老練虎狼   作:デンデン丸

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先生の口調気にしすぎていたら、アカメが斬る!原作キャラの口調を忘れてしまいました。近いうちに、大幅に修正します。このキャラの口調等について違和感がある、等のご意見をお待ちしております。自分では気付けないものが多くて…


2話

 

 陛下の前にて宴用の技を披露し、目を輝かせながら儂の昔話を食い入るように尋ねてきた陛下は、まことただの子供であった。

 後十年もすれば相応のカリスマ性を発揮するであろう才能の片鱗が見えた、が。

 

 「ヌフフ、无二打殿の技、そこまで年は老いても衰えないとは怖いものですな。」

 

 儂の目の前で寿司やらを貪る巨漢、この坊、オネストに頼っている限り、その才能は開花しないであろう。

 

 「……ぬしは少し見ぬうちに随分みっともない体になったものよ。とても儂の拳を受け、何度も立ち上がってみせた男とは思えんわ、かか。」

 

 陛下との謁見も終わり、儂と坊のみが居る、この大きな部屋。テーブルにはあれやこれやと、豪勢な食い物、飲み物。

 

 「ご心配せずとも、私もあの修行と、貴方の可愛がりは片時も忘れた事はありませんとも、えぇ。」

 

 「かか、馬鹿を装う天才か、天才を装う馬鹿か。どちらにしろ、ただの一文官だった坊がここまで成り上がったのは見事な物よ。……それで?少し前まで刺客を送り込んでおきながら、大昔を思い出しながらにしたい儂へのお願い事とは?まぁ殺しなのは察しがつくわ。」

 

 そうとだけ言い、茶を飲む。

 

 「話が早いですなぁ。しかし少しは食事を楽しまないと健康に悪いですぞ、ヌフフ……」

 

 しかし、そう言いながら坊は数枚の紙をこちらに放った。儂をそれを手に取る。

 

 「……ふぅむ。地方で殺された、坊の使い走り、か。かかか!!どやつも悪党ではないか、これでは殺されても文句は言えんだろうて。」

 

 「えぇ、えぇ。皆確かに悪党で畜生でしたが私にとっては大切な部下です。誰も彼も暗殺され、私の命じた事を全うせずに殺され、私はとても悲しいのです。これでは夜しか安心して寝れませんよ、ヌフフ。」

 

 そう言う坊だが、残虐性と狂気の混じった笑みは消えない。……こやつもかつての儂と同じ道を往くか。

 

 「……動機的にもやり口にしても革命軍、それも、陰の者達だな。殺しで世界を変えようとでも思っている奴らの仕業と見るが?」

 

 「えぇ、その通り。无二打殿、いや、兄弟子殿……私との約束、昔に皇拳寺で交わした……今の私の願いとは……革命軍の暗殺集団の鏖殺です。」

 

 「……“暗殺集団”、か。そういえば最近では帝都でも英雄気取りの殺し屋が居たであろう、何と言ったか、なんちゃら……レイド、であったか?」

 

 昨今、帝都で噂の暗殺集団が頭に浮かび上がる。貴族連中から汚職をしている文官、武官連中に闇討ちをしかけ、一部の間では、すっかりヒーロー扱いなのは癪である。

 

 「ヌフフ、“ナイトレイド”、ですな。そちらは既に手を打ってあります。貴方は、ただ、地方で私の邪魔をする者を屠るだけで良いのです。簡単でしょう?かつて皇拳寺の、師範すら“間違えて”殺した貴方には?」

 

 

 「……良かろう。老体に鞭打って殺ってやろうて。だが、これ一回のみ、だ。儂もこの歳になってようやく、落ち着いた余生を送りたいという願望が出てきた。どうせこれに応じなければ儂の弟子の何人か、殺すつもりであったろう?」

 

 「ヌフフ、さて、どうでしょうなぁ……?」

 

 「ふん、狸が。では儂は出立の準備をする。」

 

 「おや?少しは宮殿内を見ていかないのですか?ブドー大将軍も貴方に会いたがっているようですぞ?」

 

 「あぁ、あの小僧なら心配いらんだろう。昔とはまるで別人だ。将軍、としての貫禄が滲み出ておったわ。かか!!かつてのように、今更に儂が教える事なんぞないわ。」

 

