IS 13の星座の守り人   作:Scorpion

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この小説は作者の投稿モチベーション維持の為の作品です。


7話 IS整備と会長の妹

黄牙「よし、今日の訓練はここまでだ。」

一夏「ありがとうございました!」

 

黄牙と一夏はアリーナにて、ISの訓練をしていた。今はISを解除し、ロッカールームにて制服に着替えながら、今回の反省会をしている。

 

黄牙「だいぶ対応できてるな。被弾率も35%。なかなか良くなってきたな。」

一夏「それでも、まだ遠距離には弱いけどな…」

黄牙「確かにな。35%の内、約7割は俺の荷電粒子砲やフェニックキャノンのビームによる遠距離攻撃。次から訓練相手をセシリアに変更だな。」

一夏「遠距離攻撃に関しては、あいつが一番だもんな。」

黄牙「それだけじゃないことくらいは分かってるだろ?」

一夏「BT兵器もなあ…本体が動けない隙を突こうとするんだけど、終わった後にセシリアが(動けるように努力しているのですわ!次こそは…!)とか言ってたし、その内動けるようになるんだろうな。」

黄牙「そうなったらかなりの強敵だな。」

一夏「だよなあ~…BT使いながら本人も狙撃してくるとかいよいよ、白式での攻略法みつかんねえぞ…」

黄牙「それでもやるしかないだろ。二次移行したら、射撃武器増えてるかもしれんけど。」

一夏「せめて使いやすさ重視が良いなあ…」

 

など、自身のISへの願望をのせつつ、ロッカールームの外に出た。

 

黄牙「さて、ISの修理でもしてくるかあ。」

一夏「ホント黄牙ってハイスペックだよな。戦闘も出来るし、ISの修理も出来るし。」

黄牙「自分のが2機あるだけでやること2倍だが?」

一夏「…そうだったな。」

黄牙「それにセシリアから頼み事請け負っちゃってさ。」

一夏「あの《ヴィエルジェ》って機体のことか?」

黄牙「そ。あれの詳細なデータを出してくれ、って。」

一夏「自分で使ってたのにそれが必要って、相当じゃないか?」

黄牙「ま、そっちはある人に任せてあるから問題ないけどな。」

一夏「ある人?」

黄牙「公には言えない、俺の後ろ楯。もちろんお前にも内緒。」

一夏「すげえ気になるけど、止めとこ。」

黄牙「お、良く分かってるじゃないか。訓練を始める前のお前ならすぐ首突っ込んでくるだろうな。」

一夏「色々学んだんだよ。触らぬ神に祟りなし、ってこともあるってさ。」

黄牙「ふふふ、今日はいい日だ。一夏よ、お前のISの調整も特別にやってあげようではないか。」

一夏「ありがたき幸せー…って時代劇じゃねーよ!」

黄牙「ツッコミもキレが増したな。」

一夏「動きのキレも良くしたい…。」

黄牙「そいつは訓練を重ねりゃきっと良くなるさ。ISハンガーにいくぞー。」

一夏「おーう。」

―――――――――――――――――――――――――

IS学園 ISハンガー

黄牙「こんちはーす。」

一夏「失礼します!」

 

ISハンガーに男子生徒二人が立ち入る。すると、

 

「あ!星守くんだ!」

「織斑君もいるわよ!」

「今日はツイてるなあ~!」

 

と、いろんなハンガーから声が聞こえた。

 

一夏「いつもこんな感じなのか?」

黄牙「初めて来たときはこんなだったなあ。今ではだいぶ落ち着いてる。今日の反応は一夏、君がここに来たからだ。」

一夏「あ、そっか。」

??「あら、いつもご苦労様星守くん。織斑くんははじめましてね。」

黄牙「紹介するぜ、一夏。ここの監督責任者の明石さんだ。」

明石「只今紹介にあずかった、明石 李奈よ。ここを使いたいときは私に言ってね。」

一夏「織斑 一夏です。来るときは黄牙と一緒のことが多いと思うので、そのときはよろしくお願いします。」

 

簡単な自己紹介が終わり、黄牙が明石に話しかける。

 

