全部さん(中身別人)、ハイスクールD×Dにて公務員してます 作:夢落ち ポカ
気分が乗れば漫画とアニメベースから参考に書いてみるかも。
駒王学園ではリアス・グレモリーとその眷属たちが
「——―なんだ、随分とおかしな状況じゃねえか」
気だるげな声で、ひたすら面倒といわんばかりの若い男の声に一触即発の状態でいたリアスが侵入者を睨み付ける。
「結界に人間!?
結界の外にいたソーナたちはどうしたの!?」
「アンタいったい!?」
「ほう、また闖入者が現れたではないか?
そしてグレモリーの姫は見る目がないな、アレを人間とは・・・強いな、この上なく」
コカビエルの興味がリアスたちではなく侵入者である男を上空から眺めた。
若い、20代くらいのスーツに赤いコートを着た浅黄色の髪をした青年は上空にいるコカビエルを眺める。
端正な顔をしているが隠しようがないほどに言動、目つき、表情に現れていているが、コカビエルの目には人の形をした化け物にしか見えていなかった。
「そういうアンタは弱いな、この上なく。
俺をアツくさせてくれるほどじゃあないな、やる気が駄々下がりだ。
あとついでにそこの悪魔ども、俺は日本政府直轄の退魔機関から派遣されたもんだ、今回の件、追求させてもらうから覚悟しておけよ?」
「なんですって!?
ここはグレモリーが治める領地よ!!
追及される謂れなんてないわ!!」
エクスカリバーが原因で起こる地上崩壊の術式が発動するまでに一刻も早くコカビエルを倒さなくてはならないのに、余計な茶々が入ってリアスの瞳に青年への敵意が宿った。
「突っ込みどころ満載だな、日本政府の許可なく侵略行為を行っている
追及される謂れはあるだろうが、日本政府はもちろん
言い終える直前、コカビエルが光の槍を放って青年に向かって雨あられのごとく降り注いだ。
最上級悪魔でもあれだけの光を受ければタダでは済まないだろう、数だけはリアスたちが上だが、依然として戦力としては分が悪すぎてリアスたちの表情に緊張が走った。
煙が視界を遮ってよく見えないがあれだけの力を受けてしまっては、障壁も張っていないように見えた人間の青年の命は既になく、今度こそコカビエルという脅威と戦わんと気を引き締めた。
「―――
しかし、青年は生きていた。
煙が次第に霧散していく内に、コガビエルも青年が全くの
悪魔にとって弱点である光の槍だが、たとえ弱点でないとしても無傷で済まないだけの威力を込めた筈だったのに生きている。
天使や堕天使の操る光の力を阻む神器の持ち主なのかと思案するコカビエルだが、堕天使となって何千年と生きてきた中で、そのような力を持つ神器など聞いたことがなかった彼は目の前の
光の槍を再装填、先程より更に力を込めていく。
「ほう・・・それなりの威力と数で押し潰したはずだが、無傷だと?
退魔機関か・・・陰陽寮とやらか?
空蝉機関とやらも聞いたことがあったが・・・直轄の退魔機関ではなかったはず。
貴様、名を名乗れ。
それだけの強さ、まさか無名ではなかろう?」
「―――
そうだな、仲間内だと《劫炎》だの《マクバーン》とか呼ばれているな、見ての通り日本人じゃねえから好きに呼ぶといい。
よく知れている通り名といえば《火焔魔人》なんて呼ばれているぜ?」
「か、火焔魔人ですって!?」
「知っているんですか、部長!?」
リアスがマクバーンの通り名を聞いて悲鳴にも似た声を上げた。
その様子が尋常でないと気付いたのか赤龍帝の籠手の持ち主、兵藤一誠は尋ねた。
一誠以外の眷属たち―――木場祐斗に姫島朱乃と塔城小猫―――もその通り名を知っていたのか、表情を真っ青にしていた。
「欧米で恐れられている正体不明の怪物キラーよ。
最近までアメリカで活動していたらしいけど、彼が関わったことでアメリカにいた三大勢力は残らず殲滅されているわ。
悪魔側も上級悪魔や七十二柱の跡取りが何人も滅ぼされて一時期冥界はその手の話題で大混乱だったわね。
それが日本の退魔機関の人間だったなんて・・・」
「へぇ、よく知ってるな?
