全部さん(中身別人)、ハイスクールD×Dにて公務員してます 作:夢落ち ポカ
プライベートでいろいろと忙しくもあり、仕事でも一難去ってまた一難という事態が起きてもやもやしている現状、何度も書いては書き直すという繰り返してようやく出来上がりました。
ちなみに、前回のアンケートの結果発表ですが、皆さん『全部だ』に入れ過ぎです、思わずお茶吹き出しました。
結果
いらない
146 / 38%
いる
44 / 11%
いる(ハーレムよこせ)
40 / 10%
―――全部だ
154 / 40%
作者の独断と偏見で、作品のどこかで反映させていただきます。
今作品は平成最後の投稿となります。
ではでは、どうぞ。
オーフィスを協力者に迎えたとマクバーンが討魔に報告すると、討魔は『あっそう』と気のない返事を返していた。
彼にとって、無限だろうと零であろうと等しくバケモノの括りにしている以上、折り合いのつけている者であれば朗報であろう報告も無価値でしかなかった。
雑草を刈る鎌に一等上等な大鎌が手に入った、認識としてはその程度だろう。
あと2時間もすればアマテラスが三大勢力に通達した1両日という短い時間が終わりを迎える。
既に世界中の神々はその動向を見守っており、その結果を待っていた。
国内の把握状況は正に完璧といってもいい、日本神話―――文字通りの八百万の神々が地上の影響を最低限にして監視しているのだ。
慌ただしく冥界へと帰還する悪魔たちが確かに転位ゲートを通り抜けたという報告書が次々と上がってくる。
戦争の瀬戸際という状況ではあるが、通常業務は続いているため討魔とマクバーンはその対処をしながら待っていた。
「―――さて、堕天使は元々地上へ来ることも少なかったもんだから約定は守れそうか?」
「いやいや、分からないよ?
欧州じゃ日本以上に好き勝手しているからね三大勢力は、立つ鳥跡を濁さずとは言うけど、連中にそんな大層な考えが浮かぶ訳ないだろうから、今頃夜逃げの慌ただしさだろうさ」
「そういえば、若手悪魔の格付けとやらをしている番外悪魔・・・確か、メフィスト・フェレス?
灰色の魔術師とかいうところで理事をしているそうだが、あれも地上にいたら契約違反と捉えればいいんだよな?」
「例外はないよ、地上に三大勢力の影が染み一つあればそれを三貴神はもう絶対に許すことはないだろうね。
確かに規模はすごいよあのバケモノどもは?
信仰、契約を供給源に人間がいる限り無尽蔵、それを丁寧にぶち殺すのは手間がかかるだろうね。
けど、こちらも今回ばかりは本気で兵を用意している。
冥界が屍山血河で・・・いや、焼却されるんだったね」
マクバーンを見て愉しそうに嗤う討魔に当の火焔魔人は肩を竦めながら決済の書類を放り投げた。
「・・・そういえば禍の団に他神話の若手が一部の派閥に集まっていて、そいつらの助命嘆願書が届いているんだが、どうする?
須弥山からは帝釈天と前任の斉天大聖の連名からだな。
あと、イギリスのペンドラゴン家から出奔した兄妹がいるそうだ」
「うっかり殺っちゃった・・・とはもう言えないね、何せまだ禍の団の掃討はしていないからなぁ」
「まぁ、普通にテロリストに助命しろって我が儘言ってきているのは相手方だから突っぱねても恨み言吐かれる程度だろうよ。
あぁ、そいつらだけを連れ出せっていうのは
忍び込ませている妖怪の女が潜入していてな、猫又・・・いや猫魈だったか?
