サルースの杯   作:雪見だいふく☃️

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今回セリフが長くなってしまった……スネイプ教授がポエミーなせいってことで……許してください……。


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さて、待ちに待った魔法薬学の時間である。

 

我らがスリザリンの寮監であるスネイプ教授の授業だ。

 

私達の寮から1番近い教室でもあるのだが、同じ地下といっても暗くひんやりと冷たい様子は全く寮とは雰囲気が違った。

 

 

そして、どうやらこの授業はグリフィンドールと合同で行うらしい。

 

 

 

先輩方と行動することで全員がスムーズに教室へと移動する私達とは違い、彼らはバラバラのタイミングで疲れた様子で部屋へと入ってくる。

……先輩方に案内していただくという文化は彼らにはないらしい。

 

 

その半数が授業の始まるギリギリの時間に慌てて駆け込んできた。

 

 

 

そして遅れてやってきたにも関わらず、席につくなり周囲の友人と話しては笑いあい、どうにもこれから授業をうける雰囲気にない。

 

 

……要するに五月蝿いのだ。

 

 

 

パンジー達はあからさまに顔をしかめてグリフィンドール生を横目に見ているし、グリフィンドール生徒もスリザリンの雰囲気が不快なのかこちらへ向ける視線は友好的とは言えない。

 

 

これに関してはなにもグリフィンドール生に限ったことではない。

 

 

廊下ですれ違う際や授業が合同になった際にも同じように、他所の寮生からは決まって嫌なものを見る目で見られるし、あからさまに避けられたり距離をとられたりする。

 

 

まるでスリザリンは予告もなく人に対して呪いを放つとでも思っているのか。

 

……グリフィンドール生ならあり得そうだが。

 

 

 

スネイプ教授はスリザリン贔屓と、聞くが自分の寮生、後輩たちがそんな扱いを受けていたら仕方がないとも言える。

 

そもそもマクゴナガル教授やその他の寮監達も自分の生徒達へは依怙贔屓なのだからスネイプ教授だけが特出して挙げられるわけではないのだし。

 

 

 

さて、そんなわけだから教室の左奥へつめていたスリザリン生に対して、グリフィンドールは右奥から席が埋まっていき、最後に教室に入ってきたハリーとロンは私の隣の机(そこしか空いていない)へと座ることになった。

 

 

「ごきげんよう、ハリー。ロン」

 

「やぁ、サルースこんにちは」

 

「あー…うん、やぁ」

 

 

 

にこやかに返事を返すハリーと、周りの目を気にしたのか、こちらから話しかけて欲しくなさそうなロン。

 

なるほど、スリザリン生と話していると友達が出来ないとでも思っているのか……思っているのではなく事実そうなのかもしれない。

 

 

 

 

「ごめんなさい、ここでは話しかけない方が良かったわね…またあとでお話ししてくれるかしら?」

 

「え?……あー、うん。ごめんね、授業後に」

 

「うん……」

 

 

二人の返事を聞き終わると同時に、スネイプ教授が部屋へと入ってきた。

 

 

 

長めな黒い髪に踝まで覆う真っ黒なローブを翻して現れる姿は、成る程いかにも、だ

 

ぐるりと教室のなかに目を向け、(生徒が揃っていることを確認したらしい)教壇の前へと立ち止まる。

 

そして一人一人名前を呼び上げて出欠をとっていった。

……何故かハリーの番では何か引っ掛かるような言葉がついてきたが。

 

 

さて、と杖を仕舞うように指示を出したスネイプ教授が話始める。

 

 

「……このクラスでは杖を振り回すようなバカげたことはやらん。それが魔法なのかと思う者が多いかも知れない……が、沸々と揺れる大釜、立ち上る湯気、人の中をめぐる液体の繊細な力は人の心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力となる。…………君たちがこの技術を真に理解することは期待していない。私が教えるのは名声を瓶詰にし、栄光を醸造し、地獄の窯にさえ蓋をする方法である。もっとも……私がこれまでに教えてきたウスノロたちより君たちがマシだったらの話だが」

 

演説を終え教室の中が静寂に包まれる。

 

 

多くの人達は圧倒され内容は右から左へ抜け、また一部の生徒達はその熱弁に引いているらしい。

……わたしは後者だが表情には出さないように勤める。

 

 

 

「ポッターッ!!」

 

急にスネイプ教授が声を張り上げた。

 

隣のハリーがピクリと声に驚き肩を跳ねさせたのがわかった。

 

 

 

 

「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」

 

「わかりません……」

 

 

ハリーは何故突然当てられたのか、そもそもスネイプ教授が何を言い出したのか全く分からないといった声だ。

 

教室の中のほとんどの生徒が分かっていないだろう。

もちろん、私も何故ハリーが名指しされたのかさっぱりわからない。

 

 

そんな中にあって、グリフィンドールの一人の女生徒の手だけが天高くまっすぐと伸びていた。

 

 

 

「ポッター。もう1つ聞こう。ベゾアール石を見つけて来いと言われたら、何処を探すかね?」

 

