この世界では偶像と書いてデュエリストと読み、決闘者と書いてアイドルと読むことがあります。   作:地雷一等兵

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時間掛かったなぁ……。


では本編をどうぞ↓


第6話 アイドル達とプロダクション

 

 

 

アイドル事務所には様々ある。

純粋にデュエリストとしての実力を磨かせるプロダクション、アイドルとしての面を磨かせるプロダクション、アイドル本人の意思を尊重するプロダクションなど、方針はそのプロダクションによって多種多様だ。

大手プロダクションではアイドル本人の意思を尊重することが多く、特に573(コナミ)プロダクションには個性豊かなアイドルが揃っている。

 

 

「ふ、煩わしい太陽ね……(おはようございます!)。」

 

「やぁ、おはよう。」

 

「にょわー☆おはようだにぃ♪」

 

「ん~……みんな、おはよ……。」

 

朝に出社してきた神崎蘭子、二宮飛鳥、諸星きらりを出迎えたのはクッションの上で眠そうに目蓋を開けてある双葉杏だ。

ほぼ事務所に住み込みの彼女はこうして1日の始まりを告げる役目を負わされている。

中々に個性の強い面々だが、根はまっすぐなアイドルであり、自分を高めることに妥協はない。

 

「蘭子ちゃん、今日もイベントね。君のデッキで盛り上げてよ。」

 

「くく、よかろう。我が(しもべ)たちの凶宴を見せようぞ!(分かりました! 精一杯私のデッキで盛り上げて見せます!!)」

 

「飛鳥も、蘭子と同じイベント。573プロツートップの実力、見せてやってくれ!」

 

「ふふ、たまには騒ぐのも悪くない。」

 

担当から今日の予定を聞いた二人は早速デッキ一式を持って外出の準備をして、事務所を出発。

そして杏ときらりを担当しているプロデューサーはぺらぺらと資料を捲ると杏の脇を抱き抱えてきらりに預ける。

プロデューサーの無言の行動に、目で真意を読み取ったきらりは杏を肩車して事務所から連れ出して行った。今日の二人はオフである。

 

「杏ちゃん、ショップにぃ、いっくよぉ~☆」

 

「はいはい……仕方ないなぁ……。」

 

きらりの肩に乗せられた杏は逃げることもせずにただきらりに運ばれる。

“あんきら”というコンビ名で活動する二人はオフでもこうして一緒にいることが多い。

ただでさえ長身で目立つきらりが杏を肩車しているのともあって周りの視線のほとんどは二人に注がれている。

 

「あ、あの二人って……」

 

「573プロの……?!」

 

「あのシルエットは間違いないって……。 」

 

「生で見たのは初めてだ、感激~!!」

 

「でゅ、デュエルしてくれないかな……?」

 

彼女たちの出現に街中の一角はざわざわと騒がしくなる。今をときめくアイドルの登場で、人だかりが出来るのは、今も昔も変わらない。

そんな人だかりの中から二人の人影が飛び出してきらりたちの前に現れる。

 

「イィィヤァアア!!」

 

「そこの二人、ちょっと待ってぇ!」

 

その二人組、一人は赤黒の忍者装束に身を包んだ小柄な少女であり、もう一人は傾いた衣装に身を包み、目を薄く閉じたようにして笑う少女だった。

カラテシャウトと共にエントリーしてきたその二人を見てきらりは小首を傾げるが、杏は面倒臭そうに溜め息を吐く。

 

1059(センゴク)プロの……浜口と、丹羽?なんで杏たちに?」

 

「ふっふっふ……! それは今からデュエルを申し込むからです!!」

 

「私たち“戦国ペア”が最強のコンビって、次の大会で証明する……その宣戦布告だよ。」

 

「ん~?それで、二人はぁ、きらりたちと、デュエルするの?」

 

きらりは誰よりも早くデュエルディスクを装着して二人に尋ねる。

そんなきらりに浜口あやめと丹羽仁美も同じようにデュエルデュエルを腕に嵌め構えた。それを開戦の同意と捉えたきらりは肩から杏をおろし、杏にもデュエルディスクを嵌めさせる。“面倒くさい”とぶつくさ文句を言う杏であったものの、最後はきらりのごり押しによって押し通され、タッグデュエルが幕を開けた。

