機動戦士ガンダムSEED unlimted blade works   作:時代錯誤
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ガンダム、その真価

『ヘリオポリス全土にLv.8の避難命令が出されました。住民は速やかに最寄の退避シェルターに雛案してください。』

 

そう避難勧告の放送が流れている。

先ほどの平穏が一転し、それらを享受してた人々は皆顔色を変えて混乱の中走っている。

そんな様子を一人、エミヤは破壊された工場区の外に出て見ていた。

 

「ちっ、この状態ではどうにもならんか。だが、ものは考えようか。アレの性能を実際にこの目で見ることができる。奪取された時はまた別の方法を考えるしかないわけだが。」

 

そう言って、エミヤは自分が取り逃がしたモビルスーツ(以下MS)の方へと目を向けた。

今まさに、その新型MSはザフトの主力機であるジンと交戦している。

だが、新型だというのにその機体は押されていた。

正直に言って、たって歩くのがやっとと言える状態あり、先ほどからジンの攻撃にされるがままであった。

 

「どうした、アレでも新型の機体か?いや、どうやらOSの設定がまだなのか?これでは、実際に見れても何の意味もない。」

 

そう愚痴をこぼすエミヤ。

そういっていると、再びジンがサーベルで攻撃を仕掛けた。

しかし、次の瞬間、新型に変化が現れる。

それまで灰色だった機体が鮮やかな赤、青、白の三色のトリコロールへと変わった。

そして、ジンのサーベルをいともなげに防ぎ、はじき返した。

その様子にエミヤは目を見開く。

 

「なに!なるほどアレがフェイズ・シフト装甲(以下PS装甲)というやつか。確かにアレでは、ジンのサーベル等は問題にはならんか。」

 

すると、奪取された機体もPS装甲を展開し、その巨躯を鮮やかなマゼンダに変えた。

そして、向かってくる弾頭を頭部に装備された武装で迎撃する。

 

「どうやら向こうは早々にシステムのOS設定を直したか。やはり、目下の課題は性能云々よりも機体のOS設定らしいな。それをどうにかしない限り、現状でどうにもならんが、なまじナチュラルでは無理もないか。」

 

事実、トリコロールのMSは再び追い詰められていた。

よもやこれまでかと思っていると、そのMSはジンのサーベルを避け、体当たりをした。

それによりジンが転倒する。

それ以降、新型MSはそれまでが嘘のような動きを見せた。

攻撃をかわすのはもちろんのこと、ジンの顔面に拳を入れる。

 

「何、どういうことだ?まさか、この短期間でOSを書き換えたのか?そんなこと、できるはずが…。」

 

そこまで言って、エミヤは考える。

確かにナチュラルには無理だが、もしアレに乗っているのがコーディネーターなら。

そうして、エミヤはあの時無理やりMSのコックピットに乗せられた少年を思い出す。

 

(もしそうなら、なんて皮肉な運命を持った奴なんだ。)

 

そして、決着は付いた。

新型MSが両腰からナイフを出し、ジンを戦闘不能にした。

ジンは自爆を図ったが、PS装甲のため新型は目立った損傷もなく健在であった。

 

「さて、見るものは見た。一機とはいえ奪取されずにすんだのは僥倖だな。さて、これからどうすべきか。」

 

一時的に戦闘が終えた中、エミヤは考える。

すると、戦闘を終えた先ほどの機体がある方向へと向かう。

そこには、見知った少年達の姿があった。

エミヤはそれを見て、先ほどの戦闘が誰の手によって行われたのか確信する。

そして、自らの目的を達成するための糸口を見つけもした。

 

コックピットから出てきたのはやはりあの茶髪の少年であった。

しかし、一緒に乗っていたはずの女性が降りてくる様子はない。どうやら、中で気を失っているようだった。

それを好機と見るや、エミヤは少年達に近づく。

 

「君達、大丈夫か?」

 

その声に少年達は驚くも大人であるエミヤの姿を見て安堵の表情を見せる。

 

「はい、大丈夫です。でも、実はあのMS の中に人が。僕たちだけじゃ動かせなくて。」

 

とサングラスをかけた少年が応える。

 

「分かった。詳しいことは良く分からないが、手を貸そう。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

よくもまあ口からでまかせが出るものだと、エミヤは自分にあきれた。

そうして、エミヤは約束どおり、女性を機体から下ろし、近くに寝かせた。

そして少女に向かって言う。

 

「悪いが、女性が相手だ、彼女の世話は女性に任せたい。えっと…。」

 

「ミリアリアです。ミリアリア・ハウ。」

 

「そうか、ミリアリア。彼女のことを頼む。」

 

そう言って、エミヤは機体の方へと行った。

そこには最も気になっていた少年の姿があった。

エミヤは彼に近づくと声をかけた。

 

「これに動かしていたのは君か?」

 