そいつに命じて連れてこさせて簀巻きにしてイギリスと中国に着払いで送り付ければハイ終わり。
恩も売れるしこちらとしてはそっちをお勧めしたいところだな。
そういえば、その潜入している部下から妹が悪魔の眷属にされているから助命してほしいって嘆願書があったな・・・ほれ、これだ」
黒歌という猫魈からグレモリー眷属塔城小猫―――白音を連れ戻させてほしいとの嘆願書を受け取った討魔はハンコを無造作に押すとマクバーンへと投げ渡す。
この間0.5秒、この上司書類も見ずにハンコを押した瞬間である。
「じゃあマクバーン、その化け猫に許可は出すから好きにしろって伝えておいて」
「今書類見たか?」
「見た見た忘れたけど、ほらハンコ押したでしょ?」
討魔の適当さに呆れながらも、マクバーンは携帯を取り出して黒歌に連絡を取るのだった。
***
夜中の駒王学園にて、塔城小猫こと白音は冥界への帰還の準備に追われていた。
戦車の駒の力もあってか、小柄な白音でも大荷物を所定の位置に置いていくのは苦でもなく、淡々とソファーからベッドなどを運んでいた。
「・・・どうして、こんな事になったんでしょうか」
荷物も運びながらも思考を避けるほど余裕な白音はふと最近の出来事を振り返っていた。
スケベな先輩が眷属入りしてからもやる事は変わらず、主人であるリアスと引いてはグレモリー家に恩返しをしていこうと考えていた。
フェニックス家の三男とのレーティングゲームも結果的にはスケベな先輩が何とかしてくれた。
だが、コカビエルとの戦いからおかしくなった。
マクバーン―――日本の退魔機関のエージェント、あの恐ろしい火焔魔人が現れてから歯車がおかしくなってしまった。
自分たちが倒せずにいたコカビエルを圧倒したあの暴虐の焔。
魔法でも仙術でもない理解の及ばない異能の焔。
滅びの属性を持つリアスでも、あの焔に対抗するのはいくら赤龍帝の譲渡で増強しようと勝てるヴィジョンが浮かばなかった。
そして現在の三大勢力の情勢は非常に難しい状況になっている。
天使、堕天使と協定を結び協力関係を築くことには成功したが、日本神話は圧力をかけてきた。
この地上からいなくなれ、二度と現れるな、何か仕出かしたら皆殺しにする。
一方的だし納得のいかない圧力だ、おそらく大多数は納得する者などいないはず。
「―――そこにいたのね、白音」
突然だった。
自らを労わるような声音で声を掛けられ、その声の主に聞き覚えの合った白音は手に持った荷物を離し距離をとる。
「く、黒歌姉さま!?」
艶やかな黒髪を腰まで伸ばし、黒調の着物を着た女性が白音の目の前に佇んでいた。
「ね、姉さま、いったい今までどこに!?
SS級悪魔として指名手配されている姉さまがこんなところにいたら・・・!!」
「白音と別れてからは色々あって日本神話の方々にお世話になっていたの。
任務ばっかりでもうすぐ一段落つけそうだしってことで白音と会おうと思ってね」
戦う姿勢を見せない黒歌に、白音は聞いていた話と乖離していることに違和感を覚えた。
姉の黒歌は元はある悪魔に仕えていた眷属悪魔で、仙術の力に呑まれて主を殺害して逃亡した非常に危険な存在だと聞いていたのに、目の前の姉からはその気配は全く見受けられない。
それ以前に、危険な仙術の気が溢れ出ているかと思いきや黒歌からは清冽な仙気を感じ取った。
「・・・・・・姉さま、今時間は取れそうですか?」
「長くは取れないけど、何とかするわ。
マクバーンの名が出た時点で白音の警戒心は拭えないままであるが、戦闘の意思のない黒歌を見て距離をとって場所を移すことにした。
リアスにはあまりいい顔をされなかったが、時間は取らないと言って逃げるように飛び出した白音は黒歌と合流したのだった。
それからは白音にとって信じがたい事実の連続だった。
黒歌の仕出かした事件は殺害された悪魔が白音に手を出そうとする蛮行を止める為に黒歌が体を張って白音を守った結果起きてしまったこと。
そして、都合の悪い事実をもみ消し真相を知る黒歌を口封じして物珍しい猫魈を眷属として手に入れようと保護という恩を売って白音を手中に収めようとした悪魔の策謀であったこと。
