アトリエループ   作:ネルケは積みゲに流れてしまった

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2019/03/30追記
プロット吹き飛んだのでもう少し待ってください

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岸田先生落書き会の注意事項を読むに、公式には鍋ではなく釜みたいですね
もう鍋って書いてしまったので鍋で行きますけど


四週目-2

4周目 9 

お母さんが聞く耳を持ってくれない。

ループのことも話したけれど、信じてくれなかった。竜の砂時計みたいな時間に干渉するアイテムがあるんだから、もっと信じてくれてもいいと思うんだけれど。

このままじゃまずい。このままだとウォルフすら突破できない。

 

とにかく、お母さんを説得するしかない。

 

 

4周目 10 

初めてお母さんに本気で怒られた。

まあ、今回に関しては、トラウマほじくり返した自分が悪いと思うから特に憤りとかはないけど。

 

……いや、嘘だ。あんなに荒れたお母さんは見たことがないから何も言えなかったけど、文句がないわけがない。

そもそも、錬金術の失敗でお父さんと見たこともないお姉ちゃんを吹き飛ばしたのはお母さんだ。お母さん自身が失敗したから、私が錬金術を勉強できないなんて因果関係がおかしいと思う。

そりゃあ錬金術を一生失敗しませんなんて言う気はないけれど、お母さんみたいな失敗をする気はない。爆発物なんて危険な物の調合で、安全を確保してないお母さんがおかしいんだ。

 

 

4周目 11 

雑貨屋が休みだったけどやることがなかったので、雑貨屋さんと一緒に行商の人に会った。

思ったよりも行商の品ぞろえはよくて驚いた。これは売り物じゃなかったけど、自立して戦ってくれる魔剣とか特に面白そうだった。魔剣の作り方とかはわからないから魔剣では無理だけど、ただの剣を自在に動かして戦うとかできそうな気がする。生きているナワとか完全にそれ系アイテムだし。

あと、これも非売品だったけど、時の石板というアイテムが本当にすごかった。効果としては竜の砂時計と同じ時間停止。いつかこういうアイテムを作れるようになりたい。

参考書とかもあったので買いたかったけど、今回は武器であるグラセン鉱の杖を買った。高かったので、行商人の人からものすごく値引きしてもらって、さらに雑貨屋さんからお給料を今月分全部前借してようやく買えるというひどい買い物だったけど、万が一のことを考えると錬金術ができない今はこれ以上に必要なものはない。

それと、行商人の人から『アイゼルの参考書』という参考書をおまけしてもらえた。ぼろぼろの中古で、版が三つ古くてしかも人気がなくだぶついてた不良在庫ならしいけど、ただでくれるとはありがたいことだ。

もっとも、参考書読んでるところをお母さんに見つかって喧嘩になったけど。

 

メモ

アイゼルの参考書

 

中和剤

・ほとんど何でも:1

 

チーズケーキ

・小麦粉:1

・シャリオチーズ:1

・ハチミツ:1

・(液体):1

 

ウニ

・(鉱石):1

・(火薬):1

 

クラフト

・ニューズ:2

 

賢者の石

・ドンケルハイト:1

・アルハイルミテル:1

・竜の舌:1

・地底湖の溜まり:1

 

 

調合専用釜

・インゴット:2

・ボリッシュ:3

・研磨剤:1

 

釜と鍋って何が違うんだろう?

 

 

4周目 12 

雑貨屋さんにお母さんのことを愚痴ったら、子供を見る眼で見られてしまった。

たしかに、雑貨屋さんには関係のない話なので、愚痴ったのは間違いだったかもしれない。

この問題は、私たち家族の問題だ。雑貨屋さんからしてみたら、私の話はいい迷惑でしかなかっただろう。ちょっと反省するべきだと思った。

 

雑貨屋さんは、お母さんともっと落ち着いて話し合ってみたら? なんて言ってたけど、残念ながら落ち着いて話し合ってる時間はない。

はちみつ問題を無視しても、ウォルフ襲撃前にはある程度回復効果を持つ薬品をそろえる必要があるんだから。

 

 

4周目 13 

盛大に大喧嘩をした。

まあ、今回は前と違って意図的にお母さんの地雷を踏み抜いたからだと思うけど。

ただ、そのおかげでお母さんが爆発事故を起こした時の状態がわかった。

 

村長さんが言っていたことは、大筋では間違ってなかったけれど、些細な部分が微妙に違っていた。

 