「え?いや、あの。」

 

いきなりの質問にたじろぐその少年をエミヤは優しい声色を持って話しかける。

 

「別に怖がることはない。責めているわけでもなしな。どのような状況であれ、君のような子供がこれを動かしたということに疑問はあるが、それでも君はやらねばならないと思ったのだろう。」

 

「っ!」

 

「それは彼らのためかい?」

そういってエミヤは少年の友人達の方に目をやる。

少年もまたそれを見て頷いた。

 

「はい。」

 

「ならば後悔することはない。君のしたことは正しいと私は思うが。」

 

と、エミヤは少年の肩に手を置く。

 

「キラです。」

 

「ん?」

 

「キラ・ヤマト。ボクの名前です。」

 

「そうか、私はエミヤ。シロウ・エミヤだ。このような格好だがモルゲンレーテに所属している身でね。本国からのお達しで来てみれば、まさかこのようなものをヘリオポリスで造っていたとは。知らなかったとはいえ、君にも謝らねばならないな。」

 

そういって頭を下げるエミヤ。

その様子にキラは驚く。

 

「そんな、シロウさんのせいじゃありません。だって、誰にも分かりませんでしたから、中立のここにこんなものがあるなんて。」

 

「ああ、そう言ってもらえると気が楽になるよ。ありがとう、キラ。」

 

と、エミヤは再びキラの肩に手を置く。

これまで色んな大人にあってきたが目の前の男はそのどれらとも違う雰囲気をかもし出していた。

同姓だというに、キラは思わず顔を赤くする。

 

「あ、あの僕あの女の人の様子を見てきます。」

 

そう言って、キラは走っていった。

エミヤはその様子を見ながら思う。

 

(やれやれ、本当に最低の人間だな私は。)

 

そして、再び目の前のMSに目をやると、キラの友人達がその回りをうろちょろとし、あろうことかトールと矢ばれていた一人はコックピットに乗っていた。

その様子に唖然としたエミヤはすぐさま降りるよう声をかけようとした、その時。

 

「その機体から離れなさい!」

 

その言葉と共に銃声が響く。

振り向くと、そこには意識を取り戻したあの女性が銃口をこちららに向けていた。

彼女は負傷した体を起こすとこちらに近づいてきた。

キラが彼女に駆け寄り制止する。

 

「何をするんです!やめて下さい!彼らなんですよ、気絶したあなたを下ろしてくれたのは!」

 

すると女性は今度はキラへと銃口を向ける。

 

「助けてもらったことは感謝します。でもアレは軍の重要機密よ。民間人がむやみに触れていいものではないわ。」

 

すると、彼女とキラの間にエミヤが庇う様に入る。

 

「貴女の言うことも分かるがね、だが事実としてアレを操縦していたのは彼だろう。」

 

「貴方は?」

 

「シロウ・エミヤ。モルゲンレーテ社の者だが、私もアレの存在を知らなかったわけだが。そんな私でさえ知らされていなかったものだ、確かにそちらにとっては重要なものなのだろう。しかし、機密だからとはいえ、守るべき民間人を銃で脅すとは、地球連合軍の士官はそこまで落ちぶれたのかね?」

 

「なんですって!」

 

「事実だろう?本来守るべき者に守られ、そんな者たちに恩をあだで返すようなまねをするとは、君がいかほどの将校かは知らないが、恥を知れ!」

 

激昂する彼女にエミヤは皮肉を交え叱責する。

しかし、彼女もまた彼が言うことが事実であると自分でも分かっていた。

だからこそ、その瞳は悔しさでにじんでいる。

 

「ともあれ、貴女の意識が戻ったのであれば我々はその指示に従うべきなのも確かだ。さて、どうすればいい?」

 

「っ!では、みんなこっちへ。」

 

女性は銃を下ろすことなく、全員を一列に並ばせ、一人ずつ名乗らせた。

全員の名前を聞き終えると、最後に彼女マリュー・ラミアスは自身の名前と、エミヤが見抜いたように自分が地球連合軍の将校であることを明かした。

 

「申し訳ないけど、あなた達をこのまま解散させるわけには行かなくなりました。」

 

その言葉にエミヤ以外のものが驚く。

 

「事情はどうあれ、あなた達は軍の重要機密を見てしまったあなた方は、しかるべきところと連絡が取れ、処置が決定するまで、私と行動を共にしていただかざるを得ません。」

 

その言葉に、キラの友人達、サイ・アーガイル、トール・ケーニヒ、カズィ・バスカーグが反発する。キラやミリアリアも何もいわないが思いは同じだった。

 

しかし、その反応がますますマリューを苛立たせた。

そして、再び彼女は空へむかって発砲する。

 

「黙りなさい。何も知らないこどもが!」

 

そして、銃口をキラたちへと向け、続ける。

 

