この世界では偶像と書いてデュエリストと読み、決闘者と書いてアイドルと読むことがあります。 作:地雷一等兵
なんでだろ、1160プロの話はすんなり行くんですよ。
では本編をどうぞ↓
この街にはヒーローがいる。
ジョルノ・ナンジョルノのように悪のデュエリストから街の平和を守る存在。その彼の名は……
ある土曜日、この日はアイドルたちによるデュエルイベントの為に街の球場が使われていた。子供達からの人気の高いアイドルが集まるイベントとあってか、会場には大勢の子供達が来ていた。
そして、アイドルたちのデュエルが終わるとそこからはライブが始まるのだが、終盤に差し掛かりジュピターのライブの途中でいきなり会場のライトが全て消えたのだ。
突然のことに会場はざわざわと騒がしくなり、至るところで怖がる子供達の声があがる。
そんな時、突然スポットライトが球場の中央を照らし、一人の人物を映し出した。
「はーっはっげほっごほっ!? 」
高笑いの最中に噎せるといういつもの芸を披露し、観客たちの視線を集めるブラックレイナだった。
しかし状況は大変なものだ。会場内はブラックレイナの手先によって制圧され、アイドルたちも動けないでいる。
「お、おい!お前っ……!?」
「邪魔するなぁ!」
「「冬馬!!」」
黒服たちの隙を見てブラックレイナに掴みかかった天ヶ瀬冬馬だったが、直ぐに見つかり殴り飛ばされた。殴られて吹き飛ぶ冬馬の姿にジュピターの御手洗翔太と伊集院北斗が叫んだ。
その様子があまりにも衝撃的だったのか、子供達は悲鳴をあげる。
ざわざわと不安になり泣きかけている子がいれば、ナンジョルノの名前を叫んで助けを求める子もいる。しかし……
「ナンジョルノは来ない!!私の手下が奴を足止めしているからな!!」
ブラックレイナの言葉にどよめきがさらに大きくなる。
ヒーローが来ない、そんなブラックレイナの言葉によって子供達の恐怖はピークに達する。
その時だ。
「そこまでだ!!」
力強い声が球場内に響き渡った。
黒服や子供達、アイドルらはもちろん、ブラックレイナもその声の主を探すために到るところに目を向ける。
「ここだ!」
声とともにバッと照明が当てられその姿が闇の中から浮かび上がった。
ナンジョルノに似たヒーロー衣装。赤いマフラーを暗闇で翻し、目元から耳までを隠す近未来的な流線型のサングラスが光を反射している。
「き、貴様は……っ!!」
「あぁ、そうさ。迂闊だったな、ブラックレイナ!この俺を忘れるとは!!」
そのヒーローは陣取っていた高所から飛び降りると俗に言うスーパーヒーロー着地を決めてブラックレイナの前に立つ。
その男の姿にブラックレイナは苦虫を噛み潰したような顔を浮かべている。
「この……邪魔をするのか、マスク・ザ・サンシャイン!!」
「当たり前だ! この俺がいる限り貴様の自由にはさせんぞ!」
そのヒーロー、マスク・ザ・サンシャインはビシッとポーズを決めてブラックレイナに告げる。
その言葉に地団駄を踏んだ彼女はいつものようにデュエルディスクを装着した。そんな行動に応えるようにサンシャインもデュエルディスクを装着する。
「「デュエル!!」」
先攻はマスク・ザ・サンシャイン、ドローして手札を確認する。
「《E・HERO エアーマン》を召喚、効果を発動して手札に《E・HERO クレイマン》を加える。そして場に二枚伏せてターンエンド!」
「……ドロー!」
ブラックレイナは手札を確認し、次にサンシャインの場を確認する。
場には攻撃力1800のエアーマン、伏せカードが二枚。ニヤリと笑ったブラックレイナが動き出す。
「《切り込み隊長》を召喚!効果で《ゴブリン突撃部隊》を特殊召喚!!」
効果を使っての展開、しかも片方の攻撃力は2300と上級モンスター並みの力を持っている。
そのまま《ゴブリン突撃部隊》の攻撃で《E・HERO エアーマン》を撃破し、500の戦闘ダメージを与えたブラックレイナは次に切り込み隊長で直接攻撃を試みるが、そうは簡単に行かなかった。
「
