さて、それから夕食の時間に差し掛かったこともあり私と双子はそれぞれの寮へと別れた。
「あぁ!サルース!貴女どこへ行っていたのよ!!!」
「出掛ける度にパンジーが心配性になっていくわね」
「二人ともこんばんは。湖で本を読んだり、うちの商品の愛用者と話したりしていたわ。パンジーとダフネは宿題終わった?」
大広間へ食事をとりに向かうと、先に来ていた二人が手まねいてくれたので隣へ座る。
「もちろんよ!!!」
「パンジーの魔法史がさっぱり終わらなくてね……」
「ちょっとダフネ!それに関してはもういいじゃない!」
明日には提出しなくてはいけない物もあるし、終わったなら何よりだ。
「それで、探検はちゃんと待っててくれたのよね?」
「えぇ勿論よ。二人との約束だもの」
「そ、そう。なら…いいのよ!」
「……パンジーが嬉しさを隠しきれてなくて笑える…」
今日も賑やかな食事に自然と微笑みが溢れる。
1人で本を読むのも嫌いじゃないけど、誰かと過ごす時間も悪くない。
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翌週の授業も滞りなく進み、各授業では質疑応答や実践の結果で寮への加点を稼いだり先生方の呪文や薬草への意見を楽しく聞いたりと、有意義に過ぎた。
1つ違うことがあったとすれば初の箒の授業でグリフィンドールの子が箒から落ちたり、ドラコとハリーが一悶着あったりしたことくらいか。
グリフィンドールの子……確かグレンジャーさんのお付きの子?のロングボトムさんだったか。
あまり箒に乗るのは得意ではないようで、振り回されて落とされてと気の毒な様子だった。
おそらく手首くらいは折っていたんじゃなかろうか。
野蛮で危ないから近寄っちゃダメよ、とパンジーの意見によって私達三人はグリフィンドールから離れたところにいたので良くわからないけど。
それから、ドラコが「思い出し玉」を拾い、それがロングボトムさんの物だとかでハリーと揉み合いになって、何故か箒勝負になったんだったか……
とにかく先生のいらっしゃらない初心者ばかりの状況で何をしているんだかと呆れたことは覚えている。
それからマクゴナガル教授が現れたと思ったらハリーだけを連れていなくなり事態は終息。
無事に私もはじめての箒とのふれあいを終えたのだった。(我が家にも箒はあるが、乗ったことはなかった)
スリザリン……というよりはドラコからしたら無事に終わったとは言えないようでそれからしばらくご機嫌ななめだった。
理由はハリーが退学にならなかったから……とかなんとか言っていたがその場合ドラコも退学だと言うことを教えてあげたら蒼白になっていたのは今朝のことだ。
まぁ、そんな些細なことはどうだっていい。
今日は待ちに待った2回目の週末。
即ち、例の鏡の裏の通路へ探検に行く日なのである!
と、勢い勇んだ朝食後。
ダフネ達と5階の鏡の廊下へ来たところまでは良かったのだけれど……
「ちょっとーー!ミセスノリスに追いかけ回されるような事してないわよ?!」
「パンジー喚かないでいいから走って!サルースの体力がそろそろヤバイのよ!!!」
「ゼーーハーーーー……」
現在、酸欠でしにそうです。
そもそも何故私達が走っているのかすら理解していない私からすると突然はじまったマラソンに異議を唱えたいどころじゃない。
いざ鏡を開こうとしたら廊下の角から大きな猫が現れた。
どこかの生徒のペットだろうと興味を失った私とは対照にパンジーとダフネの顔色が変わり、突如逃げる事となったのだ。
……二人とも猫嫌いにしても程がないかしら???
アレルギー(マグルがつけた病気の名前)を持っているのかもしれないから逃げるのはしょうがないけれど私は全く平気なのに。
むしろこのマラソンの方が生命に関わる。
いや、ほんとに。
息できないし足が絡まって転げそう。
二人が手を引いて走るのについて行けな……ダメだ視界が白く……
「にゃー」
「「向こう行きなさいよーー!」」
「っ……も、無理……です」
__バタン
暗転。
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「ん……?ここは……」
「にゃあ」
薬品の臭いと寝苦しさで意識が浮上した。
と、思ったら先程まで私達を追いかけていた猫が横たわる私の腹の上で丸まりこちらを見ている、黄色い眼球と目があった。
どうやら医務室に運び込まれたらしい。
そしてこの猫は一体……?
「あら、バークさん目が覚めたのね?ほら、ミセスノリスおどきなさい」
「マダムポンフリー、ありがとうございます。お手間をかけさせてしまってごめんなさい…」
「いえいえ、酸欠で倒れるくらい、耳が百合になるのと鼻が向日葵になった双子に比べたらなんの手間でもないわね」
やれやれと首をふるマダムの声に周りを見れば、斜向かいのベッドからこちらへ手をふる見覚えのある赤毛の双子が目にはいった。
……何をどうしたらそんなことに???
念のためのお薬とやらを取りにマダムが席をはずしたところで二人はお互いを指差しては笑うパントマイムをはじめたらしい。
猫……ミセスノリスが退いたことで体を起こした私は傍らで再度丸くなった彼女を撫でつつマダムの薬を待つ。
「貴女ミセスノリスってお名前なのね?私はサルース・バーク、仲良くしてくださいね」
「にゃー」
しょうがないわね、とばかりに鳴き声を返された。
何処から来たのかはしらないけれど、マダムもご存知だったのだから有名な猫なのだろう。
双子は何故か嘔吐の真似と手を払う真似をずっとやっているのでそっと無視する。
魔法使いなのに猫嫌いな人が多すぎないかしら?
ミセスノリスがとっても大きな猫だから……とか?
「さ、これを飲んだらもう大広間へ行きなさい。昼食はしっかり取るのよ?……1年生にしても少し小柄すぎるわね…顔色も悪いし……やっぱり一晩入院していく?」
「いえ、小さいのは母もですからたぶん遺伝ですわ。お薬いただきます」
銀のゴブレットに入った魔法薬は派手な黄色をしていて甘ったるくて刺激のある匂いがした。
気付け薬というよりは血行を促して元気にするタイプの元気薬ね。
独特な喉への刺激と、舌に残る甘さにそう判断する。
「ご馳走さまでした。これにて失礼させていただきます。お世話になりました」
「はいはい、次は体力をつけてから走り回るのよー」
もうあんな風に走り回るのは懲り懲りですよ……
お先に、とウィーズリーツインズにも一礼してから医務室を出た。
誤字報告、ご感想いつもありがとうございます。