隼人視点
妙な気配を感じた俺は、後ろを振り返り何もいないはずの空中を睨みつけていた。いつまで経っても姿を表さない為、コチラから話しかけることにした。
「何の用だ?」
「何、少し手伝って欲しいものだと思ってな」
アーチャーが目の前に現れた。
「俺に手伝えることなんてないと思うが?」
「また…わかりやすい嘘をつく、私は先程のお前とセイバーとの会話を聞いていたのだが?」
「全てお見通しということであれば、俺に何を手伝えと言うんだアーチャー?」
意を決して聞いてみることにした、大方見当はついているが。
「何、簡単な事だ。バーサーカー相手では、例えセイバーと言えど抑えきれまい。だが例外もいる、英霊と同等の力を持つお前がいれば多少はどうにかなるだろう?」
簡単な事と言うがバーサーカークラスには、どのサーヴァントでも不利だと思うのだが。何より俺が至らぬ干渉をして士郎の成長に妨げが生じたら元も子もないのだが。
「俺が戦闘に介入した所で、状況は変わらないのではないか?何より俺の力は、近接向けではない」
「中距離戦ではどうだ?貴様も強化魔術、投影魔術の使い手ならば問題はないと思うが」
「何にしてもアーチャー、お前に俺の技を見せてしまうことには違いない。俺は別に聖杯戦争なんてものに興味はないし、わざわざ俺が戦闘を行うことで手の内を見せてしまうのは、こちらに損しか無い」
どうやら、俺とセイバーの会話は聞いていたみたいだが、察するに、俺の魔力量に関しては理解していても、戦闘技術については理解していないように思える。
「そうだな、ではこうしよう。今回の協力を受けてくれるのであれば今後衛宮隼人、貴様が敵対しない限り私達はお前に戦いを強制しない。要するに、お前から力を借りることもまた進んでお前を殺そうとすることもしなくなるという事だ」
好感触だ、だがまだ足りない。俺の力をほんの一部とはいえ見せるのだ。それ相応に対価は必要だろう?
「もう1つ条件を出してもいいか?」
「ほぅ、条件を呑むかどうかは別として、聞くだけなら良かろう」
「遠坂凛から英霊召喚の方法について聞き出して欲しい 」
「聞き出して欲しい…とは?もはや英霊は7人召喚されている、今更そんな事を聞いてどうなる?」
「安心しろ、ただの知識欲だ。別段おかしな事を聞いている訳でもないし、知りたいと思うのはだろう?」
少しの沈黙の後アーチャーの答えはYESだった。
「…致し方ない、了解した。私とて今は急いでいるのでな、それに凛の家には英霊召喚について纏めてある本が1冊…書斎に置いてあったはずだ。それで良ければ渡そう」
渋々と言った様子のアーチャーを横目に冷や汗が止まらない俺。英霊相手に交渉の真似事をしたのは初めての事だ。
「話を戻すがアーチャー、バーサーカーを抑えるということでいいんだな」
「あぁ、構わない。最終的には私が遠距離からの射撃による一撃を与える手筈だからな、では私は所定の位置につく」
知っているとも、俺の中でもあのシーンは印象深かった。カラドボルグ。ケルト神話に登場する魔剣の一種。士郎を殺しかけた武具、と言っても本物には到底敵う代物ではないのだろうがな。
「やれやれ、仕方の無いこととはいえ面倒な事になったな」
士郎視点
「こんばんわお兄ちゃん、こうして会うのは2度目だね?初めまして凛?私はイリヤ。イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、アインツベルンって言えば分かるでしょ」
「アインツベルン…」
濃い霧の中、現れた少女の名はイリヤと言うらしい。気になったのは遠坂がアインツベルンという名を知っているかのように反応したことだ。
「驚いた、単純な能力だけならセイバー以上じゃないアレ」
「これは凄まじいな、あれ一体だけで他の6騎を敵に回せるぞ?」
「力押しでなんとかなる相手じゃないってことね、アーチャーここはあなた本来の戦いに徹するべきよ」
「だが、守りはどうする?凛ではあれの突進は防げまい」
「こっちは3人よ、凌ぐだけなら何ともなるわ」
「了解した…」
そう言うとアーチャーの気配は消えた。
「衛宮君、逃げるか戦うかあなたの自由よ…けど出来るなら逃げなさい」
「じゃあ…殺すね、殺っちゃえバーサーカー」
そう言うとバーサーカーは凄まじい声量で奇声を上げながらこちらに突っ込んできた。俺はあまりの勢いに気を取られ動けずにいたが、どこからともなく飛んできた魔術的な何かによってバーサーカーの動きが一時的にだが止まった。だが…
「嘘、効いてない!衛宮君」
「はぁ!!」
セイバーが、俺がバーサーカーに襲われる寸前で剣戟により防いでくれたようだ。続いて、バーサーカーとセイバーの戦いが繰り広げれられるが双方共に引けを取らない。いや、セイバーが押されている。
「あれの何処がバーサーカーだって言うのよ!」
「さぞ高名な英霊なのだろう、狂気に飲まれようと失われぬ太刀筋、感服する他ない」
