1
「では……しばらく留守を頼むぞ。」
「……御意」
少しばかりの旅の荷を持ち、玄関から出ようとすると、若い衆達はどうも何とも言えぬ、といった表情で儂を見送る。
「そうおかしな顔をするな、家出するわけではあるまいし、死ぬわけでもない。なに、土産も買ってくるわ。儂が帰ったら皆で茶でも飲んで、また鍛錬に励むとしようぞ。」
儂にしては、我ながらおかしいと思いながらも、若い衆にそう声をかける。
「は、い……。では先生、留守の番は我々にお任せください。子供達の鍛錬もできる限りの事はします。先生、どうか、どうか……必ず、帰って来てください……!!」
「……うむ。」
そうとだけ言うと、こちらに頭を下げる若い衆に見送られ、儂は玄関の戸を締めた。
帝都の中心からだいぶ離れた所に立地する儂の家。途中にスラム街を抜け、帝都の門へと向かう。
スラム街では、貧しいながらに強く生きる者達が笑顔で儂に手を振ってきた。……そういえば最近はレオーネの奴を見ておらん。スラムでは話題に上がっておるようだが……。
あやつめ、陰に生きると決意したからか、前に会った時はまるで別人の目つきであった。
そんな感傷に浸り、久々の旅に心踊っているのか、それとも
「あら?先生?」
「あっ!!おじいちゃんだ!!」
そこそこの人だかりの中、突然そう声をかけられた。その声の方へと振り向くと、一人の女性とまだ幼子の少女がこちらに駆けて来た。
「おぉ、これはボルスの……。お久しぶりですな、元気そうで何より。」
「えぇ、先生もお変わりないようで。」
「ふふふ!!ねぇねぇ!!早くおじいちゃんにもおしえてあげようよ!!」
そう挨拶を交わす。――この二人は、儂の茶飲み仲間、ボルスという男の家族である。奥方は若く美人、子のローグもわんぱくで元気旺盛、とても良い家族、なのだが。
そのボルスは、帝国の数多くの部隊の中でも、特に汚れ仕事が飛び抜けて多く、また他人にとても憎まれる部隊である、“焼却部隊”に属する男だ。
しかし儂はそのボルスを尊敬すらしている。彼曰く、【誰かがやらなきゃいけない事だから】、との事で焼却部隊に身を置いているが、家族、目標以外の他人にはすこぶる優しく、まさに、“陽に生き、陰に殺す”を行う事を、まだ儂の半分以下の歳で悟っておるのだ。
「?、そういえば随分買い物が多いですな、何かあったのですかな?」
「あ!!やっぱりおじいちゃんも気になる?ふふふ!!」
「こら!!先生に失礼でしょう、やめなさい!!……子供が失礼しました、申し訳ありません、先生。」
奥方はそう言うと、頭を下げたが、儂は声を上げて笑う。
「かっはっは!!何、子供は元気で冒険心や悪戯心がある方が良い。……のぅ、ローグ、爺はやっぱり気になるぞ、そう焦らさず教えてはくれんか?」
「せ、先生――!!」
儂がローグの目線まで腰を落とし、そう言うと、奥方が急いで止めようとしたが、それを逆に儂が止めた。
「えへへ~。どうしようかな~、あっ、私、また皆とお菓子食べたいなぁ~」
「かはは!!これは参ったのぅ。では次にお父さんが帰って来たら、儂秘蔵の菓子を持ってこよう。」
「!!本当!?……えへへ……じゃあ教えてあげる!!――パパが、帰って来るの!!」
一瞬、儂は呆気に取られた、が。まず奥方が持つ食材やらを見て、そして奥方の顔を見る。
「――えぇ、本当です。」
奥方はそう言うと、少し恥ずかしそうに、頬を染めて、微笑んだ。
「そうか……!!帰って来るか、ボルスが!!これは確かにめでたい!!儂も奴が帰って来たら、すぐに挨拶に伺いたい、が……」
そうとだけ言うが、一瞬の間を置いて、奥方は儂の荷を見て、何か察したようであった。
「先生はどこか遠出ですか?大丈夫ですよ?当分はこちらに居るそうなので、お暇な時にでも是非いらっしゃってください、先生に会えれば主人もきっと喜びますから!!」
「むぅ、これは間が悪い。では儂も頼まれたモノを早々に済ませ、すぐにでもお伺いさせて頂くとしよう。では奥方、そしてローグ、次に会う時はボルス――……パパも含めた四人で茶でも飲もうぞ」
「うん!!絶対にだよ!!約束だよ!!」
「はい、私達も楽しみにしております。」
そう言葉を交え、弟子の他に、この笑顔の二人にも見送られ、儂は荷を抱え直し、帝都の門へと向かうのである。
2
いよいよこの帝都から地方の辺境へと旅立つ
目的は――……地方の暗殺者集団の、鏖殺。
「……この歳の老骨に鞭打つ羽目になるとは、が、道理は守るさ」
……だが、どこか、儂の心の中で、言葉では表現できない、
やはり原作キャラの口調だったりが中々おちて来ないので、少しでもこのキャラの口調がおかしいと感じましたら是非ご指摘等お願い致します。
また、しつこいようですが切実にご感想お待ちしております。
※後半修正しました。ウェイブ出したら時系列おかしくなる事に気付きました…