「更に1つ聞こう。モンクスフードとウルフスベーンとの違いは何だ?」

 

 

 

「……わかりません、」

 

 

そしてスネイプ教授の質問は続いた。

当てられ起立したハリーは困惑からの畏縮から、若干の苛立ちへと感情が傾いているらしい。

 

わからないという言葉の後ろへ言葉を繋げかけたところでスネイプ教授が言葉を続けたことでそれを飲み込むことになった。

 

 

 

 

「まったく英雄にも呆れたものだ。授業前に教科書を開こうとは思わないのかね?……ミス・バーク!君なら勿論、答えられるだろう?」

 

 

まさかの、こちらへ飛び火してきた。

ハリーへと視線を向ければ助けてくれ、どうにかしてくれと言わんばかりにこちらを見ている。

 

 

「はい、先生。全て答えられます。……ですが、私が答えるよりも先にそちらのグリフィンドール生がずっと手を挙げておりますわ。私はそのあとで問題が残っていれば、では構いませんか?」

 

 

ハリーへと座るように手で促してから自分が立ち上がる。

そしてハリーの更に奥、スネイプ教授から当てられた瞬間にこちらを射殺さんばかりに見ている女の子へと視線を向ければ、私の言葉に驚いたのかきょとんとこちらを見ていた。

 

 

「フン、それなら先にそちらの……ミス・グレンジャー答えてみたまえ」

 

 

「はい!」

 

 

ひとまず、当てられた事で機嫌を持ち直したらしいグレンジャーさんがスラスラとその答えを告げていく。

 

上から順に『生ける屍の水薬』『山羊の胃』『どちらも同じ』が答えなわけだが、それに加えて更なる解説を加えたグレンジャーさんがしっかりと勉強に励んでいる事が窺えた。

 

因みにこれらは、1年の教科書の中でも後ろの方にあるだけだし、そもそも1年の教科書には載ってなかったものもあったはずだ。

 

 

彼女はとても、優秀な頭を持っている。

 

 

「フン、いいだろう。実に教科書通りの面白味の欠片もない答えだが正解だ。グリフィンドールに1点だ。さぁミス・バーク……これに付け足せるような答えはおありかな?」

 

 

そう、彼女の答えは教科書どおり。

研究者たるスネイプ教授や実際に何度も調合してきた私達からすると完璧で無駄が多い、とても実務的ではない。

とも言える答えとも言えた。

 

私が何を言うのかと、教室中の視線が向けられているのを感じる。

 

 

それならば私は、魔法薬を作り売るものとして彼らに伝えておきたいことを話す場としよう。

 

 

「そうですね……どれも蛇足になってしまうのですがこれからの調合の上で上記三点の魔法薬に注意をするのであれば……特に卒業の折りには調合出来るようになっているであろう『生ける屍の水薬』について補足しましょう。

 

……強力な睡眠薬である『生ける屍の水薬』は扱いを間違えると簡単に人を殺せてしまう劇薬です。

 

たとえば、規定より多くの時間火にかけ、混ぜる行程を怠るとそれはただの『眠るように死ねる薬』となります。口にいれ喉を通り身体へと摂取された瞬間から身体機能は停止することとなるでしょう。

 

眠っているとは聞こえの良い言葉でマグルで言うところの昏睡状態、生命維持具なしでは衰弱して死を迎えることになる、そんな薬です。

 

しかし適切な量や気付けの魔法薬と共に使えば癒者の施術を手助けする便利な薬となるでしょう。

 

このように私達が1年目に習う魔法薬ですら扱い方を間違えると大事故になりかねない、人の命を脅かしかねない代物です。

 

ですからスネイプ教授は予習をしなさい、しっかりと教科書を理解しなさいとおっしゃられているのだと、私は考えますわ。

 

それから、先生?『どちらも同じ』というトリカブトについてですが生息地や環境によって同じ品種と言われている物でも薬にした際の効果が違うという研究テーマにおいて、必ずしもこれらは『全て同じとは言えない』のではないかと考えておりますわ」

 

 

長々と話ながらスリザリンの生徒が集まる方へ視線を向ければ、ハリーがあてられグレンジャーさんが答える間もニヤニヤと小馬鹿にしたような態度でいた様子から、一転して真面目に耳を傾けてくれているらしい。

 

顕著なのはドラコやパンジーで、クラッブ他数名はとても難しいことが、わかった、程度に理解いただけたようだ。

 

グリフィンドール側は、スリザリン程ではないものの耳を傾けてくれている人達もいた。

 

 

 

「ふむ、ミス・バークは授業中の魔法薬の調合の課題は免除とし、周りの生徒のサポートにつきたまえ。……レポートに関しても最後の研究テーマに関して書いてくるように。スリザリンに10点だ」

 

 

 

やっぱり、依怙贔屓にも程があると思う。

 

 




ダフネ「要するにスネイプ先生のポエムをサルースが言語化したってことよね」

ドラコ「そうだな」
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