「アーチャー!援護」
遠くで狙撃してあるはずのアーチャーの矢が飛んでくるが、全く持ってバーサーカーに効いていない。その後もセイバーとバーサーカーの戦いは続くが完全にセイバーが劣勢だ。
「不死身か…」
「トドメね、潰しなさいバーサーカー」
イリヤがバーサーカーにトドメを指すように指示を下した途端
、そいつは現れた。
「
謎の仮面を被った、黒装束の何者かが確かにそう呟いた。両手には二本の剣が、たしかに握られていた。
「フッ…」
そいつは、持っていた剣をバーサーカーへと放ったが、当然バーサーカーが所持していた剣によって弾かれてしまう。
「誰かは知らないけど、チャンスよアーチャー」
遠坂は持っていた宝石を投げ、魔術的な何かによってバーサーカーを一時的に拘束し、アーチャーが攻撃を仕掛けたが全く持って効いていない。
「追いなさいバーサーカー」
「いいアンタは逃げるのよ!」
遠坂はそう言ってセイバーとバーサーカーを追って行った。
「何も出来なかった…!」
ただの人間如きが、戦えないレベルの超常の存在を目の前にした俺は情けなく、そう思ってしまった。
「セイバー…」
セイバーとは未だ付き合いは浅いが、それでもこの馬鹿げた殺し合いに終止符を打つためにかわした縁だ。誰かを見捨てることなんて俺には…
「一緒に戦うって決めたばっかりじゃないか!!」
セイバーたちを追って俺も走った。森に入っていくと俺が目にしたのは凄まじい戦闘痕の数々。
隼人視点
流石に士郎にバレてもめんどうなので格好だけでもどうにかしようと移動しながら投影魔術によって服装を変える。セイバーの方へ近づいていくとバーサーカーに対して現在劣勢らしい。
「セイバーがピンチか…どれ手助けぐらいはしてやるか」
俺は、干将莫耶を投影すると高速でバーサーカー目掛けて投擲した。気づいたバーサーカーはすぐさま打ち消すが、数秒判断が遅かったな。凛の指示によってアーチャーの矢が降ってくる。だがどうやら全く持って効いていないらしい、その後も猛攻は続くが、攻めきれずにいた。
俺の目的は一応、遠坂と士郎を守る事なのでこの場合無理してバーサーカーと戦わなくても良い。戦いを続ける2人は移動してしまったので、俺は遠坂を追うことにした。
「あら、怖い怖い、口上もなしに襲いかかってくるなんて。それともそれが遠坂の流儀なのかしら凛?」
「開戦の狼煙を上げたのはそっちでしょ?それとももう一度自己紹介でもしてくれるのかしら?」
「自己紹介?そうね、あのお兄ちゃんなら考えないことも無いけど、あなたじゃ、気が乗らないわ。そもそもここで死ぬ人間に何を語れというのかしら?」
ガンドで応戦をしているようだが、防戦一方じゃないか。なるほど、今度は正面から撃ち合うのか。
「使い魔の形状が変化した!?」
鳥から剣に変わったか、アレでは部が悪かろう。仕方あるまい。
「ふっ!」
再び干将莫耶を高速で打ち出し無力化する。
「助かったわ、貴方は誰なの?」
「俺の正体よりも先ずは、セイバーを追わなくていいのか?」
「言われなくても分かってるわよ!」
そう言うと遠坂はセイバーを追って行った。すると、別れ道で士郎と再開したようだ。
「衛宮君!?何でここに居るの?いるだけ邪魔ってわからない?」
「そんな事あるものか、体がある限り出来ることはあるはずだ、それに俺はセイバーと約束したんだ、一緒に戦うって」
「あのね…」
すると近くから戦闘音が聞こえてきた。恐らくセイバーとバーサーカーのものだろう。近づいてみると分かったことだが、先程まで劣勢だったのはわざとで、遮蔽物のある墓地へとわざわざ誘導させたということか。
「遮蔽物のない場所であれと戦うのは自殺行為よ、だからこそセイバーはこの場所を選んだ、衛宮君からバーサーカーを遠ざけることを兼ねてね、けどこんな戦いになったらアーチャーの援護は期待できない、けど相手はアーチャーの矢さえ無効化する怪物だもの。援護なんて初めから無意味なのよ」
「アーチャーの弓…」
凄まじい戦いの中、セイバーは一瞬聖剣を実体化させてトドメを指したかのように思えたがアレはまだ死んでいない。俺の引き際もこの辺りか、役目は果たした。
「見事だ、だがそれではまだ足りない…」
「自己再生?いやこれはもはや、時間の巻き戻しに近い、不死の呪いか!」
「セイバー!」
士郎がセイバーを連れてバーサーカーから離れる。
アーチャーの放った宝具によって辺りが吹き飛んだがバーサーカーは死んでいない。
「つまらない事は初めに終わらせようとも思ったけど、いいわ。今日はこの辺で勘弁してあげる」
そう言うとイリヤスフィールとバーサーカーはどこかへと行ってしまった。士郎も打ち所が悪かったのか、倒れてしまう。
「約束は果たした、失礼する」
俺は一言だけ言うとその場から立ち去った。
アカンで投稿時間間に合わへん…。バーサーカー描写アニメ見ても難しいから言い回しが今回下手くそです。(許して迫真)