 

 

「ドッロー!手札からぁ♪《トゥーン・キングダム》を発動するにぃ☆」

 

きらりがカードをディスクにセットすると、彼女の背後に絵本が現れその中から大きなお城が出現した。

そして、

 

「《トゥーン・ヂェミナイ・エルフ》を召喚♪おいで~☆」

 

お城の中から二人のデフォルメされたエルフが現れた。

そしてそのまま彼女はターンを丹羽仁美に明け渡す。

 

「ドロー……、《六武衆の結束》を発動。《六武衆の露払い》を召喚し、ターンエンド!」

 

「えっと、ドローして……、モンスターを一体セット。カードを二枚伏せてエンド。」

 

「ならばドロー!」

 

手番の回ってきた浜口あやめが勢いよくドローして、自分のターンをアピールする。

そして手札を確認するとニヤリと笑う。

 

「手札から《機甲忍者アース》を特殊召喚!さらに、そのアースをリリースして、《黄昏の忍者将軍‐ゲツガ》を召喚です!」

 

初手からの最上級モンスターの登場に周囲の観客も沸き立つ。だがしかし杏ときらりのどちらも焦ってはいない。

むしろ余裕さえ見せている。

 

「トゥーン・キングダムのせいでヂェミナイエルフは対象にできない……ならばそちらに!イィィヤァアア!!」

 

「撃破された《サイバーポッド》の効果発動。フィールドのモンスターを全て破壊するよ~。」

 

「その効果に対して、《トゥーン・キングダム》の効果発動だにぃ☆デッキトップのカードを1枚除外して、破壊を防ぐよぉ♪」

 

「くっ……ゲツガが……!?」

 

「この……!」

 

サイバーポッドによって破壊されたモンスターは墓地に送られる。そして、四人はデッキから5枚ドローしてレベル4以下のモンスターを召喚する。

 

「きらりはぁ、《トゥーン・仮面魔道士》と、《トゥーン・マーメイド》を攻撃表示だにぃ☆ハピハピ♪」

 

「……私は《影六武衆‐ゲンバ》と《六武衆の御霊代》を召喚。」

 

「えっとね~、《ニードルワーム》と《スフィア・ボム 球体時限爆弾》を裏側守備表示で。」

 

「ならば《忍者マスターSASUKE》と《忍犬ワンダードッグ》を攻撃表示!」

 

きらりの場に三体、他の三名の場には2体のモンスターが揃い、あやめはターンを終えてきらりに手番が回る。

 

「ハピハピドロー♪にょわ~☆ヂェミナイエルフを対象にして《トゥーン・ロールバック》を発動するにぃ☆」

 

そのままきらりは《トゥーン・ヂェミナイ・エルフ》の二回攻撃3800を丹羽仁美にぶつけて手札二枚を捨てさせる。

そして《トゥーン・マーメイド》と《トゥーン・仮面魔道士》でさらに丹羽のライフを削る。

これで丹羽のライフは残り1900となり、次のヂェミナイ・エルフの攻撃で落ちる段階まで来た。

そしてきらりがターンを終えて、追い詰められた仁美のターン。彼女はドローして息をつく。

 

「《影六武衆‐ゲンバ》で《六武衆の御霊代》をチューニング!シンクロ召喚、駆けろ《真六武衆‐シエン》!!」

 

六武衆のシンクロモンスターが出現し、場が大いに盛り上がる。

そしてそのままの勢いで杏の場のモンスターに攻撃する。そのモンスターはニードルワームであり、効果によって丹羽はデッキから5枚墓地へとカードを送る。

その後カードを伏せた仁美はターンを終えて杏の手番となる。

 

「手札から《二重召喚》を使用して、場に2体のモンスターをセット。さらにカードを伏せてエンドだよ。」

 

これでモンスターが三体場に並んだ杏のフィールド。それを切り崩すためにあやめがドローする。

 

「ワンダードッグをリリース!《渋い(シルバー)忍者》を召喚! 行け!杏殿の壁を打ち破れ! イィィヤァアア!」

 

「……モンスターは《ペンギン・ソルジャー》、《渋い忍者》と《真六武衆‐シエン》を手札とエクストラデッキに戻すよ。」

 

「なんと!?」

 

ペンギン・ソルジャーによって無慈悲にも上級モンスターを手札に戻された二人。なんたるウカツ!