まず、テラフラムの上位版(お母さん曰く『エクサループフラム』)は、完成していたみたい。完成したことを外部に知らしめたりとかはしていなかったみたいだけど、レシピもきちんと完成していて、材料の最適化こそできていなかったものの、レシピ通りに調合すれば何の問題もなく調合できるところまで行きついていたらしい。

 

爆発事故が起こったのは、レシピの開発ではなくお姉ちゃんが原因だった。

その日は初めてお姉ちゃんが錬金術を教わった日だった。お母さんと錬金術士だったらしいお父さんは、お姉ちゃんに錬金術を教える際に、錬金術はどんなことができるのかという例として、パイとかパンとかマジックアイテムとかを調合して披露していたみたいだ。勉強に興味を持たせるために教師などが行う典型的な手法だ。

そこで、最後に自分たちの錬金術の集大成として、お父さんとお母さんはそのエクサループフラムを調合した。当然、お母さんたちにとってその調合は片手間でできるものじゃない。必然的に、少しだけお姉ちゃんから意識が外れることになったんだと思う。

その意識が向かなくなった瞬間に、お姉ちゃんは動いた。調合中の鍋に何かを放り込んだのだ。

なんでそんなことをしたのかはわからないけれど、当時のお姉ちゃんの年齢を考えれば何となく理由の想像は付く。たぶん、悪戯とか好奇心とかそんな感じのだ。

 

で、それをお父さんが何かしらの方法で抑え込んで、でも全部は抑え込めなくて爆発。

お父さんとお姉ちゃんは消えて、お母さんは怪我こそしたけど生き残って、外で遊んでいたお兄ちゃんたちは何事もなく無事だった。

……結局のところ、監督不行き届きというべきだろう。お母さんがお姉ちゃんのことをちゃんと見てなかったのが悪い。英才教育みたいな感じに錬金術を教えたかったんだろうけど、お姉ちゃんはそれに見合うしつけをされていなかった。だから事故が起きた。

あと、そんな危ないものを調合したのも悪い。お母さんが作れるのか知らないけれど、回復アイテムであるエリキシル剤とかでもよかったはずだ。

 

この感じだと、きちんと分別があることも証明する必要がある気がする。

何となく、無理そうな気がしてきた。でも、あきらめるわけにはいかない。

 

 

4周目 14 

説得材料が全く思い浮かばない。

ぱっと思いつくのは錬金術に失敗しないことを証明することだけど、錬金術に失敗しないことなんて証明できないからそれは不可能。

錬金術の必要性を話す……ループのことを説明すればいいかなって思ったけど、そのことを話しても言い訳というか、そういったことにしか思われなかった。

 

最悪、一旦錬金術のことはあきらめて、ウォルフ対策のために雑貨屋さんの説得と武器探しに時間をかけた方がいいかもしれない。

このまま雑貨屋さんの手伝いを続けていればはちみつの観察はできるから、次のループでのはちみつの汚染時期の特定に生かせる。

 

 

4周目 15 

昨日の自分はどうかしていた。

試行の片隅にこの周回を見捨てるような考えが存在してしまっていた。よくない。

ループ環境を活かすためには、何度か捨て周回を行ってデータをそろえた方がいいのはわかっている。でも、そこで割り切ってしまっては駄目だ。

ここで割り切れば最後、いや、書いたらそうなってしまいそうなので書かないでおく。

とにかく、捨て周回なんて考えちゃだめだ。この世界はゲームじゃないんだから。

 

 

4周目 16 

どうすればいい。

どうすればいいか何も思いつかない。

この間大喧嘩したのは失敗だった。あの日から、お母さんがもっと頑なになった気がする。

素直にどうして錬金術がダメなのか聞けばよかったんだ。そんなにすぐ答えてくれるとは思えないけど、お母さんならきちんと辛抱強く聞けば答えてくれたはずだ。

落ち着いて話し合って、きちんとお母さんと意思疎通を取る努力をすれば、確証はないけど答えてくれたはずなのに。

 

今更後の祭りだけど、ループしてきた直後からお母さんに協力を求めるべきだった。

錬金術を行えるか未知数だけど、そうしていれば少なくともこんなに拗れることはなかったと思う。

 

 

4周目 17 

とんでもない悪魔の発想が頭をよぎった。私はもうだめかもしれない。

どうしようもなさ過ぎて、疲労困憊で何も考えられなくなる仕事の時間を楽しみにしている自分がいる。遠心分離機をかき混ぜている間は、危機感から逃避できる数少ない時間だ。

