何故か気付いたら俺は全く知らない人間になっていた。この人間が辿ってきた人生は曖昧だが、覚えている。
名前は、衛宮 隼人。年齢は12歳。過去の記憶によれば衛宮切嗣は養父のポジションらしい。この時点で気づいたのだがどうやら俺は前世の記憶にある「Fate」の世界線に来てしまったらしい。ただ1つ目覚めた俺が気になったのは、神様とやらの書き置きなのかは分からないが、机の上に置いてある弓兵が描かれているArcherと書かれたカードと紙が置いてあったことだ。
「前世で非道な扱いを受けたアナタには余りにも、辛い選択肢を選ばせてしまった。償いと言えるかどうかは分からないが、転生させてもらった。このカードは夢幻召喚というものが出来るカード。魔力を流し、インストールと唱えれば貴方は、英霊エミヤの力を限定的にだが行使することが出来る。だが注意して欲しいことがある、それはこのカードを一度使えばカードは消滅し、置換魔術の影響により強力な力を使う度、徐々に英霊エミヤに置き換えられていくという事だ。サービスで君の魔力量を固有結界が日に50回使える程度に増やしておいた。これからもし修行をするならより増えるだろう。君の人生に幸あれ」
驚いた。と言うより、やりすぎだと感じた。固有結界50回分って俺の魔力量人間レベルではないのでは…。一先ず俺が、やるべき事は衛宮切嗣に魔力操作や強化魔術なんかを教わることだな。魔力の扱い方なんてものを俺は知らない。俺の願いの為にも何より必要なことだ。
過去について少し話すのであれば、俺は衛宮士郎と同時に拾われたらしい。俺の場合セイバーの鞘…聖遺物こそ埋め込まれなかったが、魔力量の多さから自発的に強化魔術がかかっていたらしく(恐らく死なないように神様が仕込んだ)倒れていたということだ。
その後、同時期に拾われた俺達は兄弟のように過ごしていた。料理も当番制だった。ある日偶然だが、士郎の将来の夢について聞いた時に
「俺は切嗣の様な"正義の味方"になりたいんだ」
と言っていた。このことから察するに、士郎の運命はこの時点で決まっているようなものだろう。
ある夜
「切嗣さん、俺にも士郎に教えている魔術を教えてください」
「隼人もか…。仕方ない、士郎この前教えて上げた事継続しているんだろう?」
「あぁ、って事は俺が教えてもいいのか!?」
満面の笑みの士郎に反して、酷く切嗣は顔がやつれているな。死期が近いのかもしれん。
「しょうが無いだろう?隼人も士郎に似て、頑固な部分があるからね」
士郎は苦笑しながらコチラを見てきた。
「隼人…先ずは魔力を感じるところからだな。じゃあ俺が送ってみるから感じて見てくれ」
そう言うと士郎は俺の背中に手を当てて、フンっと言うと何やら神経を撫でられているような感じがした。
「これが…魔力」
「おぉ!初めてで魔力を感じとれたのか、すげぇな。俺でも2日は掛かったのに」
「次は投影魔術だね、コツは士郎にも話したけど物の骨組みや材質をしっかり理解した上で魔力に乗せて形成するんだ」
やってみるとこれまた難しい。構造の理解とは簡単に言うがかなり難しい、鉛筆とかだと単純なんだが精密機器とかだと上手くいかない。
「難しいだろ?俺もこればっかりは1週間くらいかかったんだぜ?」
自慢げに士郎に言われながら思い出したが、そう言えば士郎は、鞘が入ってて起源が剣だったような…。一旦投影魔術は置いておいて次の強化魔術を教えて貰った。
「簡単に言うと強化魔術と言うのは、何かに対して効果を強くする魔術なんだ。例えばそうだね、この石。これだとより固くしたり、豆電球だとより明るく…とかね?イメージ的には組み替えるみたいな感じかな?魔力で補うと言った方がいいかもしれないね」
「――――
「嘘だろ1発!?」
「…これは驚いた、士郎でも3ヶ月はやってるんだけど成功率あんまり高くないんだ」
「そうなのか…」
アニメで言ってた事そのまま口にしながらやってたからか?所詮、士郎の真似事に過ぎないんだが…。
「士郎は強化魔術を中心に、隼人は投影魔術を中心にって所だね。互いに足りないところを補っていけば自ずと出来るようになるよ」
そう言った、次の日切嗣は息を引き取った。聖杯の呪いがあったと知っていたがまさかこんなに早いとは。葬式の日、俺は泣かなかった。涙を流すような感情が俺自身にもう残っていなかったのか、それとも人間の生死など、どうでも良くなるくらいに絶望してしまっているのか。
「爺さん…」
隣では士郎が涙を流していた。当然だろう、命の恩人が無くなってしまったのだから。
一応主人公の設定なんですが、プリズマイリヤの美優兄の様に1度カードを使うと力を使う度に英霊エミヤになっていくという設定なんです。(外形及び思考性も含む)
ただ、魔力量は読んでいただければわかると思うんですけど糞ほど多いという設定にしちゃいました。(後付設定)