『偽物』の世界で『本物』を求める。   作:yunami

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ほいほい。
今回は少し長めです。
因みに、シリカやリズに関しては、
キリトサイドで進行中です。
が、書くことはないでしょう。

では、第11話どうぞー。



第11話

「うらあぁっ!!」

『グガアァァァァ』

 

全150連撃のもなる、

俺専用ソードスキル≪神千斬り≫。

鮮やかなライトエフェクトが、火山地帯を照らす。

同時に、先程まで戦っていた『アルバトリオン』が消滅する。

 

ここは、初日に俺とキリトが挑んだ試練の部屋。

あの後も、1日1回は来ている。てか、住んでる。

やっぱり、ここは最高だった。

 

さて、読者の皆さんは、前回のアスナの発言、

 

「私と付き合ってよ」

 

が、気になってはいると思うが、

別に、浮ついた話ではなかった…

べ、別に悲しくはない。うん。

俺は…

 

俺は……何だ?

 

まあいい。

兎に角、アスナはどうやら俺とパーティを組んで欲しかったらしい。

勿論断った。が、

涙目+上目遣いで…

 

「……ダメ?」

 

はい、無理でしたぁぁぁぁぁぁ!!

これを無意識でやてるから怖い。

俺はそれで断るほど、強い心は持ち合わせていない。

てか、世の男子全員無理なんじゃ…

 

現在、攻略は74層まで進んでいる。

この層が終われば、所謂クオーターポイントだ。

最初のクオーターポイントである25層では、多大な犠牲が出た。

 

だがその攻略で、俺は大きなヒントを得た。

まあ、この話は後々って事で。

まとめると、俺はアスナのレベリングに付き合ってるって訳だ。

 

だが、ここは使わせなない。

それは、まだまだレベルが足りないからだ。

どうやら、挑戦すればする程レベルが上がっていくようだ。

今は、2年通い詰めた俺が、1人でやっと倒せるぐらい。

余裕はない。

 

そんなこんなで、気づいたら2年も経っていた。

俺も、ちょくちょく攻略に参加しているが、俺にも二つ名が付いているらしい。

俺はいつからか『死神』と呼ばれる様になった。

まあ、原因はなんとなくわかってるんだけどね?

 

1度、モンスタードロップの鎌を使って、

ゼクスの背中に乗って迷宮攻略をしていたところ、

攻略組のメンバーから、

「し、死神がいる…」

と言われた。それが広まったのだろうか?

そりゃ、黒のフード付きコートのフードを被り、

ゼクスの背中に乗って、黒の大鎌をブンブン振り回して、

モンスターを一撃で倒してたら、そうも呼ばれるか。

 

因みに、キリトは『黒の竜騎士』らしい。

全身黒装備で、新しい仲間『ゴア』を乗り回している。

正式名『渾沌に呻くゴアマガラ』。

こっちの方が死神っぽくないか?

 

現在、俺は50層の森にいる。

それは、アスナに頼まれたからである。

それは、数日前…

 

「ラグーラビット?」

「そ。S級食材なんだけどね」

 

ある程度のレベリングを終え、

街を歩きながら話している。

それにしても、S級食材ねぇ…

 

「ま、暇なときにでも探しておくわ」

「うん!!ありがと、エイト君」

 

その笑顔、反則じゃないですかね?

夕日のせいか、彼女の頬は赤くなっていた。

 

それで、目撃情報のあった森に来てるんだが、

なかなか見つからないものである。

いつの間にかゼクスもいなくなってるし…

 

諦めて、帰ろうとした時だった。

ゼクスが帰ってきて、そちらを振り向くと…

 

「……は?」

『ガウ?』

 

大量のラグーラビットを加えたゼクスがいた。

 

 

 

 

 

 

「うっす。相変わらずだな、エギル」

「褒め言葉として受け取っておきぞ、エイト」

「今日は用事があってここに来た」

「用事?今や攻略組のトップに君臨し、密かに慕われているお前がか?」

「言うなよ…ちょっと気にしてんだよ」

 

そう。エギルが言う様に、何故か、慕われている。

第一層の事を考えると、嫌われていて当然、必然なのだが、

どういう訳か、慕われる様になった。

聞いても、「こちらの一方的な感謝ですので」としか言われない。

上手く、はぐらかされている様な…

 

「それで、用事って?」

「ああ、これを見て欲しいんだが」

「こ、こりゃあラグーラビットじゃねえか!?」

「幾らになる?」

「……自分で食おうとは思わなかったのか?」

「いや、俺料理スキル上げてないし…」

「でもよぅ…あ、でも何でラグーラビットを捕らえようと?食うためじゃないのか?」

「あれ、何でだっけ?忘れた」

「はあ、大丈夫かよ」

 

あれ、何でだっけ?