更に言えば、リアスの眷属の誰もが恩という名の鎖で縛りつけて忠誠を誓わせるという実態を知れば悪質としか言いようのない手段を弄していたということ。
信じられないが、全てが嘘だと断定する証拠はない。
だが、悪魔という種の卑劣さ、悪辣さを少なからず見てきた白音は黒歌の言葉を信じてしまうだけの信憑性を感じさせられた。
そして何より、あの事件以前の姉は自分に優しかった。
弱かった自分を守ってくれて何かと気に掛けてくれていた。
自分の主であるリアスはその事実を知っているのかと思い浮かべ、良い意味でも彼女にその手の腹芸は出来ないと首を振る。
今なら分かる、感情的なリアスが白音の件に関わっていたら必ず言動の端々に現れて気付くのは間違いないだろう。
そうなるとグレモリー家、ひいては魔王サーゼクスが関わっていることで当時の状況を思い出していくうちに更に信憑性が補強されていくことに気付き目の前が真っ暗になってしまった白音は、この先どうリアスと接すればいいのか分からなくなってしまった。
「・・・白音、私と一緒に日本神話に来ない?」
「姉さま?」
「貴女だけなら、連れてきてもいいって機関長が許可を出してくれたの。
他の眷属とか・・・仲が良かった仲間だったかもしれないけど、連れていく事は出来ないわ」
黒歌の目的はあと数時間もしない内に起こるだろう戦争の前に白音を悪魔側から引き離し、マクバーンに悪魔の駒を燃やして貰うことだ。
原作のマクバーンの力なのか、望んだ物だけを燃やすことも可能とした焔は見事に悪魔の駒のみを燃やし尽くすことを幾度となく実証していた。
黒歌自身には未だ悪魔の駒は残っているが、この戦争が終わり次第マクバーンに燃やして猫魈に戻ることになっている。
潜入時悪魔の力が使えない事態に不審に思われない為に力を残しているのであって、黒歌の戦い方は仙術だ。
―――白音は一誠たちのことを思い出す。
仲が悪かった訳ではなかった、リアスの為に尽くしてレイナーレ、ライザー、コカビエルとも戦った。
合宿もしたりと絆も深まった、筈だった。
それが誰かの掌の上で出来上がった絆である事を知らなければ、おそらく自分は姉の手を振り払っていた。
突然現れて突拍子もない事を言って自分を連れ出そうとするのだ、抵抗もするだろう。
この絆にウソはなかった筈だった、誰かの思惑が多分に含まれ、お膳立てされたものでなければ。
だが、それ以上に許せないのは自分の知らないところで好き勝手に扱われて知らない内に誰かの思惑に乗せられ踊っていた自分にだ。
黒歌の言葉を全面的に信じた瞬間、白音はそれまで培ってきた恩や絆といったものが憤怒の焔への薪材になり燃え盛っているのを感じた。
薄情な奴だと思われるだろう、何も知らない彼らは自分が誘拐されたと憤ってくれるだろう。
嬉しいと感じている自分がいるが、もうすぐその感情が怒りへと変換されているのを感じた白音は黒歌の手を取った。
「・・・ありがとう、今度こそ、貴女を守るわ。
私の大切な妹」
「姉さま、私は悪魔に復讐することは可能なんですか?」
「・・・・・・難しいかな、冥界への突入組は既に決まっているって伺っているし、私程度の実力じゃ白音を守りながら悪魔たちを滅ぼす事は出来ないかな」
「・・・じゃあ、いいです。
悪魔は滅んだ、それが分かれば人生・・・猫生をやり直していきます」
白音は黒歌の手を取って駒王学園を去っていった。
その頃のリアスは冥界への帰還を納得がいかず、何度もサーゼクスと話をしていたが、白音―――小猫が帰ってこないことに不審に思い使い魔や一誠たちに探すよう命じるも見つからず、日本神話が指示した刻限が近付いていることもあり、転位ゲートで出迎えに来ていたグレイフィアと冥界へと戻っていったのだった。
***
高天原の神殿最奥にて、三貴神はマクバーンとオーフィスを呼び出していた。
神殿では智慧の神が総出で戦術の共有する為の儀式を執り行っており、リアルタイムで作戦状況を把握することを可能としていた。