同盟国からの要請でな、政治にも関わってくる化け物の所為で国があれるから助けてくれってもんだから念入りに5年かけて灼き尽くしてきた。
まったく、人の世に化け物がさも当然のように関わってきてんじゃねえよ。
せっかく日本に帰ってきたら駒王市へ行って来いって言われて時差でつれぇってのに・・・なぁっ!!」
マクバーンは掌から炎を出すと、それをコカビエル目掛けて投げつけた。
何の詠唱もない、神器の力なのかと警戒して避けたが、避けた先を予測されたのか目の前には更に巨大な炎が迫ってきていた。
「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!??」
障壁を張り、炎を防ごうとしたコカビエルだったが、予想以上の熱量に数秒と持たず融け出した障壁を見て焦りながら追加の障壁を張り出した。
障壁は融解して更に障壁を張るが衰えることのない炎にコカビエルはマクバーンを睨む。
「なんだ、この炎は!?
まさか、神滅具の『燭台』か!?
だが、あれは魔女が持っていたはず!!
ならばこれはいったい何だ!?」
「答える分けねえだろうが。
そら、おかわりだ、たーんと味わいなっ!!」
「おのれええええっ!?」
両手から先程よりも小さいが熱量の籠った炎をコカビエルに放つ。
それがとどめだった。
障壁は触れた先から蒸発するとコガビエルの体を灼き尽くしていく。
炎が次第に収束していき、大きな人型の炭が校庭に落ちてくるとリアスたちはあれだけ自分たちが戦ってかすり傷程度の傷しか負わせることもできなかったのに、目の前の男は簡単にやって見せた。
魔法なのか、神器の力なのかは不明だが戦いはあっけなく終わり、街を崩壊させる魔法陣も光を失い消えていった。
「こん・・・・・・な・・・ばか・・・な」
「お、加減しただけあって生きてたか、流石は聖書にも記されていた天体の堕天使ってか?
死んでいたら情報を吐かせられないから助かったぜ、んじゃもちっと灼いて連行するとするかね」
あの炎を受けて生きていたコカビエルは己の目的であった三大勢力との戦争を待たず終わってしまうことに信じられないでいた。
戦争、己の命を懸けて堕天使という種族こそが至高であると証明する為の前座だった筈の戦いが、最後の最後で理不尽な存在に台無しにされたという屈辱で溢れていた。
「ま、待ちなさい!!
ここは私の管理している領地よ、勝手な真似は・・・!?」
リアスはコカビエルを連行しようと懐から出した鎖でぐるぐる巻きにしているマクバーンに詰め寄ろうとするが、リアスを中心に突如として炎が囲まれて立ち止まってしまった。
「だぁから、お前が言っているのは戯言だ。
日本政府からの認可を受けてもいない化物の戯言に説得力なんぞねえよ・・・ん、よし終わった」
抵抗する力も残っていないコカビエルは鎖で簀巻きにされると、マクバーンは指を鳴らす。
すると、彼を中心に赤い魔法陣が現れた。
炎が揺らめいているあたり、防御機能も備えた高度な魔法陣なのだろうが、用途が分からず警戒するリアスたちに、上空から声が上がった。
「―――すまないが、コカビエルを連れていくのはよしてくれないか?」
「知らん、俺は帰る」
純白の鎧を纏った声が聞こえてくるが、マクバーンは一瞥もせずに知ったことではないと吐き捨て消えてしまった。
どうやら転移陣だったようで、マクバーンはコカビエルと共に消えてしまった。
「―――行ってしまったか。
それにしても、あのコカビエルを一蹴してしまうとはね。
仕方ない、フリードだけでも・・・む、フリードもいないとは、アザゼルにどやされるなこれは」
一誠たちはその言葉に慌ててフリードが倒れていた辺りを見回すが、少量の血痕が残っているだけでいなくなっていた。
祐斗は確かにフリードを切り捨てた時、確かな手応えを感じ取っていた。
致命傷を負わせた筈なのに逃亡を果たしたということは、回復系のアイテムを隠し持っていたのか。
破壊した筈のエクスカリバーも刀身だけを残して消えてしまった彼を見つける術はなかった。
その後、一誠に宿る神滅具『赤龍帝の籠手』の中に宿った赤き龍、ドライグと神滅具『白龍皇の光翼』アルビオンとの対話もそこそこにして終わり、聖剣に纏わる一連の出来事はひとまずの終息を終えたのだった。
読んでいただき、ありがとうございました。