老練虎狼   作:デンデン丸

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週間ランキングの下の方に拙作を見つけましたので、更新してみます。
今回から原作展開から徐々に外していこうと考えています。


5話

 

 

 「本当に助かりました!!ありがとうございます!!何とお礼申し上げればいいのか……!!」

 

 「貴方がいなければ私も、妻も、そしてまだ見ぬ子、この村まで……全滅していました……!!」

 

 

 ――帝都近郊の村にて――

 

 そこそこの数の村人に見送られ、儂は荷を、この村の衆に貰った土産、儂が買った土産。帝都を出立する時の荷よりも膨れたそれを、背負う。

 

 「かっはっは!!何、気にするな。儂も良い運動になったわい。……それよりも、そこの奥方。腹の子を無事に生むのだぞ、子は未来だ。宝石の原石、無限の可能性を秘めておる。健康に産み、好く育てるのだぞ。」

 

 「はい!!立派な子に育てます!!……それよりも、やはりお名前だけでも、お伺いしたいのですが……」

 

 「そうです、私もやはり貴方のお名前をお伺いしたいです。あの見た事もない危険種を軽々と倒していって……もしや名のある方なのですか……?」

 

 

 「かか。気にする事はない、この歳老いた身の名なんぞ何の価値もないわ。……では、儂はそろそろ往くとしよう。土産まで貰ってしまい、まことすまんな。では……」

 

 そう言って、帝都へと繋がる路を歩んで往く。

後ろをチラリ、と見ると、村の衆達が皆、頭を下げていた。

 

 ……坊に頼まれたモノは、済ませた。

しかし、しかしだ。やはりかつて、殺しを嬉々として行っていた、儂の“陰の気質”は、失われていなかった。忘れられていなかった。

 暗殺者を殺して往く都度、心の内から、もっと殺しを、鏖殺を、と言う声が脳内に反響するのだ。

 

 だが……その溢れ出んとする陰の気の逃げ道が、まるで用意されていたかのように顕れた。

 ――見た事もない危険種。それらが帝都近郊に入ると、わんさかと湧いて出おった。

 それを鏖殺しながら路を進んでいた時、先程の村を襲わんとしていた、その危険種を見つけ、鏖殺。

村には少しの被害があった、が。それでも先程のような感謝の言葉、そして狩猟で得たと思われる上物の肉まで、貰ってしまったわい。

 

 それでも、それでも脳内に響く声は収まらぬ、消えぬ。拳に血を染み込ませよ、と、儂に囁いてくる。

 

 

 「かかか……そうか、あの坊め、そういう事か。まこと頭の回る奴よ……」

 

 おそらく……坊は儂を、この状況にさせる事も狙っていたのだろう。

云十年もの間、封じていた“凶拳”としての儂を蘇らせ、利用しよう、と……。

 

 

 「かか、かかかか!!儂もまだ未熟よのぅ。心の何処かで、それを認めようとしておるわ!!」

 

 誰も居ぬ路にて、そう大声で笑いながら独り言ち、進む。

 

 ……だが、今の儂には、守る者達が居るのも確かなのだ。

 

 

 

 

 

 「……む?」

 

 ――しばらく、路を歩んでいると、すぐ先にて、何者かが戦っているであろう気配を感じた。

 

 意識を集中、自然の中に己を溶け込ませ、周囲をうかがう。

 

 「……うむ、馬車、危険種が少し……。ほぅ、そこそこ強いのが2、3人おるのぅ……」

 

 意識を戻し、圏境にて姿を消し、その気配がする所まで疾走する。

危険種はともかく、これと戦っておるのが何者なのか。

 それを見たく、ただ駆ける。

 

 

 

 

 5分程であろうか、路を疾走しておると、件の気配の正体の一つ、馬車を見つけ、儂はその側面に回り込むように、路から外れ、近付く。

 

 

 「む?炎、炎……。もしや……!!」

 

 

 馬車の側面から見えた炎。おそらく帝具によるモノだと察しがついたが、炎を生み出す帝具、と言う点に何処か、()かもしれぬ、と期待し、圏境のまま、姿を消したままに近付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「もう安心です、皆さん!!」

 

 「ヒ、ヒイイイイ!!」

 

 

 「あのっ……危険種は倒しましたので……――“怯える必要は、ないん、ですよ?”」

 

 

 そこに居たのは、やはり儂の読み通り、()が居た。儂の友が。

 ……それに見覚えのある娘っ子もおる。

 もう一人の若いのは知らぬが……。

 

 

 『……久しいのぅ、ボルス』

 

 儂は、その友の背後から、そう声をかけた。

 

 「っ!!な、何ですか!?今の!?」

 

 「まさか……ナイトレイド……!!」

 

 

 ――瞬間、友、ボルス以外の二人は臨戦体勢になったが、当のボルスは、どこか嬉しそうに周囲を見渡していた。

 

 「その声は!!まさか……先生!!どこに居るんですか!?」

 

 実は、この圏境を発動したままに話しかける、“悪戯”は、奴の娘っ子、ローグがやたら喜ぶものなので、儂達にとっては挨拶と大差ないのだ。

 

 

 

 「かっはっは!!まこと久しいのぅ、奥方から聞かされてはいたが、まさかこんな所で会えるとはのぅ!!」

 

 姿を現し、笑い声を上げながらに、ボルスの眼前に歩む。

 

 

 「やっぱり先生!!でもどうしてこんな……」

 

 「何、少し使いを頼まれてのぅ。その帰り道よ。」

 

 そうお互い言うと、クスリ、と笑った、のだが。

 

 

 「あっ!!あ~~~~!!貴方は路壊しの!!」

 

 ボルスを含めた三人の内の一人、おかしな人形だか動物なのかわからんモノを抱えた娘っ子が、儂を指差し、叫んだ。

 

 「ふむ。ぬしには見覚えがある、確か警備隊に居たであろう?」

 

 

 「わ、忘れもしません……!!何回報告書を書かされた事か……!!」

 

 

 そう言って、プルプルと震える娘っ子の隣では、この状況を理解できていないのであろう、青年があたふたとしていた。

 

 

 「え、え~と……何か突然知らないじいさんが出てきたけど、知り合いなんです、か……?」

 

 

 「あっ!!そっか!!紹介しなきゃね!!皆、突然に先生が現れたから混乱してるかもだけど、この方は――……」

 

 

 ――そう言って、ボルスが儂の隣に立った瞬間であった。

 

 

 「なんだ?随分騒がしいが、何か問題でもあったか?」

 

 「……敵……?」

 

 

 今度は、軍服姿の女が一人と、刀を携えた娘っ子が出てきたのであった。

 

 

 




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