残り2週間でウォルフが来る。グラセン鋼の杖という武器は用意したけど、これで生き残れる保証はない。そもそも生き残れたとしても、村が無事かどうか。

 

はちみつのことなんて気にしている場合じゃない。どうすればいい。どうすれば、お母さんにウォルフが来ることを信じてもらえる。どうすれば、錬金術の許可がもらえる。

もう何も考えたくない。

 

 

4周目 18 

今日はお母さんとまともに話もできなかった。

それどころか、家の中ではお母さんにはいない者扱いされる。夕食を用意してくれているのが不思議なくらいだ。

 

お母さんに内緒で、村の中に錬金術に使える釜か鍋を持ってる人がいないか聞いて回ったけど、誰もいなかった。

村長さん曰く、この村には私の両親と祖母しか錬金術士はいなかったそうだ。錬金術士みたいな特殊な職業でもない限り、あの大きな鍋は持っていないだろうとも言われた。

 

一人になると悪い考えばかりが頭をよぎるようになってきた。

こうやって日記に悪い考え以外のことを吐き出してないと、そのことで頭がいっぱいになりそうだ。

 

 

4周目 19 

雑貨屋さんに顔色を心配された。今にも自殺しそうな顔をしているらしい。

自殺する気はない。命はいっぱいあるけれど、命は無駄にできないのだ。

いや、自殺してやり直すのも手かもしれない。初日からやり直して、お母さんと,

 

……ダメな思想で頭が占領されてる。自殺は駄目だ。何を考えているんだろう私は。

もう無理にお母さんに話しかけるのも辛い。事情を聴いたのか、お兄ちゃんたちからの視線もつらい。

もう嫌だ、家族みんなで仲が良かったころに戻りたい。

 

売り上げが下がるからって、今日は早く帰されたけど帰りたくなかった。唯一気楽でいられる雑貨屋さんももうだめだ。

幸いというべきか、お母さんは私が帰ってきたら家から出かけて行った。出ていく前のあの視線は忘れられない。

もう話しかけるのも嫌だ。家の中をまた探したけど、祖母の倉庫の鍵もでっかい鍋も出てこない。何もできない。

 

 

4周目 20 

前世の記憶があっても、私は大人ではなく九歳の子供でしかないというのを実感する。

前世の私だったら、きっと何度もあきらめずお母さんに話しかけに行ったはずだ。もしくは、何らかの現状を打開する策を思いつくだろう。

 

でも、前世の記憶を持つだけの子供でしかない私には、そんな行動力は、勇気はない。

 

今日は、雑貨屋さんに行ったらそのまま帰された。よっぽど酷い営業妨害級の顔をしているらしい。

時間が余ったので、森に行ってきた。グラセン鋼の杖をモンスターに使ったことがなかったから、試しに青ぷにを殴りに行った。

武器を振ることもなく、ぶっつけ本番というのもよくないだろう。

 

ちょっと苦戦したけど、いい杖なだけあって特に問題なくぷにを倒せた。

ストレス発散にもなったので、雑貨屋さんが休みになる明日もモンスター退治に来てもいいかもしれない。

 

 

4周目 21 

お母さんに話があるって言われたけど、もう話すのもつらいので森に逃げた。

あれほど話したいと思っていたのに、今はもう話すのも辛いなんて自分勝手な話だと思う。でも、もうお母さんにあんな視線を向けられるだけでも怖い。だから行きたくない。

自分の弱さが情けない。もう嫌だ。なんで私がこんな目に遭わなきゃいけないの。

こんなに苦しむなら、ループなんかしたくなかった。

 

 

4周目 22 

簡単なことだった。

最初っからこうすれば、錬金術ができるようになったんだ。

どうせ、雑貨屋さんが頑張ればヤクトウォルフはどうにかなる。怪我人なんか知ったことか。あとで薬を調合して治せばいい。

 

今日の朝のうちにお母さんと雑貨屋さんには言っておいた。雑貨屋さんは信じてくれるかわからないけど、警戒くらいはしてくれると思う。

どうせお母さんは聞いてないだろうけど、別に今は本気にしてくれなくてもいい。後で証拠が付いてくれば、信じざるを得なくなる。錬金術をさせたくなくても、許可を出さざるを得なくなる。でなきゃ死ぬんだから。

 

私が森に入るのは今日で三度目。明日か明後日には、私の匂いを嗅ぎつけたウォルフが来るはずだ。


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