んー、結構最近に回想したような気が…

なんて考えていると、後ろから肩を叩かれる。

あれ、アスナ…アスナ?あ!!

 

「アスナだ!!」

「わっ!!びっくりするじゃない、エイト君」

「わ、悪い。で、急で悪いんだが…」

「こ、これって」

「ああ、見つけた。そこで頼み何だが」

「ん?」

「これ、食わせてくんね?」

「うん!!じゃ、私の家行こ!!」

「おう……………は?」

 

いやいやいや、今、こいつなんて言った?

私の家?ありえないでしょ…

ほら、変なおっさんが俺を睨んでるし。

 

「今日はもういいわ、クラディール。お疲れ様でした」

「し、しかしアスナ様!!こんな男に護衛が務まるなど…」

「あら、エイト君は貴方よりずっと強いわよ?」

「ば、馬鹿な!!ありえません」

 

あ、あれぇ?俺に拒否権はないの?

てか、俺の事知らないのかよ…

最近、血盟騎士団に入ったばっかだな?

因みに、アスナは副団長。俺は諜報団団長。

ステルスヒッキーが火を噴くぜ!!

 

「なあ、本当に良かったのか?」

「ああ、護衛の事ね。変わっちゃったな、このギルド」

「……そうだな」

「どんどんおかしな方向に行っちゃってるし」

「いつからだろうな」

「さて、この話は終わり!!今はラグーラビットでしょ?」

「ああ、そうだな」

 

アスナのホームは61層の城塞都市だ。

現在は夕方。綺麗な夕日に照らせれている。

 

「お、お邪魔します…」

「もう、なんでそんなに恐る恐るなのよ…」

 

いや、だってねぇ?

いくらゲームの中とはいえ、こんな美少女の家に、

俺が来ることなんて……

 

「じゃ、着替えてくるから、エイト君も早くね」

「り、了解しました」

 

俺は装備を外し、イスに座る。

ああ、フカフカだあ…

着替え終わったのだろうか?アスナが入ってくる。

簡素な白い短衣と膝上丈のスカートに着替えたアスナは、

見惚れてしまう程、綺麗だった。

 

アスナに料理を任せ、俺は少し睡眠をとった。

以外と捜索がきているのだろうか?

やがて、いい匂いがし、目が醒める。

どうやら、丁度出来た様だ。

 

「これは、シチューか?」

「うん。ラグー、って言うぐらいだしね。紅茶、いる?」

「ああ、貰おう」

 

 

「ご馳走様でした」

「ふふ、お粗末様でした」

 

いや、もう美味いってもんじゃなかった。

ほんと、ゼクスがいてくれて良かった。

あ、エギルに悪いことしたな…ま、いっか。

 

「ところでエイトくん」

「なんだ?」

「明日、74層でレベリングしたいんだけど」

「いいのか?あの……く、くり、クロロホルムだっけ?」

「クラディールね。うん。置いてくから」

「護衛なんだろ?」

「いいの。エイト君もいるし」

「そんなもんか?」

「そんなもんよ」

「わかった。じゃあ、7時頃に待ち合わせで」

「うん、また明日ね」

 

俺は外に出て、星空を眺める。

アスナがお見送りをすると言ってきたため、断ったのだが、

聞かなかった。変なところで強情なんだよなあ…

 

俺が見上げる星空は、

決して『本物』ではなく『偽物」なのだろう。

これが、茅場晶彦の作りたかった世界なのか?

アスナが、それを感じとったのか無言で傍に一歩近づいた。

腕に、ほのかな暖かさを感じる。

それは『本物』なのだろうか『偽物』なのだろうか。

 

だが、俺は願っている。

これがー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『本物』でありますように、と。

 





さて、少しずつフラグ立てていきますよ?
エイトの心にも変化が?
すっ飛ばした感満載ですが、
キリトサイドがないので、こんなもんじゃないですか?

では。

次回、第12話(←いつまで当たり前の事を…)

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