を膝枕したいだけなのに、何かと理由をつけてツナを膝枕する権利を巡って勝手に争っているカグラとミネルバ。

 

「なぁ…俺たちが知らない間になんか色々と増えてるんだが…気のせいか…?」

 

「気のせいじゃねぇな…」

 

「一体、何をどうしたらあんなになるんだよ…」

 

「ミラとウェンディが知ったら大変だな…」

 

またツナを好きになる女性が増えたことに、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーは頭を抱えてしまっていた。

 

「う、嘘だろ…お嬢を落とす人間がこの世にいるなんて…」

 

「世の中って広いんですねー…はいー…」

 

ミネルバを落とす存在(人間)がこの世にいたことに唖然としてしまうスティングとレクター。無理もないだろう。先程まで剣咬の虎(セイバートゥース)を勝利へ導く為なら人質を取ることぐらい、当たり前のようにしていたのだから。

 

「こ、こうなったらどちらに膝枕されたいか本人に決めてもらうべきだ!!///」

 

「の、望むところだ!!///」

 

ミネルバの提案に同意するカグラ。二人はどちらに膝枕されたいかツナに聞こうとツナの方を振り向いた。

 

「大丈夫ツナ?」

 

「い、いや…!!大丈夫だけど…大丈夫じゃないかというか…!!」

 

「「何ぃいいい!?」」

 

ツナはシェリアに膝枕にされ、治療してもらっていた。シェリアに膝枕されたことが恥ずかしいのか、顔を赤くしてしまっていた。予想外の展開にカグラとミネルバは驚きの声を上げていた。

 

「シェリアは気が利いて、助かるよ。」

 

「本当に!?嬉しい!」

 

ツナがそう言うとシェリアは再びデレッっとしてしまった。だがすぐにカグラとミネルバの方を向いて勝ち誇った笑みを浮かべた。

 

((お、おのれぇえええ!))

 

声には出さなかったもののシェリアに対して嫉妬する二人。まぁ一目瞭然ではあるのだが。

 

「ねぇツナ。大魔闘演武も終わったしこの後、デートしない?」

 

「デデデデデデデデート!?///」

 

「「なっ!?///」」

 

シェリアのデートの誘いに動揺しまくるツナ。まさかシェリアがここまで積極的だとは思わなかったのか、カグラとミネルバも動揺を隠せずにいた。

 

「な、何を言っている!?///いきなりデートなどと!!///」

 

「そ、そうだ!!///デートというのは好きな人同士がするものであってだな!!///」

 

「まだ誘っただけだよ。ツナがデートするなんて一言も言ってないよ。それに何でそんなに慌ててるのかなー?別にツナが誰とデートしたって二人には関係ないはずなのになー?何か事情でもあるのかなー?」

 

「「そ、それは…!?///」」

 

ニヤニヤしながら言うシェリアの言葉に、顔を赤くしたまま何も反論できないカグラとミネルバ。ギルドの頂点の為の戦いは終わったものの、恋という名の戦いはまだまだ続くのであった。

 

 




これで大魔闘演武篇は終了です。次回から竜王祭篇に入ります。


高評価をくださったゴマ フェットさん、ジャリカスミノムシさん。ありがとうございます。


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活動報告→https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=215199&uid=88671

Twitter→https://twitter.com/husuikaduti

ツナとヒロインのデート回。誰が楽しみ?

  • シェリア
  • ミネルバ
  • フレア
  • メルディ
  • ヒスイ

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