討魔も本来であればこの場にいなければならないが、その特性上高天原に穢れの塊でもある討魔をこの場に連れてくる訳にはいかない為、神鏡から声を届ける仕様となっている。
オーフィスはただマクバーンについてきただけでだが、この戦争の最大の協力者でもあるオーフィスをこの場にいる事に不都合はない。
気の弱い神は視線を向けられただけで走り出しているが、当の無限の竜神は気にした様子もなく、暇そうにゴロゴロと転がっている。
『―――悪魔は地上に残っているようですね。
イギリスから報告がありました、自分は無関係と言わんばかりに魔法使いたちの組織、ぐらうなんとやらの理事に就いている番外悪魔、メフィストフェレスが地上にいることが確認されたようです』
「決まりだな、戦争だ」
『では、正式に宣戦布告をされるという事で、よろしいでしょうか?』
マクバーンがやはりといった様子でつぶやき、討魔が鏡越しからアマテラスへ最終確認を取る。
「そうじゃな、この日より三大勢力を根絶させる戦争を起こそうぞ。
さしあたっては、表への影響力じゃ。
地上での掃討作戦において、戦闘は基本的に結界内で行うが結界を突破してしまう悪魔どもが表への被害が懸念されておるが、討魔や・・・仔細は任せる、良きに計らうのじゃ」
『承りました、全身全霊を以て事に当たらせていただきます』
アマテラスの傍にいたツクヨミとスサノオは戦装束へと身を包んでおり、号令を今か今かと待っている。
既に軍全は編成を終えており、120からなる軍団が高天原、裏京都、奥州遠野他数十からなる拠点に天津神、国津神、妖怪、悪霊、英霊等々が装備を整えアマテラスの号令を待っている。
「してマクバーンよ、冥界は主が
「ああ、久々に全力を出すからな。
オーフィスには冥界を結界で閉ざして冥界を灼き尽くす・・・うっかり味方を巻き込むよかマシな作戦だろ?」
「討魔めが突撃したそうにしておったが、連れ立っては行かぬのか?」
「討魔は天界を攻める方へ回ってもらえばいいだろう?
こいつの喰った異形は大半が穢れ持ちばかりだ、普段は封印処理で穢れを抑え込んで影響を最小限にしているが、開放すれば存在するだけで空間を侵食する猛毒になるだろうさ」
マクバーンは口にはしなかったが、悪魔よりもそれ以上に天使も同様に滅ぼすべき種だと憎悪を煮え滾らせている討魔としては効率よく
ただ天使が自分の相性的に一方的に、確実に滅ぼせる事が出来たから選ばれたに過ぎない。
逆に悪魔に対して有効的であれば天界をマクバーンが灼き、冥界を討魔が滅ぼしていただろう。
「―――決まりじゃな、各々これを終わりとするでなく、後の世のため生きて帰ることを第一に考えよ。
なに、心配はいらぬ。
こちらには最強の軍勢と最強の
故に―――兵を発起す!」
アマテラスが朗々と宣言する。
これより、出陣の儀式が始まるのだ。
「兵を発起す!
天兵および地兵を発起す、陰兵および陽兵を発起す!
水兵および火兵を発起す、海陸空の諸兵を発起す!
四方四営の兵を発起す!!」
神々が、妖怪が、人間が、そして
儀式が終わる時、戦が始まる。
大戦争である、表の世界の大戦など比ではない、正真正銘の地獄を現出させる大戦争だ。
「千千の将兵、
万万の将兵、
千将万兵、来りて列陣せよ、火急に律令の如くせよ!!」
各拠点の上空に天船が何千と現れる、煌びやかな天船に兵たちが乗り込んでゆき、準備は完了した。
神魔混合の軍勢は最後の一声で三大勢力と干戈を交える事となる。
「―――
全作戦師団、進軍・封鎖・殲滅を開始せよ!!」
号令が下される。
終末の宣言に応じて、天船が進軍を開始した。
読んでいただき、ありがとうございます。
黒歌の語尾は矯正されました、にゃとか使うのはスパイ先だけです。
帰ってきて言ったものならあざとさにイラっとした機関長が黒猫をバリバリしちゃいます。
アンチ・ヘイト面白い!!
けどオリジナル要素と原作キャラの噛み合わせがなんか微妙かも!!
ご指摘はお受けします、むしろ原作を良く知っている方の指摘大歓迎なのでよろしくお願いします。