サンシャインが召喚したのは攻撃力1000のシャドー・ミスト、そんなモンスターが何だとばかりにブラックレイナは攻撃を仕掛けるのだが……、
「もう一枚の伏せカードを使用!《マスク・チェンジ》!」
「なんだと!?またか!!」
「フィールドのシャドー・ミストを墓地に送り、来い!《
サンシャインの必殺、《マスク・チェンジ》によって現れたのは攻撃力2800の闇鬼、それによって攻撃を仕掛けてきた《切り込み隊長》を返り討ちにし、1600のダメージを与える。
さらに、墓地に送られた《E・HERO シャドー・ミスト》の効果により、サンシャインは手札に《E・HERO ザ・ヒート》を加えた。そして切り込み隊長を破壊したことで闇鬼の効果が発動し、二枚目の《マスク・チェンジ》を手札に加える。
「ぐぅ……小癪なぁ……!!」
「それがどうした!」
“チェンジ”速攻魔法を駆使し、強力な力を持つM・HEROを軸にして戦う、それがマスク・ザ・サンシャインの“M・HERO”デッキだ。
モンスターを破壊され、《ゴブリン突撃部隊》が効果で守備表示になったブラックレイナはそのままターンを終える。
「ドロー!《E・HERO クレイマン》を召喚!手札から《マスク・チェンジ》を使用して、クレイマンを墓地に、《M・HERO ダイアン》を召喚する!」
これでサンシャインのフィールドに攻撃力2800のアタッカーが2体並ぶ。
さらにサンシャインは手札から《マスク・チャージ》を使用することで墓地から《E・HERO シャドー・ミスト》と《マスク・チェンジ》を手札に加えた。これでサンシャインの手札は5枚となる。
「ダイアンで守備表示のゴブリン突撃部隊を攻撃だ!」
攻撃力2800のダイアンの攻撃で守備力ゼロの突撃部隊はあっさりと破壊される。
そして、戦闘破壊して墓地に相手モンスターを墓地に送ったことでダイアンの効果が発動する。
「ダイアンの効果でデッキから《E・HERO エアーマン》を特殊召喚、さらにエアーマンの効果でデッキから《E・HERO スパークマン》を手札に加える!」
手札にHEROを加えたサンシャインはがら空きのブラックレイナに対して攻撃を仕掛ける。だか、そこでブラックレイナは意地を見せる。
「手札から《速攻のかかし》を捨てて効果発動!その攻撃を無効にしてバトルフェイズを強制終了!」
強制的に攻撃を遮断したブラックレイナは薄く笑いを浮かべながらドローする。
手札は4枚、その中から逆転の手立てを彼女は模索していた。
「くく……モンスターを一体セット、カードを一枚伏せてターンエンドよ。」
「……? ドロー! カードを2枚セット、闇鬼で
「そんなもの、痛くもない!」
直接攻撃でライフを残り5000まで削られたブラックレイナであったが、まだ余裕の表情だ。
続けてダイアンでセットモンスターに攻撃を仕掛けるのだが、そのモンスターがいけなかった。
「サイバーポッドの効果を発動! お互いのモンスターを全て破壊する!!そしてデッキトップ5枚をドローして召喚できるモンスターを召喚するぞ!」
「くそ……!」
フィールドのモンスターが全て破壊されたサンシャインは悔しそうに奥歯を噛み締める。
そして捲られた5枚のカードは《E・HERO クレイマン》、《E・HERO ワイルドマン》、《E・HERO キャプテン・ゴールド》、《ヒーロー・シグナル》、《H‐ヒートハート》だった。
それによりサンシャインはキャプテン・ゴールドとクレイマンを召喚するのだが、キャプテン・ゴールドは自身の効果で自壊してしまう。クレイマンを守備表示にしたサンシャインは、メインフェイズ2で《E・HERO ザ・ヒート》を召喚、カードを一枚セットしてターンを終える。
「くくく……はーっはっは!!」
「この……!?」
しかしブラックレイナのフィールドには3体のモンスターが並んでいた。
《ジャイアント・オーク》、《セコンド・ゴブリン》、《ケルベク》の3体だ。
ブラックレイナはドローしてさらに場にモンスターを召喚する。