場が通常モンスターだけにされたあやめと、空にされた仁美。そんな状況できらりに手番が回る。

このターンにきらりは《トゥーン・マーメイド》をリリースして《トゥーン・ブラック・マジシャン・ガール》を特殊召喚した。

その手番できっちりと仁美にトドメを刺し、あやめにもダメージを与えるのだった。

 

相方を失い、手札的にも苦しくなったあやめはその後も挽回できずにずるずるとジリープアー(徐々に不利)な状態へと追いやられて敗北する。

 

 

 

「ぐ、ぐぬぬ……!」

 

「……負けちゃったかぁ……。」

 

デュエルが終わると悔しそうに膝を着くあやめと薄目で笑いながらにやにやときらりたちを見る仁美の姿が対照的だった。

 

「きらりたちの勝ちだにぃ☆ハピハピ、嬉しいな♪」

 

「それよりも、早く行こ~……。」

 

「杏ちゃん、仕方ないにぃ。二人ともぉ、またデュエルで勝負しよぅねぇ!」

 

きらりは笑顔で手を振るとまた杏を肩車してその場を去っていった。

去っていく杏ときらりの姿を見送る仁美は広角をさらにつり上げて笑う。

 

「仁美殿、どうでしたか?」

 

「うん、見切れた……。」

 

「ふふ……ならば勝ったと言うもの。情報のアドバンテージはこちらにある。こちらも本気のデッキを使ったわけではない。」

 

「そう! 全ては近く開かれる事務所対抗トーナメントの為に……!!」

 

立ち上がったあやめはぎゅっと拳を握りしめて息を吐く。

その思考はこれから開かれる各事務所チームでの対抗戦。その戦績はシンデレラガール総選挙の結果に大きく関わってくる。だからこそ、多くの事務所、多くのアイドル(デュエリスト)はその大会に全力で挑む。

 

「強敵は多い……。573プロ、610(ムトー)プロは言わずもがな……。」

 

「トライアドを擁する906(クール)プロ、初代シンデレラガールの“十字軍”十時愛梨や、“炎陣”の向井拓海がいる081プロ……。」

 

9489(クジャク)プロの“旋風”の城ヶ崎美嘉、“敢闘”城ヶ崎莉嘉、1160(ヒーロー)プロ、“運命(デステニー)”天道輝はもちろん強敵……。」

 

二人の脳裏には今まで活躍してきたアイドルたちの顔が次々と浮かんでいる。

全員が全国区の知名度と、それを裏付けるだけの実力を持った猛者達だ。

 

6966(ロックンロール)プロの松永涼、0093(オオカミ)プロには“狼牙(ファング)”木場真奈美にダイナソー古賀小春。」

 

111(ピンゾロ)プロの鷹富士茄子、“ジョーカー”兵藤レナ……。77310プロの7代目シンデレラガール、“月兎”の安部菜々、“糖劇”のしゅがーはぁと。」

 

次々と名前の上がるデュエリストたち、それは観る者全てを魅了するまさにアイドルの鑑だ。

彼女たち、彼らの一挙手一投足に観客たちは魅了され、時が経つのも忘れるのである。

 

「帰るよあやめちゃん。この情報の精度をさらにあげて研究しなきゃ。」

 

「承知!」

 

 

 

彼女たちはアイドル。デュエルで笑顔を与え、人々を魅了する存在だ。

 

 

 

 






さて、……いったい何人、何個のデッキを作ろうか……。


次回予告!

な、なんだって!?今度はブラックレイナが球場を占拠しただって?!しかも、正義のヒーロー、ジョルノ・ナンジョルノは下っ端たちに足止めされてるなんて!
このままじゃ球場に来た子供達が危ないよ!
そうだ、この街にはまだ彼がいたんだ!皆、彼の名前を呼ぶんだ!
せーの、助けて! マスク・ザ・サンシャイン!!



ではまた次回でお会いしましょうノシ


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