 「ヌフフ、本人が聞いたら、さぞ、がっかりするでしょうなぁ。何か必要な物はないのですか?できる限りの物は用意しますが?」

 

 「……勘違いをするなよ、坊?これは個人的な“約束”、だ。……坊の配下になった覚えなんぞ、ない。故に全て、この老いた拳一つで果たすわ、かか、道理は道理、それを覚えていた事だけは、褒めてやるわい。」

 

 儂はそう言うと、飲み干した茶のカップを置き、この部屋を後にする。

……そう、道理は守るのが儂の信条。かつて宮殿を去った後、刺客を送り込んできたのが坊であろうが、あるまいが、若かりし時に約束をしたのは、確かなのだから、再びこの拳を陰に傾けるのも道理、そう、道理なのだ――……。

 

 

 

 ――部屋の扉が閉まる。

 オネストは目の前の食事に手をつけながら、深い笑みを浮かべる。

 

 「ヌフフ、えぇ、道理ですよ。貴方との約束も、そして貴方が再び“凶拳”としての无二打の本能を忘れていないのも道理なのです。必ずや、貴方は、“戻る”のです。虎狼に、かつて殺しを嬉々として行い、皇拳寺の師範を“間違えて”殺した時の、あの表情……私は忘れておりませんぞ、兄弟子殿。ヌフフ、ヌフフフフ……」

 

 

 

 

 「……悪いニュースだ」

 

 ――……一方、帝都近郊の山中、ナイトレイドアジト。

 

 ナイトレイドの指揮を任せられている眼帯、義手の女性、ナジェンダは煙草の紫煙を溜息と共に吐き出す。

 

 「一つ――无二打殿は、革命軍の誘いを断った。何の音沙汰も無し。」

 

 『……』

 

 アジトの一室に集まったナイトレイドの面々は彼女の言葉を無言で聞き入る。

 

 「二つ――その无二打殿が、宮殿にて皇帝と謁見した。……残念ではあるが、仕方あるまい。」

 

 『……』

 

 しばらく、静寂が部屋を包む、が。

 

 「そっ……かぁ。ししょー、期待してたんだけどな~。」

 

 メンバーの一人、かの无二打の弟子にして、――現ナイトレイドメンバー、レオーネはそう言うと、どこか悲しげに笑った。

 

 「姐さん……だ、大丈夫だろ!!俺らには姐さんが……皆が居る!!いくら姐さんの師匠とは言え――……」

 

 次に声を上げたのは新人の地方から出てきて幾許も経っていない少年、タツミ。

 

 「……甘いな」

 

 「……すいません、タツミ、これは……かなりまずいのです。」

 

 「あぁ、甘いな。」

 

 「えぇ、甘いわね。これだから田舎者は……」

 

 「タツミ……“无二打”は、ただのじいさんってわけじゃあないんだぜ?」

 

 そんなタツミに、他のメンバーは険しい表情でそう諭す。

 

 「え?え?皆?兄貴まで……」

 

 そんな彼に、ナジェンダが言葉をかける。

 

 「……“无二打”、今でこそ帝都の一角で私塾を開くような好々爺を装っているが、彼はその生き様が伝説。現在の帝国が保有する帝具の1、2割は、彼がたった一人で回収した、とも言われている。文字通り、彼の拳は一撃必殺。しかしアカメの帝具とは、まるで意味が違う。姿を消したまま(・・・・・・・)、殺す。この点で言えば、アカメにブラートを足したようなものだ。帝具が全てではない、と証明する生き証人そのもの。そんな彼が、もし、もしも帝国側についたのならば――」

 

 「――革命軍は真っ先に无二打を。師匠を、最優先で殺す」

 

 ナジェンダの声にかぶせ、そう宣言するは、レオーネ。

 

 「……ボス、その時が来たら。」

 

 「……あぁ。勿論お前を頼るさ。」

 

 

 

 

 拳を握り締め、じっとそれを見るレオーネ。

 

 「……師匠、必ず、私は――……」

 

 

 ――……今、ここに、裏の歴史の、歯車は、動き出そうとしていた。

 




感想が切実に欲しい昨今です、よろしくお願いします。
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