伊吹葵は勇者である   作:水歩

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棗さんのキャラが崩壊してたらごめんなさい。


約束

みんなで買い物に行き、手作りの卒業証書をもらって少し経った四月の夜、葵は寮に割り当てられた自室で思考にふけっていた。

(聞いた話だと、精霊を使ったのは若葉が一回、千景が一回、友奈が一回。そして球子が二回。杏は使っていない。精霊を使った後は病院で検査すると、疲労が溜まっていると診断される。ただ、二回使った球子は何かしらの違和感があると言う…。皆が使った精霊は一目連、七人御崎、輪入道、源義経…。全てが悪霊としての側面を持つ…)

この葵の思考は、杏も同じタイミングで考えていた。

(ただ、僕の精霊はむしろそれを倒す逸話のある精霊…これは加護を与えている神の違い…?)

そして、葵が精霊について考察していると、部屋の戸が開き棗が入ってくる。

葵はそれに気づくと、棗を迎え入れる。

「棗、とりあえずその辺に座っといて」

葵はベッドを指差す。

棗は、その通りにベッドに腰掛ける。

その様子を見て、葵は調べもののために立ちあげていたノートPCをシャットダウンし、棗に問いかける。

「で、棗どうしたの?」

「ちょっと、話したくなって…」

「そういえばここに来てからもまだそんなにしゃべってなかったな」

福岡に棗が来た時に再開して以来忙しく、まともに話す時間が取れていなかったのを思い出す。

「改めて、これからもよろしく!それと、ここは福岡じゃないけどお帰り」

その言葉に、棗は無言で葵を抱きしめる。

「…ただいま…」

葵は、棗を抱きとめると、棗の頭をやさしい手つきで撫でる。

そして、葵は一つのことを宣言し決意する。

「棗、僕はもう絶対に君と離れない。そして、君に何かあったら絶対に助けよう」

それを聞いて、棗も返す。

「…私も、葵が困っていたら絶対に助ける。なにがあっても…」

そうして、二人の関係はこの日を境に少し変わった。

その日はその後、これまでの思い出話に花を咲かせた。

 

 

翌日、葵と棗の二人は手を繋いで教室に向かう。

教室に着くと、全員がそろっていた。

「あ、葵くん棗さんおはよー!」

友奈が気づき、二人に声をかける。

すると、友奈が目ざとく二人が手をつなぎ、雰囲気が変わっていることに気づく。

「え!?二人ともそういう関係だったの!?」

友奈がそう言った事で、他の面々も気づく。

そして、恋愛小説が好きな杏のめが輝き始める。

「そうだけど、そっとしといて」

その反応に不安になった葵は先にくぎを刺しておく。

「「はーい」」

納得したのかは分からないが、色々と聞こうとしていた二人は引き下がる。

その雰囲気に耐えられなくなったのか、球子が杏と計画していたお花見を提案する。

「楽しそう!やろうやろう!」

「ええ、いいですね。丸亀城にいてお花見をしない選択肢はありません」

友奈とひなたがその提案に賛成する。

その様子を見て、葵と棗は顔を見合わせると、葵が口を開く。

「えっと、この丸亀城の桜ってどんな感じなんだ?」

その質問にすごい勢いで食いついてくる。

「丸亀城は桜の名所って言われてるんだよ!」

「そ、そうなのか。じゃあ、一度見てみたいな」

と、葵も賛成をする。

「…でも、いつバーテックスが来るか分からない状態なのよ…そんな緩んだことで、いいのかしら…?」

千景が水を差すように言う。

そこで友奈が千景の両頬をつまみ、強制的にその顔を緩ませる。

「ひょ、はかひまふぁん…」

「ぐんちゃん、息抜きも大事なんだよ!それに、私はぐんちゃんとお花見したいな」

そして、友奈は手を放す。

「まあ、高嶋さんがそういうなら…」

千景も根負けして頷く。

「よーしじゃあ、次の戦いが終わったらみんなでお花見だ!俄然やる気が出てきたぞー!」

球子が勢いよく手を振り上げ、皆の士気が上がる。

そして、杏は窓の外を見て城の周りの桜を眺める。

「早くお花見できるといいなあ」

その日の夕方、図ったかのようにそれぞれのスマホから樹海化を知らせる警報音が流れた。




今作の棗さんは地元から離れて暮らして、幼馴染とも会えていなかった設定なのでやっと安心できたという設定です。
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