パーパルディア皇国南方探検隊の記録   作:シコウ

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ロウリア王国

 ◆中央暦1638年11月 ロウリア王国 王都ジン・ハーク

 

 蒸気式魔導船『デュロ』は魔導機関に特に異状をきたすこともなく、無事にジン・ハーク北の港に到着した。

 港の埠頭や桟橋には、手漕ぎのガレー船やパーパルディア皇国から輸入した旧式帆船を改造した軍船がところ狭しと並べられ、この6年での急激な軍備増強を物語っている。

 

 「艦長すごい光景ですね。これだけの軍船があればロデニウス大陸の統一どころか、我が国でも危険かもしれませんな。」

 

 「何を言っている?あれらの船には魔導砲は搭載されていないぞ。せいぜい射程200m程度の大型弩弓(バリスタ)があるのみだ。それに、竜母も持っていない。そんな原始的な国が第三文明圏まで攻め入るなど夢のまた夢だ。」

 

 「そうですか。しかし数だけは本当にすごいですな。」

 

 「それはそうだろう、これらは我が国が支援したものだからな。」

 

 艦長が空を見上げる。その視線の先にはロデニウス大陸在来の種よりも大きなワイバーンが空を舞っていた。

 

 ◆ジン・ハーク北の港第9埠頭

 

  埠頭では久しぶりの陸地を踏みしめる水兵の姿があった。

 

 「やっぱり陸はいい、揺れない床、うまい食事、それに女だろ~」

 

 「そればっかりだなお前は」

 

 「これが楽しみなんだよ~。おいあれ見ろよ。」

 

 兵士の一人の視線の先には、複数の馬車に分乗する、黒いローブを着た怪しげな集団がいた。

 

 「あれってもしかして俺たちが乗せてきた()()()じゃないか?」

 

 「んん?そうだな、あいつらいったいどこ行くんだ?」

 

 水兵は、客だといって『デュロ』に乗り込んできた胡散臭い集団を思い出した。

 

 「いったい何者なんだろうな?」

 

 ◆ジン・ハーク北の港 馬車内

 

 走り出した車内では黒ローブの男に細身の男が話しかけていた。

 

 「このような辺境まで遠路はるばるありがとうございます使者殿。このまま連絡局まで直行いたします。」

 

  ロウリア王国には、皇国第3外務局の大使館などはなく、皇国国家戦略局の連絡局があり、軍事指導などのために顧問として多くの国家戦略局の職員が派遣されている。

 

 ◆国家戦略局在ロウリア連絡局

 

 周辺の建物より頭一つ高い、皇国式の豪奢な建物がパーパルディア皇国国家戦略局の建物だ。列強の権威を示すかのような建物は、ロデニウス大陸における外交の窓口として機能している。

 先程の黒ローブの集団が建物に入る。他の黒ローブと別れて『局長室』とプレートに書かれた部屋に案内される人物がいた。

 

 「局長お久しぶりです。クーズ王国以来ですな。この国は人口だけはとにかく多い、必ずや計画も成功するでしょう。」

 

 局長と呼ばれた男が応える。

 

 「まあ労働力だけは豊富だからな、作戦の開始は4月頃を予定している、50万もの陸上兵力と4400隻もの大艦隊だ。どのように策を弄しようと圧倒的な数の前には太刀打ちできまい。というわけだ今日はもう宿でゆっくり休むがいい。」

 

 「では失礼します。」

 

 黒ローブの男が部屋から出ていくと局長は面倒くさそうに、こう呟いた。

 

 「追加が来ると聞いてみたらアイツだとは…またとんでもないことしないだろうな…」 




春一番が吹いたと思ったらまた大雪…
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