黄牙「明石さん。今日大きめのハンガー空いてます?」

明石「ちょっと待っててね。…えーっと、21番と27番が空いてるわ。どっち使う?」

黄牙「27番でお願いします。」

明石「了解。終わったらハンガーにある備え付けの電話でこっちに連絡してね。」

黄牙「ありがとうございます。一夏ー?行くぞー?」

一夏「お、おう!」

明石「いってらっしゃーい。」

 

27番ハンガーまでの道中、一夏が黄牙に質問した。

 

一夏「なあ、黄牙。ハンガーってどんな種類があるんだ?」

黄牙「ああ、説明しとくか。目的地までちょっと時間かかるし。」

 

と言うと、初めて来たときにもらっていた地図を広げた。

 

黄牙「ここのハンガーは全部で30基あるんだ。ISを展開しないで、システム面の調整をする小型ハンガーが10基。ISを展開して装備の点検をする中型ハンガーが10基。ISを複数展開してシステムや装備、あらゆる面を確認、修復する大型ハンガーが10基の内訳だな。ちなみに中型は1機だけ、大型は最大3機まで展開可能だ。今回俺たちは白式、ストライクヴルム、スコルスピアの3機をやるから、大型を借りたって訳だ。」

一夏「いつもこれだけ埋まってるのか?」

黄牙「まあ、訓練機とかの整備は主に整備科の人達が担当してるけど、ここまで埋まってるのは何かあったんだろうなあ。」

一夏「訓練機の数でも増えたのかな。最初にIS学園にある機体は、打鉄とラファールがそれぞれ5機ずつ、だったっけ。」

黄牙「後は個人的な調整もしてる人とかいそうだな。…着いたぞ。ここが27番ハンガーだ。」

 

大きく27と書かれた扉の前に着いた。

 

一夏「何というか、普通の家にありそうな感じだな。」

黄牙「扉はな。中はスゴいぜ?」

 

そう言って扉を開けた。その中には、システムを調整するためのコンピュータが4基あり、さらにその向こうにはISの損傷部を修復するための簡易ピット、ISを搭乗者なしで起動状態で固定できるハンガーユニットが3つ、搭載されている武器を固定するハンガーが2つ、搭乗者を安全に乗降できる籠付きのアームが3つが備え付けられていた。

 

一夏「すっげぇ…」

黄牙「設備に関しちゃどこの国よりも優れてるさ。さあ、一夏。ISを起動してくれ。メンテを始めるぞ。」

一夏「おう!」

―――――――――――――――――――――――――

明石が受付で待機していると、メガネをかけた生徒が1人やって来た。

 

??「あの…」

明石「あら、もういいの?」

??「システムの最終調整は終わったので…」

明石「実機の方はどう?」

??「まだ、大型スラスターが調達出来ていないので、しばらくは…」

明石「ならさ、27番ハンガーに行ってみなよ。」

??「ど、どうして…ですか?」

明石「今話題の男性二人がそこにいるから。」

??「!!」

明石「どうする?貴女がいいなら連絡いれとくよ?」

??「…お願いします。」

明石「了解。ちょっと待っててね。」

―――――――――――――――――――――――――

一夏「黄牙ー。明石さんから電話来てるぞー。」

 

一夏が備え付けられていた受話器をとり、黄牙に言う。

 

黄牙「まだ、時間じゃないはずだが、すぐ行く。」

 

そう言ってISのメンテナンスを中断し彼のもとまで行く。

 

黄牙「代わりました、星守です。」

明石『あ、星守くん。ちょっと頼み事を引き受けてくれないかな?』

黄牙「自分で良ければ構いませんよ。」

明石『ありがとー!今からそっちに1人連れていきたい娘がいるんだけど、調整はどんな感じかな?』

黄牙「3機の内1機はもう終わってますよ。残り2機はもう少しかかりますけど。」

明石『うん。状態もバッチリみたいだね!頼み事の内容が、その娘のISを少し見てほしいの。』

黄牙「報酬はどれくらいでしょうか?」

明石『食堂での食事をを1食奢っちゃう。』

黄牙「そのISの状態によってはもう1食追加しても構いませんか?」

明石『ええ。それくらいお安いご用よ。それじゃまた後でね。』

 

そう言って電話が切れた。

 

