さて、何はともあれ試験である。
1年に1度の学期末試験がはじまった。
ここ最近の図書館の机と椅子はすべて上級生で埋まり、鬼気迫る様子の彼らに近づく一年生は恐らくいないだろう。
ピリピリしたあの空気では軽い気持ちで訪れた人には、呪いの一つや二つ飛んできそうな程だった。
談話室も同じように試験勉強の仕上げにかかる先輩がたと、最後の詰め込みとばかりに丸暗記に励む人、実技試験の練習を行う人とそれぞれ集まってお互いの手元を確認しあっている。
勿論、私達一年生もその例に漏れずクラッブとゴイルすらノートの前で首を捻っている状況だ。
二人だって(ほとんど写すだけだったとしても)この一年課題は提出してきている。
たぶんきっと、何とかなるでしょう……たぶん
ちなみに、ドラコの例の夜の罰則についてはやはり抗議の手紙が学校宛に届けられたらしい。
スネイプ教授とマクゴナガル教授がどのような対応をされたのかは不明だけれど、今後森での罰則が行われない事を祈るばかりだ。
スネイプ教授との放課後の魔法薬作りの時間も、試験前の準備はすべて参加不可と連絡があったためしばらく行われていない。
準備する材料で何を作るのか大体の想像が出来てしまうのだから仕方ないけれど……
「ねぇ、この生き物を物に変える魔法っていつ習ったっけ?」
「えぇ……あれでしょう?ネズミをゴブレットにしたやつ」
「ほら、変身術入門の47ページにあるわ」
変身術はドラコが得意なのよね。
私はどちらかというと呪文学のほうが得意。
変身術は変えたい物への明確なイメージが必要だ。
何かしらない、見たこともない物へは変えられない。
私の見たことのある、知っているものは少し偏りがあるようで私の日常生活で関わってこなかったものに変身させるのが少し苦手だ。
だから試験対策として上級生達にきいた、歴代の変身術の実技課題になったものを全て取り寄せたりしていた。
おかげで談話室の片隅は物置小屋のような有り様だが許してほしい。
試験が終わったらきちんと家に送るし、ほしい人に配る予定もつけている。
そうして各々試験に向けて準備をすすめ、1週間かけてそれぞれの試験が行われた。
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さて、
変身術、呪文学、魔法薬学、これは実技試験を伴い、
魔法史、闇の魔術に対する防衛術、天文学、薬草学は座学での試験が行われた。
闇の魔術に対する防衛術が座学のみで試験が行われたのは意外だった。
この教科はある時から毎年担当教授が変わるため、テストの傾向がなく都度、その年の教授の性格似合わせて考えなくてはいけないと先輩方から聞いていた。
確かに、授業も基礎の座学を行った1年間だったので来年もクィレル教授がご担当されるなら次は実践的な授業になるのだろうか……?
いや、2年生以上の授業でも実技よりも理論が多かったときいているしそれはなさそうだ。
「サルース!湖にでも行きましょうよ!勉強の日々からやっと解放されたのに図書館に行きたいなんて言わないわよね?」
「パンジーさっきまでの青い顔はどうしたのよ」
「だって終わったことを心配したってどうにもならないし?そんなことよりこの素晴らしい瞬間を楽しもうかなって」
パンジーとダフネの賑やかな声が近寄ってきた。
最後の試験を終えたあとのパンジーは確か「半分は……半分は解けた……」とゴーストのような様子でフラフラと歩いていたけれど、寮へ戻る間に気持ちを切り替えたらしい。
荷物も片したことだし、ここ最近は談話室に籠って勉強漬けだった。
「パンジー、ダフネ、またシャボン玉なんてどう?もう暖かいしちょっと遠くまでお散歩も楽しそうね」
「「いいわね!」」
試験が終わったと言うことは、これから夏季休暇がはじまる。
また暫く会えなくなるけれど、クリスマス休暇のようにお手紙を書こう。
期末試験が終わり、浮かれていた私はハリー達の"ちょっとした“心配事についてすっかり忘れてしまっていた。