「来い!《ゴブリンエリート部隊》! さらにセコンド・ゴブリンをユニオン、ジャイアント・オークに装備させる!」
「くっ……!」
「やれ!ゴブリンエリート部隊でクレイマンを撃破!」
「《ヒーロー・シグナル》を発動! 手札から《E・HERO スパークマン》を召喚!」
クレイマンが破壊され、代わりにスパークマンが展開されるがしかしそれがどうしたと、ブラックレイナは追撃する。
ジャイアント・オークの攻撃でスパークマンが破壊され、600の戦闘ダメージを受けてしまう。これでサンシャインのライフは残り6900となった。
「ドロー! 手札から《マスク・チェンジ》を発動!ザ・ヒートを墓地に、出でよ!炎を纏いしヒーロー!《M・HERO 剛火》!!」
召喚されたのは攻撃力2200のモンスター、しかし剛火の本領はまだこれからだ。
「このカードは墓地にいる“HERO”の数だけ攻撃力をあげる!俺の墓地にはいま、9人のHEROが眠っている、つまり剛火の攻撃力は100×9で900アップ、3100だ!」
「なんだとぉ!?」
「そして!セットカード、《H‐ヒートハート》を使用する! この効果で剛火の攻撃力を500アップ、さらに貫通能力を付与する! 行け、剛火!炎を纏いて悪を討て!!」
剛火はサンシャインの指示で走り出し、守備表示の《ゴブリンエリート部隊》を攻撃する。
守備力1500のエリート部隊を破壊し、貫通効果で2100のダメージを与えた。これでブラックレイナは残り2900まで削られる。しかしサンシャインの反撃はこれで終わらない。
「セットカード《ヒーロー・ブラスト》を発動!墓地のスパークマンを手札に戻し、攻撃力1600以下のモンスターを一体、お前のケルベクを破壊する!」
「このぉ!?」
一気に形勢逆転に持ち込んだサンシャイン、これがヒーローの実力だと誇示するかのように右腕を掲げる。
そんな挑発的な仕草にびきびきと表情をしかめるブラックレイナはドローを行うと落胆したようにジャイアント・オークを守備表示にする。
(今は耐える時だ……! 剛火の火力は厄介だが貫通効果を持っている訳じゃないんだ!)
生唾を飲み下したブラックレイナはさらに手札から《盗人ゴブリン》を発動してサンシャインにダメージを与えつつ500のライフを回復する。これでサンシャインのライフは6400、ブラックレイナは3400となる。
「さぁ……俺のターンだが覚悟はいいな?」
「な、なに?」
「手札から《H‐ヒートハート》を使用する!!」
「な、なにぃ!?」
二枚目のヒートハートの存在にブラックレイナは目に見えて狼狽える。
これで剛火の攻撃力は3500となり、貫通効果を得た。しかもブラックレイナのフィールドには守備力ゼロで守備表示のジャイアント・オーク、そして残りライフは3400、ブラックレイナは息を呑む。
「さぁ!ショータイムだ、命燃やすぜぇ!!」
「こ、この……また、こんな……!?」
生き生きと言葉を発するサンシャインに対して、ブラックレイナの表情はどんどんとひきつっていく。
「行け剛火!! ジャイアント・オークに攻撃だ!!」
サンシャインの号令に剛火は跳躍する。大きく空を舞い、右足を突き出すようにしてジャイアント・オークに向けて跳ぶ。
「ヒィイロォオオッ! キィィイイックッ!!」
炎を身に纏い火球となった剛火の一撃によってジャイアント・オークは爆発四散し、ブラックレイナのライフもゼロになった。
その爆発に合わせるようにサンシャインは彼女に背中を向け、右腕を掲げると人差し指を空に向ける。
「俺は天の道を行き、全てを輝きで照らす男だ。悪には決して屈しない。」
「お、覚えていろよ~!!」
デュエルに負けたブラックレイナは悔しそうに歯噛みしながら部下の黒服達を連れて球場から出ていった。
するとそれまで落ちていた電灯も復活し球場の中を明るく照らす。
そうして平和を取り戻したライブ会場ではまたイベントが再開され、来場者は満足したのだという。
ありがとう、マスク・ザ・サンシャイン!君のお陰でまた街の平和は保たれた!