一夏「明石さん、なんだって?」

黄牙「1人連れていきたい人がいて、その人のISを見てほしいって。」

一夏「…今日中に俺たちのISの整備終わるか?」

黄牙「やるしかないさ。その人が来たらそっち優先になるから、なるべく進めとく。要望があれば言ってくれよ。」

一夏「オッケー。」

 

30分後にインターホンが鳴った。

 

黄牙「わりぃ一夏、出てくれ。」

一夏「了解。はいはーい。」

明石「ごめんね、急にこんなこと頼んじゃって。」

一夏「それは黄牙に言ってください。その人が?」

明石「ええ、更識 簪さん。」

簪「どうも…」

一夏「よろしく、更識さん。今奥で作業しているのが―」

簪「星守 黄牙君、だよね?」

一夏「流石に知ってるか。」

簪「これでも、日本の代表候補生だから…」

一夏「そうなのか!凄いな!」

明石「はいはい、立ち話もなんだしそろそろ入って見てもらってね、簪ちゃん。」

簪「は、はい。お邪魔…します。」

明石「それじゃ、後はよろしくね。」

一夏「了解ですー。」

 

明石を見送った一夏と簪。そこへ

 

黄牙「すまない。作業が一区切りつくまで時間が掛かってしまった。俺は星守 黄牙。よろしく。」

簪「更識 簪です…よ、よろしくお願いします…。」

黄牙「更識、というと―」

 

簪の名字を言ったとたん、彼女の顔に陰がさした。

 

黄牙「すまない、どうやらこれはタブーのようだ。早速で悪いが、君のISを見せてくれないか?」

簪「分かりました…奥のスペースでもいいですか…?」

黄牙「ああ。むしろそっちの方が良かったね。それじゃついてきて。」

 

黄牙は簪をストライクヴルムと白式が何本もプラグが繋がれている状態のハンガーエリアに案内した。

 

簪「あの、制服のまま展開するの…?」

黄牙「そのままで気持ち悪かったら一回着替えてきても構わないけど、どうする?」

簪「…あまり時間ない、よね。このまま展開する。」

黄牙「助かる。それじゃあ頼む。」

簪「うん…おいで…」

 

簪が念じると、彼女のISである《打鉄弐式》が出現した。

 

黄牙「よし。そのまま空いているハンガーに向かってくれ。そこで接続ならびに固定作業を開始する。」

簪「は、はい…」

 

そう言って、真ん中のハンガーに向かって行った。すると、アームが稼働し、優しく機体をおさえた。さらにプラグが何本も伸び、稼働部に接続された。

 

黄牙「よし、完了だ。降りてきてくれー。」

 

簪は一瞬不安になったが、籠付きのアームが来たので難なく降りることができた。

 

黄牙「ご協力ありがとう。ところでこの機体のコンセプトって一体何かな?見たところ陸戦タイプみたいなんだけど。」

簪「あ、えっと、実は…」

 

簪は打鉄弐式のコンセプトについて話し、さらにまだ未完成であることとスラスターの部品が足りない事を告白した。

 

黄牙「こいつは驚いた。この完成度でまだ未完成だなんて。」

簪「あ、えと、どうも…。」

黄牙「スラスターの部品については…一夏ー?白式のスラスターのデータ、簪さんの機体にフィードバックして構わないかー?」

一夏「ああ!それで機体が完成するなら、しっかり使ってくれ!」

簪「あ、ありがとう。」

黄牙「気にすることはない。ただの善意だからな。それと、1つ注意しておく。」

簪「な、何?」

黄牙「今の機体バランスなら今までのシステムでもどうにかなると思うけど、これに背部スラスターを取り付けると、システム間で齟齬が発生する可能性がある。その点はどうするんだ?」

簪「システム構成は、私の得意分野。2つの間で整合性をとるくらい、問題ない。」

黄牙「なるほど。それは失礼した。そんじゃ、機体チェックはこれにて終了だ。」

簪「ありがとう。…1つ、聞かせて。」

黄牙「ん?」

 

そういうと、深呼吸してこう言った。

 

簪「もし、絶対に勝てない相手がいたら、貴方はどうするの?」

黄牙「たとえそんな相手がいたとしても、今までの経験と自分の機体を信じて戦う。どれだけ力の差があったとしても、それを理由にして諦めたくはない。」

 

力強くそう簪に言った黄牙に簪は

 