「中立だと関係ないと言ってさえいれば、今でもまだ無関係でいられる。まさか本当にそう思っているわけではないでしょう。ここに地球軍の重要機密があり、あなた達はそれを見た。それが今のあなた達の現実です。」

 

「そんな乱暴な」

 

サイがつぶやく。

しかし、マリューは続ける。

 

「乱暴でも何でも、戦争をしているんです。プラントと地球、コーディネーターとナチュラル、あなた方の外の世界はね。」

 

マリューとキラたちの間に嫌な沈黙が流れる。

両者共に言っていることはわかるつもりだ。しかし、生きてきた場所、見てきたものの違いが、彼らの間には大きな溝としてあるのだ。

 

「で、ご高説はそれで終わりかね?」

 

するとそれまで黙っていたエミヤが両者の間に入る。

その様子を見てマリューは眉間にしわを寄せる。

 

「貴方も指示に従ってもらいます。シロウ・エミヤさん。」

 

「ああ、それについて、私は異論はない。ここが戦場である以上、軍人である貴女の指示に従うのが最も効率がいい。なら、ご高説が終わったのなら指示をくれたまえ。彼らも私もそれなしでは、何もできない。」

 

と皮肉を言いながらも、エミヤはマリューに従う意思を見せた。

キラたちもまた、エミヤが従うのならと渋々ながらもそれまで持っていた反感を潜める。

 

「賢明な判断、感謝します。」

 

そういって、マリューの指示に従いキラにはあの新型MSであるX-105 ストライクでの通信を、サイたちには工場区から無事であろうNo.5のトレーラーを持ってきた。

しかし、ジャミングによる通信妨害のせいでなかなかつながらない状況にあった。

マリューはキラにストライカーパックと呼ぶ装備をつけた後に、再び通信を試みるよう言う。

負傷した腕を押さえながらも毅然と振る舞おうとするマリュー。

そんな彼女にエミヤが話しかける。

 

「まだ通信妨害が続いているようだな?」

 

「え?ええ。」

 

「はっきり言おう。マリュー・ラミアス、地球軍の機密はこのMS5機だけか?」

 

「どういう意味かしら?」

 

「ここまでの通信妨害を行っているということは、敵は意地でもこちらの内外の連絡を取らせたくないということになる。それは何故か。」

 

そこまで言われ、マリューはエミヤの質問の意図を理解する。

 

「では最初からザフトの狙いは!」

 

「ああ、モルゲンレーテということだろうな。ならば、このストライク一機を残している現状を良しとはしないだろう。」

 

その言葉にマリューは目を見開く。

ザフトが本命がG兵器と呼ばれるMSであることにもだが、それ以上にこのわずか短時間でそれを予測したエミヤという男の観察眼に彼女は驚いた。

そして、次の瞬間エミヤはキラに向かって驚くべきことを言う。

 

「キラ、急いで装備を装着して、いつでも攻撃できるようにしておけ!」

 

「え、なんでですか!?」

 

「いいから、早くしろ!」

 

そのあまりの剣幕にキラは、言われたとおりに運ばれた武装をストライクに装備させる。

マリューもまたエミヤが何をしようとしているか分からずに尋ねる。

 

「貴方、なにを!?」

 

「ヘリオポリスを強襲したザフトの狙いは、最初からコイツだ。なら、まだ外には奴らがいる。その証拠に、攻撃を受けてから数時間たつというのに通信妨害はまだ行われている。」

 

その言葉を聴きマリューはハッとする。

しかし、そんなマリューをよそにエミヤは再びキラに告げる。

 

「いいか、キラ。敵が来るとしたらあそこからだ。」

 

とエミヤが指し示したのはヘリオポリス上空に糸のようにある、コロニーへの連絡用パイプであった。

キラは装備された巨大なランチャー砲でいわれた方向を狙う。

するといきなり爆炎が起こり、煙の中からザフトのMSとそれを応用にしてオレンジ色のモビルアーマー(以下MA)が現れた。

キラはエミヤの予想通りの展開に驚きつつも、言われたとおりに引き金を引く。

 

するとザフトの白い機体シグーもまさかそのようなタイミングで攻撃があると思わなかったのだろう。間一髪という体勢でこれを回避するものの、追ってきたMAの砲撃を浴び、武器が大破、わずかであるが損傷した。

しかし、波乱はそれだけでは終わらなかった。

再びコロニー内が爆発したと思ったら、今度は上空より巨大な宇宙戦艦が現れる。

戦況を見るや、不利と判断したのだろうシグーは先ほどのストライクが放った砲撃でできた巨大な穴から離脱していった。

 

再び脅威を退け、安堵するキラ達。

しかし、エミヤは一人、ヘリオポリスにできた巨大な傷跡を見て、地球軍が作り出した新型MSの真価に目を鋭くした。

 

 





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