戦えサンシャイン、悪のなくなるその日まで……!!
「ありがとう、助かったよ輝くん。」
「いいんだよプロデューサー。イベントに穴を開ける訳にはいかないだろ?」
その日の
もちろんその横ではメイクを落とした小関麗奈もいる。
この日のヒーローショーも本来ならばナンジョルノこと、南条光がやるはずだったのだが突然の発熱によって出られなくなり、急遽その日空いていた天道輝がマスク・ザ・サンシャインとして代役を果たしたのだ。
「麗奈もお疲れさま。ほとんどアドリブになったのに、よくやり遂げてくれたね。」
「ふん、このレイナサマにかかればこんなの簡単よ。」
「はっはっは、そりゃ頼もしいな。俺のサンシャインと、光のナンジョルノ、両方の公演で悪役をやってるもんな。偉いぞ。」
輝は花咲や自分から視線を逸らした麗奈の頭を分厚い掌でわしわしと撫でる。
そんな輝の行動に麗奈は頬をうっすらと赤くしてより視線を逸らすのだった。
今日も1160プロは平和である。
M・HEROデッキ(マスク・ザ・サンシャイン)
・モンスターカード
E・HEROスパークマン×2、E・HEROエアーマン×2、E・HEROシャドー・ミスト、E・HEROクレイマン×2、E・HEROザ・ヒート×2、E・HEROキャプテン・ゴールド×2、E・HEROワイルドマン×2、E・HEROウィングマン×2、E・HEROバーストレディ×2、E・HEROフラッシュ×2、
・魔法、罠カード
マスク・チェンジ×3、マスク・チャージ×3、ヒーロー・シグナル×3、ヒーロー・ブラスト×2、H‐ヒートハート×3、O‐オーバーソウル、E‐エマージェンシーコール×2、R‐ライトジャスティス×2、摩天楼‐スカイクレイパー‐、ヒーローフラッシュ!!
・エクストラデッキ
M・HERO闇鬼、M・HEROダーク・ロウ、M・HEROブラスト、M・HEROカミカゼ、M・HERO光牙×2、M・HEROダイアン×2、M・HERO剛火×2
マスク・ザ・サンシャイン
…ジョルノ・ナンジョルノと共に街の平和を守る正義のヒーロー!M・HEROを軸にしたデッキを駆使して悪のデュエリストから皆を守っている。
その正体は1160プロのアイドル、天道輝だが子供たちには内緒だぞ?
天道輝
…1160プロ最強のデュエリストであり、“
ヒーローに憧れがあり、自身が演じるマスク・ザ・サンシャインのヒーローショーの時でも特撮ヒーローの決め台詞をパロディーすることがある。
小関麗奈
…1160プロに所属するアイドルであり、ブラックレイナの中の人である。
マスク・ザ・サンシャイン、ジョルノ・ナンジョルノと、二人のヒーローを相手にする悪役を演じており、参加した公演の場数は1160プロの中でもトップクラスに多い。
ではまた次回でお会いしましょうノシ