簪「強いんだね。貴方って。」

黄牙「それを言うなら君もそうだ。」

簪「え…?」

 

黄牙が放った言葉に驚きを隠せないでいると、

 

黄牙「たった1人でISをここまで組み上げた。システム面にも不具合もない。これはすごいことだ。」

簪「それじゃ、ダメなの。」

黄牙「どうして?ここまでやってもまだ君は満足していないのか?」

簪「私は、お姉ちゃんを超えたいの。」

黄牙「生徒会長を?」

簪「あの人は、ISを1人で完全に作りきった。それに、ロシアの国家代表を任されて…いつも、比べられて…」

 

簪が言葉に詰まり始めたとき、一夏が

 

一夏「その気持ち、良くわかるよ。」

簪「何で…」

一夏「ISが広く浸透してから織斑先生は世界を1度制覇しただろ?そんなときに俺は、よく知らない周りの人達が戦乙女《ブリュンヒルデ》の弟、まあ、付属品みたいな扱いを受けた。」

黄牙「一夏…」

一夏「付属品でも当時の俺は仕方ないと思って、なにも言わずに心のなかにそのストレスをしまった。けど、ある時からそれはいわれのない批判へと姿を変えた。」

簪「…それって」

一夏「ああ。第2回モンドグロッソだ。俺は誘拐され、ドイツ軍と千冬姉に助けられた。その代わりに千冬姉は、優勝を逃した。」

黄牙「……」

一夏「それをTVで見てた信者共は何て言ったと思う?《恥さらし》とか《輝かしい歴史の1ページを無にした愚か者》とか、色々ネット上でボロクソに言われたよ。」

簪「そんな…織斑君は、何も…」

一夏「そんなのは関係ないんだろうな。あまりの誹謗中傷の多さに一時自殺することも考えた。こんな風に叩かれて苦しい思いをするならいっそ、ってな。」

黄牙「……止められた、のか。」

一夏「ああ、千冬姉にな。そんときの千冬姉は俺を強く抱きしめて、何度も謝ってた。千冬姉のせいじゃない、こうなった理由は他にあるのに。けど、落ち着いてからの最後の言葉が俺には一番記憶に残ってる。

『私を…1人に、しないで。親に捨てられ、一夏にこの世を去られたら、私はっ…何を支えにして自分を奮い立たせたら良いのか、誰の為に苦しい日々を耐えながら、頑張らないといけないのか分からなくなる。だから頼む、私の前から、居なくならないで…。』ってさ。」

簪「……」

 

簪は呆然としてこの話を聞いていた。

 

一夏「つまり、何が言いたいかっていうと、だな。どれだけ周りが酷いことをしたとしても、家族は絶対に見捨てたりしない。むしろ、そういうことをやったやつにどう責任とってもらうかとか考えるくらい、大好きなはずだ。」

 

すると簪が泣き出してしまった。

 

黄牙「前フリ長いし重い!」

一夏「な、なんだよ!簪さんを元気付けようと思って、」

黄牙「逆に結論丸々入ってねーよ!お前の経験のせいで簪さんボロ泣きじゃねーか!それにこの状態で生徒会長に見つかりでもしてみろ!?殺されるじゃすまねーぞ!!」

一夏「あ…」

 

などと漫才みたいなことになっていると、

 

簪「フフフッ」

2人「「ん?」」

簪「ありがとう。おかげで何か吹っ切れた。」

一夏「そ、そっか。ならよかった。」

黄牙「俺たちはまだ2機を調整するから送ることは出来ない。また何かあったら1組に来てくれ。その時は力になるから。」

簪「分かった。わざわざありがとう。それじゃ、また。」

 

そう言って簪は部屋を後にした。

 

黄牙「さてと、さっさと残りの2機もやるか。」

一夏「おう!」

 

部屋に残った二人は、ストライクヴルムと白式の調整を再開。白式はエネルギー効率の最適化と出力の調整、ストライクヴルムは荷電粒子砲の出力調整とクロー部分のエネルギー出力向上をし、45分程で作業を終えた。

また、簪と楯無の関係は少しずつではあるもののいい方向に向かっているそうで、後日楯無が2人にお礼しに行っていた。




次回、金の貴公子、銀の兵士。

次の章は誰の視点から?

  • 一夏
  • シャル・クロエ
  • 黄牙
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